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84話:陸上競技観戦1

……自分で書いてなんですが、(話が)面白くない。

 大学生3年目。

 野球選手生命が絶たれ、留年もして落ち込んだ時もあるけど、毎日楽しく生きてます。


 ……そう思っていたのですが、友人・知人サイドからすればそうは思えなかったらしい件について。(笑)


 それまで誘われなかった(と、いうか余裕がないから断っていた)徹夜麻雀へのお誘いがあったり、競馬場や競艇場や競輪場などへと連れ出してくれたギャンブルさんチーム。(当時は、20歳以上でも学生が投票券を買うことは禁止されてました)

 大学生といえばバイトだぜ……と、学習塾のバイトや、短期集中型の会場設営とかの肉体言語系バイトを紹介してくれた勤労さんチーム。

 漫画とか小説とかゲームとか好きならこういうイベントがあるよ、隣の県でこのゲームの原画展があるんだけど一緒に行かないか……などの、オタクさんチーム。

 などと、今まで知らなかった世界が急速に広がったというか、そもそも講義と野球と生活に追われてそんな余裕がほとんどなかったので、次の機会があれば是非などと断っていたあれこれがあらためてやってきただけですけど。(笑)

 その一方で、野球部の知り合い関係は私から距離をとる感じ。

 会えば話はするんだけど、野球のネタについては絶対に口にしない感じがなんとも不器用な気の使い方という感じでした。

 人間の感情の機微についてはそれほど鋭くも聡くもない私ですが、さすがに気づきます。

 

 さて、そんな中で、例の私のアパートに銭湯がお休みの日に風呂を借りに来てた陸上競技部所属の友人(7話参照:私が引っ越したせいで、より近所に)が、『今度地区インカレがあるんだけど、見に来ないか?』などと誘いをかけてきました。

 聞けば、平日から週末まで数日かけて地区の大学陸上部が一堂に集い、その鍛えに鍛えた(以下略)。


 女子のユニフォーム姿がとても刺激的なのだが、来ないか?


 行きましょう。(笑)

 個人的に、女性のジャージ姿にグッとくるタイプなので、これは一粒で二度おいしいと思ったので即答。


 そして、電車を乗り継ぎ1時間超、友人とともに某陸上競技場に訪れた私。

 中学時代に無理やり投擲競技の学校代表にされて記録会に出たことはあったんですが、基本的にオリンピックの中継ぐらいでしかその様子を見たことがなかったので……。


 人の多さに絶句。


 そうか、陸上競技って人気あるんだなあ……という誤解を、友人が速やかに鎮火。

 9割以上が、各大学の陸上競技部の人間です、と。

 なるほど、競技場のスタンドというか観客席も、参加大学ごとにスペースが割り振られていて……あれよあれよという間に、競技場にいる人間のほとんどがジャージ姿へと変貌していくわけで。

 まあ、顔つなぎと言うことで、友人が指定されたスペースにいた陸上部の人間に私を紹介してくれました。


 なんというか、最初の印象はものすごく雑然とした進行だなあと。

 全ての競技に対して、各大学は参加枠をひとつ確保。

 ただ、参加標準記録を突破している人間が複数人いる場合、最大3人まで出場可能。

 各競技の決勝1位に8ポイント、2位に7ポイント……以下8位に1ポイントの、個人競技でありながら、大学対抗の団体戦の面も。

 大会記録やら、学生新記録、日本新記録などを樹立したときは、ボーナスポイント有り。(大会記録が5ポイントだったはず。当然日本記録なんかはポイントが跳ね上がる)

 この地区は1部と2部に分かれていて、1部の下位2校が、2部の上位2校と入れ替わり。

 仮に、今年2部で優勝すると、来年は1部で戦うことになる、と。

 競技プログラムでは、1部と2部が分かれて行われていて……とにかく、競技数が多くて、参加選手が多くて、トラックとフィールドで同時進行しまくりなので、わかってない人間には、どこに注目すればわからないわけですね。

 これが純粋に陸上競技のファンとかだったら、目当ての競技とか、目当ての選手に注目して……みたいになるんだろうけど。

 同時進行といっても、選手の場合競技前にアップを行うのも当然ですが、競技開始〇分前にコール(参加選手の出席確認みたいなもの。遅れると失格)にゼッケン持っていかなきゃいけないとか、ぼやぼやしてるわけにはいきません。

 出場選手には、部員1名ないし2名がサポートにつき、スケジュール確認やアップの補助などを行い……なんというか、野球の試合のスタンドの応援とは全然違うというか。

 部員は、スタンドの自分たちの学校のスペースに現れては消え、消えてはまた現れ、予選結果の報告に加えて、結果の公式記録が張り出されるのをチェックしに行き、すべてを記録していくなど……。


 なあ、友人よ。

 部員に私を紹介してすぐに予選があるからアップ行ってくるわなどと、私を置き去りにした友人よ。

 部外者の私がこの場所にのほほんと座ってるのはものすごく居心地が悪いのですが。

 赤の他人、かつ部外者の私が『何か手伝えることありますか?』などといったところで相手を困惑させるだけでしょうし。

 周囲の大学のスペースを観察し、各競技のタイムスケジュールと自校の出場選手の表というか、看板みたいなものを作ったら良さそうだな……などと考えつつ、競技を観戦。

 基本、関東の大学のレベルが高いらしいのですが、そこは個人競技ですのでやはり注目選手がどの地区にも存在するらしく。


『観客の皆様、現在フィールドで行われている競技にご注目ください。〇〇競技に出場している某選手には、自身の持つ大会記録の更新が期待されます』


 などと、アナウンスが入ったりする。

 もちろん、そういうものがちょくちょくあるかというとそんなことはなく、基本的には淡々とトラック競技の進行をアナウンスするのみ。

 そういう意味では、観客席から遠くなるフィールド競技は注目を浴びにくいようだった。


 さて、我らが友人が1次予選に登場である。

 居心地悪そうな私に気を使ってくれたのか、マネージャーさんが少し解説してくれました。


『100メートルはおそらく決勝に残れない(準決勝まではいく)けど、200メートルに関しては表彰台が狙えるレベルです』 


 え?あいつそんなレベル高いの?


『いやまあ、ウチは2部で……この地区の2部で表彰台というレベルをどうとらえるかにもよりますから』


 などと苦笑いしながら言うのだが、やはり100メートルをギリギリとは言え10秒台で走るのはすごいと思うし憧れる。

 と、いうか……ものすごく淡々と競技が進んでいくんだけど、大声を出して応援していいの?

 マネージャーさんがオッケーを出したので、スタート前の選手紹介の時と、ゴール手前のタイミングで思いっきり応援してみました。


 めちゃめちゃ浮いてました。

 100メートル競争とか、オリンピック中継とかをみてるとものすごい注目競技であるかのように思ってたのですが、スタンドの人間は特に声を上げることもなく、『はいはい、予選ね』みたいな感じで、競技を観戦してる人間の方が少ない。

 うん、オリンピックとかの大歓声は幻想だったんですね。

 オッケー出したくせに、マネージャーさんとかほかの部員にも笑われたよ。(笑)

 ついでに、戻ってきた友人に頭を叩かれました。

 2着以上を確実にして、余裕で流してたところに場違いな声援が飛んで焦ったそうな。

 そういや、2着以上は無条件で予選通過って言ってたか。

 ちなみに、決勝とかになるとそれなりに声援も飛ぶらしいですが、いろんな競技が進行しているので、各自は自分の競技に集中してるのが普通だとか。


 まあ、そんな感じに……今ひとつ盛り上がりに欠けるなあと思いつつ、初日の観戦を終えたのです。

 次の日はどうしようかというと、せっかくだから友人の勇姿を拝みたいし、幸い暇でもあるし……なんとなく惰性っぽいですが、連日観戦を決定。

 そして二日目。

 それにしてもこの友人。

 100メートル、200メートル、4×100メートルリレーの3種目に出場で、順調に行けば1次予選2次予選、準決勝、決勝で、リレーは1次予選、準決勝、決勝……これ、結構きつくないか。

 そう聞けば苦笑しつつ後輩の一人の名を挙げた。

 走り幅跳び、三段跳び、110メートルハードル、4×100メートルリレーの4種目に出場で、前の2つは優勝候補筆頭で、ハードルは表彰台候補……おうふ。

 ギリギリの頂点の戦いならいざ知らず、地区のインカレレベルだと、ズバ向けた能力である程度の種目はこなせてしまうそうな。

 体力の問題で100メートルには出場しないけど、実際は部で2番目に速いとか。

 ほほう、つまり友人よ。

 君は、部で一番足が速いわけだな。

 そんな問いかけに、友人は苦笑しつつ首を振った。

 いや、100メートルに関して言うなら持ちタイムは3番目……一番速いやつがちょっとな……うん、怪我をして。(視線を逸らしつつ)


 うん、話題を間違えた。(笑)

(注:日常生活に支障はありませんでしたが、当時はまだ私の右腕には補助具が装着されておりました。)


 さてさて、二日目の観戦。

 昨日はいなかった人間がちらほらと……というか、各競技進行をサポートする補助員を各大学で出している関係か、1、2年生は出席率かなり高めで、3、4年生は就職活動や、大学の外せない実験などで、こられるときに来るみたいな感じらしい。

 そして、宴会部長(正式な役職なのか?)が現れたことで、部をあげての応援っぽいものが開始。

 なんというか、ノリが良いというか、盛り上げ上手というか、『さあ、みなさんご一緒に』などと気が付くと私も集団応援の中に取り込まれていたりして。

 私自身がそういう性質ではないので、余計にこういう人間は貴重だなあと感じました。


 各競技でそれなりの好成績を残しているので勘違いしそうになりましたが、2部における団体優勝候補なんだとか。

 競技を見てると、決勝に残った8人のうち同じユニフォームが……って、3人、3人、2人の3大学対抗戦やんけ、みたいなこともちらほら。

 そりゃ、応援にも力が入るか。

 自分の順位を一つあげるということは、ライバルを直接引きずり落とすわけだから。


 そしてフィールドの3段飛びで、例の後輩が大ジャンプ。

 大会記録超えてきたよ……だが、追い風2.2メートル。(追い風2メートルまでが公認記録)

 そして、なぜか風を計測している計測員の後ろで、ジャージ姿の人間がガッツポーズ。

 首をかしげる私に、部員が教えてくれました。

 あのジャージ、ライバルの大学です、と。

 ああ、なるほど……公認記録だと、大会記録のボーナス点がうちの大学に加算されちゃうから。


 いやあ、スポーツマンシップって素晴らしいですねえ。(笑)

 まあ、野球におけるスポーツマンシップとやらも大概ですが。(笑)


 ちなみに、友人は分が悪いと言われていた100メートルでぎりぎり決勝へ。

 1ポイントを確保して、最低限の義務は果たせた……と。

 うむ、シビアな世界だ。

 まあ、スポーツだから仕方ないが。


 そんなこんなで二日目終了。

 割と楽しかったので、明日も見に来ようと決めた私でした……友人のリレーとか得意らしい200メートルもあるしね。


 長いので続きます。

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