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孤独
僕は一人の詩人に出会った。ちょうど僕と百歳差の夭折した詩人。彼はこう言っていた。
ーー信義に乏しい世間の前に、個人の信義は如何にも無力なものだし、もはや信義に篤からんがためには、人は自室に引籠るよりほかはないといふも過言ではない程だ。ーー
孤独と見破られては孤独は存在しない。誰かに容認された孤独とは、即ち孤独という属性すら含みえない範囲、もはや真の孤独とは程遠い気がするのである。だからこそ僕は今辛い。「理解」と書かれたプラカードを掲げられるのみ、誰も僕を抱きしめる人はいない。明かりの眩しい大路地の影で、一人怯えながら星空を恃むことが、これこそが孤独ではなかっただろうか。
これを難しい、晦渋だといって見限る者たちへ。君たちは屡々字ずら、即ちある種の表面性に易々と迎合するようである。しかし僕の言うことは何のアカデミックさも無ければ、何の制限も受けぬ自由の言葉である。しかし、分かるかねえ。どうせ大半はまた大路地へ戻って、未だ光の届くような乞食を憐れむのに徹しよう。その時僕はまた、君たちの影に隠れて、孤独の杯を仰ぐのだから。




