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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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闇拠点4-影と幹部②

 魔王の因子って、真面目なマオをあんな風に

変えていたんですね……

そういえばマーさんもハイでしたね。


竜血環(リュウケツカン)神禍乱(シンカロン)は、その後どうなったの?」

「リ博士が眠って以降、進んだのですか?」


「いえ、どちらも頓挫しておりました」


「竜血環の大量生産だけは続けておりましたが、既に時間稼ぎにもならない事は分かっており、仕方なくでした。

他に有効な物が見つからなかったので……」


「リ博士の代わりは見つからなかったのですか?」


「そのためにも魔王は、王子様方を捕らえたかったのです。

依代として、頭脳として、戦闘力として」


ルリ(アオ)アンズ(サクラ)は顔を見合わせた。


「ですから、皆様を監視しておりました」


「やっぱりね~

あの俺達色の玉は、どぉ使ってたの?」


「どう作ったのかも、術も存じませんが――」


「その玉は『者見玉(モノミダマ)』で御座います。

作り方は、後程、説明させて頂きます」

マオが深く礼をしていた。


「知ってたの?」


「サクラ様の者見玉を作りましたのは、私で御座いますので……」


「凄いねっ♪ あとで教えてね~」


「いえ……あの、はい。畏まりました」


神竜達に向き直る。

「それで、どう使っていたんですか?」


「王子様方の周りの景色や会話、心の動きを主に見聞きしておりました」


「心の動き?」


「色が変わるのです」


「あ~、心の色かぁ。それなら俺も見えるよ」

「うん、最近は、兄弟でなくても見えるよね」

「アオ兄も? 一緒だね~♪」


「流石ですね……」


「あ、俺のって、いつ作ったの?」マオに。


「皆様を異間平原に送りました直後で御座います。

それを魔王が見つけ、持って行ってしまいました」


「では、我々が預かった玉は――という事は、貴方が……そうでしたか……」

神竜達、何やら納得。マオは有名人らしい。


「ああ、失礼致しました。

我々は魔王から、預かった玉をよく観察するよう言われておりまして……

お二方が同調している事も判ったのです」


「やっぱり~」

「それで、俺と同様に、闇に染め易くする為に心に傷を負わせようと、心の色を見て標的を決めていたんだね?」


「その通りです」


「恥ずかし~なぁ、もぉっ」


「しかし、それも闇の力ですので、光の結界の内に入ってしまわれると追跡出来ず、魔王は怒っておりました」


「じゃあ、失恋したことも、あれもこれも知らないんだ~♪」


「王子様が……失恋?」


「するんだよね~、父上♪」「ん!?」

(サクラ!)(よせっ!)(言うなっ!)


「お前ら……皆、知ってる顔だな?」


ルリ(アオ)がサッと寄り、耳打ち。

「落ち着いてください。今は、王なのですよ」


「バラしたのはアオか?」小声で言い、睨む。


「何の事でしょう?」極上にっこり。


「ギン、アオの言う通りだ。

後にしなさい」コハク、半笑い。


「コハクまで~」うぬぬ……「後で執務室だっ」



「話を戻しましょう。

魔王は、神なのですか?」


「おそらく、神ですが……きちんと神に成ったのではなく、何らかの方法で、無理矢理に神化したのではないかと存じます」


「やはり、そうですか……

俺は、魔王は何代か存在していて、初代は神界から追われた神。

以降は、その神が神化させていたのではないかと考えていたんです。

次代以降の神竜は、子孫なのか、捕らえて来たのか、神界を追われた者なのかは分かりませんが」


「お考えの通りだと存じます。

私は、魔王が『先代』と呼ぶ、神らしき魂に会った事があります」


「その時の事を詳しくお願いします!」


「会ったのは二回ですが、いずれも人払いされましたので、たいした情報はございませんが……

先代は、自由に現れる事が出来るようでした。

ですので、まだ力を持っている、比較的 新しい隠居神であろうと感じました。

どうやら、神界に早く入るよう、急かしているようで、魔王は先代を疎ましく思っている、そんな感じを受けました」


「隠居神?」


「神は、存在としては永遠ですが、時が経てば力が衰え始めます。

若い神は次々生まれますので、それを自覚した時、後を託し、隠居するのです」


「ってことは、どこかに歴代魔王がいるの?」

地図を描き終え、後ろで話を聞いていた五人に、サクラが尋ねた。


「こちらにどうぞ。

丁寧な地図をありがとうございました」


五人は輪に入り、地図をアオに渡した。

「最奥の城に居ると思います」


王子達は地図を確かめた。


「その城周辺には、更に強い結界が有り、『真魔界(シンマカイ)』とでも申しましょうか……

厳重に護られた領域になっております」


「そこには影も入る事が出来ませんので、仕えているのは、闇属性のみの魔人が元の幹部ではないかと存じます」


「だから魔竜を依代にしようとして――あっ」


「構いません。私も真実を知りたいのです。

お続けください」


「天竜には、闇属性は有りませんので、魔竜に目を着けたようです。

依代としてだけでなく、影としても」


「神界に行く為に光の天竜、

真魔界に行く為に闇の魔竜を依代に、か……」


「なんで男性ばかりなの?」


「理由は存じませんが……

女性には魔王の因子が定着しないのです。

依代にしようとしても入る事が出来ず、魔王は適した女性を見つける度に、歯噛みしておりました」


「満緋月の光で男性を定着させても駄目なのですか?」


「駄目です。

おそらく光属性と同様に、変えたとしても何かが残るのではないでしょうか」


「この状態の俺達って?」


「女性ですので……」


「じゃあ、一度でも女性になったら、魔王にとっては使い物にならないの?」


「おそらく、そうですね」


「マオ、なんで俺達を異間に送ったの?」


「存じていなかったのです。

ただ『捕獲せよ』と命じられておりましただけですので……」


「魔王は、その事を知らないんだね?」


「はい。魔王に消される程の失態であると影から叱責され、秘密にせよと……

その時は、取り逃がした事を指していると解していたのですが、そういう事だったのですね……」


「なら、もう、その心配は無いのか……

マオ、ありがとう」「いえ……」顔を伏せる。


「やっぱりキン兄も、一度なっとかなきゃ」


「その心配は無い」


「だって俺達の元なんだよ?」


「いや、だから――」

(きっと、お試し済みなんだよ)(そっか~)

二人、にこにことキンを見る。


「私の事はいい。話を戻して欲しい」赤面。


「あとは、ハク兄とアカ兄だね~

因子 持ってかれたら大変だから、異間に行く?」


「アカ様の因子は定着しませんでした」


「もう試したのですか!?」


「リ博士の代わりとして、竜宝を作らせるべく、アカ様を捕らえようとしたのですが失敗し、因子を得て利用しようとしたのですが、それも失敗したのです」


「なんでだろ?」


(もしかしたら……)(なぁに?)


(ガーネ様はヒスイ様を込める為に、性別も変えたんじゃないだろうか……

何しろ、かなり厳しい条件での分割だったようだからね)


(じゃあ、アカ兄って……)二人、想像する。


(何、二人でニヤニヤしてるんだ?)


(ハク兄は異間に行かなきゃ、ねっ♪)


(しゃ~ねぇなぁ。一瞬だけだぞ!)(うん♪)


「リ博士の因子は?」


「採取すら出来ませんでした」


(御紅守かな?)(たぶんね)


「誰かに化けるアレは、因子じゃないの?」


「成り代わったり、潜入する時の『写身体(シャシンタイ)』の事でしょうか?

それでしたら術技です。

対の鏡が有り、各々を写すだけです」


「元の人が亡くなったら解除される?」


「はい、そうです」


(だから、元の人達は生かされてたし、他の呪に邪魔されて、かけられなかったんだね~)

(そうだね)


「いろいろわかったね~♪」


「もうひとつ。

深魔界は人界だった場所ですよね?

それなら、地上の人界とは、直接 行来は出来ないのですか?」


「通路は有る筈ですが、見つからないのか……通れないのか……

使用しているとは思えません」



「他に有りますか?」見回す。


ハクが身を乗り出した。

「ひとつだけ!

闇化した傀儡兵。

竜血環によって魔獣化された獣化兵。

コイツらは、浄化で俺達でも救える。

だが、この他に、浄化出来ない魔物兵がいるんだ。

ソイツらは皆、魔王の因子を移植された人々なのか?」


「はい。

影や幹部より、ずっと少量ですが、魔王の因子を込められている兵士達です」


「では、救うには――」


「私共同様となります」申し訳無さげに俯く。


「アオとサクラだけかよ……」


「方法は有りますよ」アオとサクラ、微笑む。





黒「おっ♪ フジ、教えてくれるのか?♪」


藤「はい。キン兄様から、そう――」


黒「チャチャッと教えてくれっ!

  んで、出してくれっ!!」


藤「分かりましたよ。

  早く出たいのですね?」


黒「あ……」マズったかな? 目の光が恐ぇ……


藤「手加減なしです!」キラーン!



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