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神様修行の旅  作者: バーチ君
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マンティコア討伐

 ジパン王国を出た僕達は隣国アラス王国へとやってきた。そこには広大な森林が広がっていた。森林を抜けると小さな村があった。そこで1泊しようとしていたが、外にはゾンビが溢れかえっていた。どうやら、何者かに殺された村人達のようだった。ゾンビ達から話を聞くと、どうやら犯人は魔物のようだった。


すると、マギーが教えてくれた。



「多分、マンティコアね。災害級の魔物よ。あいつがいるとなるとこの村が滅んだのも納得できるわ。」


「もしかして、村人達がゾンビになったのってそのマンティコアに殺されたからなの?なら、そのマンティコアを討伐すれば村人達は天に帰れるのかな~?」


「シン様。やってみましょう。それでダメなら他に方法を考えればいいですから。」


「わかったよ。でも、森を通って来たけどそんな魔物の反応はなかったんだけどな~。」


「シン。マンティコアは翼があっていろんな場所に行くのよ。でも、きっとこの近くに住処はあるはずだわ。」


「そしたら森の中に住処があるかもね。」


「森を探しましょう。」



 僕達は再び森の中に入って行った。だが、森は広大でどこを探せばいいのか見当もつかない。



「なんか効率よく住処を見つける方法ってないかな~?」


「マギーはマンティコアのことを知ってるんでしょ?何か知らないの?」


「だから、今思い出してるでしょ!ちょっと待っててよ!」



 しばらく考えた後、マギーがなんとなく話し始めた。



「あまり大したことじゃないけど、マンティコアは水場が好きよ。水場には生き物が集まるから餌が豊富なのよ。他には、ん————— 人を好んで食べるわね。でも、この辺りにはもう人は住んでないしな~。」


「飛翔して上空から探してみようか?」


「はい。」



 僕達は上空に舞い上がった。見渡す限り森だ。村を中心に飛翔すると、村から20㎞ぐらい離れた場所に小高い丘のような小さな山があった。そしてその手前に沼地が見えた。魔力感知をしてみると、沼地の近くに生き物の反応が感じられず、物凄く不自然な場所に思えた。



「この辺りが怪しいわね。」


「なら、マギーの直感を信じてみようか。」


「はい。」



 半日ほど待っていると、遠くから遠吠えのような音が聞こえてきた。



ゴ——ウン ゴ———ウン



「どうやら大正解のようだよ。」



 僕達が上空に舞い上がると遥か彼方から巨大な魔物が飛来してきた。



「マンティコアよ!」



 どこかの村を襲ったのか、口の周りが赤く染まっていた。そして、僕らを見つけると威嚇してきた。



「ギン!マギー!行くよ!」



 僕は背中から刀を抜いた。ギンもフェンリルの姿に戻っている。僕達が近づこうとすると、マンティコアは大きな翼を広げて僕達に向けて強風を送ってきた。その風に毒針が混じっている。



「ギン!マギー!気を付けて!毒針だよ!」



 するとマギーは自分の周りに風を起こして毒針を防いだ。僕とギンは自分達の周りに結界を張って防いだ。



「このまま攻撃されてもキリがないね。」


「はい。私がしかけて隙を作ります。」



 ギンが瞬間移動でマンティコアの後ろに回って翼に噛みついた。マンティコアが振り払おうと暴れている。



『真空斬』



 僕が刀を振るうと衝撃波がマンティコアに向かって行った。そして、厄介な毒針を忍ばせている尻尾を斬り落とした。



「シン。私にやらせて!」



 今度はマギーが魔法を放った。



『シャドウスピア』



 マギーの周りに黒い槍がいくつも現れた。その槍がマンティコアに向かって襲い掛かる。マンティコアはそれを避けようとするが、後ろからギンに翼を押さえられていて避けられない。



ズサッ グサッ 


グオ—————ン



 黒い槍がマンティコアの全身に何本も突き刺さった。ギンが噛むのをやめるとマンティコアはそのまま地面に落下した。



「やったね!」


「ああ。」


「シン。マンティコアは回収しておいた方がいいわよ。めったに現れない強力な魔物だから素材が高く売れるかもしれないわ。」


「わかったよ。」



 僕はマンティコアの亡骸を空間収納に仕舞って、全員で村に戻った。そして、その日の夜、再びゾンビ達が現れた。僕は空間収納からマンティコアの亡骸をゾンビ達の前に出すと、ゾンビの姿が人間の姿に戻っていき、光の粒子となって次々と天に向かって行った。



「シン様。」


「あのゾンビ達も浄化できたようだね。」


「なんかいいことした後って気持ちいいわね。体も軽くなった気がするわ。」



 僕がマギーを見るとマギーの身体から光が漏れていた。ジパンにいた時も思ったが、マギーがいいことをすると体が光るようだ。



「なあ、マギー。」


「なに?」


「以前から気になったんだけど、マギーの身体が光ることがあるんだけど気が付いてた?」


「えっ?!本当?」


「ああ、本当さ。」



 するとギンが何か思い出したようだ。



「母から聞いたことがあります。魔族の中には魔素を取り込みすぎて魔族になったものがいると。その者達は負のエネルギーを相殺することで善のエネルギーを取り入れるのだと。」


「ギン。どういうこと?よくわからないわ。ちゃんと説明してよ!」


「マギー。多分だけどね。マギーがいいことをすると、マギーの中から堕天使族になった悪いエネルギーが消えるってことだよ。つまり、マギーは堕天使族でなく天使族に戻る可能性があるってことさ。」


「え—————!!!それ、本当?!」


「ああ、多分だけどね。」


「なら、私もっともっと頑張るわ!」



 なんかマギーの目がキラキラと輝いていた。どうやらマギーにとっての目標ができたようだ。それから僕達は再び旧アラス王国内を見て回ることにした。どれほど歩いただろうか、いくつも街や村はあるがどこにも人は住んでいなかった。ただ、至る場所に地割れの痕や火事の痕が見受けられた。



「シン様。この国を襲った自然災害って何なんでしょうか?」


「よくわからないけど、かなり広範囲に被害が出てるようだね。」


「この前討伐したマンティコアに関係しているのかな~?マンティコアもだけど、この国に来てから魔物が強力になってる気がするんだよね~。」



 確かにマギーの言う通りだ。ジパンにはほとんど魔物がいなかった。それにアルベル王国やナルシア王国の魔物よりも強力な魔物が多い。



「シン様。もしかしたら、以前アルベル王国で魔族がやっていたように、魔大陸とこの国を繋ぐ空間通路があるんじゃないでしょうか?」



 すると、魔物とは違う魔力がいくつも感じられた。


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