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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
252/429

闇拠点7-複製

 前回まで:アオは、魔人達から、

      とても良い御祝いを貰いました。


魁蛇(カイダ)さん、箜蛇(クウダ)さん、休憩しませんか~?」


「サクラ様っ!? お茶など私がっ!」揃う。


「いいからいいから~♪

クロ兄がご迷惑おかけしております」ぺこり。



――お茶の香りが漂う。


「この香り……

茶葉までお持ちくださったのですか?」


「厨房から拝借~♪」


「是非とも当屋敷の者に御指南頂きたいのですが」

「できますれば、私共の方も――」


「いいよ~♪ 毎日 来るから♪」にこっ♪


「教えに来てくれるのか?」


「もちろん治療だよ~

クロ兄ん家にも寄るね~」


「そっちか……」ため息……


「ね、クロ兄 借りていい?」


「どうぞ」ため息。もちろん安堵の。




 フジの部屋に入ると、フジは机に向かっており、虹藍と姫が、楽しそうに話していた。


「あれ? 姫、どうやって来たんだ」


「そこな箱に入って参ったのじゃ♪」


「なんだこりゃ?」


「人を天界や魔界に運べるんだよ。

クロ兄、明後日、何の日か覚えてる?」


「……なんだっけ?」


「やっぱりね~、婚約の儀だよ。

昨日 言ったトコなのに……

姫、ホントにクロ兄でいいの?」


「まことにのぅ」ため息。


「いやっ、それは覚えてたからっ!

明後日が何日かってのを忘れてたんだよっ」


「それでね、姫。

姫も天竜王族に入らない?

俺もランも、両方に属するんだ」「無視すんなっ」


「ふむ。

懸け橋としては、その方が、しかと動けよぅな。

お頼み申しても、よいのじゃろぅか?」「おいっ」


「もちろんクロ兄も天竜王族のままだよ。

じゃ、これからランの手続きしに行くから、一緒に行こっ♪」

二人の手を取って曲空。


「サクラ!?」


「クロ兄様、追いかけてはいかがです?」


「あ、おう」曲空。



――城のルリの部屋。


「クロ兄、来ちゃったの?

許可もらってないから、ここで待っててね」


姫と虹藍とアンズ(サクラ)は出て行った。


 城だよな……ここ。

 この部屋は、誰の部屋だ?


アオが現れた。「クロ!?」ぱちくり。


「ああ、そうか。姫と来たのか」奥に入る。


「まぁ、そんなところだ。

そっか、アオとサクラの拠点なんだな?」


「正確には、ルリとアンズの部屋だよ」


「スゲーな。もうこんな部屋 貰ったのかよ」


「ああ。エレドラグーナ家の御令嬢だからな」

アオが話しながら、着替えたルリが出て来た。


「そういう設定なのか?」


「いや、正式な手続きをする為に来たんだ」

続いてアオが出て来た。


「おわっ!? なんでっ!?」


「出来たな」「思っていたより扱いやすいよ」


「なんで同時に居るんだよっ!?」


「技だよ。じゃあ行こうか」「うむ」


二人のアオ(?)ルリとアオ(?)は出て行った。




 ギンの執務室には、王、王妃、王太子とアンズ達が居た。


「失礼致します」ルリが入る。


「揃ったな。では――」


「失礼致します」アオも入る。


「え……」全員 言葉を失う。


「お待たせ致しまして申し訳ございません」

「父上、昼間は失礼致しました」揃って礼。


「どっちがアオなんだ?♪」楽しそうなハク。


「どちらもです」「はい、どちらも」


「それで儀式をするのだな?」


「はい、キン兄さん」


「では、各手続きを――」

「お前ら、よく落ち着いてられるな」ギン睨む。


「まあ、掛けたらどうだ?」にこやかなコハク。


アオは王妃の隣に、ルリは女性の並びに着いた。


「確かに、アオよねぇ」しげしげ。


「はい、母上からのお叱りを踏まえ、この技を頂き、よくよく考えまして、この方法に至りました。

これならルリと、きちんと婚儀を行う事が叶います」にっこり


「まあ♪ それは良かったわね、ルリさん」


「はい。御助言、ありがとうございました」


「もうよろしいですか? 父上」キン苦笑。


「技なら技だと言え」ふんっ「進めろ」


「あなた、喜ばしい席ですのに、どうして、そのようなお顔ですの?」


「王子が皆、結婚するので寂しいのでしょう。

お気になさらず進めてください」コハクも苦笑。


アンズ(サクラ)が虹藍に、ルリ(アオ)が姫に説明しながらの署名が終わり、アオが日程を説明した。


王妃が、お茶を用意しているからと女性達を連れて出、男ばかりになった所で――


「ギン、そろそろ機嫌を直さないか?」


「直すも何も、俺は別に――」


扉を叩く軽い音がした。


「署名、終わりましたよ」

モモが書面の束を持って来た。


アオがサッと立ち、受け取る。

「ありがとうございます、モモお婆様」


「母上が直々にお持ちくださったのですか?」


「クロが連れて来てくれたのよ。

ギン、少し、よろしいかしら?」


「あ……はい」連れて行かれた。


「どうしたんでしょう?」「さあなぁ」




「アオ、今日はスミレに会わせてくれて、ありがとう」


「いえ、俺は何も……」


「実はな、サクラの宣詞をした時にも来てくれていたんだが、あの時は幽霊だと思っていたんだ」


「アオ、今スミレ様は?」


「モモお婆様と一緒ですね」


「何 話してるんだろなぁ」


「そこまでは分かりませんが……

こちらに向かっていらしてます」



ギンが戻って来た。モモとスミレも。


「アオ、昼間の暴言……すまなかった」


「いえ、そんな……

俺の方こそ、すみませんでした」

(スミレ、今、父上とモモお婆様には姿を見せているの?)


【いいえ。山ではご挨拶したけれど、あとは消しているわ】


(昼間の事を、お婆様に?)


【私はアオの守護神ですもの♪】うふふ♪


【それにね、本っ当にギンの方がオネショ王子だったんですもの♪】


(スミレにとって、父上って……?)


【ん~、やっぱり弟ねっ。

一緒に育って、私が真ん中。

だから、コハク兄様とギンだったの】


「アオ、スミレがいるのか?」


「あ、はい」


【コハクを連れて行っていいかしら?】


「お部屋でお待ちしますと仰ってます」


「そうか♪」いそいそと出て行った。


ギンが ため息をついた。

「なぁ、アオ。

スミレ様は俺の事、何か言ってたか?」


「いえ、何も」


「今、何を話してたんだ?」


「スミレ様は昨日まで、同腹のヒスイ様を神になさるお手伝いをなさっておられました。

ですので、これからの戦いには、お力添えくださると仰っていたのです」


「それだけなのか?」


「はい。今は、それが最も大きな事ですので」


「本当か?」「ギン! いい加減になさい!」


モモはギンにツカツカと寄り、

「アオは大変な戦をしていて忙しいのよ!

引き留めてネチネチと、情けない!

そんなだから、スミレはコハクを選んだのよ」


 あ……止め刺してしまいましたね。




 ギンは、その後暫く落ち込んでいたが、謁見の為に呼ばれ、執務室を出た。

キン、ハク、アオは、そのまま話していたが、キンとハクがコハクの代理として会議に呼ばれて部屋を出たので、アオも城を出ようと、机上を片付け、立ち上がった。


「アオ様、少々よろしいでしょうか?」

茶を片付けていたマオが呼び止めた。


「構わないけど、そんな深刻そうな顔をして、どうしたんだい?」


「はい。ギン王陛下の事で、お話が御座います」


マオは、ギンだけに話した事をアオにも話した。


「今、俺に話したって事は、今日の父上から闇の反応を感じるんだね?」


「はい。その通りで御座います。

何処で接触されたのかは存じませんが、御様子から、そう判断致しました」


「魔物に遭遇してしまったのか、幹部や影にされていた者の中に闇が残っていたのか――

あっ! 魔竜王国で魔物と戦ったと――そうか!

では、光で浄化すればいいんだね?」


「それがよろしいかと存じます。

時の経過と共に薄れる筈では御座いますが、何事か起こる前に、お願い致します」


「ありがとう、マオ。

これからは俺も気をつけるよ」


「アオ様を苦しめた私なんぞに、そのようなお優しい御言葉を――」


「あれは、マオが悪いんじゃないからね。

解っているから、そんな風に言わないで。

これからも父上をお願いします」


「そのような――あ……これだけは、お伝えしなければ!

ギン王陛下には口止めされておりますが……

陛下は、もしも闇に操られたならば、御自身の御命よりも、アオ様を御護りするよう、強く仰ったので御座います」


アオはギンの執務机を見詰め、ひとつ頷くと、少し潤んだ瞳をマオに向けた。

「大丈夫だよ。何があっても親子だからね」

決意を新たにし、微笑んだ。


そして扉に向かい、マオには背を向けたまま、

「伝えてくれて、ありがとう」


小さく言って扉を開け、


「俺は父上に殺されるようなヘマはしないし、父上を護り抜けるからね。

父上よりずっと強いから」

照れ隠しの軽口を言って、閉めた。





瑠「アオ、回復が遅くなっている。

  休むべきだ」


青「でも、急ぐべきでもあるんだよ。

  俺の勘では、だけどね」


瑠「アオの勘は、ただの勘ではないが……

  それでも、今は効率が悪いぞ」


青「最低限にしておくよ。

  ルリ、ありがとう」


瑠「礼など……当然の心配をしているだけだ」


青「当然……夫婦だから?」にこにこ♪


瑠「……まぁな……」


青「うん♪ 元気になったよ♪」


瑠「気のせいだっ! ちゃんと休め!」


青「うん♪ 後でね♪」


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