表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/200

92話:乱読者の敗北

 私は本が好きだ。

 ひとりの人間を単純にカテゴライズしても意味がないだろうと思うのだが、野球というカテゴリーの仲間からすると、私は変人らしい。

 練習の休憩時間や、合宿や遠征の際、私は限られた時間を惜しんで読書に勤しんだ。(理論書含む)

 中学時代はそれ以前の問題だったが、高校時代のチームメイトの会話には正直ついていけなかったというか……そもそも彼らも私と同じく野球漬けの生活なのに、アイドルがどうのとか、テレビを見る暇なんかなかったと思うのだが。


 注:今と違って、昔は夜の12時過ぎには放映が終了してました。


 なので、彼らとは学校の話か、野球の話しか通じない……うん、間が持たないの。(笑)

 つまり、卒業してしまうと……彼らとの共通話題が野球(高校時代の)のことしか。

 ああ、うん……そういう意味では、高校野球の監督してる友人も、もうチームメイトとは会話が続かないとか言ってたから同じかも。

 昔ではなくて、今の会話ができないってのはなかなかに厳しくなりますね。

『最近どう?』

『仕事が……』

『子供が……』

『そういや、高校時代の…』

 えっと、新しい話題プリーズ。

 ごくたまにならともかく、会うたび会うたび、ひたすら高校時代の思い出を、繰り返してもなあ……などと本音を漏らすと、人でなしとか言われそう。

 ……否定はしませんし、できませんけど。


 その一方で、野球というかアウトドア系とは別の、小説・漫画・ゲーム系のインドア系の友人。

 変人という評価には変わりはない(笑)ものの、会話のネタは多岐にわたるといいますか……まあ、私としても付き合いやすいのはこちらのタイプ。

 彼らに言わせると、私は研究者タイプであり、マニアタイプであるそうな。


 うん、研究者タイプはともかく、マニアに関しては否定できない。

 前にも言ったが、オタク気質なんでしょう。

 結局、野球に関してもオタクなんですよ。


 話が盛大にそれたというか、間違ったのはタイトルか、それとも前振りか。

 と、いうわけで、子供の頃から私は本が好きでした。

 野球に長時間の拘束を受ける前の小学生時代は、学校の教科書は二日ぐらいで全部読んでましたし、次兄はもちろん、長兄の学校の教科書(お古)も読んでました。

 新聞も、読めない漢字があろうが、意味がわからなかろうが、とにかく全部読む。

 何もない田舎だと、読書が数少ない娯楽ですから。

 好みもへったくれもなし、雑食であり、乱読者の私の前に現れたのが、一冊の本。


 百科事典、辞書、図鑑だって面白い。

 そんな私が、この本には敗北しました。

 耳を素通りするという表現がありますが、なんと言えばいいのか……目がツルッツルに文字を滑っていくとでも言うのでしょうか。

 興味を引くとか、意味が分かるとかお構いなしに、脳が、目が、読むのを拒否するというか。

 とりあえず600ページのうち200ページほど読んで本を閉じると、内容がほとんど頭に残っていません。

 別に難しい事を書いているわけじゃないのは分かるのですが……。

 もう一回挑戦して、私は、生まれて初めて、何かを読むのを途中で諦めました。


 時は流れて、大学時代。

 実家に帰省して……次兄の部屋の本棚を見て、ああ、そんなことがあったなと再チャレンジ。

 チクショウ、やっぱり目がツルツル滑っていきやがる。

 子供の頃とは違って、色々と知識を得ているから意味はわかる、意味はわかるんですが。

 一応全部読み終えました。

 読み終えましたが、恐ろしい程内容が頭に残ってません。

 後日、次兄に連絡を取ったところ、こう言われました。


『愚弟、世の中には読まなくても良い本もあるんだよ』


 当時、私はこの言葉に救われたような気持ちになったのですが……今も時々、このことを思いだしてしまうのです。

 もちろん、これまでに読んでてつまらないと思う本はいくつもありました。

 しかし、私はなんだかこの本に負けたような気がしているのです。


 今なら読めるかなあ。

 楽しんで読めるかなあ。


 ある意味で、心に残る一冊。 

まあ、ギリシャ神話絡みの本なのですが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ