久しぶりの魔物の森の家
アラス王国の魔素を取り除くため7大精霊に協力をお願いした。スッタモンダはあったが、協力してもらえることになった僕達は、ガリレさんに空き家を借りようと街に戻った。
僕達が借りた空き家は、台所も寝室も居間もまるでつい最近まで使われていたようにきれいだった。
「シン!おいでよ!ベッドもふかふかよ!」
「マギー!ベッドは遊び場じゃないんだから跳ねたりしないの!」
「まったく、ギンは固いんだから~!」
夕食をとった後ゆっくり寝ることにした。翌朝起きてみるとなんか空気がすがすがしい。
「おはようございます。シン様。」
「おはよう。なんか空気が気持ちよくない?」
「はい。恐らく魔素が大分薄くなったんだと思います。」
「やっぱりね。魔素が薄まると負のエネルギーが善のエネルギーに変化しやすくなるのかもね。なんか昨日までと違って空気中の瘴気が感じられないよ。マギーを起こして外に行ってみようか。」
「はい。」
僕達が外に出ると外の空気が物凄くさわやかに感じられた。すると、ガリレさんが慌てた様子でやってきた。子ども達も一緒だ。
「どうしたんですか?そんなに慌てて。」
「大変なんじゃ。一緒に来てくれんか。」
僕達はガリレに連れられて街の外の畑まで来た。すると、畑の野菜が青々と育っていた。昨日まではほとんどが萎びれて枯れかかっていたのにだ。
「見てくれ!わしらの畑が生き返りよったんじゃ!もしや、そなた達の仕業なのか?」
「いいえ。僕達じゃないですよ。僕達にそんなことができるわけないじゃないですか。」
「それもそうじゃのう。だが、お主達が来た翌日に変化したんじゃ。どういうことなんじゃろうな~。」
するとマギーが言いかけた。
「あったり前じゃない!昨日シンが大精霊たちに・・・」
「マギー!」
僕は慌ててマギーの口に手を当てた。
ウグググッ
「何やら今、大精霊とかなんとか聞こえたんじゃがのう。」
「いいえ。何でもないですよ。」
そして、僕達は森の中の変化を確認するため、森に調査に行くことにした。
「なんか森の空気もすがすがしいわね。」
「草木からも毒々しさがなくなってます。」
「魔素が減って、瘴気が消えたからじゃないかな~。」
「なら、野生動物が魔物化することもなくなるわね。」
「ゼロじゃならないだろうけどね。魔素が完全になくなったわけじゃないし、それに魔物化の原因は魔素だけじゃないからね。」
「そうだったわね。」
僕達は調査の途中で出くわした魔物達を討伐しながら進んだ。僕の空間収納にはかなりの魔物の亡骸が入っている。そこで、街に戻った僕達は中央広場に行き、空間収納から魔物の亡骸を取り出して調理を始めた。解体した魔物の肉や作り置きしておいた調味料を使って調理していると、辺り一帯にいい匂いが立ち込めた。すると、子ども達や街の人々が次々とやってきた。
「もうすぐできますからみんなで食べましょう。」
「いいのかい?」
「ええ、当然ですよ。」
「やったー!」
子ども達がはしゃぎだしている。大人達は近くの家からテーブルや椅子を運び出した。女性達は飲み物の準備だ。出来上がった料理をギンとマギーが一生懸命運んだ。
「君達、熱いから気を付けて食べるのよ!」
「はーい!」
「すまないねぇ。遠慮なくいただくよ。」
するとマギーが自慢げに言った。
「シンの料理は最高なんだよ!世界で一番おいしいんだから!」
すると、テーブルのあちらこちらから感動の声が聞こえてきた。
「美味しいわー!これ、すっごく美味しい!」
「僕、こんなおいしいの食べたことないや!」
「本当に美味しいの~!シン殿、これはジパンの料理じゃろ?懐かしいの~。」
「ええ、ジパンの調味料と同じものだと思いますよ。たくさんありますからゆっくり味わって食べてください!」
すると、いつの間にか大宴会になっていた。
「今日は畑が復活したお祝いじゃ!今日を記念日にしようじゃないか!」
「オオ————!!!」
そして、大宴会も終了して僕達は借りている家に帰って休んだ。
「疲れた~!」
「何言ってるのよ!マギー!一番疲れてるのはシン様なのよ!」
「僕は大丈夫さ。それより、ギンやマギーの方が料理を運んだり、後片付けをしたりで疲れてると思うよ。今日はゆっくり休もうか。」
すると、ギンが遠慮がちに言ってきた。
「シン様。私、久しぶりに家に戻ってみたいんですけど。」
「あの魔物の森の家かい?」
「はい。ここ久しくあの家に行ってませんので、あそこならお風呂もありますしベッドも広いですよね。」
「なら、行こうか。でも、マギーは初めてだよね?」
「えっ?!どこに行くの?」
「私とシン様が2人で暮らしていた家よ。」
「ふ~ん。まあ、行ってみるのも悪くないわね。」
僕達は魔物の森の家に転移した。物凄く懐かしい。家の結界を解除すると森の中に家が現れた。
「ここね。シンとギンが住んでた家って。」
「そうよ。懐かしいわ~。シン様はまだ小さくてかわいかったのよ。」
「ギンだって小さかったじゃないか!」
「そうですけどね。」
3人で家の中に入った。手の届かなかった台所も今では僕のお腹のあたりの高さになっている。思い出がいっぱいの家だ。僕達はゆっくりするためにお風呂に入ることにした。最初に僕が入る。
「えっ?!何?どうしたの?2人とも!」
「昔みたいにお背中を流させてください!」
「私もシンの背中を洗いたい!」
「いいよ!自分で洗えるからさ!」
「何を恥ずかしがってるのよ!シンも年頃ね!」
せめてもの救いは彼女達がタオルを巻いていたことだ。それでも僕は目のやり場に困ってしまう。僕の背中を洗いながらギンがしみじみと言った。
「月日が経つのは早いですね。あの小さかったシン様の背中が凄く広く感じます。」
「僕も成長したけどギンだって女らしくなったじゃないか。」
すると、ギンの洗う手が止まった。恐らく恥ずかしがっているのだろう。すると、横からマギーが口を挟んできた。
「いいわね。2人とも昔話ができて!それに、私だって少しは女らしくなってるんだからね!」
なんかマギーはギンにライバル心を持っているようだ。
「そうだね。マギーも元々天使族だけあってすごい美人になると思うよ。」
「『美人になる』ってどういうことよ!シンも私のことを子ども扱いするのね!」
「痛い!痛いよ!そんなに擦ったら!」
そんなこんなで僕達はベッドでゆっくり休んだ。熟睡したのは久しぶりだ。




