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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
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伽虞禰8-繋がる

 前回まで:城下と地下、合流しました。


♯♯ 伽虞禰 老中屋敷 ♯♯


「クロ、そんなに慌てて、割るなよ~♪」

急いで壺を運んでいる黒竜(クロ)銀竜(ハク)揶揄(からか)う。


「ホントに割れたら大変なんだからぁ、クロ兄で遊ばないで~」


黒竜(クロ)がチラッと銀竜(ハク)を睨んで、穴をくぐる。


「ちゃんと地下魔界に行く時には、姫も通れるようにするからね~」


「この向こうは、やはり魔界なのじゃな?」


「そぉだよ~」


(この向こう、魔王がいるんじゃねぇのか?)


(クロ兄も気づいた?)


(気付くよっ!)


(こっちは、もぉ終わりなの?)


(いや、まだだが。夜まで動かねぇハズだ)


(じゃあ、その間、手伝っ――ううん、いい)


(何だよ)


(だって、姫と離れたくないんでしょ?)


(魔王がいるってのに、んな事 言ってられっかよ!)


(いいの?)


(供与しか出来ねぇけどな)


(それが助かるんだよ~)


「姫、こっち頼むな。夜には戻るから」


「任せておけ♪

あとはフジが()れば大丈夫じゃ♪」


(姫ぇ、それ言っちゃダメ~)


(何故じゃ? サクラ)


(だって、ほら~)


ムッ「じゃあなっ! 行ってくる!」プンスッ!


 やれやれ……「気をつけてのぅ。

夕刻には戻れるのじゃろ?」上目遣い。


「心配すんな(♪) すぐ戻るから(♪)」頬緩む。


(姫、大変だね~)(なんのこれしき容易いわ)

(こんな兄だけど見捨てないでね~)(うむ♪)


黒竜(クロ)が上機嫌で穴をくぐり、金竜(キン)銀竜(ハク)も続いた。


「紫苑殿、珊瑚殿、夕刻までクロをお借りします。

こちらの事、よろしくお願いします」


青竜(アオ)桜竜(サクラ)も穴をくぐり、穴が塞がった。




♯♯ 地下魔界 ♯♯


 魔王の大拠点の通路に戻った兄弟は、強大な闇の気に向かって進んでいたが――


(また光を拒絶する結界だね~)


(今度のは更に強いね。

でも闇は拒絶していないから――)


アオとサクラは横に並んで、内側の掌を合わせ、外側の手を突き出した。


(せ~のっ♪ 闇流刃(アンリュウジン)!)

闇の波動を放出した。


クロとキンが供与で、ルリが融合しているアオに昇華で強化した。


(俺も真似出来るのかな?)

ハクがアオとサクラの間に入り、両手を突き出した。

アオとサクラはハクの肩に掌を当てた。


ハクの双璧に依る闇の波動が加わり、闇の波動は強く、太く、勢いを増し、結界に衝撃を与え続けた。


(あと少しだよっ)


結界に小さな亀裂が入った。


(キン兄、ハク兄、雷で亀裂を狙って!)


キンとハクが飛び(雷神竜牙(ライジンリュウガ)!!)雷を放った。


金銀の稲妻が絡み、一本となり結界を貫く!


結界に亀裂が走り、砕け散った。


(やったー!)(行くぞ!)


(クロ兄、ありが――あれ?)クロ兄いない?


(ん?)

皆が振り返った時、クロがアカを連れて現れた。


(どうした?)


(ビックリさせないでよぉ~)

(急に居なくなったから……)


(あ? ああ、アカが外にいたから――)


(結界を張っていただけだ)


(連れて来ちゃマズかったか?)


(そんな事は無い)


(じゃ、みんなで行こ~♪)兄達、力強く頷く。




♯♯ 伽虞禰 礼拝堂 ♯♯


 地下の礼拝堂では――


「睦月、あれは巫女達だぞ」


「普通の着物って事は、出掛けるのか?」


「動いたな……」


「水無月、追ってくれ」


水無月は頷き、サッと出た。




♯♯ 伽虞禰 老中屋敷 ♯♯


 老中屋敷の蔵では――


「して、何故、炎鉱石を集めておったのじゃ?」


「命じられまして、従っておっただけで……

理由など全く存じておりません」


「誰にじゃ?」


「龍神帝王と名乗る、黒い影のような方に……」


「それで今、殺されはしないかとビクビクしておるのじゃな?

今ならば、其奴は、先程の竜達と戦ぅておるわ。

ここになど来ぬ」


「はぁ……しかし、陰陽新道の教祖が……」


「何じゃ? それは?」

「今『陰陽』と聞こえましたが」紫苑が歩み寄る。


「新興宗教の教祖を名乗っておりますが、龍神帝王の配下でして……

炎鉱石を集める代わりに、私共の望みを叶えると……」


「お主らの見張りを兼ねておりそぅじゃな」


「然様で……」


「各々の求める利が一致して、結託しておったのじゃな?」


「その通りで御座います」項垂れる。


「闇が取り憑く程にのぅ。

そんなにも欲しいものかのぅ……」ため息。


「姫様、その陰陽を騙る教祖とやら、探りたいのですが」


「紫苑、珊瑚、行ってくれるか?

案内(あない)させる。弥生、皐月を連れて参れ。

もぅ代官屋敷は見張らずともよい」


「はい」弥生は走り去った。


「紫苑、珊瑚、教祖は影やもしれぬ。

それに、まだ夜襲まで游がせねばならぬ」


「はい。姫様、心得致します」にっこり


「姫様!」二人、駆け込んで来た。


「文月、神無月、如何した?」


伊牟呂(イムロ)魯茉丹(ロマニ)の鉱山地帯にて、炎鉱石を運ぶ賊を見たと申す者が現れ、賊は伽虞禰(カグネ)に入ったと証言した故、明日にも両国の使者が、こちらに参ります」


「だ、そぅじゃ。

老中殿、しかと対処なされよ。

戦など起こらぬよぅにの」


「ははっ!」


「文月、南の村に家老が居る。

馬車ごと、ここに来させよ。

神無月、ここの見張りを頼む」


「はい」二人は駆けて出た。

入れ替りに弥生と皐月が入る。


「皐月、紫苑と珊瑚を礼拝堂に案内せよ。

弥生は、ここを頼む」




♯♯ 伽虞禰 西の屋敷 ♯♯


 巫女達を追った水無月は、西の屋敷に着いた。


「水無月、どうした?」


「礼拝堂から巫女達を追って来た。

ここの動きは?」


「今のところ、静かなものだ」


「私は、このまま屋敷内まで追ってみる」




♯♯ 地下魔界 ♯♯


 コギは魔王を追っていた。

魔王は依代を護り、逃げるばかりだった。


「残るは、この拠点のみ。

最早、逃げられませんよ」


【ここ迄など、ほんの一部だ。

奪われようが、まだ地下の殆どが我等のものだ。

それに、この力さえ我がものに出来れば、奪還など容易い事だ。

地下界どころか、神界も手に入れられるのだ!】


 魔王とは、口数の多い輩なのですね……

 これだけの情報を得られただけでも

 大きな収穫です。


「逃げるばかりのお前が何を言おうが、怖くもないし、現実味もありません」


【狐如き、眼中にも無い! 失せよ!】


 此奴……実は若造なのでしょうか?


「ならば攻撃すれば如何です?」


コギが間合いを詰めると、魔王は依代を護り、後退さる。


「攻撃しないのですか?」


【あと少し……少しなのだ……】


「ならば! こちらからっ!」


コギが気を爆発させた。


【光を手に入れねばならぬのだ!!】



「また逃げましたか……」


コギは魔王の気を追った。


 この砦の最奥、という事ですか……


 アオ様が近くに……こんなにも早く……

 流石で御座います。


 闇の力までも得られたのですね……

 では、魔王を追い詰めて頂きましょう。


 アオ様ならば、この方法、

 直ぐにお気付きになられるでしょう。





 姫専属くノ一衆は十二人。

陰暦の月の名を呼び名にしているので、

お城では『月衆(ツキシュウ)』と呼ばれています。


 いっぱい、あちこち走り回ってて、

私にも『何処に誰が?』な状態ですが、

あまり、お気になさらないでくださいませ。



凜「睦月さん、如月さんは?」


睦「仁佳の国にて働いておりますれば」


凜「あ、あれ……」


睦「おや……来ておりますね」


凜「一緒にいるのは?」


睦「仁佳の忍の方でございますね」


凜「仲良さそうね~♪

  睦月さんは、忍頭さんとは?」


睦「如月から連絡やも知れませぬ故」そそくさ。


凜「逃げたぁ!

  あ♪ 氷月さ~ん! その方は?」


氷「えっ!?」脱兎!


凜「答えてよぉっ!」


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