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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
267/429

次への5-アサギ復活

 アオとサクラは、竜宝・魔宝達から話を

聞きつつ、実は癒されています。可愛いので。


♯♯ 竜宝の国 ♯♯


(アオ、サクラ、深蒼の祠に来る事が出来るか?)


竜宝・魔宝の魂達から話を聞いていた二人の王(アオとサクラ)をキンが呼んだ。


(はい。すぐ行きます)


(私達は王の謁見が終わり次第、祠に向かう)


(解りました)

「皆、すまない。呼ばれてしまったんだ」

「また来るからね~」


【はい。

お忙しい事は重々承知致しておりますので】


【ご無理なさいませぬよう】


【今日はお聞き頂き、ありがとうございました】


「みんな♪ ありがと~」

「聞いた事、ちゃんと考えるからね」


【はい。お気をつけくださいませ】一斉に礼。


アオとサクラも頭を下げ、曲空した。



――深蒼の祠。


 アサギがシロと話していた。

アオとサクラが現れた事に気付き、

「私を助けてくれた王子だな」微笑んだ。


「良かった……」

アオは呟き、二人は光を当てている神達に、深く頭を下げた。


「兄上、孫のアオとサクラです」


「孫か……改めて時の流れを感じるな……

アオ、サクラ、ありがとう」


「見つけましたのは偶然でございますので、そのような……」


「二人には本当に感謝しているのだ。

だから、私が知り得た事を話したい。

それが最も私の気持ちを表せられそうだ」


「ありがとうございます!」


「私をあの空間に閉じ込めたのは魔王だ。

時の経過を考えると、先代なのかも知れぬが――

魔王は、私を依代にしようとして失敗したのだ。


その時、垣間見た魔王の記憶では、初代魔王は、闇を産み出した時の反動で、二度と産む事が出来ぬよう、呪を受け、『産む者』つまり女性を依代には出来ぬようになったらしい。

全てに於いて拒絶――そう拾ったのだが、『全て』が、他に何を意味するのかは、私には分からない」


「という事は……初代魔王は女性なのですか?

そうなると、以降は子孫ではないのですね?

しかも全て男性……それなのに、何故その呪は代々受け継がれているのですか?」

(サクラ、落ち着いて)(あ……)


「初代魔王は女性だ。神界を追放された堕神だ。


神――つまり、既に身体は無いし、呪も受けているから、追放以降に子を産む事は出来なかっただろうが、神と成る前に産んでいた子らの子孫から、適する男子を拐い、闇に染め、次代の魔王にしているようだ」


「子孫なのか……

闇に染めた時に、呪も引き継がれるのか……

そうなると、二代目以降の魔王は、自分の意志で戦っているのではないのか……」

(サクラ……)(あ、つい……)

(珍しいな♪)(ルリ姉までぇ)


「『初代魔王の影』そう言う事が出来るだろう。

闇に染めた神竜を、無理矢理 神にする事で、魔王は強大な力を得るが、同時に不安定な存在となってしまう。

だから、どうしても依代が必要なのだ」


【属性の光と闇は……『昼と夜』と言い換える事が出来ます】


【つまり、どちらが良い、悪いと、いうものではありません】


【ですので、お二人のように、両方をお持ちでも、不安定にはなりません】


【しかし、魔王の闇は……恨みや憎しみなどの、負の感情と渾然一体となっている為】


【神竜が持つ『祝福の光』とは、反発してしまうのです】


アサギに光を当てている神達が補足した。


「アサギ様は、その秘密を知ってしまったから、あの空間に閉じ込められたのですか?」


「そうだろうな」


「アサギ様も、蒼月で女性になった事が、おありなのですか?」


「閻魔族に会いに行こうとしてな。

いや、あの時は驚いたよ」笑う。


アサギは、光を当てている神達を見回した。

「あの頃は、神竜の協力なんて、夢のまた夢だったのだ……

いや……そう、決めつけていただけなのだな……」



 王と王太子達が来た。

シロがアサギに紹介する。


「そうか。王太子は他に居たのか……

王達よ、安心しろ。私は譲位するからな。

王族会が消滅したのだから、好きに暮らせるのだろう?」

すこぶる嬉しそうだ。


「兄上、『好きに』ではなく、次代の育成やら、いろいろと成すべき事が――」


「王より、ずっと楽しそうな事ばかりなのは聞こえていたのだ。

長老の山とやら、早く行きたいものだ」笑う。


「これからの百年は三王で、と議会の承認を得た所なのですが……」

戸惑いを隠せないコハク。


「折角だから、譲位までの数日ならば座ってやるが、王なんぞに戻ってしまったら、閉じ込められた恨みは晴らせぬからな」

どこまで本気で言っているのか、豪快に笑う。


「兄上っ! もしや戦いに――」


「勿論、行くつもりだが」何か?


「まだまだ療養が必要ですっ」

四王子が声を揃え、医師章を見せた。


「わっ! 皆、医者なのか!?」


「兄上……ですので、おとなしく……」


(キン兄さん、いつの間に?)

(つい先程だ)

(ハク兄も金色?)

(一緒に受け直したんだ♪)

(マグレ?)

(あのなぁ、俺だって本気出しゃ――)

(クロの頑張りに感化され、猛勉強だ)

(兄貴ぃ、バラすなよぉ)


「王子達、安心しろ。後方支援だ。

前線は任せたぞ」わははははっ「ん?」


 モモとフジの先導で、神竜達が光を当てつつ、寝台を運び込んで来た。

寝台をアサギの横に並べ、ゆっくり降ろす。


「トキ!?」


「アサギ……」涙が伝う。


「鏡の空間から救出された方々の中にいらっしゃいました」

「薬を配っておりましたら、個紋が浮かび、意識が戻られましたので、お連れ致しました」

モモとフジが微笑み、礼をした。


「ずっと……一緒に閉じ込められていたのか……」


「兄上、止まっていた時を進めましょう。

婚儀の支度はお任せください」


クロとムラサキが、アサギとシロの両親を連れて曲空して来た。


(サクラ、矢が光っている)(すぐ行くねっ)

サクラが消え、直後、アカを連れて来た。


「揃ぅたのぅ……」

両親とアサギが落ち着くのを待ち、シロが、改めて王子達を紹介した。


「七人も居るのか……凄いな……」


「凄いのは人数ではなく、その能力です」

シロの孫自慢が始まり、王子達は恥ずかしさでモジモジ、視線が彷徨う。

それを見て、王達はクスクス笑っていた。


「いい空気だ。

生きていて良かったと、心の底から思う」

アサギがしみじみと言い、目を閉じた。


「お爺様、そろそろ参りましょう」


「ん? ああ。そぅじゃな」


「アサギ様、騒ぎ立てまして申し訳ございません。

それでは、失礼致します」


「あ……

そういう意味で、目を閉じたのではないぞ」


「解っておりますが、そろそろお休み頂かねばならないのも事実でございます」

医師達が頷く。


「病人扱いしおって――ん? ベニ……の娘か?」


【えっ……】(姿 見せてたの?)【いいえ……】


「そっくりだな。近くに来てくれないか?」


【はい。伯父上様】


「まさか……神なのか……?」


【父が神竜でしたので……】


「話を聞いてもよいか?」


【はい】光を当て、話し始めた。




 王と王子達は、祠の外に出た。


「アサギ様の儀式について詰めたいのだが、キン、ハク、アオ、時間は有るか?」


「俺も、ですか?」


「諸々の儀式の取り纏め役だからな」ニヤッ


「仕方ありませんね……それでしたら、先に大婆様に報告したいのですが。

それに、虹紲(コウセツ)も行いたいので、その後でよろしければ」


キンとハクも頷く。


「うむ。夜でいい。

ただし、解っているな? アオ」


「許可は得ていませんね……」ため息。


「おいおい、呼んでおいて、それはないだろ」


「いいじゃないか、コハクも見たいだろ?」


「私は、甥でも姪でも可愛い、それだけだ」


「俺だけ悪者みたいにぃ」


「その通りだろ?」


「コハクも喜んでたじゃ――」「父上っ!」


「ん?」見回す。「どこ行ったんだ?」


「兄貴達、大婆様の所に行きましたよ。

城に送りますから」二人の手を取って、曲空。



――ギンの執務室。


「俺も行きますのでっ」手を離す。


「待てっ! サクラも夜、来いよ」


「なんでぇ?」


「アオと一緒に行動してるんだろ?」


「ずっとじゃないし、忙しいのっ」曲空。


「……確かに、王は不自由だな……」


「誰かが、やらねばならんのだ。諦めろ」

コハクはギンの肩をポンッと叩いた。




♯♯ 赤虎工房 ♯♯


「赤虎、帰ったと思ったら、また出掛けるの?

それなら、後にしようかな……」


「いや、構わぬ」


「そう? それなら……」掌を開いた。

「この大きさで、どうだろう?」


「そんなにも小さく……流石だ。

試したい。それを預かっていいか?」


「試すなら全てだね」

懐からも出し、五つ渡した。


「直ぐに返す」


「いや、また作るよ。それは少し大きいからね。

ああ、そうだ。

装飾品に加工するなら幺月(ヨウゲツ)を連れて来るけど?」


「頼む」


「何がいい?」


「そうだな……心臓に近い方がいい。

首飾りで頼む」


「では、任せて。ひと晩あれば十分だから」


「しかし、家は遠いのだろう?」


「大丈夫」曲空。



「ね?」ふふふっ♪

「幺月、親友の赤虎だよ」


「はじめまして、赤虎様。

お噂は耳に致しております」


アカが礼を返す。「子供は?」


「父に預けたよ」


「連れて来ればいい。御父上様も」


「ありがとう。皆で居候してしまうよ?」


「構わぬ」フッ……





凜「アサギ様、トキ様、

  ご生還おめでとうございます」


浅「ありがとう。まさか生きて帰れるとは、

  思ってもみなかったよ」

鷺「現王子様方に感謝するばかりです」


凜「アサギ様は御即位後、トキ様と

  御婚約なさったんですね?」


浅「王族会が煩くてな。

  貴族の娘との婚姻を強引に行うべく、

  ずっと妨害されていたのだ」


凜「もう、その王族会もありませんし、

  お若いままですし――って、そういえば

  何歳(おいくつ)なんですか?」


浅「シロが1230歳だとか言っていたから、

  1280歳だが、竜体からの推定では、

  500~600歳らしい」


凜「じゃあ、もしかしたらギン様よりも

  お若い……?」


浅「かも知れぬな。妙な気分だ」わはははっ


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