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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
238/429

伽虞禰6-ルリの天性

 前回まで:ルリの天性が開き、

      フジは伽虞禰鎮圧に加わりました。



 ルリはアオの内では『副』の存在なので、

身体を伴わず、自由に動けます。


♯♯ 地下魔界 ♯♯


 アオは下の階を奥に向かって進んでいた。


(アオ、近くから、アオに似た気を感じるのだが……いや、これは……

似た、と言うよりアオそのものなのか?)


(うん、そうだね……不思議な感じだよ)


(これがアオの『因子』というヤツなのか?)


(そうかもしれないね。回収しよう)


(そうだな)


話しているうちに、アオらしき気を感じる部屋の前に着いた。


(試してみるか……

ルリの天性を使うけど、ルリは無理しないようにね)


(解った。開くから存分に使え)


(ありがとう)


ルリが気を高め、天性を開いた。

融合したアオが、それを引き出しながら光明を発動し、循環させて強め、光の穴を穿った。


(出来たね。ルリの天性は大きいね)


(褒めるな。くすぐったい)


(正直に言ってるだけだよ♪)

穴の向こうを探る。


(気を抜くなよ)


(解ってる♪ 誰も居ないね……)入る。


(たった今まで誰かが居たようだな)


(そうだね……強い闇が残ってるね。

この強さ……

ここに魔王が居たのかもしれない)


(アオと同じ気は、あの玉だな)


光が落ちている。


警戒しつつ近寄ると――


水晶玉のような透明な塊の中に、青い小さな光が瞬いていた。


纏っている闇を浄化し、手袋を着け、拾った。


(確かに『アオ』だな……)


(本当に取り出せるんだね……)


部屋を見回す。


(この鏡……竜宝ではないが、強い気を感じる……魔宝なのかな?

リジュンさんから、魔宝の知識も貰わないといけないね)


(魔宝とは? 竜宝と、どう違うのだ?)


(元々は同じだよ。

神や神竜の創造物なんだけど、境界で行来が阻害されて以降、魔界独自で発展した物を『魔宝』と呼ぶようになったんだ。

それと、歴代の魔王が生み出した物も、魔界産だから『魔宝』と呼ぶようになったんだよ)


(では、竜にとって、害を成す物ばかりではないのだな?)


(そうだね。

でも、これが、どちらなのかは判らないから、とりあえず浄化の光で包んでおくよ)


他には寝台があるだけのガランとした部屋の壁や天井、床を調べたが、取り立てて異常は見つからなかった。


(魔王は何を持って行ったんだろう……)


(魔王を見つけた時に判るさ)フッ


(そうだね)クスッ


(この奥には、また炎鉱石があるようだな)


(うん。また山積みしてそうだね)


と、奥に通じる扉を見た時、その扉が開き、影が現れた。


(来てくれたね)(手間が省けたな)


「そこで何を――」


言い終わる前に、二人で浄化の光を放った。


ルリがサッと後ろを向き、半円状に光を放つ。


背後に迫っていた魔物達が消え失せた。



 サクラがキンを連れて現れた。


(アオ兄、この鏡の向こう、行ってみる?)


少し遅れて、ハクが神竜を連れて飛んで来た。


(キン兄、ハク兄、この鏡を通って魔王が逃げたんだ。たぶんね)

言いながらサクラは手袋を着け、鏡面に掌を当てた。


アオも同様に掌を当てた。


(これは……闇を持たない者は通れないんだね?)

アオはサクラにだけ言った。


(そぉみたいだね)サクラもアオだけに言った。


(でも、この向こうからは大きな気を感じない)


(うん……もっと遠くに行ったのかなぁ?)


アオとサクラは両掌を鏡に突き、目を閉じた。

神眼で鏡の向こうを確かめる。


 遠くに……遠くに……


(行ってみよう)(うん)二人は鏡をくぐった。



――ガランとした部屋に出た。


(やっぱり、誰も居ないね)神眼で周囲を窺う。


(ここ、拠点だよねぇ?)

目を閉じ、地図と照合する。


(変だな……配下の魔物すら居ない)


(次に落とそうとしてた大拠点だよ~)


(影も居ない)


(そぉだね……)(ってことは――)


(ここを俺達の棺にしようとしているね)

二人、揃って言って微笑み、気を引き締めると、神眼で魔宝や結界の有無を探った。


(光を拒絶している結界が有るね)


(この真下に魔宝があるよ♪)


(この鏡は一方通行なんだね)


(想定内でしょ?)(もちろんサクラもだろ?)


(落ち着いているが、どうするのだ?)


(襲っても来ないだろうから、着実に駒を進めるだけさ)


(誰も来ないだろ~けど、ワナだらけかも~)


(もちろん、そうだろうね)


(竜宝達、下にいる魔宝は、だぁれ?)


【闇の力を吸う壺、勝輝(ショウキ)の壺で御座います】


(つまり、闇障を使うと、消耗するだけなんだね?)


【はい、その通りで御座います】


(光と闇を封じたら、無力だと思われているね)


(俺は、そぉかも)きゃははっ♪


(なんて、思ってもいないだろ?)


(もっちろ~ん♪)


(なら、外に出ようか。

まずは光を使えるようにしないとね)


(魔王いないしね~)


二人は外に出、結界を探った。


アオが蒼牙を構え、気を込めた。

(ルリ、亀裂が入ったら、炎で破壊してね)


(解った)


蒼牙を天に向かって突き上げると、細く鋭い水流が放たれ、結界の天頂を打ち続けた。


結界が清められているかのように煌めき始め、その蒼き光は、天頂から下へと拡がり、結界全体が煌めきに覆われると、天頂から放射状に亀裂が走った。


蒼牙から放出している水流に、青い炎が絡み、勢いを増して天頂を激しく突いた。


アオとルリが、水と炎を雷に変えた。

青く鋭い(いかずち)は結界を貫き、天頂部が弾け散った。


結界は天頂の穴と亀裂から、青く煌めきながら消えていった。


(さっすが~♪ キレイだね~♪)


(サクラ、供与、ありがとう)アオとルリ。


(バレてた~♪)(当然だろ)三人、笑う。


(じゃ、壺を浄化しようか)(うんっ♪)


壺の側に曲空し、浄化の光を浴びせる。


(闇を吸うのなら貰って行こう)


(これで包む~♪

手袋と同じ素材の風呂敷♪)


二人掛りで包み終えた時、

(やっと追い付いたぞ)ハクが入って来た。


(心配しても仕方ないだろうと思ったので、周辺の中小拠点を占拠しておいた)

キンも。


(ありがとうございます!)弟達。


(話し掛けても返事が無かったのは、さっき消えた結界のせいなのか?)


(そぉだよ~、なんにも聞こえなかったもん)


(その大きな包みは何だ? 壺のようだが)


(勝輝の壺という闇を吸い込む魔宝です)


(俺達、光と闇を封じられちゃってたんだ)


(別に平気だろ? 魔王がいねぇのならなっ)


(うん♪ 魔王いても、闇使えなければ怖くないかも~)


(その魔王は、最後の大拠点ってこったなっ。

顔を拝みに行こうぜ)


アカが来た。

(新たな結界で、最後の拠点を囲む)


(ここを浄化したら移動するよ)


(うむ)



 四人で浄化を始めた。


 アカは外に出、残る大拠点を囲む、闇を通さない強固な結界を張る為、術を唱え始めた。


(大師匠様、御力、お借り致します)


四人の気が、背後の大拠点から移動した事を確かめ、アカは堅固を発動した。


【赤虎、この拠点の炎鉱石を、後ろの拠点に運んだならば、ここで待機じゃ】


(はい、大師匠様)




 四人は、最後の大拠点から少し離れた場所に出た。


アオとサクラは、勝輝の壺に両掌を当て、話し掛けた。


(勝輝、聞こえる? お願い。返事してよ)


【貴殿方は、竜宝の王なのですね】

竜宝達も話し掛けているらしい。


(返事してくれて、ありがと♪

キミは魔宝? どぉしたら発動するの?)


【私は、魔王に対抗する為に作られた魔宝。

しかし、悪しき闇に閉ざされておりました。


浄化して頂き、ありがとうございます。

長く意識を封じられ、闇を蓄える為に使われておりましたが、

今こそ本領発揮する時!

私の力、御存分に御使いください】


勝輝から術が流れて来た。


アオとサクラが頷き合う。


(本当に行くのだな?)(無茶はナシだぞ)


今度は兄達に頷き、二人で穴を開いた。





『二つの闇障の間で輝く光』

神の予言が示す三人が揃ったという事なの

でしょうか?



青「ルリには、他にも天性が有るんだよ。

  属性も隠れているけど、その属性は、

  今は開かない方がいいから教えないよ」


凜「って、ルリさん、聞いてるんじゃないの?」


青「今は眠ってもらっているよ。

  休める時には休んでもらわないとね。

  天性を開くのは、大きな力を要するんだ。

  しかも闇障だから、消耗し過ぎたんだよ」


凜「あ、補助的に竜宝を、とか言ってたよね?」


青「闇障鐸なら、もう取り込んでいるよ。

  あれは天性を得る為よりも、

  闇障強化の為の竜宝みたいだね」


凜「アオって、やっぱり凄いわ……」


青「ルリの為なら、何でもしたいんだ。

  失った分より遥かに、二人で得ていく

  つもりだよ」


凜「ルリさん、幸せね~」


青「俺の方が幸せにしてもらっているからね」


凜「あーっ! もおっ! ご馳走さまっ!」


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