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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
295/429

竜王族1-魔竜王族の魂の行方

 妖狐王城を警護していた魔人の軍も

前線警護に戻り、アオは屋敷で休みました。


♯♯ アオの屋敷 ♯♯


 日付が変わったばかりの頃――


(アオ兄、そろそろ交替時間だよ)


(ん……ありがとう、サクラ)


(疲れ、だいじょぶ?)現れ、光を当てる。


(大丈夫だよ)にっこり。(ありがとう)


(ん……)

サクラがアオの顔を覗き込む。

(ハク兄に こき使われてるんでしょ?)


(大した事じゃないよ)笑う。(行こう)


(うんっ)曲空♪



――地下魔界。


「クロ、交替するよ。長時間ありがとう」


「大丈夫なのか? アオ」


「クロ兄も、そぉ思う?」


「うん……なんか、疲れてそうだよな」


「自覚は無いんだけど……」


「お前、まさか昨日一日、食わずに動いてたんじゃないのか?」


「あ……」「忘れてたの?」「すっかり……」


「すぐ作って来るからなっ」曲空。


「アオ兄、医者なんだから、ちゃんと健康管理しよぉね~」睨む。


「気をつけます、サクラ先生」


「その呼び方イヤ~」ふるふる。


「畏まりまして御座います、サクラ王様」


「もっとイヤッ!」ふくれて睨む。


「でも、もう ちゃんと王だし――」(闇!?)


二人、瞬時に警戒したが――


(影や幹部じゃなさそぉだけど……)


(そうだね……)



 唐突に現れた気配が、フラフラと漂うように飛んで来る。


闇まみれの何者かは――


(竜だよっ)(行こう)二人、飛び寄った。


「大丈夫ですか!?」光で包み、受け止める。


アオとサクラは、浄化と回復に全力を注いだ。


「アオ殿! サクラ殿!」「アオ様~!」

慎玄を乗せた爽蛇が飛んで来る。闇まみれで。


サクラは二人を浄化した。「どぉしたの?」


「隠し部屋を浄化しておりましたら、壁から鏡が浮き出て参りまして、その鏡を浄化しておりましたら、その方が弾かれるようにお出になられ、双方、飛ばされたので御座います」


竜に纏わり着いていた闇が薄れていき、次第に色が見えてくる。


「個紋だよ!」


次第に個紋が明瞭になる。


「天竜ではなさそうだね」

「あっ……この方は――」「知ってるの?」


「この個紋は、天藍(ティンラン)様だ!

前王妃様だよ!」


「サクラ、天界にお連れしよう!」

「うん! せ~のっ!」



――深蒼の祠。

「夜中に すみません! 急ぎ浄化を!」


どの祠も満杯なので、深蒼の祠に飛び込んだ。


カルサイとドルマイが現れた。

【お任せください】杖を振り、魔法円を出す。

【内深き呪を浄化すれば大丈夫です】


二神が術を唱える。


見詰めていると――


クロに掴まれた。



――深蒼の祠の庭。

「食ってからにしろ!」


「あ……」夜風が寒い。


サクラが暖かい光で包み、食事が始まった。


「アオ兄、祠が光ってるよ」サクラも食べる。


「神の光ではなさそうだね……行っ――」

「食ってからだっ!」「う……」「ったく~」


食べ終わり、クロに礼を言って、祠に入った。


光っていたのは、虹藍の父と兄の剣だった。


「異変を感じ、参りましたら、光っておりました。

何方か剣に込められているようです」

傍に立っていたムーントが言った。


「もしかして……」「きっと そうだね」


カルサイとドルマイが来た。


「剣に込められている魂は、各々の持ち主でしょうか?」


二神が手を翳す。

【はい。そうです】


「御体に戻す事は出来ますか?」


【それは……残念ながら……】


【この魂は、亡くなってから、この剣に施されていた術に依り、引き寄せられています。

ルリのように、亡くなる直前に込められていれば戻せるのですが、死に依り、完全に体から切り離された後では、戻す(すべ)はありません。

ですが、コバルトの子孫である王族方々は、竜骨の祠にて存在しておりますよね】


「それなら……お願いします!」


【ムーント、竜魂の水晶を】「はい」


「剣の術者は、何方なのでしょう?」


【前王妃・天藍。

彼女の祖先は、代々この六祠を守ってきた神官の家系です。

交流があった時、嫁いだジョンブリアンが伝えたのでしょう】


ムーントが二つの水晶を持って来た。

「サクラ様、背の剣が輝いております」


「本当だ……借りるよ」アオが抜いた。


「ここにも何方か込められている……」


「アオ、サクラ」アカが現れた。

手に輝く雅剣を持っている。


「全ての雅剣に何方か入ってたんだね……」

サクラが剣を撫でた。


水晶に魂を移したカルサイが近付いた。


【おそらく、術者である天藍が現れた為に、この二人の剣に施されていた封印が解け、雅剣達が、それに呼応したのでしょう】


「封印?」


【込められている魂が、魔王に見つからぬよう、封印が施されておりました】


「だから気づかなかったのか~」


カルサイが剣を確かめる。

【こちらの術者はジョンブリアンの孫・白輝(バイホイ)

華雅のみ、天藍の曾祖母・紫華(ズーフア)


「じゃあ、魔竜王城にある剣は全部――」


【可能性は有りますが、魂を引き寄せた時に封印が発動し、他の場所へと飛ばされてしまうようです】


「だとすると、残っている剣は未発動ですね?」


【そうなりますね】


ムーントが、もう一度 水晶を運んで来た。


【移しますね】「お願いします!」




 雅宝剣から水晶に移された魂は、虹藍の祖父母と伯父一家であった。


「カルサイ様、術を施されているのは、剣ばかりなのでしょうか?」


【おそらく、そうでしょう。

竜宝剣は強い力を持っていますので。


水晶や鏡、璧にも込める事は可能ですが、結び付く力が強過ぎる為、竜魂の水晶に移す事が困難となります。

ですので、剣が、この術には最適でしょう】


「サクラ、宝物庫の目録と照合しよう」

「うん! 剣を探したい!」


【竜魂の水晶は作っておきます。

いつでもお持ちなさい】


「ありがとうございます。

カルサイ様、ドルマイ様」二人、揃って礼。



♯♯♯



 アオとサクラは、地下魔界に戻った。

元の場所に行くとクロが居た。


「もういいのか?」


「交替したのに、すまなかった」


「んな事いいよ。また何かあったら呼べよ」


「ありがとう」「んじゃなっ」曲空。


「サクラ、次、交替したら、長老様の所に行こう。

竜骨の祠を新たに造るか、天界に納めるか決めて頂こう」


「アオ兄……忙しいのに、いいの?」


「勿論だよ。

その後で、サクラは虹藍様を竜骨の祠にお連れして、この事を報告してね」


「うんっ」


「今までお連れ出来なかったんだろ?」


「そぉなんだ……ツラいかなって思ってね。

でも、これで挨拶に行けるよ」にこにこ♪


【おい、子孫共】「はい?」「始祖様?」


【他に誰が、こんな呼び方をするんだ?】


「そうですね」「確かに……」


 他に、こんな乱暴な物言いの神は知らない。


【フンッ、魔界の子孫の魂だが――】


「何かご意見がございますか?」


【いや、何も無い。好きにしろ。それだけだ】


「それをわざわざ……?」


【忙しいだろうからな。

手間を省いてやった。では、な】


「ありがとうございます!」揃った。


 意外と優しい……


【『意外と』は余計だ!】


 聞こえてた……


二人、顔を見合す。


【神をナメんなよ】わはははは!


 尊敬は、しております。


【なら、こっちでも笛を吹け。

地下で吹いてたのも知ってるんだからな】


 畏まりまして御座います。


【よし! 待ってるからなっ♪】


 はい。




 アオとサクラは、そお~~~~っと笛を置き、曲空した。


(他所で吹いたから拗ねたんだね)

(笛が聞きたかったんだね~)

(認めてくれるのは嬉しいけど……)

(絡むのは、ちょっとね~)

(父上は確かに子孫だよね)

(そぉだね~)きゃははっ♪


(いつ行くの?)

(報告が終わったら、千里眼で呼んでね)

(おとなしく待っててくれるかなぁ?)

(なら、交替したら、まず吹いて行動しよう)

(そぉだね~)

(後で行く時には、フジも連れて行くから)

(うん♪)

(笛を取りに行かないと、また煩いだろうね)

(だよね~、行こっ)



 案の定、その後、始祖様はさんざん絡んだ。





翡【スミレ、説明だけはしてよ】


菫【うん……あの方も王族なんだけど、

  私は知らない方だったのよね。

  ほら、王族も大勢でしょ?】


翡【ほら、って言われても知らないよ】


菫【多いのよ~、知らない方が沢山――】


翡【それはいいから、続き】


菫【つれないんだからぁ。あ、続きねっ。

  いきなり『姉貴!♪』って抱きつかれて

  ひとりで大騒ぎよぉ】


翡【で、何方に間違われてたの?】


菫【母様。騒いでる言葉から、やっと

 『ベニ姉』って拾って、つい娘だって

  言っちゃったのよね~】


翡【そこが間違いの始まりだね】


菫【そんなこと言わないでよぉ】


翡【僕は人違いってだけしか言わなかったよ】


菫【だってぇ、凄い騒ぎようだったんだもん】


翡【で、神にしろ、って?】


菫【うん……】


翡【僕達みたいに半神竜だったのかなぁ……】


菫【そうではなかったみたいよ。

  再誕したみたいだったから】


翡【何を成して認められたんだろう……

  それに、何方が再誕させたんだろう……】


菫【確かに、そうよね……】


翡【あっ、僕は行くよ】消えた。


菫【え?】


?【捕まえた♪】


菫【ぅえっ!?】


?【セレンテ様を知らないかい?♪】


菫【あ……セレンテ様なら大抵、

  白百合神殿に――】


?【白百合神殿だねっ!♪ ありがとよ♪】


  うろうろしてないで修行すればいいのに……


 スミレでも、そう思ってしまうのだった。


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