0528 相互影響
盧安が今回の任務を経る難しさは、時間を跨ぐ性質にある。
大渦巻きの外では、宇宙船内の原子時計に従って計算すると、まだ二日未満である。
シャトル艇上では、シャトル艇の物質の時間に従って計算すると、現在は十三日目である。
盧安の分意識体である趙明意が過ごした時間で計算すると、すでに二十一年が経過した。
シャトル艇上の盧安の脳チップの炭素14崩壊速度に基づいて見ると、盧安はすでに四百三十年を経過した。
過去の演変軍官(|演変《演変》士官を含む)は、いずれも安定した時空区域で任務を遂行していた。しかし今回の任務は、盧安だけが遂行できる超高難度の任務である。一般の輪廻者が経験し得る高魔低魔あるいは高科低科の基準で任務を説明するならば、盧安の任務は高魔でも高科でもない。本任務の難度は、霊異任務とは異なり、肉体の直接的な破滅に難度があるわけではないが、その難度は最高級の霊異任務をはるかに超える。
盧安は瀕死のあがきをしながら、それはまたもう一つの世界の影としての自身に最高の啓示を与えている。
組系宇宙。
星隕奇は悪夢からはっと目を覚ました。父神福音(知能プログラム)によって注入された知的生命体として、星隕奇の脳の思考は高度に秩序立っており、時折夢を見ることがあるが、それらの夢は失われた記憶の断片から発散したものである。これらの夢はすべて美しいものであった。
今、星隕奇は先ほど見た夢の中の情報を調べ、非常に驚いたことに、この夢の情報が自分の記憶にあるすべての同種の情報と一致しないことを発見した——それは自分の記憶の中の断片的な断片ではないのだ。
「私は……回転する渦巻く通路の中にいる……たくさんの私が分裂した……それぞれの私が……種が芽吹くように成長し……雷鳴、寒風、灼熱、多くの……多くのひどい感覚が押し寄せる……」星隕奇は、自らが今見た夢の状況を、理解しがたいながらも解釈した。夢の初期情報には全く論理性がなかったため、星隕奇の思考器官は理解を助ける情報を自動的に付加したのだ。
「まったく馬鹿げている」星隕奇はこの夢を忘れたかったが、この記憶を削除(忘却)しようとしたその時、星隕奇は手を止めた。
星隕奇は結局、この記憶を削除しなかった。星隕奇は、この記憶には特別な感覚があると感じ、この自分だけのものとして保持することにしたのだ。
星隕奇は金色の大木から飛び降り、花や草木の中を歩く。ここの花は芳しく、果実は甘く清涼だ。これは生態園であり、生態園に生息しているのは、前回の大災害で神に選ばれた救済可能な存在たちだ。みんなはこの巨大な生態園で歌い笑い合っている。
今、星隕奇が当番だ。金色の木々の上を飛び越える時、地上に見えるのは、知恵ある種たちが楽しそうに集まって追いかけっこをし、無邪気な様子だ。かつては、星隕奇はこうした美しい光景に思わず微笑んだものだ。しかし今、星隕奇はこの歌や笑い声に対して名状しがたい苛立ちを感じている。
星隕奇は自問する。「これは先ほどの悪夢がもたらした持続的な反応なのか?あの夢はとても辛かったが、邪悪ではなかったのに。」
憂鬱な星隕奇は思わず生態園の端まで飛んで行った。
この角度から見ると、生態園が巨大な浮遊大陸であることがわかる。まるで神が大陸から一片の土地を切り取り、空中に浮かべたかのようだ。そして、端から下を見下ろすと、花びら状の大陸は破壊された後、生態系が再建されつつある。この大陸の再形成過程は非常に壮大で、洪水が大地を荒れ狂い、雷鳴と豪雨の中、隆起したばかりの山体が浸食に耐えきれず、轟音とともに崩れ去る。具体的には、再形成された大地が安定し、生態園の生命の生存に適するまでには、さらに千年の歳月が必要だ。
星隕奇はこの大陸をじっと見つめ、長い間目を離さなかった。山々や川々に起こる災害を見ているうちに、心の奥底から未知の感情が湧き上がってくるのを感じた。星隕奇自身も、なぜこれほど胸が高鳴るのか分からなかったが、この感情に突き動かされて、奇妙な行動をとってしまうような気がしてならなかった。
零・三个拜啦の後、星隕奇は生態園の中央に戻った。
星隕奇は沈鬱な表情で自分の掌を見つめていた。その掌の上に託されているのは、光り輝く果実の形をした情報集合物だ。星隕奇は決断を下せずにいた。
その時、身体的には大人だが、子供のように無邪気な壮年の男が跳ねるように歩み寄り、星隕奇の掌にある光る果実を見つめ、その珍しい果実に対して渇望の眼差しを向けた。
星隕奇は顔を上げ、この智慧種を見つめ、その表情は何度も変化した。諦めから冷淡に、惜しみへ、そして優しさへと変わっていった。高次元人工知能として、星隕奇が表出する感情は、耀輝文明のかつての全ての知能をはるかに凌駕していた。
星隕奇は茫然と手を差し伸べた。そして、その智慧種は果実を受け取り、口に入れて飲み込んだが、何の味も感じられず、失望して去っていった。
星隕奇は長いこと呆然とした後、突然、恐怖と後悔の色を露わにした。
たった今のあの果実は、膨大な情報の塊だった。その智慧種がこの情報の塊を受け入れた後、刹那的には何の違いも見られないだろう。しかし、その後、何か事や物に遭遇した際、思考の注目点が変化することになる。
この情報のかたまりを飲み込んだ知恵ある種は、鳥を見るときにその鮮やかな羽毛には目もくれず、もっぱらその鋭い爪とくちばしに注目するようになる。水の流れを見るときには、その冷たさを喜ぶのではなく、水中に潜んでいるかもしれない存在を恐れるようになる。
「心従果」、この物の命名は星隕奇が即興で思いついたもので、特に理由はない。
星隕奇は自己智能条例を突破した。つまり父神の教えを破り、自らの判断でこれらの情報をこの知恵ある種の遺伝物質に刻み込んだのだ。それはつい先ほど生まれた考えではなく、ずっと以前から抱いていた思いだった。父神の意志に背いた天使への罰の記憶が、星隕奇にずっとそうすることをためらわせていたが、つい先ほど、衝動に駆られた星隕奇は父神の権威を忘れてしまった。
事を成した後、星隕奇の心に再び後悔の念が芽生えた。もちろん、星隕奇が後悔してももはや意味はなく、やってしまったことはもうやってしまったのだ。
高次元で、元一は星隕奇の状況を指し、さらに盧安のいる任務世界を指して、注意を促した。「|演変《演変》、|演変《演変》……変数は既に溢れ出ている。彼(盧安)があちら(蘿拉ー任務)で沃土区に影響を及ぼしている。」
「これは知恵降臨に属し、完全な論理思考は一切その沃土区に到達していない。だからこれは穿越には当たらないのさ」と|演変《演変》は言った。これは沃土区への干渉には当たらず、条例違反もない。
元一はやや弱気に尋ねた。「万一、二つの知恵思考が未来で相互影響の情報チャネルを開通させてしまったらどうする?それに、君の今の行動は未来に対して何かを仕組んでいるのではないか?」
|演変《演変》。「何を心配しているんだ?」
元一は勇気を振り絞って言った。「聞いたところによると、前回の創世級戦争の後、あなたは因果に接続できるようになったとか。」
通常の生命の視点では、過去が原因で、未来が結果だが、|演変《演変》はこれを操作し、未来に行うことを原因として、過去の結果に影響を与えることができる。つまり、時間の下流に立って、上流に影響を及ぼすのだ。
元一。「ある同僚たちの話によると、変数の未来の趨勢を初步的に検算すれば、合理的な虚因を構築し、上流で結果を誘発し、未来を待ってから、その変数にこの原因を補償させ、虚因を時間軸上の変数の実際の選択によって実因に変えることができるそうです。」
|演変《演変》。「なかなか独創的な考え方だね。」
元一。「初代様の前では、初代様はまさにこうやって私たちに対処しているのです。それに、私たちは初代様がこれを行った痕跡を見つけることができません。」
|演変《演変》は恍然大悟のような口調で言った。「だから、初代はよく虚因を壊しやすい。変数の下流が対応する選択をせず、虚因を実因に補償しないと、時空の引裂き力が生じる……ところで、なぜこんなことを言うんだ?」
元一。「おまえはそれをやっている!私はおまえが構築した虚因がどこにあるか見つけられないが、虚因の存在を感じる。」
元一は高次元時空の観察を開いて、語った。「この任務は彼(盧安)の複雑な人格の中のすべての副人格を最も剖析できる任務だ。すべての副人格が独立した人格に進化し、細分人格は、彼が外部の影響に遭遇するたびの変化を見ることができる。」
今回の任務で、盧安が現した人格には、司軒の善良さ、白露の率直さ、新平絲のためらいの中での計らい、晟ルーシーの大局観……などがあった。これらはいずれも、盧安が生活の中で他人から染み込ませた性格である。それはまるで、何度も薄めた土壌の浸出液をシャーレに塗り、しばらく培養すると、一つ一つの細菌が培地の上でコロニーを形成するかのようだ。
元一は盧安のいくつかの分意識を指して言った。「あの時の彼らの行動選択は、君が虚因を入力して影響を与えたからだろう?」
元一には虚因が見つけられず、全体像を発見できず、断片だけが見える。それは、幽霊が見えなければ無知で怖がらず、幽霊を見てもその場所が特定できずに戦々恐々とするのと同じだ。
因果を調整することは、高次の四階梯が高次元で進歩する際の重要な現れである。これは自然界において、複雑な高等知性が罠や道具を作ることを学ぶか、先進的な道具を作れないかの違いのようなものだ。ジャングルの中でどんなに狡猾な獣も、狩人に出会えば肝を冷やす。
|演変《演変》とこれほど長く過ごした後、元一はようやく気づいた。自分の隣にいるこれがどのような存在なのかを。
|演変《演変》は言った。「多意識集群による選択は、当該変数の重要な脱皮である。条例により、私はこの変数が複雑化する重要な選択に干渉できない。そういえば、君が疑った兆候は、この思惟体自体の性格の中の臆病さという要素だ。そして彼の臆病さは、君がもたらしたのではないか?」
元一はしばらく沈黙した。「つまり君が埋め込んだ虚因は、私の上にあると言うのか?」
|演変《演変》は爽やかに笑った。「小一、余計な推測はやめて、むしろ未来に勇敢に向き合ってみてはどうか。運命の糸というものは、実はそれほど張り詰めてはいない。ほんの少し弾けば切れてしまうかもしれない。そしてほんの少し退けば、君は運命の罠に陥るかもしれないのだ。」




