十六話 我、再会する
酢イカ…あんた美味すぎるぜ…
最近酢イカの美味さに惑わされつつあります。
by( ˊ̱˂˃ˋ̱ )なめこ
目の前で最期の雄叫びをするフレアボアにトドメをさす。
この世界に来てから一カ月が経とうとしていた。
俺を追いかけ回してくる人間もいなくなり、狩りも安全にできるようになった。
レベルもいくばくか上がり、使える特技も多少は増えた。
強さだけはチート級なので森の中で他の魔物に襲われる事はない。
さて、そろそろ森の中の生活というのにも飽きてきたな…
いや…飽きたのではないな。
『疲れた』んだよぉおおお!!!!!
何だ?洞窟での生活って?岩がゴツゴツしてて眠れたもんじゃねぇよ!!いやね、寝てたけども!
しかも食事が酷い!肉が狩れない時は毒木の実だぞ!?毒耐性ついたからって味覚に耐性はつかないんですぅ!!
もういいです。私は森を出ます!!誰も止めないで下さい!!…誰も止めてくれねぇけどな!!!
よし、って事で森を出よう。ふかふかのベッドとまではいかなくても藁の上で寝たい。
…あれ?俺の基準おかしくなってない?
…
……もういいや、とりあえず走ってれば森は突き抜けられるだろう。
そう思い俺は大地を蹴った。
半日後…
よし!森を抜けた!!!
じゃねえわこの野郎!?
なんでこの森こんな広いの?なんで突き抜けるのに半日かかるの?
もうクタクタですわ…こんな時に人間に出くわしたら俺は多分狩られますわ…
「囲め!奴が疲れている時がチャンスだ!!」
「不浄の魔物め!滅してやる!」
「神のご加護あれ!!」
そう口々に叫びながら、冒険者っぽい人達が五…六人で俺を囲んでくる。
フラグさんお仕事ご苦労様ですクソッタレ…
…よし…クライで切り抜けよう…
俺は口を大きく開け…
あれ?出来ない…本格的にこりゃ詰んだな…
足もガタガタで動かない。俺は伏せている状態を保つのがやっとだった。
え?こんな風に死ぬの?俺…
さすがに辛いぞ…
話しかけようにも念話も出来なくなってる。疲れると出来ないようだ。
……くそっ!!
俺は固く目を閉じた…
「!、皆さん待って下さい!!」
冒険者達が鼓舞している声の中で女の声が聞こえた気がした。
そして俺は待っていてもいつまでたってもこない攻撃を奇妙に思い目を開ける。
そして目の前には俺に背を向け、冒険者達を止める何時ぞやのゴブリン達から助けた女冒険者の姿があった。
「大丈夫ですか?」
女冒険者は笑顔で俺を見る。
攻撃を止めさせられた他の冒険者達は苛立った様子で彼女を見ていた。
「おい!何で止めるんだ!!」
「離れろ!殺されちまうぞ 」
冒険者達が彼女こ身を案じ、そして俺を殺せなかった苛立ちからか少し怒気のこもった声を上げている。
「皆さん!この子が前に話した私を助けてくれた子です!!」
彼女がそう叫ぶと冒険者の声が止む。
「なぁんだ、そうだったのか!それなら心配は必要ねぇな!」
冒険者達はすぐに表情を笑顔に変えて俺に向かってくる。
「ありがとな、命の恩人さん!こいつを助けてくれて」
「知らなかったとはいえ…すまなかったな、剣を向けてしまって。」
そんな簡単に俺を認めていいのか…それでいいのか冒険者…
いや、襲わずに友好的にしてくれるのは嬉しいんだけどさ…
いや、この人懐っこそうな奴だから皆が信用したのか…?
俺は今度は逆に命を救ってくれた女冒険者を不思議そうにジッと見つめる。
女冒険者はそれに笑顔を返した。




