シン、ヒドラの討伐に向かう!
僕とメアリーはコカトリスを討伐した後、メアリーとマギーのいる場所まで転移した。そこには魔族四天王ベガと戦い、傷ついて倒れているマギーと体中から血を流しながら戦っているフェンリルの姿があった。僕が到着するとベガはその場から立ち去ったのだが、戦いに負けたギンもマギーも相当悔しそうにしていた。修行したいという3人の希望をかなえるため、僕は不思議な場所に彼女達を連れて行った。そして、僕は彼女達の修行をフドウとマジクに頼んで、再びドワーフ国まで来た。
“どうしようかな~。魔物の討伐をするにしても情報がないとな~。ギルドに行ってみるか。”
僕はドワーフ国の冒険者ギルドに行った。すると、ギルド内では騒ぎになっていた。
「おい!北の森のコカトリスが討伐されたんだってよ!」
「それは本当か?なら、また採掘できるじゃないか!」
「おまけに東の森の地竜まで討伐されたようだぞ!」
「信じられねぇな~。一体何が起こっているんだ?」
僕は男達の話に耳を傾けながら受付まで行った。
「あら、珍しいわね。人族のあなたが何のようなの?」
ドワーフ族の男は身長が小さく顔に髭が生えている。一方、女性はやはり身長は小さいが胸が大きい。受付で僕は自分が大男になった気がした。
「この国に強力な魔物が発生しているって聞いたんですけど。」
「そうよ。大変なんだから。でも、東の森の地竜も北の森のコカトリスも討伐されたのよ。」
「そうなんですか~。他にはいないんですか?」
「いるわ。西の湖にヒドラがまだいるのよ。まったく、あそこはミスリル鉱山があるっていうのにね!」
すると、そこにゼルグがやってきた。
「おお、シンじゃないか!他の美女達はどうしたんだ?」
「今は他の場所で修行してますよ。」
「そうなのか。お前達ほど強くても修行が必要なんだな~。」
「そうですね。それよりゼルグさんはどうしてここに来たんですか?」
「ああ、依頼を出しに来たんだ。わしの家の近くにコブラスネイクやガラガラスネイクが現れるようになってな。危なくて子ども達が外で遊べないんだ。」
コブラスネイクやガラガラスネイクのようなスネイク系の魔物はヒドラの眷属の可能性がある。
「もしかして、ゼルグさんの家って西の湖の近くなんですか?」
「ああ、そうさ。だが、よくわかったな~。」
「多分、その魔物達はヒドラの眷属ですよ。」
「な、な、なんだと~!するとなにか!わしの家がある地区はヒドラに狙われているってことか?!」
「間違いないと思います。」
もしかしたら、この前あった魔族四天王のベガが関係している可能性が高い。
「その依頼僕が受けましょうか?」
するとドワーフ族の冒険者達が僕達の周りに集まってきた。
「おい!お前!依頼の横取りはルール違反だぞ!ガラガラスネイクやコブラスネイクはゴブリンと同じように、俺達にとっては金になる獲物なんだよ。」
ここで僕が行かなければ、この冒険者達がヒドラや魔族の犠牲になる可能性がある。どうしたものかと考えた。そして、みんなを納得させる方法を思いついた。そこで僕は受付の女性に聞いた。
「ここで魔物の買取はしてくれますか?」
「売りたい魔物は持っているの?」
「ええ。ありますよ。」
誰からどう見ても僕は手ぶらだ。魔物を持っているようには見えない。
「まあ、いいわ。裏に来てちょうだい。」
僕はギルドの裏の作業場に行った。先ほど僕に文句を言っていた冒険者達がぞろぞろと付いてきた。そこで、討伐したばかりのコカトリスと地竜の亡骸を出した。
「う、うっそ?!えっ—————!!!」
すると、冒険者達も大声をあげて驚いた。騒ぎを聞きつけたらしく、奥の部屋からギルドマスターらしき男性がやってきた。
「こ、これは君が討伐したのか?」
「はい。僕と仲間達で討伐しました。」
すると、ゼルグがみんなに言った。
「シンはな~、わしがホーンウルフの群れに襲われているところを助けてくれたんだ!」
「ゼルグ!それは本当か?」
「ああ、本当さ。他に美女が3人いたけどな。」
するとギルドマスターが声をかけてきた。
「俺はここのギルドマスターのガンツだ。君は?」
「僕はシンです。旅の途中なんです。」
「そうか。ちょっと俺の部屋に来てくれるか?」
「いいですよ。」
僕はガンツの部屋に行った。ガンツにはコカトリスの件や地竜の件について聞かれた。そこで、僕は正直に答えることにした。
「すると、何かい。この国で強力な魔物が発生しているのは、魔族が関係しているってことなのか?」
「そうですね。しかも、相手は四天王のベガです。普通の冒険者では相手になりませんよ。」
「確かにな~。魔族の四天王と言えば、たった一人で1国の兵士と匹敵すると言われているからな~。」
「犠牲者を出さないようにするには、僕が行った方がいいと思いますよ。」
「凄い自信だな!」
ドワーフ族と言えば鍛冶の種族だ。僕の剣を見れば何かに気が付くかもしれない。僕はガンツに空間収納から自分の剣を取り出して見せた。その剣を手に取ったガンツは目を丸くして剣を見ている。そして、震え出した。
「こ、こ、この剣は?」
「それは僕の剣ですよ。」
すると、ガンツは慌てて席を立ち僕に片膝をついて挨拶してきた。
「この剣はまさに神剣。あなた様は?」
「どうか座ってください。僕は人族ですから。でも、この剣を使用することを許可されていますけどね。」
ガンツは再び席に座って言ってきた。
「今回の件、シン殿にお任せします。この国のためにもよろしくお願いします。」
「わかりました。」
僕はギルドを出て、ゼルグと一緒にゼルグの家のある地区に向かった。岩肌が出てごつごつしている場所だ。近くに鉱山があるというのも納得だ。
「田舎ですまないな~。岩だらけで歩きづらいだろ~?」
「そうですね。結構岩が多いですね。」
すると、岩陰からぞろぞろとガラガラスネイクが出てきた。僕達を襲う体制をとっている。
「ゼルグさん。下がって!」
「ああ、また出てきやがった!」
『フレイムラディエター』
僕は手から炎を出した。その勢いはすさまじい。ガラガラスネイクは骨も残さずすべて焼け死んだ。
「シン!お前さん、すごいな~。」
「ええ、ああいう魔物は遠くから攻撃するのが一番ですから。」




