64話:レンゲソウ
前話とは逆に、レンゲにはちょっと遅いか。
漢字変換してみたら、結構種類がありますね。
私の認識としては『紫雲英』がまずあって、『恋華草』がネタ枠(笑)で、『蓮華草』は知りませんでした。ちなみに、『蓮華草』はどちらかというと西日本でよく使われるらしい。(未確認)
『紫雲英』は一部地域で『ゲンゲソウ』と呼ばれるそうな。まあ、音がなまったもんでしょうね。
と、言うわけでレンゲソウです。
イメージ的には、いちごよりも先にこっちだよなとは思ったのですが、先にいちごの話を書いてしまったからには仕方ない。
前話で語ったように、田舎において農業に触れる機会は多くても、知識が豊富とは限らないのです。
私にとってレンゲソウとは、春を代表する草花であり、あちこちの田んぼで見かけるありふれた存在であり、茎を使って遊び道具にしたり(互いの茎を絡めて引っ張って切れたほうが負けとか)、レンゲの花冠を作ったり。
レンゲソウに限った話ではなく、稲の穂をつかってカエルを釣ったり、アブラナでザリガニ捕まえたり、笹竹やすすきを使って小川の小エビを捕まえたり……まあ、身の回りの植物は良い遊び道具でもあったわけで。
これまた残念なことに、高校に上がるまで私は、なぜ田おこし前の田んぼにレンゲソウが生えているのかわかってなかったのです。
いや、レンゲソウをそのまま鋤き込むことで地力回復に……ってのは、小学校の頃から何となく知ってたんですよ。
窒素の還元とか、根が深く伸びるおかげで……云々的な。
いや、田おこしの作業というか、田んぼに水ひいたりしてるのを見て、ふと思ったのです。
あれ?なんで毎年あんなにレンゲソウ生えてんだって。
そういや、実家の田んぼには生えてねえというか、毎年毎年レンゲソウが生えてる田んぼって決まってないかって。
いやあ、まさかJAからレンゲソウの種買って、毎年毎年蒔いてたとは。(笑)
そっかー、子供の頃もりもりむしってた子供たちって、農家の人から見ればろくでもない存在だったのかも。(笑)
転生物の内政チートの材料として一躍メジャーになってるようですが、例によってマメ科の中でもレンゲソウの窒素固定能力はかなり強力で、休耕田においては雑草の繁殖を抑える効果もあるとくればこれはもう有用ですね。
レンゲソウの生重量1トンで、4~5キロぐらいの窒素が固定されるとかいう話を聞いたことがあるようなないような。
そりゃあ、化学肥料とかなかった時代だとモテモテですよね。
まあ、化学肥料全盛の時代において、レンゲソウの姿が消えていくのは仕方のないことかと。
うん、レンゲソウの種はタダじゃないですから。
近所のおばあちゃんから『レンゲソウはお浸しにして食べられるし、解熱剤としても使える』みたいな話を聞いて、どんな味がするのだろうと母親に聞いたところ。
嫌そうな顔をして、レンゲソウの若芽を使って作ってくれました。
うん、食べられるって、美味しいってことじゃないからね。(笑)
土筆とか、ヨモギとか……確かに、食べられるものは少なくないけどね、美味しいってわけじゃないんだ。
山菜とかもね、美味しいってわけじゃないと思う。
しかし、種を買って蒔くということは……F1種ってことなんですよね、きっと。
園芸用のレンゲの花は割と大きく感じましたし、多分そのまま交配していくと原種に戻っていくんでしょうね。
家庭で栽培できるハーブなんかも、そのまま交配していくと香りとかが薄れてただの雑草と化してしまうらしいし、もしかすると……私の馴染みであるレンゲソウは、本当のレンゲソウじゃないのかもしれませんね。
それは少し寂しいような気がする。




