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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
250/429

闇拠点5-外周十二祠

 前回まで:影と幹部にされていた方々から

      魔王について聞きました。


 謁見の間での会合は解散となり、アオとサクラは神竜達を長老の山に送った。


「結界を補強しないといけないね」


「もぉ一周 作っちゃう?」


「そうだね。

祠を増やせるか、大婆様に相談しよう」「うん♪」


(お~い、父上がお待ちかねだぞ~)


(ハク兄、言いくるめてよぉ~

俺達、忙しいんだからぁ)


(サクラが、あんな事 言うからだろっ!)


(とりあえず行こう、サクラ)曲空。



――ギンの執務室。


「皆、知っているのか?」睨む。


息子達、おずおずと頷く。


「どうやって知ったんだ? 誰に聞いた?」


「それを確かめて、如何するおつもりですか?

父上が結婚を断固 拒否していた事や、母上と結婚した経緯は有名です。

俺達は、この世に生を受けた事を、心から感謝しています。

もしも拒否したままであったなら、俺達は存在していません。

ですから理由を知りたかった。

それだけです」


「ふむ……」


「それは、知りたくなって当然だと思うぞ」


「コハク、黙っててくれ」


「伯父上に対して、その物言いは如何かと思いますが」


「父に対しての物言いとも思えんが?」


「そうでしょうか?

そのお考えは、二王制の根底を揺るがすとも捉えられますが、如何でしょうか?」


「今はただの親子の会話だ!」


「解りました」それで? な視線。


「兄弟だけに留めておけよ、オネショ王子」


「それは父上の事ですか?」コハクが吹き出す。


「お前だよ、アオ」


「父上も、そうだったと伺っておりますが?

だいたい、物心もつかぬ幼い頃の事を(あげつら)うのでしたら、同じ程度に下げますけど、情報量は負ける気が致しません」


「父上、やめた方がいいですよ。

アオはモモお婆様にベッタリだったし、アオの神様はスミレ様なんだから」

ハク囁く。


「それにアオは穏やかな性格に変わったのではなく、秘めていただけなのです。

ルリ殿を得た今、魔王すらも舌戦で負かす、あのアオに戻っているのですから」

キンも。


「……本当か?」


キン、ハク、サクラ、神妙に頷く。


「お前ら、こっちに来い」三人を引っ張る。



「スミレが……神様……?」


「はい。

スミレ様は今、神と成られ、俺を支えてくださっています」にこっ


「そうか……スミレは生きているのだな……」


「はい」【あなた……】姿を見せた。


「スミレ……」


コハクとスミレは暫し見詰め合った後、二人で話し始めた。



 離れた四人は――


「マジで魔王と舌戦して勝ったのか?」

「そぉだよ~」「マジです」「はい」

「さっきも淡々と……」目が怖かったぞ。

「でしょ?」

「魔王の時より遠慮なかったよな」

「私も、そう感じた」

「あ♪ スミレ様♪」

「ホントだ」

「相変わらず綺麗だ……」

「ねぇ、父上の失恋相手って――」

「言うなって!」



「父上、もうよろしいのですか?」


「これ以上、無理だろ……」スミレに釘付け。


「では、アンズ、行くよ」「うん♪」



♯♯♯



 ルリの部屋に入ると、虹藍が待っていた。


「これから大婆様の所に相談に行って、それから地下で隠し部屋 探すんだけど、ランどぉする?」


「隠し部屋は俺達が探すよ。

せっかくなんだから、ゆっくりすればいいよ」


「アオ様、ありがとうございます。

しかし、我が国も無関係ではありません。

お連れ頂けませんか?」


「そうですか。でしたら、ご一緒に」にこっ

「ラン、疲れない程度に、だよ」手を繋ぐ。



――大婆様の部屋。


「大婆様、今日は大勢 押しかけまして、お疲れの所、申し訳ございません」


「よいよい。賑やかになるは嬉しい事じゃ。

虹藍様、またようこそお越しくださいましたな」にこにこ


「お邪魔致します」可愛く、お辞儀。


「早速なのですが、祠を増やし、結界を補強する事は可能でしょうか?」


「二人も、それを考えたか」にこにこにこ


「では、大婆様も?」


うんうん「では、私からも早速じゃが、祠の候補地を見繕ぅてくれるかの?」


「はい!」


「それと、陶芸工房も、そろそろどうじゃ?」


「ありがとうございます!」


「では、少しばかり、女同士の話など、させてくれるかの?」


「え? あ、はい」兄弟、礼をして退室。




「なに話してるんだろ?」


「当然、サクラの事だな」


「ルリ姉も残ったらよかったのに~」


「アオが体から離れられぬからな」あははっ♪

「ルリ……俺の体なんだけど……」


苦笑。「えっと~、まず山の地図だよね?」


「そうだね」



――書庫。


「複写……やってみるか」アオが呟いた。


地図と白紙を並べ、地図に両掌を翳し――


地図が輝き、線から光が浮き上がった。

掌を白紙へと移すと、光の線も移動し、白紙へと降下した。


「俺もやりた~い」

アオはサクラの額に掌を翳した。

「ありがと♪ アオ兄♪」


今度はサクラが、もう一枚の地図を複写した。


「面白い事をしとるのぅ」ムラサキが来た。


ムラサキの後ろに神竜が居た。

「アオ様、サクラ様、それは私にも出来ますか?」


「あ、さっきの側近さん♪」


「オリビンと申します。

こちらの司書をさせて頂ける事になりました」


「光の属性技ですので出来る筈です」

アオはオリビンの額に掌を翳した。


「試してみて~」


やってみる。「……出来ましたね」


「これからは書き写さずともよいのじゃな?」


「はい。ご用命くださいませ」


「爺様達のお世話、よろしくお願いしま~す♪

じゃ~ね~♪」

二人は複写地図を持って、飛んで行った。


「本当に王子様方は、全てに於いて素晴らしいですね」


「あの二人は特別じゃよ。

竜宝の王じゃからのぅ」


「竜宝の王?」


「竜宝達に、せがまれての。なったそうじゃ」


「魔王が欲しがる訳ですね」




 一方、大婆様と虹藍は――


「虹藍様、サクラの事じゃが……

天竜王族としても残りたいと申しておる。

両国の懸け橋としてのぅ。


勿論、魔竜王族として手を抜くなど、考える事すら思いつかぬ性格じゃ。

その点は御案じ召されるな。


こちらとしては、

許可したいと思ぅとるのじゃが……

魔竜王族として、許される事なのじゃろうか?」


「その事は、サクラ様より伺っております。

長老も、喜ばしい事と申しておりました。

どうか両国の懸け橋とお成り頂けますよう、お願い致します」


「ありがとうございます。

そこで、じゃが……

虹藍様にも、天竜王族に御名連ねて頂けませんでしょうかのぅ?


こちらの事をなさる必要など、全くございません。

ただ、お迎え致したい。それだけでございます」


「私を……迎えて頂けるのですか?」


「六人、兄ばかりじゃが、増えてもよろしいかのぅ」


「ありがとうございます」涙が流れた。


「長老様のお許しも頂かなければの。

急ぎはせぬ。お断り頂いても、何も変わらぬ」


「はい」


「大婆様、よろしいですか?

祠の位置、こちらでいかがでしょうか?」

アオとサクラが飛んで来た。


「え!? ラン、なんで泣いて――」


「嬉しいだけよ!」


「サクラ、すぐに長老様の所に行きたいそうじゃ。頼んだぞ。

アオ、地図をこれへ」にこにこにこ


大婆様はアオと話し始めた。



「えっと~、行くの?」「うん♪」曲空。



「では、十二祠あれば、強固な結界が成せるのじゃな?

ならば器は任せよ。竜宝は任せたぞ」


「はい、大婆様。ありがとうございます」


「アオ兄、ただいまっ♪」「アオお兄様♪」


「え? なんだか楽しそうだね」


「はい♪ 大婆様、長老は大喜びでした。

これから、どうぞよろしくお願い致します」


「サクラ、虹藍様。

両王族に属し、懸け橋の任、よく励めよ」


「はい!♪」





藤「クロ兄様、何度言えば解るのですか!?」


凜「フジ、ちょっと」手招き。



藤「なんでしょう?」


凜「サクラが、フジに無理させちゃダメ

  って言うからね。屋敷に行かない?

  クロのでも、フジのでもいいから」


藤「場所が何か……?」


姫「魁蛇殿と箜蛇殿には伝えておる♪」


藤「ああ、そういう事ですか。

  では、あのまま運びます」にこっ♪



黒「えっ!? フジ!? 何をっ!?」


凜「頑張ってね~♪

  私達、大婆様の所に行くから~♪」


黒「やめろって!!」大暴れ!!


藤「移動するだけですから!

  あ……アオ兄様、サクラ……」


黒「アオ! サクラ! 出してくれっ!」


桜「フジ兄♪ お疲れ~」光を当てる。


藤「このくらい大丈夫ですよ、サクラ♪」


青「結局フジが見ていたんだね。

  クロ、ヤル気は認めるけど、

  あまり迷惑かけないでくれよ」


黒「オレ、ムリヤリ被せられたんだけど……」


青「それで、凜と姫は何処だ?」


黒「知らねぇ。

  あ、大婆様んトコ行くっつってたな」


桜「大婆様トコ、いなかったよね~」


青「うん。そうだね」


黒「ついさっき行っ――あ……」


姫「クロ、次はこれじゃ♪」


黒「ゲッ……」


桜「おかわり?」


凜「そうよ~♪」


青「じゃ、頑張れよ」


黒「アオ~、助けてくれよぉ」


青(うん、後でな)


黒(頼むぞっ)


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