0263 一掃する
これは迅速な戦争だった。貝斯坦大公羅昌は盾刃の公使館に駆け込む間さえなく、空から降下してきた特殊部隊に捕虜にされた。貝斯坦の通信が回復するにつれて、羅昌逮捕の報が軍方メディアで放送されるのと同時に、貝斯坦各地の残存部隊は次々と瓦解した。
情報時代の戦闘はこのように迅速だ。司令部が殲滅され、各部隊は命令を受けられず、情報支援がない状況では、いつでも相手のシステム攻撃を受ける可能性があり、次々と殲滅されるしかない。このとき、軍隊が抵抗を続けたいなら、山に入ってゲリラ戦をするしかない。
ただし、ゲリラ戦を行うには強力な抵抗の信念が必要であり、そのような抵抗の信念は大きな憎悪と使命に支えられている。貝斯坦には明らかにそれがなかった。そして、大量の生活物資を積んだ列車が占領部隊と共に占領予定の都市に到着し、物資供給が安定すると、基本的に抵抗の基盤は全くなくなった。
軍事占領はわずか二日で完了したが、軍政下の行政管理には二週間かかり、ようやく街全体が完全に安定した。ディ藍菲ス内部で最大の地方派閥が掌握していた地盤がついに中央に制御され、誰もこの地域の感情を煽って騒動を起こす者はいなかった。
いわゆる「軍管」とは、軍事統制のことで、仕事を管理し、衣食住を保証するが、いかなる組織にも参加しようと思ってはならず、街頭に集まって騒動を起こしてはならない。さもなければ一発で撃ち殺される。この雰囲気の中、社会全体が停滞状態にある。ほとんどの人が恐怖に怯え、自己保身と生存に必死な状況では、誰も中二病を発揮して射殺されたいとは思わない。この状況下での抵抗組織には、いかなる機会や発展の土壌も存在しない。
もちろん、軍政がいつまでも続くわけがない。世論を掌握する報道部門はすでに民衆の憎悪を誘導し始めており、主に旧支配者の貪欲で腐敗した生活を暴露している。羅昌はほぼ隅々まで徹底的に暴かれた。彼がどれだけの別荘を所有し、彼の息子が外に何人愛人を抱え、普段の生活がいかに贅沢か…これらの資料は開戦前から情報部門によって収集され、一冊の大著にまとめられ、帝然菲斯東部の印刷工場で事前に大量印刷され、今や一斉に貝斯坦の民衆へと送り届けられた。
人は自律することが難しい。多額の金を持ちながら贅沢をしない者は、往々にして聖人であるが、一般的には自分に甘く、他人に厳しい者が多い。多くの人は、羅昌家の犬一匹の食事が一般家庭の三人分の食費に匹敵するのを見て、そうした金持ちの心理を理解できず、怒りを覚える。もしフィック皇子の生活や消費も暴露されれば、同様に公憤を買宇田ろう。だが、暴露されなければ、怒りの矛先は明るみに出た部分にだけ集中する。地球の二十一世紀のどの国も、このように世論を誘導しているのだ。上流社会のある個人の財産の消費が完全に人々の目に触れると、人々は汚職官僚を憎むよりも、批判的な態度でこの世界の富の分配制度に不満を漏らすようになる。
要するに、貝斯坦の地方の旧支配階級の信頼はすぐに世論の宣伝工作によって失墜し、貝斯坦の民衆はこの時の中央政府による管理を黙認し始めた。軍政のレベルは急速に引き下げられ、正常な社会秩序が機能し始めた。
盧安にとって、戦後にやるべきことは更に多くなった。羅昌政治派閥の上層部、彼らの家族傘下の農場、鉱山、工場などの生産手段は全て没収され、帝然菲斯で百年以上も経営されてきた企業は次々と差し押さえられ、国有化された。これほど莫大な財産が盧安の経済指揮棒の下で計画され、その後の経済発展に役立てられることになる。
そしてフィックのディランフィスでの評判も急変した。もともとこの皇子について言及する際、皆が「軟弱」という形容詞を使っていたが、今では誰もそう言わなくなった。なぜなら貝斯坦地域全体の貴族勢力が根こそぎ排除されたからだ。ディランフィスで前回地方貴族の粛清が行われたのは三千年前のことである。今回、フィックは殺人をせず、ただこれらの誤った側についた貴族たちを全員政治犯収容所へ送り込み、各家門の全構成員の爵位を剥奪し、全ての経済基盤を没収したに過ぎない。たとえそうであっても、これはこれらの貴族たちを完全に消滅させたも同然だった。
実は誰も知らないことだが、フィックは貴族たちにそこまで厳しく接するつもりはなく、むしろ何人かを恩赦して、地方の勢力を取り込もうと考えていた。しかし、盧安は軍の面前で新たな財政計画をフィックに突きつけた。軍の将軍たちは盧安の薫陶を受けて、自分たちの手にする軍費が何に由来するかを次第に理解していった。理論上、政府が管理する工場、鉱山、農地などの生産手段が多ければ多いほど、軍に提供できる戦争潜在力は大きくなる。貝斯坦企業を捜索・没収した際、軍は非常に珍しく盧安と足並みを揃えた。
フィックは盧安が示した財政的圧力と、軍の飢えた目つきをすぐに感じ取った。フィックが英洛卡を見やると、後者は肩をすくめ、どうしようもないと示した。
英洛卡は見物しているわけではない。もし盧安の行動が英洛卡の所属するグループの利益を損なうなら、英洛卡はすぐに阻止するだろう。そして今、英洛卡は何も言うことがないと表明している。これは、英洛卡の背後にある利益集団が、盧安が貝斯坦の貴族たちの全財産を没収することに賛成していることを示している。英洛卡が代表するのは、帝然菲斯東部の貴族たちの利益である。現在の盧安の統計経済は、これらの東部貴族の企業や生産手段によって国家の信用通貨を担保している。そして分裂は、帝然菲ス全体に多くの地方派閥を生み出した。各地の貴族たちが勝手に陣営を選ぶ中、東部の貴族たちもまた団結し始めているのではないか?これらの貴族たちは貝斯坦の貴族たちと姻戚関係にあるが、東部全体の経済が戦争のために全力を尽くした後では、誰かが支払いをしなければならないのだ。
フィックは英洛卡の意図を理解し、最終的に財務部門による占領地の多数の企業への監査を承認した。
フィックの許可を得て、盧安は皆に今回の戦争の利益を説明し始めた。
鉄鋼生産量、石炭生産量、発電量などのデータを列挙した後、盧安は総括した。「ベイスタンの豊富な鉱業資源と重工業基地があれば、五年後には、重工業の総量は理論上、前回の世界大戦の九割近くまで回復できる。我々の鉄鋼の力が再び戻ってきた。」
軍部の喜びに満ちた表情を見て、盧安は続けて冷水を浴びせるように言った。彼は杖で地図上のディランフィースの他の場所を指しながら、「しかし、軽工業は依然として相手の手中にある。これは非常にまずい。経済統計上、重工業技術の発展には、原材料を購入するための資金を回収できる巨大な市場が不可欠で、そうして初めて研究開発への継続的な投入が可能になるのだ」と述べた。
傍らにいた将軍が尋ねた。「もっと簡単に言ってもらえますか?」
盧安は笑いながら言った。「ある物事が多くの人に必要とされてこそ、絶え間なく進歩する資源と原動力が生まれる。戦争時には、鉄鋼業は武器製造の需要に応え、絶え間ない鉱石とエネルギーが重工業に集まり、労働者たちは積み重なる製造経験の中で技術の進歩を推進した。一方、平時には、重工業が鉱石とエネルギーを得るためには、鉄道建設、造船、橋梁建設などの市場の需要に応える必要がある。関連産業はこうした需要を背景に、重工業に資金を投じて鉱石を購入し、実験を開始し、技術を改良していく。」
その将校の表情は少し不服そうだった。盧安は笑って言った。「たとえ皆が満腹で暖かい服を着ていても、工場に自ら進んで戦争技術を研究しに行くわけじゃない。彼らの欲求を満たしてこそ、皆を君の戦車に乗せることができるんだ。暴力的な弾圧は通用しない。もし暴力的な弾圧でどうにかなるなら、とっくに君たち全員をぶん殴って、こんなに口を酸っぱくする手間を省いているさ。だから買収という手段を選ぶ。必要とされる価値を証明してこそ、支持を得られる。非戦時においては、重工業が皆に必要とされていると証明されなければ、重工業は発展しないんだ。」
そう言うと、英洛卡とフィックは示し合わせたかのように盧安を見た。
盧安の言う「必要とされること」は、そのまま盧安の処世術でもある。身分こそ平民で、普段は貴族の礼節を重んじず、いくつもの酒会では盧安のせいで場が白けることが多く、一挙手一投足が上流社会全体とまったく相容れない。しかしフィックの中核チームにおいて、盧安の立場は非常に安定している。盧安と極めてぎくしゃくした関係にある軍部でさえ、盧安の役割が欠かせないことを認めざるを得ない。つい先ほど終わったこの戦争でも、軍部は兵站のスケジューリングの迅速さに大いに満足している。前回の世界大戦では、弾薬を頼んだのにビールが届くようなミスが後方で頻発していたが、今回の戦争では、複雑な物資のやりくりに何一つミスがなかった。
盧安は「必要とされる」という属性を発揮したからこそ、この「指揮棒」の席にどっかりと座り、皆を自分の計画どおりに動かすことができたのだ。
フィックが注意した。「希瑞科、君の理由はもう説明し終わったよね、直接論拠を言ってくれ。」
盧安がうなずいた。「次は戦争を止めるべきだ。経済面ではフェイゴーや漢斯トーーと貿易協定を結び、外交面ではジンルイやベイハンに接近する。我々は既にタテハと敵対している。今のところ国際関係を利用して対処すべきだ。」
フィックが尋ねた。「勝利に乗じてもっと土地を奪い返さないのか?我々の軍隊が攻撃すれば、漢克斯を奪取できるのではないか。」
盧安が首を振って言った。「我々にはこのリスクを受け入れる余裕はない。」
フィックが追及して尋ねた。「我々には本当にないのか?」
現実の盧安はうなずき、同時に手のひらをマップの外に叩きつけ、フィックに外部勢力がディランフィスに干渉することを示唆した。一方、予演の中の盧安は突っ込んで言った。「あなたたちはそれをとても望んでいる、私もあなたたちにそれができることを望んでいる、でも大資本家階級の特性は戦争を叫ぶ時は虎のように猛々しく、困難な抗戦の時は犬のように怯むことだ。」
フィックが信じたがらず、とても躊躇している様子、国運に賭けたくない、諦めきれない顔をしているのを見て、盧安は冷たくいくつかの言葉を吐き出した。「敗戦、賠償金、他者に勝利の希望を与えられず、そして人々から遠ざけられ、最後には裏切られ、スケープゴートにされる。」これらの言葉は不完全だが、その場にいる人々に連想させるには十分である。
フィックの顔色が大きく変わった。その場にいた他の者たちも気まずそうにした。なぜなら、それは痛烈な皮肉であり、しかもこれほど露骨に、もともと和やかだった場に投げかけられたからだ。
もちろん、盧安にはそんな言葉を言えるのは自分だけだと分かっていた。自分は貴族ではなく、貴族の利益の輪の外にいるのだから。
静まり返った場に、盧安は笑って言った。「昨日は仕事が少し遅くなったから、今日は早めに休むとしよう。」




