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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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闇拠点6-神聖光輝

 長老の山を囲む六祠(竜骨、深蒼、薫風、星輝、紅蓮、轟雷)は、強固な結界を成しています。

アオとサクラは、その外側を十二祠で囲み、結界を強化しようとしています。


「アオ、ルリさん。少し、いいかしら?」


サクラと虹藍を残し、先に大婆様の部屋から出ると、モモに呼び止められた。


「はい、モモお婆様」にこにこ♪


「お城から連絡があって、サクラの成人の儀と同日に、三組の婚約の儀と王族入りも、との事なの。

アオには急だけど……」


「明後日ですか……確かに急ですね」苦笑。


「王太子ではないから、族内儀式になるからと――それに、クロとサクラは、相手方が主ですからね。

それで、急にはなるけれど、皆が集まれるうちに、してしまうことに決めたそうよ。


それでね、ルリさん。

私の実家の養女に、いかがかしら?」


「俺が咄嗟に言ってしまった事を本当に?」


「そうね」うふふ♪


「アンズも、ですか?」


「もちろんよ♪」


「ルリに説明しますので、お待ちください」

(モモお婆様の実家は、エレドラグーナ家。

王族なんだ。

婚儀には、近い親族が、必ず出席しなければならないんだよ。

だから形だけ養女に、と仰ってくださっているんだ。


まぁ、そもそもは何家なのか聞かれて、俺が咄嗟に言ってしまったんだけどね。

だからアンズは、ルリの妹になるんだよ)


(形だけの養女なのか……)


(もちろん、家族が欲しいのなら、そう接してくださるよ。

お婆様のように穏やかな皆様だから、心配は要らないよ)


(いや、やはり死人だからな。

形だけの方が、気が楽だ。

必要ならば、そうして欲しい)


(うん、そうさせてもらうね)

「モモお婆様、よろしくお願い致します」


「こちらの手続きはしておくわね。

書面だけですからね。アオ、署名お願いね」


「ルリの名は、どうなるのですか?」


「姓はカムルだったわね……

そのままにしましょう」にこっ


「ルリ、こうなるからね」書いて紙を見せた。

(ルリ=カムル=エレドラグーナか……長いな)


(結婚すると、更に長くなるよ)書く。


(ルリ=カム=エレ=シャルディドラグーナ……まるで術だな)


(まぁ、書類は俺が書くからね。

ルリは気にしないでね)


(しかし、全て任せきり、というのも……)


(やりたいと思うものは、やってね。

でも……おしとやかなお姫様なんて出来るの?)


(確かに苦手だが、頼りきりも嫌だからな。

きちんと教えて欲しい)


(うん。

なら、出来る限り融合しておくから、勉強して)


(それは気楽でいいな)


(ルリなら、そう言うと思った♪)


「アオ、これから人界に行くの?」


「はい、そのつもりです」

モモが大きな包みを持って来たので、そう答えた。


「お友達の皆さんにもね。

こちらはフジとアカにお願いできるかしら?」


「はい、ありがとうございます」にこにこ♪


 本当に穏やかな表情になったわね。

 ずっと隠していた影が消えて良かったわ。


「ルリさん、アオの事、お願いね?

生きていてくださって、本当に良かった……」


「あっ、いえ、そんなっ、私なんて……

あの……何も出来ませんが、どうか宜しくお願い致します!」


「すでに、アオの笑顔を戻してくださったわ。

ルリさんでなければ、できない事よ。

ありがとう」


アオが真っ赤になってルリに替わった。

ルリも頬を染め俯いたが、顔を上げ――


「何が成せるのかは分かりませんが、私が、まだ存在している意味は、必ず有る筈だと思っております。

アオ様と共に、精一杯、生きさせて頂きます」


そう言って頭を下げた。


モモはルリを優しく抱きしめた。



「それと、これね。

ウェイ教授とリさん達から、お祝いなの。

術技と魔宝。

短時間しかできないそうだけれど、慣れれば時間は延ばせるそうよ」にこっ


「これは……これなら!」「いけるな!」

「ありがとうございます!」二人揃った。


二人の喜び溢れる声に、提案したモモも、幸せに包まれた。



 サクラと虹藍が来たので、兄弟への団子配りを二人に任せ、アオはウェイミンの家に行った。



♯♯♯



 フジの屋敷に行ったサクラと虹藍が見たのは――


魁蛇(カイダ)殿、初等上級一式をお願いします」


「畏まりました、フジ様」


「ちょっ! 流石にソレは――」


「そこからしなければ進みません!」


クロがフジに数学を習っていた。


「あ……サクラ」「虹藍様!?」


「これ、モモお婆様から」

「団子だ♪」「解けるまで駄目ですっ」


「それと~、ランが天竜王族入りしたからね♪」

「よろしくお願いします。

クロお兄様♪ フジお兄様♪」


「え!? 嫁入り!?」

「それはありませんよ。両方ですよね?」


「うん。

俺達、両王族に籍を置いて、二国の懸け橋になるんだ。

だから義妹じゃなくて、ちゃんと妹として、よろしくお願いします」ぺこり。


「ランとお呼びください、お兄様」お辞儀。


魁蛇が箱を抱えて戻って来た。

「こちらで御座います、フジ様」


「魁蛇さん、クロ兄お願いできますか?

フジ兄を休ませないと障るから」


「はい。

こちらから、お願い申し上げたく存じておりました所で御座います」恭しく礼。


「クロ様、箜蛇(クウダ)と共に、お待ち申し上げておりますので、いずれのお屋敷でも、何時(いつ)でもお越しくださいませ」


「クロ様、時には御自身のお屋敷にもお戻りくださいませ」

魁蛇に箜蛇が並んだ。


「ゲッ……来てたのかよぉ」


「さ、クロ様、再開しましょう」二人揃う。


「う……」(なぁ……サクラ、教えてくれよぉ)


(俺、フジ兄に用があるんだよ。頑張ってね~)

「フジ兄、行こっ♪」




 三人はフジの部屋に移動し、サクラは治療を始めた。


「サクラ、その箱は?」


「人を天界にも、魔界にも運べる箱なんだ。

アカ兄から借りて来た。

姫を連れて来ようと思ってね」


「クロ兄様に会わせる為ですか?」


「うん。頑張ってるご褒美かなっ♪

それとね、明後日ランの天竜王族入りもするから、姫もどぉかな~と思って」


「サクラは、いろいろ考えているのですね。

クロ兄様も少しは……」ため息……


「だよね~

だから今、頑張ってもらってるんだけどね」

きゃははっ♪


「そうですね。

クロ兄様は、なぜか解かなくても全問正解しますから、勉強する必要はありませんよね」


「あれね~、天性の無駄遣いなんだよ」


「それは、どういう……?」


「クロ兄の天性は、供与と神眼なんだけど、俺が神眼 見つけた時には、既に隙間が開いてたんだ。無自覚にね」


「それで、卒業は出来たのですね……

クロ兄様らしいですね」ふふふ♪


「クロ兄、気づいてないし、今ヤル気になってるから、迷惑かけるけど、このままにしといていい?」


「いいですよ」にこっ


「でね、フジ兄にはコレなんだ」

箱から器を取り出した。

「このヒトは、唔器呟(ゴキゲン)って竜宝なんだ。

竜宝の魂を運ぶ器なんだよ。

神聖光輝(シンセイコウキ)さん、よろしくねっ♪」


【畏まりまして御座います、我等が王】


光の球が、器から出で、フジの中に入り、再び器に戻った。


「サクラ……これは……

聖輝煌水(セイキコウスイ)より、ずっと強いのですね」


「うん♪ 神様の光そっくりな聖水なんだ♪

これなら、魔王の因子を消す事ができると思うんだ」


「神様の水なのですね……」


「作れる?」


「もちろんですよ」掌に瓶が現れる。


「どう? 神聖光輝さん」


【成功で御座います】


「ありがと♪ すぐ戻すからね」曲空。


「本当に、サクラって不思議で、凄い人……」


「そうですね」ふふっ♪


戻った。「これから、毎日 連れて来るねっ♪」


「そういえば、署名の日に、たくさんあると言っていましたね」


「昔々に絶えてしまったもの。

神様しか使ってなかったもの。

記録されていなかったもの……

いろいろ たっくさん いるんだよ♪

そろそろ体力的にも大丈夫かなって思ったから、試しに連れて来てみたんだ」


「これからの武器なのですね。

ありがとうございます、サクラ」


「これから必要そうなのから来てもらうけど、こんなの欲しいってのがあったら言ってね♪」



♯♯♯



 アオはウェイミンとリジュン、リ姉弟の家を訪ね、礼を言った後、屋敷に帰っていた。


(その箱は?)


(ルリの衣装だよ。頼んでおいていたんだ)


(またヒラヒラか?)


(また、って?)


(城の部屋に有っただろ?)


(ああ。有ったね。

もう少し動き易いものだよ)開けて見せる。


(もっと何とかならないのか?)ため息。


(俺なら十分動けるけど?)自信満々。


(動けないとは言っていない!)


(なら、いいよね♪)集縮に移す。


(仕方ないな……

それはそうと、『術技』とは何だ?)


(うん。魔人が使う魔術の中には、文言が短くて、属性依存なものが有るんだよ。

唱える『術』と、属性依存な『技』の両方を兼ね備えているから『術技』なんだ。

でも、ウェイミンさんが言っていたように、技だと思えばいいからね)


(確かに、技名を思い浮かべる程度の文言だったな)


(ルリの闇障が不可欠だから、やはり技だよね)


(ふむ。アオの役に立てるのは嬉しい……)


(ルリ~♪ 可愛い~♪)ぎゅっ♪


(その崩れた所が見られぬよう、気をつけるのだな)ぷいっ


(大丈夫だよ♪ 隠し徹すから♪)よしよし♪


 いや、漏れ出ていると思うぞ。

 それに……可愛いのはアオの方だ。





桜「クロ兄、フジ兄トコいたんだね~」


黒「あの後すぐにアオが出してくれたんだけど、

  フジに引っ張られたんだよぉ」


桜「ふぅん。

  でも、いっぱい勉強できてよかったね♪」


黒「うん……だなぁ……」


桜「元気ないねぇ」


黒「頭に入んねぇんだよな~」


桜「ほえ?」


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