77話:エコに背を向けてるとしか思えない。
地球にやさしく、なんて綺麗ごとを口にするより、自分たちの快適な生活の継続を求めて……とぶっちゃけたほうが、今の時代では受け入れられやすいと個人的には思います。
洗濯用の液体洗剤が登場したのは2000年よりちょっと前だったような……その記憶が正しければ、およそ20年ってことになりますね。
まあ、今や液体洗剤の方が主流と言ってもよいでしょう。
私は基本的に保守的な性質らしく(震え声)、粉末洗剤から液体洗剤に切り替えたのはここ数年の話というか、愛用していたメーカーの商品が消滅してしまったのが原因でした。
それでまあ、新しく使い始めた某液体洗剤を購入するたびに心の中でツッコミを入れざるを得ないのが……サブタイトルのそれ。
まあ、初めて買う人のための商品と、中身の詰め替え用の商品の単価の違いですね。
私が言うまでもなく、いろんな人間がいろんな場所でネタにしているとは思うのですが。(笑)
ボトルに詰められた液体洗剤。
ビニール袋に詰められた、詰替用の液体洗剤。
洗剤に限らず、詰替用の商品って、容器の使い捨てが資源の無駄遣いっていう建前で誕生したはずで……まあ、詰替用の中身を入れるパッケージそのものは結局ゴミじゃないかという部分はさておき。
この手の商品のほとんどは、詰替用の商品を買ったほうが消費者にとってメリットがある……まあ、ぶっちゃけ安い。
台所用の洗剤とか、シャンプーとか、基本的にそうなっています。
しかし、洗濯用液体洗剤。
ここ2~3年の話になるのですが、なぜか詰替用の商品の方が、内容量が少なくて、価格が高くなっている。
全メーカーの商品をチェックしたわけではありませんが、まあどの店の商品棚にも並んでる主要メーカーの商品がそろってそんな感じ。
詰替用の方が中身が少なくて値段が高かったら、普通は買いませんよね。
……と、こんなことは小学生でもわかる理屈。
にも関わらず、現状としてこうなってるということは……そうなっているだけの理由があるはず。
まず単純に考えられるのは、詰替用のパッケージのコストの方が、容器としてのボトルのコストよりも高いというケース。
詰替用の商品、売る必要あるのか……という、これまた当然の疑問に対しては『世間に対するアピール』という理由が考えられます。
なんというか、『エコ』に限った事ではありませんが、声が大きいというか、騒ぎ立てる集団が存在するじゃないですか。
そういう連中に対して、『ウチの会社はエコを意識した商品も作ってます』というアピールのためだけにこういうことをやっている……。
可能性としては、生産ラインの一本化によるコストダウンとか……?
正直、これはないなと思うのですが、もしかするとあるかもしれない。(笑)
そうすると、企業理論における必然性というか、別の理由でこうなっていると考えるほうが自然。
コスト面ではなく、販売戦略としての、お値段設定。
洗濯用洗剤に限った事ではありませんが、消費者にはある程度の継続性というものがあります。
今使っているものと同じものを買う……何らかの不都合が生じない限り、それは商品情報を含めたある種の信頼を意味しますので。
この商品、初めてなんだけど……みたいな不安を感じるぐらいなら、多少の不都合を飲み込める、と。
そうすると、他社との競争が激しい状況において、新規ユーザーを獲得できるかどうかは、かなり重要になってくることは想像に難くありません。
つまり、詰替用商品ではなく、初回というか初期用商品に販売促進費やらを全掛けして……。
まあ、この推測が正しいかどうかはさておいて。
正しいとしたら……健全な競争が行われる資本主義経済において、エコなんてものはいわゆる企業の長期的展望に沿った戦略でしかないということ。
投資的株主が幅を利かせる昨今、長期的な戦略は理解され難いのはいまさらの話。
そしてこの推測が正しくないとしたら……わかりません。(笑)
ただ、消費税のからみで商品の内容量そのものは減りましたし……商品のリニューアルという形で内容量を減らす(今だけ増量とかごまかしを入れつつ)のはお約束……他社との競争による販売戦略としてこういう状況になっているのは間違ってないんだろうなあ、と。
衣食足りて礼節を知る……のと同じで、資本主義経済における企業が、『衣食足りる』状態にあるのは難しいのかもしれません。
エコの定義やら正否やらはさておき、エコに背を向けるのは人か、社会か、それとも時代なのか。
……などと考えていたのですが、どうもこの春から状況が一変。(笑)
内容量が違うので単純な価格比較は意味がありませんが、単位量あたりの値段で比較すると詰替用の商品の方がお得なお値段設定に。
リニューアルはあったようですが……いきなりこうなるってことは、やはりメーカ側に何らかの意図があったのは間違いない模様。
……在庫処理だったら笑えるのだが。
なんにせよ、商品一つの値段にして不思議がいっぱいの世の中ですねえ。




