0465 歴史孤島
薄暗い下水道の中、一本の懐中電灯が導力の脈絡に支えられ、三メートルの高さに浮かんでいた。懐中電灯の光線は暗闇の中でわずか十メートルしか届かず、大量に舞うハエや蚊が光の道を遮っていた。
盧安は懐中電灯の下に立っていた。盧安の周囲では、超音波が半径三メートルの空間に響き渡っている。それはまるで透明な防御シールドのようで、この領域に近づくいかなる虫も超音波によって振動し、炭化していく。
懐中電灯の光が当たっている正面には、一見透明に見える球体がある。正確には、三十二面体(サッカーボールを参照)である。どの面から見ても、深遠な入口のように見える。
上海事件の後、盧安の超能力はついに空間転送現象を引き起こせるようになった!現在、盧安はそれを三十二の空間転送面でつなぎ合わせて構成している。
淺空明子と比べると、盧安の高度な模倣による空間能力は劣っている。淺空は直接球形の空間門で、物体を完璧に転送できるが、盧安は界面を維持するだけで、しかも界面の縁は非常に不安定だ。縁を維持しなければ、界面はすぐに消えてしまう。この界面はすりガラスのように見え、物質構造の転送が不完全になることを意味する。ダイヤモンドを送っても、出てくるのは炭素の粉かもしれない。
その三十二面体は軽やかな気球のように下水道の暗闇に漂い込んだ。盧安はつぶやいた。「そろそろ果断に殺伐する時だ。」
数分後、この界面球は下水道の空間内で驚異的な速度で移動、拡大、縮小を繰り返した。拡大の限界はサッカーボールほど、縮小の限界はソフトボールほどだった。質量が極めて軽く、主に界面縁の微管の力によるものなので、気球と変わらない。各界面は気流を伝送できるため、非常に気ままに漂い、その具体的な柔軟度は電磁幽魂に匹敵する(詳細は0129章を参照)。
この界面球は、現在盧安が持つ最高技術の攻撃手段である。界面球は可燃性ガスを転送でき、レーザーを発射でき、弾丸を噴射することもできる——弾丸は界面から飛び出した後、金属砂へと変わる。そして界面球の加速度は25Gに達する——0.1秒で秒速25メートルの高速に加速する。これは、20メートルの範囲内では、人間の炭素ベースの肉体が銃を構える速度では、界面球の移動速度に追いつけないことを意味する。
そして今、盧安はここでこの武装を使用している。その目的は、下水道における最も過酷な作業——ネズミの駆除を完遂することだ。
薄暗い下水道の中を、この半ば発光する球体が流星のように高速で移動する。導力管によって拘束された高温の粒子ビームが各界面から噴出される。光を放つ扇形の面が、暗がりの下水道を次々と薙ぎ払っていく。
盧安はネズミが嫌いだ、それだけで十分な理由だ。もちろん、他にも理由はある。この歯ぎしりして穴を掘る生き物は、盧安の地下施設に深刻な脅威を与えている。
盧安は様々な手段で下水道の「ネズミ人口」を管理している。大きなパイプでは、盧安は直接導力超能力で握り潰し、人が這って通れない小さなパイプでは、盧安は超低周波音で振動させてこれらの小さな生き物を殺す。
この三ヶ月間は、盧安が手を血で染めた日々であり、まさに百万を屠り、死体の山と血の海だ。下水道全体に死臭が充満し、多くの汚水の格子には一かたまり、また一かたまりとネズミの死骸が積み重なっている。もしネズミたちがこの期間に彼らが一体何を経験したかを記録できたなら、盧安の虐殺の罪は永遠に洗い流されないだろう。しかし、ネズミたちは話せない。
殺された存在が話せず、情報で表現できず、この世界で遭遇した苦痛を情報で記録できないなら、殺戮者は無罪である。つまり、ある種が未来において、自らが立つ物質世界に十分に壮大な物質文明を残せず、自らの知恵を他の知性に示せないなら、その種を随意に操作し、弄び、殺戮することも、罪にはならない。
下水道の数百万匹のネズミにとって、彼らのこの時期は荒廃地帯である。廃墟は遺跡が崩れなければ廃墟と呼ばれず、彼らのこの時期は廃墟でさえない。彼らは完全に盧安が新しい武システムを検証する対象となった。
今日は最後の巡回だ。なぜなら、演変が約束した仲間がもうすぐ来るからだ。
穿越者たちが集う空間は、高次元存在の能力を見て取ることができる。この空間は穿越者を待機させるためのものだ。もしこの空間が犬小屋ほどに狭ければ、そのような空間で待機する穿越者の視線、気持ち、思考は、おそらく思わず小さくなってしま宇田ろう。たとえ任務世界に入っても、おそらく往々にして狭い範囲に限られた愚かなことしかしないだろう。だから、能力のある空間は、変数をより良く保存して変質させないために、できるだけ物質情報量が比較的膨大な空間を維持し、穿越者に待機させているのだ。
初代穿越システムは除く。初代の辞書には変数を新鮮に保つという言葉はない。もがきの中で生き残らなければ、もがきの中で滅びる。初代が輪廻者に与える空間は大きくもなく小さくもなく、初代にとって、空間が大きすぎると、かえって任務の中であらゆる自己突破(ここでの自己はほとんどが下限で、ごく一部が上限)に不利になる。初代が運営する空間は、純粋に輪廻者たちが一息つくためのものだ。
もし初代が変数が足りないと感じたら、亜廃墟へ行って残骸を集め、穿越怪を狩る。もし亜廃墟でどうしても集められなければ、こいつは自身の安定度を計算し、時には沃土区に迫ることもある。今ではそんなことを起こさせないために、沃土区のそれらの空間は定期的に初代にいくつかのものを貢ぐ。例えば、ある穿越怪のノードを奪って送ったり、ある三階の座標も送ったりする。もちろん、失敗した実験のガラクタ、例えば高次元の破片を宿した失敗品も、彼に渡して回収させることができる。
戦場運営の空間こそが真の空間だ。一辺の長さが百キロメートルの六角形の空間は一区画に過ぎず、複数の区画が連結している。冷兵器時代の任務を担当する新人から、機械化戦争時代の中佐、そして核エネルギー、ナノテクノロジー、生物工学時代の将官まで、これらの将校たちはそれぞれ異なる区域に所属し、低級将校は高級区域に立ち入ることができず、高級将校は物資を消費して低級区域に入ることができる。
各区域には異なる時代の特色がある。冷兵器区域の特色としては、例えば水車、農地、鍛冶屋などがあり、機械化区域では立ち並ぶ煙突が、核エネルギー時代の区域では林立する高層ビルと、様々な大型ヘリコプターが都市を飛び交う光景が見られる。
各六角形エリアの周囲の光幕は無限に上方へ伸びており、各区画の面積は非常に広いにもかかわらず、見上げるとどれも井戸の口のように見える。元一空間の街区広場は|演変《演変》と比べると、屋台と五つ星ホテルほどの差があり、高次元の|演変《演変》が元一を貧乏くさい目で見るのも無理はない。
少将区で、一筋の光の柱が空から降り注ぎ、|演変《演変》タスクを一つ終えた曉峰が|演変《演変》空間に現れた。
すべての演変将校は偏沃土区の位相平面で活動し、いずれも高混乱度の時期に文明発展を導くことを行っている。待遇面では、演変将校は時空傭兵よりもわずかに気楽だが、それでも大考の緊張に直面する。元一内の時空傭兵が帰零という厄介なものに直面するのと同様に、演変将校たちも一連の評価制度に直面している。各段階の軍階級別に対応する時代任務の数は限られており、限られた任務内で科技収集を完了できなければ、昇格任務で地獄を見ることになる。もし一度昇格任務に通らなければ、次回の昇格任務の難易度は高くなる。最終的に難易度が蓄積されて一定の程度に達した場合、帰還期限が到来する前に、該当位相平面の人々に捕らえられ、裁判所に引き出されて死刑判決を受ければ、その場合は本当に死んでしまう。
たった今宇宙都市に帰還した少将曉峰は自分の任務を数えてみて、あと二百回の任務で昇格任務に直面することになるのを悟った。
曉峰は自分の下顎のあたりを触ると、首の後ろにあるデータチップが起動し、一連のデータが網膜に投影された。今回の任務で収集した技術を見て、曉峰は思わずため息をついた。彼自身の計画からすると、現在の技術収集の進捗はかなり進んでおり、昇級任務で十分な資本を蓄える準備が整っている。
曉峰の瞳の光が暗くなり、彼はつぶやいた。「あの予備役たちはどうしているだろうか。どうしてもだめなら、また紫金で一部を援助しよう。ああ、このレベルの予備役は貴重なのに、みんな先を争って正規に昇格してしまうなんて……」
これも演変の中の特色であり、正式な将校もいれば、非公式の将校もいる。後者は一般的に初期任務に失敗し、大量の人が非公式の将校になった。これらの非公式将校は最初は問題を抱えている。しかし、演変の中では改心が許されており、正規に戻るためのアイテムが存在する。正規化アイテムは予備役の目には非常に貴重で、佐官レベルになって初めて揃えられることが多い。揃うまでに、佐官レベルの将校は通常、自分の階級をはるかに超えた時代水準の任務を少なくとも三十回以上経験する。
しかし、曉峰のような正式な将官から見れば、正規化された予備役はやや過剰に溢れている。予備役は大佐の階級ですでに極めて稀である。
将官レベルの予備役に至っては、曉峰はこれまで一度も発見したことがない。曉峰の見解では、もし正規化アイテムの価格をさらに十倍に引き上げれば、予備役将官が現れる可能性も出てくるだろう。
大佐の階級を持つ予備役は将官任務に参加できるが、予備役大佐には高強度任務への参加を拒否する権利がある。空間内では、少将と共に核時代の戦争を戦いたがる予備役佐官はいない。そんな戦争は遊びではないのだ。任務が失敗した場合、正規役は帰還できるが、予備役はその世界に閉じ込められてしまう。そのため、予備役は正規役よりも任務において一層厳粛である。
しかしながら、予備役佐官は主に昇進任務のような難易度の高い任務に参加するため、各種の報酬金も非常に高い。予備役大佐に借金を負わせて将官任務に参加せざるを得ないようにするのは、極めて難しいことだ。
将官たちにとって最も現実的な手段は、広く網を張り、多くの予備役を支援し、彼らが高い軍階級まで生き残った後に、その恩義を返してもらうことだ。
曉峰が予備役のことを考えようとしたちょうどその時、|演変《演変》のライ硝煙ーテンに情報が飛び出し、選択可能なタスクが表示された。タスクの名前は——
「歴史の孤島からの救難信号」




