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60話:誕生日プレゼントは鉄アレイ

 くりすますの話でも語ったが、我が家にクリスマスを祝う風習はなかった。

 ついでに言うと、我が家では誕生日を祝うイベントもほぼなかった。

 誤解はして欲しくないのだが、当時のあの田舎では少数派とは言え、まあそういう家もあるよねーぐらいのレベルだ。

 さて、なかったではなく『ほぼ』なかった、だ。

 その例外を何をもたらしたかというと、田舎特有の父権主義に染まった愚父がきまぐれに息子に買い与えるというか、今になって考えると多分知り合いからそんな話を聞いて、じゃあウチもやるか……みたいな流れだったのではないかと。

 と、いうわけで、私が父親から誕生日プレゼントを貰った唯一の機会が、小学一年生の時である。


 我ら3兄弟、生まれる年は違えども、生まれた季節はほぼ同じというか。(笑)

 まあ、仕事によっては子供を仕込めるタイミングってのはかなり限られてくるとだけ。

 で、面倒くさいから3人まとめて。

 玩具屋というか、ホームセンターというか、車で連れてこられ。


「何が欲しい?」


 うん、超合理的。

 欲しくもないものを押し付けられるより、よっぽど気がきいてるぜ父ちゃん。

 ただまあ、そういう家庭ですから、上の兄ふたりは完全に冷めきってまして……ましてや、大きい兄ちゃんはもう中学生でしたしね。(笑)

 長兄は面倒くさそうに、ゲームか何かを。

 次兄は、多少父親へのサービスでもしてやるかと思ったのか、大人が考える子供が欲しがりそうなものを。

 で、私が、タイトル通りに鉄アレイを所望。

 2キロと3キロを一個ずつ。

 これで特訓して、明日はホームランだぜ。

 すでに重度のスポ根に精神汚染されていた私は、小学1年生にして走り込みや、壁当てキャッチボールや、バットの素振りなどを日課としておりましたから。

 私の記憶違いかもしれませんが、それぞれ買ってもらったものを家に持ち帰った時の母親の何とも言えない表情と、苦虫を噛み潰したような父親の表情と、嬉しそうな素振りすら見せない兄二人の様子と……ああ、うん、そりゃ我が家に誕生日プレゼントの風習がないわけだわ。(笑)


 兄二人が買ってもらった物は早々とゴミと化しましたが、私が買ってもらった鉄アレイは中学・高校と活躍を続け、私が家を出たあとも、漬物石として重宝されている模様。

 数十年にわたって使用されているのだから、良い買い物だったのではなかろうか。


 余談になります。

 ただ単純に重さだけの問題なら、今はペットボトルに水なり砂なりを入れて代用できますが、あの頃はペットボトルなんてなかったし、人差し指と中指に挟んで、手首と指の鍛錬するには手頃な大きさというのも貴重だったのです。

 手首はともかく、指の鍛錬に関しては専門家(地道に鍛えた人間)じゃないと、指の靭帯を痛めますので軽い気持ちで真似はしないでください。 

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