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神様修行の旅  作者: バーチ君
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アラス王国王都ジュノー

 アラス王国の魔素の除去を7大精霊達に協力してもらいひと段落した僕達は、久しぶりにギンと2人で過ごした魔物の森の家で休んだ。そして翌日、街に戻った僕達は再び旧アラス王国内を周る旅に出た。



「シン様。これからどこに行きますか?」


「旧アラス王国の王都に行ってみようか。もしかしたら人がまだ住んでいるかもしれないしね。」


「でも、美味しいものは期待できそうもないわね。」


「マギー!食べ物のことは一旦置いておきなさい!」


「わかってるわよ!」



 旅は順調に進んだ。魔物はいるが強力な魔物はかなり少ない。大精霊達にお願いして本当に良かったと思った。



「シン様。そろそろ旧王都のジュノーに着きますけど。」


 

 僕達が王都に入ると意外な光景が目に飛び込んできた。他の国の王都ほどではないが、人がまばらに歩いていたのだ。しかも、店もやっている。街並みはアルベル王国やナルシア王国とは全く異なり、ジパンの王都キウトにそっくりだった。アルベル王国やナルシア王国のような巨大な王城はない。一つだけ高い建物があるがどうやら教会のようだ。



「お前達は何者だ?どこから来た?」



 いきなり刀を持った人達に囲まれた。



「旅のものです。ジパンから来ました。」


「嘘をつくな!ジパンの服装ではないではないか!」


「中央大陸のアルベル王国って知ってますか?そこからナルシア王国に行って、ジパンに行って、やっとここまで来たんですよ。」


「どうやって来たのだ?ここまで来る間に魔物に出くわさなかったのか?」


「討伐しながら進んできたんですよ。嘘だと思うなら、ここから南に行ったところの街にガリレという老人がいるから聞いてみればいいですよ。」



 すると、男達の一人が驚いた顔で言った。



「お主達はガリレ殿に会ったのか?」


「ええ、数日前に会いましたよ。その街に僕達もお世話になっていましたから。」


「そうか。ガリレ殿は生きておられたか。わかった。案内しよう。こちらに参られよ。」



 僕達は兵士達に連れられて街の奥へと行った。そこにはかなり立派な建物が立っていた。僕達が敷地に入ると、そこには大きな池があり、その周りに池と調和するように木々が植えられていた。なぜかその景色を見て僕は懐かしさを覚えた。



「ここで待たれよ。」



 リーダーと思われる男が中に入って行った。しばらくして、僕達は屋敷の中に案内された。どうやら、屋敷内にはいる時はジパン同様に靴を脱がなくてはいけないようだ。案内された部屋に行くと、そこには体格のいい若い男性と髪の長い若い女性がいた。



「お主達か?ガリレにあったというのは?」


「はい。そうです。」


「名はなんと申す。」


「僕はシンです。こっちはギンとマギーです。」


「わしはこの国の国王ミナツネだ。こっちは妻のシズカだ。ところで、そなた達は中央大陸から来たといったが、中央大陸では魔物が狂暴化したりしていないのか?」


「一時期、魔族が攻めてきた時はそういうこともありましたが、魔族が討伐された後は普通に戻りましたよ。」


「そうか。魔族が関係していたのか。」


「ええ、魔大陸と中央大陸を空間通路を使ってつないでいたようなんです。その影響で魔素が大量に流れ込んできましたから。」



 ミナツネはしばらく考え込んだようだった。そして、先ほどの男性に向けていった。



「ベンケル!もしかすると、この国も魔族が魔素をばらまいたのかもしれん。調査せよ。」


「ハッ」



 そして、ミナツネは僕達に聞いてきた。



「シン殿といったな。お主に聞きたい。この国の天変地異も魔族が原因なのか?」


「それはわかりません。だけど、濃い魔素が影響していたのは間違いないです。でも、もう大丈夫ですよ。」


「どういうことだ?」


「ガリレさんの街の畑も作物が育つようになりましたから。」


「確かにここ数日は魔素が薄くなったのはわかる。だが、またいつ魔素が濃くなるかわからぬではないか。」


「ミナツネ様の言われる通りです。魔素が濃くなった原因がわからなければまた同じことが起こるでしょう。だから僕達が調査しますよ。」


「だが、今、ベンケルに調べるように命じたばかりだ!何を調べるというのだ!」


「ベンケルさんが調べるのは魔族が関係したかどうかですよね。僕達はどうして魔素が増えたのか調べるんです。」


「なぜ、お主達はそこまでするんだ?何の利益にもならぬではないか?」


「別に僕は損得で行動してるわけじゃありませんから。」


「変わったやつだ!それで、お主達3人だけでできるのか?」



 するといつものようにマギーが前に出て言った。



「ちょっとあなたね~。シンにできるのかって言ったわよね~。シンにできないことがあるわけないじゃない!」


「マギー!ダメだよ!」



 すると、隣に座っていた王妃のシズカが笑いながら言った。



「まあまあ、よほどシン殿を信頼してるんですね。頼もしい奥方ですね。」


「シズカ様!違いますから!マギーもギンも友人ですから!」


「そうかしらね。ウフフフ」



 なんかマギーは『奥方』と言われて顔が真っ赤だ。しかも完全に放心状態だ。



「それでシン殿は魔素が急に薄くなった原因を知っているような口ぶりだったが、何か知っているのか?」


「いいえ。わかりません。ですが、この世界には神々や精霊達がいますから、この国の人々を哀れんだのではないですか。人には皆、幸せになる権利がありますから。」



 僕の言葉を聞いてシズカが眉を動かした。



 そして、僕達3人は屋敷を後にして、魔素の究明にあたることにした。僕達が屋敷を立ち去った後、ミナツネとシズカが話をしていた。



「彼らは何者なんだろうな?あの3人からは何やら神聖なものを感じるのだが。」


「あなたも感じましたか。私もですよ。もしかしたら、あの3人は神々がこの世界に遣わした者達かもしれませんね。」


「なるほどな。だとしたら、ここにたどり着くまでに多くの魔物を討伐してきたことも納得できるな。」


「はい。彼らからは底知れぬ力を感じましたから。」


「そうか。元Sランク冒険者のお前が言うなら間違いないだろう。それにしても、わし達以外にこの国にとどまっている者達がいるとはな~。」


「ガリレならありえるでしょう。」


「そうだな。元宰相のガリレならな。」



 とりあえず僕達は王都から出た。そして、上空に舞い上がり魔素の濃い方向を確認した。



「シン!あっちの方向ね!」


「そうだね。このまま行ってみようか。」


「はい。」


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