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三界奇譚  作者: みや凜
第四章 魔界編
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羽座魔1-肩慣らし

 魔界編、始まります。


「じゃ、アオ兄♪ せ~のっ♪」曲空♪


人界・ハザマの森入口から、森の真ん中へ――


アオとサクラは、馬車をそっと降ろした。


「みんな、ここで体を慣らしてね~♪」

「新たな力の限界を確かめてください」


皆、思い思いの方向に散って行った。


「アオ兄、これから どぉするの?」


「竜人用の鍵竜宝を貰って来るよ。

その後は、少し探したい物が有るんだ。

サクラ、クロと姫を頼んだよ」


「うん、じゃあ追いかける~♪」

(クロ兄、姫、気の調整だいじょぶ?)


(いや、助けてもらえるか?)(うんっ)曲空。



――すると、姫が横たわっていた。


「目を閉じててね」光を当てる。


「すまぬのぅ……」


「姫は感覚が鋭いから、酔っちゃったんだよ。

すぐ慣れるからね~」

(フジ兄、ちょっとお願い~)


フジが現れた。「薬ですね。どうぞ」差し出す。


「姫、飲める?」「うむ……甘い♪ 美味じゃ♪」


「水薬を甘くしてみました。

クロ兄様、持っていてくださいね」渡して曲空。


「姫、体が慣れるまで寝ててね」



(寝たのか?)


(眠らせたの。治癒の一効果だよ)


(なぁ、サクラ……オレ、迷惑かけてるよな……)


(何 言ってるの?

そりゃ、早く天性を使い熟して欲しいけど、迷惑とかぜんぜん無いからね)


(やっぱり、いつものサクラはフリなんだな?)


(ん~~……わかんない……

前は確かにフリだったんだけど……

なんか抜けなくなっちゃって~

それに……急に変えるのも恥ずかしいし……

なんか……怖がられるから……)


(こないだ――大婆様と話してたアレは、まだ隠すって事か?)


(やっぱり見てたんだ……

あれは……アオ兄の真似だから……

たぶん……あれは俺じゃないよ……

フリな俺の方が、ホントは俺なんじゃないかって、最近 思うんだ。

最初はホントに頑張ってフリしてるつもりだったんだけどね)


(ふ~ん……

アオを護る為に、やり始めたんだよな?)


(全部 俺のせいだからね……)


(そーゆートコ、ホント、アオそっくりだな)


(おんなじなんだよ。

アオ兄と俺は、元々『ひとつ』だったからね)


(どういう事だ?)


(ガーネ様――スミレとヒスイの父上が、母上に宿った卵を、最初に術で増やせたのは五つなんだ。

でも、どうしても七つ以上必要だったから、一番 生命力が強かったキン兄を半分に分けて、他の兄貴達から少しずつ貰って、出来た卵を更に二つに分けたのが、アオ兄と俺なんだ。

だから同調してしまう。『ひとり』だから)


(キン兄って、半分で、あんなに強いのかよ~

それに、お前ら、更に半分って……)


(アオ兄と俺は、ガーネ様が作った命で、キン兄の力を貰ってて、ヒスイの光輪と翼、それと沢山の竜宝が込められてるんだ。

キン兄の命も、保つ為に、竜宝いくつかとベニ様の天性と欠片が込められたんだ)


(ベニ様の天性って?)


(昇華。自分の力を一時的に高めるんだ)


(アオとサクラの天性って?)


(キン兄から貰った治癒は二人共。

アオ兄は、神眼も少し貰ってる。

二つに分けた時に発生したのが、アオ兄の光明と、俺の闇障。

あとは竜宝の力だよ)


(少し貰った神眼が、あの湖かよ……)


(クロ兄のは海だったでしょ)


(そっか。知ってるんだよな。

待てよ……皆、天性が複数なんだよな?

って事は……少しずつ取った代わりか?)


(うん。だから俺達なら魔王を倒せる。

そう信じてるんだ)


(そっか……うん! オレも頑張る!)立ち上がる。


(どこ行くの?)


(風に乗ってくる! 姫を頼む!)飛んで行った。




 サクラが姫に光を当てながら、兄達の様子を見ていると――


(言い忘れたっ!)


(何っ!? 唐突なんだからぁ~)


(どう作られようが、何があろうが、オレ達は兄弟だ!

七人兄弟なんだからなっ!)


(ありがと……クロ兄……)うるうる……



♯♯♯



(サクラ、そっちは、どうだい?)


(姫が、ちょっと酔っちゃったけど、みんな順調だよ~)


(そう。天界に来れる?)


(うん。クロ兄、飛んでっちゃったから、戻ったら行けるよ)


竜綬(リュウジュ)が、もう少し掛かるんだよ。

クロ待ちで丁度いいかもしれない。

工房に取りに来てくれるかい?)


(うん♪

アオ兄、探し物 行っちゃうの?)


(うん。

その前に、爽蛇が『蛟の村』に行きたいって言っているから、送るつもりだよ)


(蛟の村?)


(昔、蛟族が住んでいた村がハザマの森に在るんだよ。

場所はカリヤ殿に聞かないといけないんだけどね)


(あ♪ ハザマの森(ここ)の村の跡かぁ~♪)


(そうか。

天界に在る村のどれかだと思ったんだね?

それじゃあ、頼んだよ)


(うん♪ まっかせて~♪)



♯♯♯



「姫、だいじょぶ?」


「うむ……もぅ大丈夫じゃ♪」キョロキョロ。


「クロ兄、風に乗ってくる! だって~

気を調整しよっ」にこっ♪


「おぅよ♪」


「自分では掴みにくいでしょ?」

姫の額に掌を翳す。

「ゆっくり高めてね~、朱鳳(アケミトリ)に込めて~

炎を放って!」


「うむっ!」炎の召喚竜が飛ぶ。


「さっすが~♪」


「何やら……同じよぅな事があったのぅ……

あ! 島で舞踏を習ぅた時じゃな!

サクラは真、優しぃのぅ」


「やめてぇ~」照れる~


「それに、いろいろと知っておるのじゃなぁ」


「もぉいいからぁ。

次、風の竜、出してねっ」


また掌を翳し、姫が気を高め――


風の召喚竜が天に昇る。


「出たねっ♪ いい調子~♪」


「のぅ……サクラは、額を付けずとも、気の調整が出来るのじゃな?」


「俺が くっつけたらタイヘンでしょっ。

クロ兄、なんで隠れてるの?」


「あ、いや……任せといた方がいいかな~と……」


「いいワケないでしょ!

俺、行くからね~」「待てっ」「なぁに?」


「ちょっと見てくれねぇか?」


掌 翳す。「うん。神眼 開いてきたね~」


「それだけかよっ」


「その調子で がんばって~」曲空。


(待てって!)(すぐ戻るから~)(すぐだぞ)


「クロ兄、なぁに~?

姫、万装甲(バンソウコウ)と交換しよっ」


「これか?」


「うん♪ クロ兄、コレ。

首飾りの竜鱗璧(リュウリンヘキ)に、しっかり結んでね」


「何だコレ?」


「竜綬、護竜宝(ゴリュウホウ)の仲間だよ」


「ふ~ん……」姫の首飾りに結び付ける。


「地下界への鍵なんだよ。

竜は鱗と護竜宝が必要なんだ」


「何でも知ってるんだな……」

「竜宝の王として当然だよなっ♪」


「ハク兄、それ、やめてってばぁ」


「教授♪ 博士♪ どれならいいんだ?」


「王? 教授? 博士? 何だソレ?」

「もぉ~っ! ハク兄、何しに来たのっ!」


「サクラ、ちょっと見てくれよ♪」


「なんで俺なのっ!?」


「サクラだから~♪」ハクとクロ、ニヤニヤ。


「俺、忙し~のっ!」ぷいっと曲空。


「おい、待てよっ!」追いかけ曲空。


「オレもまだだっ!」聞くため曲空。


「ワラワもじゃっ♪」もちろん曲空。




「サクラは、どこに行ったんだ?」

「気が消えたな……」

「サクラ~、何処じゃ~?」




――の少し前。


【如何なさいましたかな? 我等が王よ】


「ちょっとね~♪ 祠にっ♪」曲空♪



♯♯♯♯♯♯



琉蛇(ルーダ)さん、ここが、貴女と初めてお会いした場所です」


「蛟の村……なのね?」


「はい。ご両親のお墓は、こちらです。

危険な場所ですので離れないでください」


「はい……」


琉蛇は警戒しつつ前を歩く背を追った。



♯♯♯♯♯♯



(爽蛇は無事に蛟の村に着いたね。

じゃあ、探しに行こうか)


(アオ、何を探そうとしているのだ?)


(魔王作、闇の歪みを作る鏡だよ。

魔王の鏡達は大半が話してくれなかったからね。

自力で探るしかないんだ)


(魔王の鏡達は、話せる程の力を持っていないのか?)


(どうだろうね……

話せないのか、話さないのか……

魔王の意志を継いで、俺とは話したくないのかもしれないし、封じられているのかもしれないよね)


(ふむ。どちらも可能性が大有りだな)


(ま、とにかくアカの暗室に行こう)曲空。





凜「羽座魔?」


青「昔、ハザマの森は、三界の神を象徴する

  文字を当てていたんだよ。

  天神様の鳥の翼のような『羽』、

  人神様の御居姿から『座』、

  魔神様の閻魔の『魔』なんだよ。

  その、もっと前は『間の森』だったんだ」


凜「へぇ~

  で、ここで体を慣らすの?

  王子達は、もう地下に行ってたのに?」


青「フジは行っていないし、姫と慎玄殿は

  竜人になったばかりだからね」


凜「そっか。で、その間に探し物?」


青「そのつもりだよ」


凜「爽蛇は、なんで蛟の村に?」


青「お墓参りだとか……でも、あの場所で、

  ずっと前に何かあった気がするんだよね。

  引っ掛かっているんだけど、どうしても

  思い出せないんだ」


凜「また、封印されてるの?」


青「そうかもね。違和感が大きいから」


凜「平然としてるのねぇ。

  封印され慣れちゃってるの?」


青「かもしれないね」ははは……


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