↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無窮重阻  作者: 核动力战列舰
PR
547/547

0545 北風が吹き始めた。

 曉峰(シャオ・フェン)は謝彤(シェ・トン)がしきりに自分に送る目配せを無視して、盧穹(ルー・チョン)に上海事件後、盧安(ルー・アン)が重傷を負い、やむなくある生命維持装置の中で療養し、電子機器を通じてしか外界を観察できないという「やむを得ない事実」を説明した。


 これを聞くと、盧穹(ルー・チョン)は「ふふふ」と笑い、残念そうに首を振って、それから謝彤(シェ・トン)に手を差し出した。謝彤(シェ・トン)は曉峰(シャオ・フェン)を睨みつけ、書類鞄からノートパソコンを取り出した。


 盧穹(ルー・チョン)は宙に浮いたパソコンを曉峰(シャオ・フェン)の胸元に押しやると、言った。「自分で見てみろ。我々は既に監視記録を呼び出している。彼が君と会った時はちゃんとしていただろう。怪我をしたという説は、全く成り立たない。それに、彼が一体どんな人物なのかは、皆よく分かっている。」


 盧穹(ルー・チョン)は曉峰(シャオ・フェン)を見て言った。「彼はとてもやんちゃで、外にいるのが好きで、家に帰らないんだ。君は彼ほどやんちゃじゃないだろう。」盧穹(ルー・チョン)は暗に謝曉(シェ・シャオ)に自分の家族の利益を理解するよう促した。


 曉峰(シャオ・フェン)はパソコンをセンターテーブルに置き、首を振った。演変(エンヘン)の軍人として百戦錬磨の存在であり、性格には強硬さがより多く残っている。将軍、皇帝、大統領、指導者……曉峰(シャオ・フェン)はすべて経験しており、目前の場面では彼を押さえつけられない。


 曉峰(シャオ・フェン)はいっそ椅子にもたれかかり、内から放たれるたくましい気質がにじみ出た。曉峰(シャオ・フェン)の口元が微かに上がり、微笑みを浮かべる。「彼と盧家(ルー・ジア)の関係はよくわからないが、彼の意思は私の意思であり、私の意思もまた彼の意思だ。」


 盧九重(ルー・ジウチョン)は口を歪めて言った。「とてもいいね。無能力者でありながら、その度胸はなかなかのものだ。」その時、盧九重(ルー・ジウチョン)はマインドインベージョン能力を発動したが、しかし侵入できないことに気づいた!


 演変(エンヘン)将校はこの次元のどんな異常な力も使えないが、一方でいくつかの力を免疫している。例えば、ダークマターに基づく超能力であるマインドインベージョンは免疫されるものの一つだ。


「あなたと話すのはとても居心地が悪い。あまりに回りくどい。私は自分の言いたいことを婉曲に伝えたのに、なぜそこまで迫ってくるんだ?」と曉峰(シャオ・フェン)は笑いながら、口調を重々しく変えて言った。「剛は折れやすいものだ。」


「パキッ」という音とともに、机にひびが入った。しかし、曉峰(シャオ・フェン)はそのひびを見ずに、相変わらずにこにこしながら、次第に悪くなる盧九重(ルー・ジウチョン)の顔色を見ていた。


 その時、謝彤(シェ・トン)が前に出て話を止めようとしたが、盧穹(ルー・チョン)の超能力フィールドの爆発によって突然押しのけられてしまった。一緒に押しのけられたのは曉峰(シャオ・フェン)もだった。曉峰(シャオ・フェン)は立ち上がり、炭素系身体の限界に達した身体能力で衝撃波を必死に耐え抜いた。


 依然として恐れる様子の全くない謝曉(シェ・シャオ)を見て、盧穹(ルー・チョン)は冷笑しながら言った。「なかなかだ。」


 曉峰(シャオ・フェン)は頷きながら言った。「もっと大胆にやってみてはどうか、次に何が起こるか見てみるんだ。」


 盧穹(ルー・チョン)は非常に恐ろしい目つきで曉峰(シャオ・フェン)を睨んだ。この目つきを見た者は皆、盧穹(ルー・チョン)が今にも人を襲おうとしていると思宇田(ウダ)ろう。


 しかし、曉峰(シャオ・フェン)の笑顔は悠然としていた。「もし、俺がお前を恐れるべきなら、お前は誰を恐れるべきだ?」


 盧穹(ルー・チョン)は目をひくつかせ、凶悪な眼光を素早く引っ込め、やや驚いた様子で曉峰(シャオ・フェン)の方を見た。


 ちょうどその時、盧穹(ルー・チョン)の前3メートル、つまり曉峰(シャオ・フェン)の後ろ半メートルのところで、一匹のハエが突然バランスを崩し、植木鉢の上に落ちた。かすかに一本の線が浮かび上がる。盧穹(ルー・チョン)は目を細め、そのハエの羽がないのをはっきりと見て取ると、曉峰(シャオ・フェン)に平静に言った。「虎の威を借る狐か?」


 しかし、それが曉峰(シャオ・フェン)の背後で起きたため、曉峰(シャオ・フェン)はこの光景を見ていなかったが、それでも勇気を振り絞って言った。「私は死の脅威に屈しないが、君は屈するのだ。」


 実は、盧安(ルー・アン)は予知で曉峰(シャオ・フェン)のこうした気品ある振る舞いを見て、超能力でハエの羽を切り落とし、絶妙なタイミングで曉峰(シャオ・フェン)の言葉と合わせ、盧穹(ルー・チョン)を威圧したのだった。


 曉峰(シャオ・フェン)の口調は平淡だが刃のように鋭く、盧穹(ルー・チョン)の鳥肌を立たせた。盧穹(ルー・チョン)は背中の中心に剣を突きつけられ、ほんの少し突けば心臓を貫かれるような感覚を覚えた。思わず超能力を背中に集中させるが、それを謝彤(シェ・トン)はしっかりと見ていた。


 数秒後、盧穹(ルー・チョン)は笑みを浮かべて言った。「みんな身内じゃないか、そんなことしなくてもいいだろう。」


 曉峰(シャオ・フェン)も笑顔を見せて言った。「そう、みんな身内だ。」


 まるで先ほどのことは何もなかったかのようだった。辺りが散らかっていなければの話だが。


 盧穹(ルー・チョン)が言った。「彼に会ってもいいかな?」


 曉峰(シャオ・フェン)は首を振って言った。「彼の本体には、会えないよ。」


「じゃあ、通話は?」


「いいよ、でも君たちの間で話すことは何もない、彼の言葉をそのまま伝えると——」曉峰(シャオ・フェン)は盧穹(ルー・チョン)を、そして謝彤(シェ・トン)を見て、こう言った。「今、君たちのところには彼の欲しがるものはない。」


 盧穹(ルー・チョン)は最終的に怒って袖を振って去った。散らかった地面を見て、曉峰(シャオ・フェン)は首を振った。


 曉峰(シャオ・フェン)は|演変《演変(エンヘン)》通信光幕を開き、言った。「相棒、今の状況を説明してくれ。」


 |演変《演変(エンヘン)》通信光幕を使うには紫金が消費される。それなのに今、曉峰(シャオ・フェン)が盧安(ルー・アン)の前で光幕を開いてこんなことを言うのは、不満の表れだ。笑顔を浮かべたまま、曉峰(シャオ・フェン)は心の中で罵った。「俺の安全が脅かされているのに、お前はどこで死んでいるんだ?!」


 予演を通じて、盧安(ルー・アン)はすぐに曉峰(シャオ・フェン)が不満を言う理由を理解した。


 実は、盧安(ルー・アン)は曉峰(シャオ・フェン)の安全に非常に気を遣っている。曉峰(シャオ・フェン)の400メートル先には分身が一つある。予行演習で、盧安(ルー・アン)は曉峰(シャオ・フェン)がやられるのを見なかったので、この分身はずっと傍で控えていた。


 曉峰(シャオ・フェン)の叱責に、盧安(ルー・アン)は苦笑いして付き合うしかなかった。なぜなら、先ほど曉峰(シャオ・フェン)の見栄を張るのに合わせたが、曉峰(シャオ・フェン)には見せなかったからだ。


 曉峰(シャオ・フェン)の叱責に、盧安(ルー・アン)は素早く光幕にこう約束するしかなかった。「これから戦場ではない場所では、君にいかなる危害も加えさせない。」


 盧安(ルー・アン)の言葉を聞いて、曉峰(シャオ・フェン)は心の中で思わずツッコミを入れた。「戦場じゃない環境だって?てめえ、俺を呪ってるのか?!」


 三分後、車の中で、謝彤(シェ・トン)が尋ねた。「発表する必要があるのか?」


 盧穹(ルー・チョン)は不機嫌そうに尋ねた。「何を発表するって?!」


 謝彤(シェ・トン)はさらに問い詰めることはしなかった。曉峰(シャオ・フェン)の件は、謝彤(シェ・トン)にとってなかなか口にしづらいものだった。


 盧穹(ルー・チョン)は深く息を吸い、口調を優しく変えて説明した。「すみません、少し感情的になってしまいました。天數(ティエン・シュー)の状況を確認できない以上、このカードを使う時ではありません。」


 謝彤(シェ・トン)は尋ねた。「もし龍部(リュウブ)に知られたらどうするんですか。」


 盧穹(ルー・チョン)は答えた。「もう知られています。」


 謝彤(シェ・トン)は美しい目を大きく見開き、非常に驚いた様子だった。


「龍部(リュウブ)はおそらくもう動き出している。しかし、彼らも十全の確信がなければ、まずは探りを入れてくるだろう。」


 盧穹(ルー・チョン)は携帯しているフレキシブルスクリーンを開いた。巻物のようなこのディスプレイを広げると、いくつかのファイルが表示された。これらはすべて退役軍人に関する資料だった。その中の通信記録によれば、貴州に入った数名が北方と密接な連絡を保っていたことが示されていた。


 謝彤(シェ・トン)が尋ねた。「日数はいったいどうなっているんだ?」


 盧穹(ルー・チョン)は窓の外に唾を吐き、言った。「あいつがそのまま南で一般人として縮こまっているか、それともお前の弟が言うように、あいつ(盧安(ルー・アン))は天雲(ティエン・ユン)と一戦を交えた後、本当に後遺症が残って傷を舐めているのかもな?」と不機嫌そうに付け加えた。「俺に言わせれば、いっそ死んでくれたほうが、敵に寝返る心配をしなくて済むんだが。」


 盧穹(ルー・チョン)はスクリーンをさらにスクロールし、そこには偵察衛星が撮影した写真が現れた。


 写真には、多数の大型無人機が一直線に並んで飛行する様子が捉えられている。画像からは多数の車両が直線に並んでいるように見えるが、ここは山岳地帯であり、これほど大きな物体が車両であるはずがない。したがって飛行体であることは間違いない。


 謝彤(シェ・トン)は眉をひそめて言った。「これは何ですか?」


 盧穹(ルー・チョン)はやや苛立ちながら言った。「だから言っただろう、分からないと。あの頃、上海にいた時もそうだった。彼が言わないと、彼が何を企んでいるのか誰にも分からなかった…」


 盧安(ルー・アン)の行動は、この世界の超能力界に強く記憶されている。世界超能力ランキングでは、泥鰍(ドジョウ)という名が再びランクインし、しかも五級超能力者の第一位に位置づけられたわけではない。なぜなら、盧安(ルー・アン)が上海の戦いで見せた実力は、到底五級で達成できるものではなかったからだ。


 最新のランキングでは、泥鰍(ドジョウ)は永遠に黄金級四級超能者4271位に位置づけられているが、赤字で表記されているため、盧安(ルー・アン)にはもう一つのコードネーム「紅名(レッドネーム)」が付けられた。超能界はこのような形で、盧安(ルー・アン)が上海地区で浦東結界を三年間維持し、その後現れて太陽の輝きを奪った行為を記念している。


 車内で二人が盧安(ルー・アン)のことを話し合っても結論が出ないとき、特別な着信が入った。盧穹(ルー・チョン)は電話を取り、それまで雑談でリラックスしていた表情が突然厳しくなった。


「天狼組(テンロウ組)がまた独自に動き始めた、この忌々しいロシア野郎どもめ!」言い終えると、彼は激しくフレキシブル電子巻物を床に叩きつけ、怒りを抑えきれずに言った。「最近どうしてこんな連中ばかりに遭遇するんだ!」盧穹(ルー・チョン)の目には、謝曉(シェ・シャオ)も、盧九重(ルー・ジウチョン)も、鄧大能(ドン・ダーノウ)も、みな言うことを聞かずに勝手に動くろくでなしと映っていた。


 ロシア、正確にはロシア帝国(以下、帝政ロシア)。この歴史線上の1945年、ソ連は核攻撃によって完全に破壊された後、帝政が復活し、ヨーロッパの精華地域の統一を成し遂げた。


 長きにわたる90年の間、帝政ロシアは東方と良好な関係を保ってきた。これは、帝政ロシア皇室に東方の血筋、すなわち聖人總理(セイジン・ソウリ)の一族のヨーロッパにおける血脈の分家が流れているからだ。しかし、政治は政治であり、現代の東方の人々の言葉を借りれば、ロシア人は言うことを聞かない弟分のようなものだ。


 1980年代、ロシア人はヨーロッパの憲兵という称号を再び持ち出し、ヨーロッパ問題においてますます自主性を強め、その他の戦略的方向では中国としばしば対立し、さらには国連の反対を押し切ってトルコを直接爆撃し、これを解体した——孟位(モン・ウェイ)の歴史線でユーゴスラビアが解体されたのと同じように——そして黒海から地中海への海峡を奪取した。


 そのため、中国の政策は中東地域のイスラム諸国を支援することとなった。これが帝政ロシアの利益と対立し、双方はもともとの協力関係から次第に競争関係へと変わっていった。


 しかし競争の中でも、双方は依然としていくつかのルールを守っていた。例えばロシアはウラル山脈の東側でいかなる軍事行動も行わず、中国最北端の軍事基地は北海(バイカル湖地域)にあり、やはりシ貝利亞(ベリヤ)ではいかなる軍事行動も行わなかった。


 そして今、帝政ロシア当局は中国との協議がまとまらず、単独で行動を起こした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。