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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
284/429

羽座魔4-最高神

 アオ達のご先祖様は神でした。

そして、ルリも天竜王族でした。


そんなこんなで、絆神様だけでなく、

ご先祖な神様も、今後どんどん出てきます。


♯♯ 竜宝の国 祠 ♯♯


「サクラ、もう大丈夫だよ。ありがとう」


「アオ兄……俺に嘘は通用しないんだからね」

ため息をつきつつも、光は絶やさない。


「無理し合う訳にはいかないだろ」


「俺、伸び盛りだから平気だよ。

疲れとか、アオ兄に影響してないでしょ?」


「うん……元気だね……」


「百も若いからねっ」「誤差だろ」


「アオ兄も俺も、言われて止めるなんて出来ないんだから、コレ続けてる間に、これからを考えようよ」


「そうだね」


アオとサクラは作戦を練り始めた。




♯♯ 地下魔界 ♯♯


 宙に灯した光が、その空間を露にした。


(これは……全て実験体なのでしょうか……)

(生きている……眠らされているようね……)


紫苑と珊瑚が入った部屋には、闇黒竜が隙間無く横たえられていた。


(他に何も無いのかしら?)


探っていると――


(鏡ですね……

通路に出来る物が有るようですから、実験体を運び込む為の物でしょうか……)


(出入りされると)(今は嫌ですね)

二人は宙に御札を出し、放った。


御札が貼り付いた鏡は、念鎖で封じられた。


(足の踏み場も無いとは)(正に、この事ね)

念網で覆い、実験体の内を探る。


(魔王の因子を神竜に植え付ける試みをしていた頃とは、遥か昔なのですね……)


(この因子の怨みの強さ……初代なのでは?)


(私も、そう感じます。

怨念により、この実験を成し、方法を確立して二代目を作ったようですね)


(浄化を試みる前に、何方かを呼びますか?)


(この数ですから……そうですね)



♯♯♯♯♯♯



 キンは大拠点の通路から、壁の向こうを神眼で確かめていた。


「確かに、この向こうに空間が在ります。

慎玄殿、よろしいですか?」


頷いた慎玄の肩に掌を当て、曲空した。



「この部屋は、既に荒らされておりますね」


「これは……サクラの痕跡のようだな。

という事は、リジュン殿が閉じ込められていた部屋なのか?」



 キンが、四方の壁に沿って並ぶ物入れの扉のうち、手近なものを開けると、環が入った瓶が詰まっていた。


竜血環(リュウケツカン)か……

ならば、リジュン殿の部屋で確定だな。

浄化後、天界で確かめて貰おう。

慎玄殿、お願い致します」


キンは次々と扉を開けていった。

壁の一面は、全て竜血環であった。

「こんなにも……」


必死で時間を稼ぎつつ、家族を護る為に作り続けたリジュンの想いを受け止め、キンは次の壁に向かった。



 次は、アカの工房で見るような器具や、初めて見る用途不明な物が並んでいた。

「これは……全て魔宝なのか?

実験器具なのか?」



 次の壁に向かった。


同じ形の器が並んでいる。

「これが神禍乱(シンカロン)なのか?

しかし、気を感じない……」


次は竜の像が並んでおり、その次は――

「扉の内に扉?

この強い力は、炎鉱石だな……

壁の扉の内面には、凍鉱石か……ふむ」


その次の扉を開ける。

「また二重扉か……」気を探り、開ける。


「神禍乱はこちらなのか?」


 内側の扉の向こうは部屋になっており、若い竜が入れる程の扉付きの箱が有った。

その上に、最初の器が載っており、器の蓋に、竜の像が立っていた。


竜血環を運び、リジュンに確かめてからにしようと、扉を閉めた。


残りの物入れには書物が並んでいた。



 キンも浄化を始めた時――


(キン様、お確め頂きたいのですが――)


(紫苑殿ですか?)


(はい)大きな九尾の白狐が現れた。


(術を保っておりますので)

(この姿で失礼致します)


(お乗りくださいませ)(慎玄殿も)



 白九尾は二人を乗せ、闇黒竜の部屋に戻った。


(これは……)(強い気ですね)


(依代……いや、影か? まさか魔王を――)


(私共も、そう思います)


(次代の魔王とすべく)

(試みていたのではないかと)


(この因子の気、初代だと思うのですが)

(如何でしょうか?)


(確かに……物凄い怨念ですね)


(一体、天界に運びたい)


 覆っている念網から、一体の闇黒竜が浮き上がり、新たな念網で包まれた。

慎玄が、その表面を浄化した。


(では、暫くお待ちください)曲空。




「クロ、大婆様の部屋に頼む」「あ、うん」



――大婆様の部屋。


「大婆様、この因子の気を御覧頂きたいのですが……」


「恐ろしい気じゃな……」


【間違いなく初代だ】キンの絆神が現れた。


「ありがとうございます、ゴルチル様」


【歴代魔王は全て、初代の因子を込められてはおるが、どうやら徐々に、その力は失われているようだな。

この強烈さを目の当たりにして、初めて、それを実感した】


カルサイが、薄ぼんやりした神――隠居神を伴い現れた。

【ディアナ様、如何ですか?】


【間違いございません……

自身の手に依る術にて、込められております】


【ありがとうございます】連れて消えた。


【情報は得た。浄化する。星輝の祠に運べ】


「大勢おりますが」【任せろ】「はい」


「クロ、曲空を頼む。

赤虎工房、星輝の祠、紫苑殿の順に頼む」


「おう」




 こうして、星輝の祠も満員御礼となった。

闇黒竜達を運び終えたキンは、星輝の祠を訪れた。


「ゴルチル様、アオともサクラとも話せないのですが、何か御存知でしょうか?」


【それか。心配無用だ。

回復に集中する為、静寂の祠に入ったままなのであろう】


「静寂の祠、ですか」


【竜宝の国に在る。

そこに入れば、外界からは遮断される。

出るよう伝えるから、暫し待て】消えた。




(キン兄、なぁに?)


(サクラ、アオ――いや、ルリ殿の具合は?)


(あとは回復待ちかな。もぉだいじょぶだよ)


(その話し方なら大丈夫そうだな。

頼みがあるんだが、少し離れられるか?)


少し間があり、(うん、いいよ。なぁに?)


(浄化系の竜宝を薫風、紅蓮、轟雷の祠に配置して欲しい)


(うん。後手になって、ごめんね)


(忙しくしているのは解っている。

謝らないで欲しい)


(じゃ、ちょっと待っててねっ)曲空。



――長老の山、上空。


 薫風は回復の祠だけど、

 あとは回復系の竜宝も持って行こ~


 あ♪ 新しい祠が出来てるね~

 じゃ、結界も張らなきゃ。


(サクラ、複製が消えちゃったわ)


(あ……すぐ行くっ)曲空。



――魔竜王城。


「ラン~♪」「本物?」「本物だよぉ」

「区別つかないんですもの」「そぉ?」

「疲れてるんじゃない?」「ないない」


「天界とか地下界に居て、ここの複製を保つのって大変なんでしょ?」


「だいじょぶだよ~

さっきは、ちょっと考え事してて、気を抜いちゃっただけだよ~」複製 作る。


「この近さなら執務もできる~♪」

複製は机に向かった。


「ランこそ疲れてない? だいじょぶ?

ひとりで頑張りすぎてない?」


「大丈夫よ♪ 複製でもサクラが いつも傍に居てくれるんですもの。楽しいわ♪」


「あと少しの辛抱だからね……」


「うん……」


(一緒に居たいから……俺、頑張るからね)


(うん。でも、無理しないでね)




♯♯ 最高神殿 ♯♯


 最高神と隠居神が対峙していた。


【ディアナ様! その術は、なりません!】


【禁忌ではありませんよ?】


【ですが……】


【闇の神を封じるには、この術しかありません。

滅する術は、最高神様にお願いするより他にありませんが――】


【封じる為の術も、私にお任せください!】


【いいえ、この戦は、私達の戦です。

私が封じなければならないのです。


二人の闇使いの天竜を見て、確信しました。

今こそ好機なのです。


この戦を終わらせるには、この術しかないのです。

私にしか成せない、この術しか】


【しかし……それではディアナ様も――】


【解っております。

その上でのお願いなのです】


【最高神であられた貴女様に、そのような――】


【私から最高神を継いだのだ。

お前にもディアナ様の想いは解るであろう】


【ゴルチル様……】


【現最高神である、お前が決める事だが……

私も共に行くのだ。

その術の為、ディアナ様の御望みを叶え、御力を戻してはくれまいか?

この戦と共に、ディアナ様の御苦しみも、終わらせてはくれまいか?】


【……わかりました】


悔しさを滲ませ、項垂れたままの最高神が杖を振ると、魔法円が現れた。

【ディアナ様、中央へ……】


術を唱える――


その頬を涙が伝った……


【最高神に与えられし力を以て、ここに……失われしディアナ様の御力を呼び戻し、新たなる翼と光輪とを成す!】


魔法円が輝き、無数の光の球が飛来する。


復輝降臨(フッキコウリン)!!】


輝きが魔法円の中央へと吸い込まれ、若く美麗なる女神が現れた。


【泣かずともよいのですよ。

私が望んでいるのですから】


【ディアナ様……】


【私の願いを叶えてくださって、ありがとう。

最高神カルサイ様】


【貴女様に、そうお呼び頂くなど……畏れ多き事にございます】


【どうせ、夫婦揃って、息子も孫も一緒に行くのであろう?

御護りするだけだ。そうではないか?】


【はい。ゴルチル様】





 カルサイ様は現最高神でした。

キンの絆神ゴルチル様が前最高神。

新たに登場の女神ディアナ様も、

かつての最高神のようですね。



凜「何方がイチバン偉いんですか?」


始【だいたい古い程、偉そうにしてるな】


凜「これでやっと王子達の絆神様が

  揃いましたね~

  まとめると――」


 絆竜  絆神

――――――――――

 キン  ゴルチル

 ハク  ビスマス

 アオ  スミレ

 クロ  オニキス

 アカ  金虎

 フジ  アメシス

 サクラ ヒスイ

 静香  オパルス


凜「これでいいですか?」


始【だな】


凜「シルバコバルト様、ゴルチル様が

  偉~い神様だって判りましたけど、

  他の絆神様は、どうなんですか?」


始【オッサン(ゴルチル)鍛冶屋(金虎)は大神。

  筋肉(ビスマス)は中堅神。

  残りはヒヨッコだ】


凜「シルバコバルト様は?」


始【大神に決まってるだろ!】


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