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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
261/429

涅魁北1-簪

 サクラは隠し部屋に保管されていた鏡達とも、

すっかり友達です。

もちろん、魔王作の鏡も、です。


♯♯ 人界 ♯♯


「アオ兄、ここは?」雲の上~♪


涅魁(ネカイ)の国、氷神子(ヒミコ)山だよ」


「鏡達が言ってた『北の果ての山』だねっ」


「たぶん、この山だと思うんだ」


「『凍ったままの湖』探そ~♪」降下。



――――――



 隠し部屋に歴代魔王達が保管していた鏡達の話では、古の人々が使っていた地上と地下の人界を繋ぐ通路は、魔王達に依って(ことごと)く破壊されており、


北の果ての山の麓に在る、

『永久に凍ったままの湖に浮かぶ洞窟』が、


唯一、魔王に発見されずに残っている通路だという事だった。



――――――



「どこまでも雪原だね」「さむぅいぃいぃ」


アオがサクラに、光の球を優しく投げた。


「あったかぁ~い♪ ありがと♪ アオ兄♪

その光、なぁに? 前にも使ってたよね?」


アオが微笑みながら掌を翳す。


「ほとんど治癒なの!?

でも、いろいろ混ざってるんだね~♪」



 二人は山の周りを低空飛行した。



「一周してしまったね。

どうやら湖は、厚い雪で、すっかり覆われているんだね」


「神眼で探そ~」「そうだね」



 慎重に探しながら、もう一周――


「水に水だから見つけにく~い」むぅ


「魔王に見つからなかっただけあって、これは難しいね……」


「クロ兄が早く開けばね~」


(サクラ、どこにいるんだ?)呼んだの?


(クロ兄、どぉしたの?)呼んでないよ~


(ちょっと教えて欲しいんだが――)


(数学ぅ?)(ちげーよっ!)(なぁにぃ~?)

(クロ、こっちに来ないか?)(来て来て~♪)

(一緒なのか?)(ならば丁度良いではないか)

(あ♪ 姫~♪)(んじゃ、そっち行くからな)


「寒っ!!」すぽっ「――くねぇな」

「サクラ、ここは何処じゃ?」


「北の果て~♪ で、なぁに?」


「神眼の使い方でな――どう言えばいいんだ?」


サクラがクロの額に掌を当てた。

「ちょうどいいから、この山の麓にある湖を探してみて~」


「雪しか見えねぇぞ」


「だから、ちょうどいいんだよ♪

雪の下のどこかに、凍った湖があるハズなんだ。

クロ兄の神眼なら、俺達に見えないモノも見えるハズだから」


「雪の下か……」目を閉じて集中――神眼発動!


(サクラ、それはもしや、水の中から水を探すのか?)


(当ったり~♪)


(凍てついた雪と、凍った湖のぅ……)


(地面の水分も凍っているから、俺とサクラでは見つからなかったんだよ)


(アオとサクラに出来ぬ事が、クロに出来よぅ筈がなかろ!?)


(いや。

クロの神眼は、とてつもなく大きな力なんだよ)

(ホントだよ~)


(クロが……のぅ……)


(ちゃんと、ぜ~んぶ開いたら、クロ兄がイチバン強いんだよ)


(真なのか!?

アオとサクラは桁外れじゃろ!?

その上をゆくと!?)


(俺達のは、ほとんど竜宝の力だからね~)


(しかし、使い熟せば、己が力じゃ。

そぅでなくば、ワラワも甲斐が無い)


(ありがとう、姫。

そう言って貰えると俺達も嬉しいよ)


(しかし……クロが……のぅ……)


(姫、手伝ってあげて~)


(何故、知っておるのじゃ!?)赤面!


(なんとなく~)アオとサクラ、にこにこ。


「すぐ戻るから、お願いねっ」

(アオ兄、竜宝の国 行こっ♪ せ~のっ♪)


(ぅわっ! 姫!? 何すんだっ!

アオとサクラがいるだろーがっ!!)

(居らぬ。供与せよ)(あ? おぅ)

(反復供与!)閃光迸る!


(見易くなった。ありがとな)(うむ)


 しっかし……どーすりゃ見えるんだ?


 掘っていく感じで、気の杭を打っていくと――


 雪、雪、雪、雪、雪――分厚いなっ!


 しかも固まってんじゃねぇのか?

 もう、雪なんだか、氷なんだか……


 んじゃ、逆に、

 もっと下から上がってけばいいのか?


 まずは、下に――

 地面から上がればいいよな。


 ――って! 地面どこだぁ?


 どんだけ深いんだろ……この雪……


 ん? もしかして岩盤か?


 って事は……

 微かな土が判らねぇとダメなんだな。


 よしっ!


 どーせ やるなら、供与も利用して、

 姫にも見せられたら、これから使えるよな。


 僅かな違い、見極めて……

 供与と絡めて……


 研ぎ澄ませて、集中して、

 姫の気と合わせて……



クロの内にある何かが弾けた!

連鎖するように次々と――


(あった!)(ワラワにも見えたぞ!)


「ならば――」

朱鳳を構え、炎を竜巻に込め放った!


雪原に大穴が開き、水面が見えた。


「姫♪ すごぉい♪」「どぅじゃっ♪」

「見つけたのはオレだ!」「まぁまぁ」


「姫、コレあげる♪」「簪か?」「うん♪」


「クロ、簪に気を込めて、姫の髪に挿すんだ。

それで解決すると思うよ」


「俺達 行くから~♪ お幸せに~♪」

アオとサクラは湖に向かって降下した。



「とりあえず戻るか」「そぅじゃな」曲空。




♯♯ 神楽の風穴 入口 ♯♯


「気を込めるのか……」めーいっぱい!


「んで、挿すんだな。落ちねぇように――

ん? どうしたんだ?」覗き込む。


「何でもないわっ」ぶんぶんっ


「よし! 落ちねぇなっ♪」満足♪


姫が無言で俯いたまま、背を向けた。


「え? ホントどうしたんだ?」心配 溢れる。

(アオ、姫の様子が おかしいんだ。

あの簪、何なんだ?)


(簪、それ自体には問題無い筈だよ。ただ――)


(何だよぉ。教えてくれよ。頼むっ!)


(中の国では、簪を挿してあげるのは、求婚だから。

ちゃんと雰囲気、作ったのか?)


(えっ!? そーゆー大事なコト!

ちゃんと教えろよっ!!)


「姫っ! 悪かった! ちゃんとするからっ!」


簪を抜き取り、もう一度しっかり気を込める。

『気』よりは『願い』や『祈り』なのかもしれないが――


「こないだは、ちゃんと言ってなかったからな。

今度こそ、正式なヤツだ」


向き合って、しっかり目を見た。


「私、天竜王国・第四王子、クロ=メル=シャルディドラグーナは、生涯、貴女を愛し、慈しむ事をこの簪に誓います。

静香、受け取ってくれるか?」


姫は瞳を潤ませて、コクンと頷いた。


クロは優しく簪を挿した。


もう一度、視線を合わせ――

「オレ、勉強とか大っ嫌いで、考える事っつったら料理の事ばっかで、兄弟の中で一番ダメだけど――


さっきも、簪の事 知らなくて……

せっかくアオとサクラが、わざわざ簪にしてくれたのに、危うく とんでもない大失敗するトコだった。

だから勉強するよ。

必要なんだって痛感したから。


中の国の事も、ちゃんとする。

しっかり知って、考えて、一緒にいい国にしよう。


その後で……子供に殿を任せてからでいい。

竜人になって欲しいんだ。

人にとっては、とんでもなく長い時間だけど、オレと一緒に生きてくれ」


「クロ、ワラワは嫌じゃぞ」平然。

「何がっ!? 何でっ!?」愕然!


「そんな婆になってからなど嫌じゃ。

クロは、まだまだ若いままなのじゃろ?

ならば、すぐにでも竜人になるぞ」


「そ……そこかぁ……」脱力~~


「リリスから聞いておるぞ。

人界に行く為の竜宝が有るそぅじゃ。

それと、卵から竜が生まれるのじゃろ?

二代続けて竜が殿でも良かろぅぞ♪」


「姫……じゃあ、いいのか?

オレと、ずっとだぞ。ホントにいいのか?」


「そんな長い時など、考えた事も無いからのぅ。

先の事など分からぬが……今のところは、クロがワラワのイチバンじゃっ♪」


「姫~っ♪」ぎゅっ♪



――の後は、もちろん……




(クロ……)(何だ? 静香)(幸せじゃ♪)





凜「アオ、サクラ、あの簪は何?」


青「竜宝の塊だよ」

桜「いろいろ組み合わせたの~♪」


青「中心になっているのは神眼鏡だね」


桜「うん♪ 神眼の天性竜宝なんだよ♪

  だからクロ兄の神眼で、姫が見るのを

  助けるんだ」


青「供与と同時発動すれば、あの二人なら

  見えるよ」


凜「でも、確か天性って、

  共有できないんじゃないの?」


桜「フツーできないよ~」


青「でも、クロと姫の同調具合なら、

  あの竜宝達の助けが有れば大丈夫だよ」


凜「同調?」


桜「アオ兄と俺みたいなヤツ~♪」


凜「連動しちゃう、アレ?」


桜「そ♪」


青「まぁ、流石に、一緒に気絶したりなんかは

  しないと思うけどね」


桜「アオ兄と俺のはベツモノだから~」


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