表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
248/429

闇拠点3-影と幹部①

 前回まで:魔王の拠点には隠し部屋が有り、

      厄介な闇や呪が残っているようです。


♯♯ 天界 深蒼の祠 ♯♯


 アオは、魔竜の前王と王子の亡骸を深蒼の祠に運んだ。


「ムーント様、こんなにも大勢、運び込んでしまって申し訳ありません」


「いえ、大丈夫ですよ。

以前、王子様方にお救い頂きました者達も、交替で浄化しておりますから」


「ありがとうございます」


(アオ、天界に来ているのか?)


(はい、キン兄さん)


(今、謁見の間に、影や幹部にされていた神竜と魔人方々にお集り頂いている。

これから話を伺うが、来られるか?)


(はい。始めていてください)(うむ)


「それでは、宜しくお願い致します」礼。




♯♯ 長老の山 ♯♯


(サクラも来ているのだな?)


(うん♪ ランも一緒だよ~)


(ならば尚更だ。謁見の間に、二人で――)


(アオ兄に話してたの聞こえてたから、行くね)


(うむ)


「ラン、天竜王城に、魔王の因子を植え付けられてた神竜や魔人が集まってるんだ。

話を聞くんだけど、一緒に行く?」


「もちろん行くわ」即座に女王の風格が漂う。




 サクラが、天竜王城のルリの部屋に曲空すると、ルリが着替えていた。


「わわわっ!」「失礼致しましたっ!」


「構わないよ。もう殆ど終わっていたからね」


「なんだぁ~、アオ兄かぁ」


「許可を得ていないからね」


「そっか……じゃあ」女姿(アンズ)になる。


「えっ!? サクラ!?」


「初めてだっけ?」


「先日は、呼び込む前に戻っていたな」

「よく見てるんだね、ルリ。

やはり女性というのは――」

「客観的に見る良い機会だから見ていただけだ!」


「そっか~」あははっ


「アンズ、早く着替えないと始まるよ。

虹藍様、これは技ですので、お気になさらず。

私達は今、人界の任の最中で、その間は城に立ち入れないんです」


「それで――まあ! かわいいっ♪」


「やめてよ~、ラン」もじっ


「遊んでないで、行くよ。アンズ」


「アンズ、行きましょ♪」




♯♯ 謁見の間 ♯♯


 三人が入ると、ギンは嬉しそうに目を細めた。

執事の先導で、三人は前方に向かった。


(父上って、若い頃は『結婚なんぞせん!』って言ってたって聞いたけど……)


(ああ、それか……失恋しただけだよ)


(王子なのに!?)


(サクラもフラれたじゃないか)


(あ……そぉでした~

じゃ、べつに女嫌いってワケじゃないんだ~)


(まぁ、見ての通りだろ)


(そっか~

だからランにも、いいトコ見せようとするのか~)


(何か有ったのかい?)


(毎日、ランに会いに行ってるんだって~

で、昨日は魔物も退治したんだって~)


(ルリの事も気に入ってたよ)


(女嫌いじゃなくて、大好きなんだね~

じゃあ、なんで母上と?)


(自暴自棄の結果だよ)(ふ~ん……)着席。



(キン様とハク様は、そのままなのね)


(王太子だから、政にも参加しないといけないんだ)


(残念っ! 見たかったわ~)


(キン兄は、できるハズだけど、ならないし、ハク兄は、なれないんだ)


(どうして?)


(光じゃないと――属性技だから)


(私も光明を使えば、できるかしら?)


(男になりたいの!?)


(時々そう思うわ……)(あっ、始まるよ)



 キンが立ち上がり、

「この場は決して尋問では御座いません。

魔界の深層の事、魔王と我々が呼んでいる龍神帝王の事をお教え頂きたいのです。

どうか宜しくお願い致します」

深く礼をした。



――――――



 地下界の半分は、魔神・閻魔族が住む『魔神界』で、残り半分が『魔界』であり、魔神界と魔界は、『異間平原』で隔てられている。

魔界のうち、異間平原との境界に接する側三分の二が、かつて人界であった場所であり、現在、魔王が籠っている場所である。

アオとサクラが考えていた通り、魔王は光を通さない強固な結界を成しており、天神界深層の『深神界(フカシンカイ)』の如き『深魔界(フカマカイ)』を形成していた。



 神竜の基属性は光で、全ての神竜が光を持つ。

影にされると、それは闇に変えられ、魔界にも、深魔界にも入る事が可能となる。

しかし、深魔界に入る事が許されるのは、魔王が選んだ者のみで、影や幹部と言えども、易々入れる場所ではないらしい。

謁見の間には、百人以上の神竜と魔人が集められていたが、深魔界に入れる程の側近は、五人だけであった。



 魔王は大拠点に隠し部屋をいくつか作っており、そこで因子の移植や、魔宝の研究をしていたらしい。

リジュンも、そうした隠し部屋に監禁され、研究を強要されていたそうだ。



――――――



(では、他の隠し部屋も探さねばならぬな)

(これが終わったら探しに行こう)



 ここまで聞いて、深魔界に入った五人と、大拠点を指揮していた者達を残し、解散となった。


「これよりは、自由で御座います。

天界で最も強固な結界の内にお住まい頂く事も可能で御座います。

元のお住まいに戻られるならば、お送り致します」


と、ルリ(アオ)が伝えたが、神竜も魔人も皆、長老の山(強固な結界の内)に住むと決めた。




 ルリ(アオ)アンズ(サクラ)が長老の山に送り、祖父(シロ)に頼み、団体で大婆様の部屋に向かうのを見送った。


「竜宝作りも、古文書の解読も、早くなりそぉだね~」


「各祠の神官も、して頂けそうだね」


「城の執事も増えるのかなぁ」


「マーさん、大喜びだね」


「執事長の血圧が心配だね~」


二人は笑って、城に曲空した。



――謁見の間。


地図を描いている五人と、ああだこうだと思い出し、話している集団だけが居た。


(父上達どこ行ったんだろ?)気を探す。


(天界には居ないね……)既に探している。


(もしかして――)(魔竜王城だろうね)


(待っていれば戻られるのではないか?)

(いや、ここを任された感があるんだよ)

(王や王太子が放置など――)(あるよ)


(父上だからね~)(うん、そうだよね)


(意外だな……)(内と外では大違いなんだ)

(確かに親子と確信した)(どういう意味?)

(そのままだが)(後で、ゆっくり話そうか)

(そういう所だ)(うん、解ったよ。後でね)


(アオ兄、ルリ姉、遊んでないで~)


(じゃ、話を聞こうか)


ルリ(アオ)アンズ(サクラ)は、話している集団に近寄った。

「まとまりましたか?」


神竜達が姿勢を正す。


「お楽になさってください」にこっ

「私達、ただの竜ですから」にこっ


「『ただの』などと思っておりません」

「神をも凌ぐ御力をお持ちと存じます」

「性別すらも自由とは、敬服致します」


「あ……バレてた~」あはっ♪


「それでは、魔王の研究について、お教え願えますか?」


竜血環(リュウケツカン)神禍乱(シンカロン)、それと最近は、様々な鏡を熱心に研究しておりました」


「鏡、ですか?」


「はい。

おそらくは、自ら神界に入る方法を模索していたのではないかと存じます」


「ああ、通路用の鏡ですね?」


「はい。

通常は、竜宝や術技を用いても、境界を越える事に変わりは無いのですが、その点を打破しようと、新たな魔宝を作り、神界の境界に歪みを生じさせる所までは成功しておりました」


「しかしそれでも、魔王や、魔王の因子を持つ者は、神界には行けませんでした」


「闇化しただけの魔物であれば、その歪みから入る事が出来るので、同様に真神界まで歪みを作り、侵入して神竜の魂を捕らえていたのです」


「なんで鏡で移動せずに飛んでたの?」


「その歪みを作る鏡では、地下から神界に直接 繋ぐ事が出来ず、天界から下層神界へ、下層から上層へと、ひとつひとつ境界を越える事しか出来ませんでした。


別の鏡でも、人界と天界の境界までならば容易に繋ぐ事が出来たのですが、天界で既に困難となり、ほぼ繋がらず、神界には繋がらなかったのです」


「魔王でも?」


「はい。

光の力が必要だ、と言っていた気がします」


「俺達、鏡から鏡なら、天界でも繋げたよね?」

「そうだね。難しくは無かったね」


「そうですか……鏡から鏡……

私共は、空間に直接 繋いでおりましたから」


「あ……もしかして『闇の穴』?」

「魔物が出て来る穴の向こうは、鏡だったのですね?」


「あ、はい。そうです。

人界に繋いだ鏡を通っていました。

人界側からは……そうですね。

暗い穴のようにも見えますよね」


「鏡が無い側から、穴を穿ってましたよね?」


「はい。鏡に向かって、術で繋いでいました」


「俺達とは違うんだね~」穴、開ける。


「それは、どちらに?」


頭を突っ込み「やっぱり、お茶してる~」ぶぅ


「魔竜王城です。

繋ぐ鏡など無しに、空間から空間に繋いでいます」


「流石ですね……」


「そういえば、マーさんは、空間と空間を繋いでいたよね?

マオも、かな?」


記録していたマーさんとマオが顔を上げた。

「闇属性の魔人であれば、可能かと存じます」

マオが答えた。


「あの二人も幹部だったんだ」

「鏡については、だいたい分かったよ。

ありがとう。

竜血環と神禍乱は、その後どうなったの?」





黒「どこ行ってたんだ?」


凜「すぐに判るわよ♪」


黒「なんだソレ?」


姫「おお、アカ殿。

  お忙しい所、誠に申し訳ござらぬ」


赤「ん……」


黒「何やってんだ? アカ――って!

  ソレって結界じゃねぇかよ!

  やめろよ! おいっ!

  てっ! 掌握で小突くなよなっ!」


赤「終わった……」


姫「忝のぅございまする」


黒「おいっ! アカ! 解けよっ!」


赤「フッ……」曲空。


黒「ひっでぇなぁ……ったく~」


白「おっ♪ 見つけたぞっ♪」


黒「ハク兄まで……何しに来たんだよ?」


白「見に来ただけだっ♪」


凜「せっかくだから、ハクも一緒に~♪」


白「ゲッ……いや、俺には必要なぃ……」


姫「問答無用なのじゃ!♪」


白「マズッ!」曲空!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ