表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
268/429

次への6-竜人になるぞ

 前回まで:魔界で見つけた結心(ユウジン)の矢が

      修復されました。


(アオ兄、クロ兄の神様って、女神様?)


(いや、オニキス様は男神様だよ)


(オニキス様!?)


(俺達が御名前を呼ぶから、気になっていたそうだよ)


(ふ~ん……それで……)


(でも、まだ何かありそうだよね)


(アオ兄も、そぉ思う?)


(うん。何か……繋がりを感じるんだよ)


大婆様の両側で、竜の側の術を唱えながら、アオとサクラは話していた。


ハクが結心の矢を放つ。


輝きが飛来した。


(うわ~♪ 磊蛇(ライダ)さんみたい♪)


(そうだね。また筋肉質だね)


ハクの執事長・磊蛇も、護竜剣(ゴリュウケン)も筋肉質な武闘派。

そして神までもが――と、兄弟皆、笑いを堪えていた。


【我が名はビスマス。

我が力、存分に使われよ】


合わせていた右手をガシッと組み、ニヤリ。

離したと思ったら、拳を合わせた。


【良い絆を得た!】「よろしく頼む!」


熱くて上機嫌な二人を眺めていると――


(アオ、サクラ、今よいか?)


(どぉしたの? 姫。

クロ兄なら、もぉすぐ馬車に行くよ)


(いや、二人に相談なのじゃ)


(クロには知られたくない事なのかい?)


(そぅではないが……

二人の方が詳しぃと思ぅての)


(またヤキモチ妬くから、内緒の方がいいね~)

(そうだね。それで、何だい?)


(竜人になるには、如何にすればよいのじゃ?)


(なりたいの?)(人に戻る事は出来ないよ?)


(出来る事ならば、竜になりたいくらいじゃ)


(いつがいい?)(竜宝は有るからね)


(今すぐにでも!)


(本当にいいんだね?

クロにも伝えるよ。いいかい?)


(クロにはワラワから伝える)(そう)(ん♪)

             (クロ、よいか?)

(じゃ、箱 借りてくる~)赤虎工房へ。

               (何だ? 姫)

「大婆様、竜醒(リュウセイ)の術をお願い致します」


「静香殿かの?」 (ワラワは竜人になるぞ♪)


「はい。支度致します」蔵へ。  (いつ!?)


箱とサクラが現れる 。 (今からじゃ♪)出る。


「姫……本当にいいのか?」


「クロと、ずっと一緒に()る為じゃ♪」


「姫っ♪」ぎゅっ♪ 「クロ……皆が見ておる」

「あ……すまん……」離れる。「うむ」真っ赤。


「大婆様、突然 申し出まして、誠に申し訳ございませぬ。

ワラワは、すぐにでも竜人となりたいのでございまする。

どぅか宜しくお願い致しまする」


「静香殿、我等は歓迎より他にはございませんが……よろしいのですね?」


「はい。人には戻れぬ事も存じておりまする。

その上で……

ワラワは竜になりたいのでございまする!」


「そこまで竜を……ありがとうございます。

それでは始めましょうかの」にこにこ


姫が振り返ると、アオとサクラが魔法円を描き終えていた。


「兄貴達~♪ 神以鏡(カムイキョウ) 配るから、個紋の上に立ってね~」

「姫は真ん中だよ。キュルリ、手伝ってね」


魔法円の中央に立った姫の頭にキュルリを乗せた。


(神以鏡が光ったら、姫の周りの鏡に光を当ててください)

(クロ兄、領域供与ねっ)(おう)


大婆様が術を唱え始める。


掲げた神以鏡が、次々輝き始める。


姫の周りに配した竜醒鏡に、神以鏡の光が反射する。

その光はキュルリに集まった。


キュルリの輝きが姫を包む。


六人の絆神とカルサイが現れ、光を足した。


術の終わりと共に、輝きは全て姫に吸い込まれた。


きゅるるっ♪


キュルリが、姫の目の前をふよふよ飛び、差し伸べた姫の掌に乗った。


「して……終わったのか?」変わったのか?


「うん♪ 姫、だいじょぶ?」


「うむ……何とも無いぞ。

本当に、竜人とやらになったのか?」


「ん~とね~」出て行き――


大きな本棚を担いで現れた。


「はい♪ 持って♪」ぽいっ♪


「わわわっ! 何をするのじゃっ!」受けた。


「ねっ♪」「およ? これは……軽いのか?」


「竜と同じ力だよ」にこっ「竜人だからね♪」


アオが本棚を受け取ると、姫は大婆様の前に弾んで行き、

「ありがとうございまする!」ぺこりっ


「長きに渡る人と竜の懸け橋。

どうか、よろしゅうお願い申し上げます」


「しかと、お引き受け致しまする」

クロが並び、一緒に頭を下げた。


「姫、人界と行来する為の竜宝、竜鱗璧(リュウリンヘキ)だよ」

「竜の鱗の代わりなんだ」首に掛けた。


「真、竜の鱗のよぅじゃのぅ」


「竜は竜体でなければ、天界と人界との境界を越える事が出来ないんだ。

だから鱗を持たない竜人は、越えられないと言われていたんだよ」


「もしかしてお前ら、コレ持ってるのか?」


「うん。どぉして?」「よく気づいたね」


「お前ら、ちょいちょい人姿のまま曲空しまくってるだろ?」


「当たったから、クロ兄にも あげる~」


「おっ♪ ありがとなっ、サクラ♪」


「皆の分は、明日 配るからね。

アカ、ありがとう」


「なんだよ~、配るつもりだったのかよ」


「当然だろ?」


「もぅ、あの箱に入らずともよいのか?」


「うん♪ あれは人専用だからね~」


「曲空もよいのじゃな?」「もっちろ~ん♪」


姫が消え、再び現れた。


「よぉし! ワラワも魔界に行くぞ!」


「クロ兄♪ 姫、できる事 増えてるハズだから、がんばってね~」


「姫っ、薫風の祠に行くぞ!」「おぅよ♪」

二人は曲空した。


「次の矢は、明日の昼だ」アカも消えた。


「アカ兄様も曲空を……?」


「うん。小器の壺に、曲空だけ入れたんだ。

掌握あるから、できるかな~って。

フジ兄、今日の魂主、連れて行くから、待っててね~」竜宝の国へ。


「では、お先に失礼致します」屋敷へ。


「んじゃ、城に♪」アオを掴む。

「ふむ、そうだな」同じく。


「大婆様、失礼致します」苦笑を浮かべ、

三人、礼をしたまま曲空。




 少ししてサクラが戻って来た。

姫を運んだ箱を赤虎工房に返す為であったが――


「サクラ、近ぅ……」


「大婆様、如何なさいましたか?」

泰然と大婆様の前に立ち、流れるような所作で一礼すると、落ち着いた声で言った。


「兄達の天性は、順調なよぅじゃのぅ」


「はい。ようやく、クロ兄様も目標が掴めた様子に御座います」


「よかったのぅ……じゃが、無理は禁物じゃよ。

不十分なまま挑んでも勝てぬからの」


「はい。心得ております。

お気遣い、ありがとうございます。大婆様」


「兄達の事は、サクラに任せる他、無いからのぅ。

よろしゅう頼むぞ。

して、アオの具合は如何じゃ?」


「もう、ご心配なさるような事は全くございません。

ルリ姉様が支えておりますので――」


サクラがサッと振り返った。


「あ……オニキス様、如何なさいましたか?」


【お願いがあって参りました】礼。


「では」サクラが去ろうとすると――


【サクラ様も、お聞きください】


大婆様が頷く。サクラは横に控えた。


「竜の我等に如何な御用でございますか?」


【はい、私の妻が神と成りましたので、

真祐(シンユウ)の絆を結ばせて頂きたいのです】


「もう、キンしか残っておらぬが……」


【王太子様には、もっと高位の神が相応しいと存じます。

先程、竜人と成られました静香様と結ばせて頂きたく、お願い申し上げます】


サクラは控えたまま一礼すると、立ち上がり、扉に向かって行った。


「クロ兄、姫、隠れてないで~」扉を開ける。

「わわわっ!」クロと姫が転がり込んだ。


「もちろん受けるよねっ♪」


「何を、なのじゃ?」


「竜の神様が、姫と友達になってくれるって♪」


「真か!?」


「うん♪ クロ兄の神様の奥様だって~♪」


「あちらの御方か?」「――の奥様だよぉ」

「あちらは(おのこ)かっ!?」「うんっ♪」


クロが飛んで行った。

「ありがとうございます! オニキス様!」


「姫、行こっ」「オニキスじゃと!?」

「みんなで呼んでたから来てくれた~」

「然様か……摩訶不思議な御縁じゃな」


【成ったばかりの神ですが、どうか宜しくお願い致します】


「ワラワも竜人になったばかり。

どうかよろしくお頼み申す」ぺこり。





 船に乗っていた頃、竜使いクロの竜が

オニキスでした。


ハクの竜がシルバスノー、

フジの竜がウィスタリア、

サクラの竜がミルキーチェリー、

そんな名を付けてました。


 磊蛇(ライダ)は、ハクの屋敷の執事長です。

王子達の執事長の中では唯一の武闘蛟で、

クロが子供の頃、ハザマの森で迷子になった時に

ハクと一緒に駆けつけた蛟が磊蛇なんです。



凜「他の兄弟のも名付けてたの?」


桜「うん♪ フジ兄と考えてた~♪」


凜「教えて教えて♪」


桜「キン兄がゴルドシャイン、

  アオ兄がラピスラズリ、

  アカ兄がカーマインだよ~♪」


凜「なんかカッコいい~」


桜「でしょ♪」


凜「執事長さん達も、けっこう出てきたよね」


桜「あとキン兄トコの恒蛇(コウダ)さんと、

  アカ兄トコの蓮蛇(レンダ)さんと、

  俺トコの鈴蛇(リンダ)が出てないかな?」


凜「執事長さん達の話は、この章の

  オマケにするね」


桜「くノ一さん達も、人界に残っちゃうよ?」


凜「じゃあ、それも♪」


桜「紫苑さんと珊瑚さんの話も

  妖狐王様に会った後、書いてないよ?

  次で書くの?」


凜「それも、オマケかなぁ……」


桜「オマケだらけ~

  まだ大陸編、終われないんじゃない?」


凜「う……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ