絆繋ぐ3-神様も友達
2019年末の投稿は、ここまでです。
明日から、明け3日までは、
『ぱられる三界奇譚』のみ投稿致します。
来る年も、どうかよろしくお願い致します。
m(__)m
♯♯ 長老の山 ♯♯
「おや、静香様、如何なされましたか?」
「大婆様、相談が有り申して、参りまして御座いまする」ぺこり
「何なりと」にこにこ
「有り難う御座いまする。
早速で御座いまするが、『試練の山』とやら、人にも挑ませて頂けるので御座いましょうか?」
「静香様も挑みたいのでしょうか?」
「はい!
この先、魔界に向かうには、強くなければなりませぬ。
竜の皆様方の足手纏いには、なりとぅは無いので御座います。
どぅか、ワラワにも、挑む機会をお与え頂けますよぅ、お願い申し上げまする」
「挑みなされよ。
ただ、人は飛ぶ事が出来ぬ。
それ故、武闘系でない蛟を、移動の為だけの供とする事が許されておるが、如何致すかの?」
「供としなければ、越えられぬのでしょうか?」
「移動に時間がかかるだけじゃ。
試練、それ自体には、何も手出しせぬからの」
「ならば、アオ殿の蛟――爽蛇殿をお願い致す」
「気心も知れておるし、それがよかろうな。
いつ、お行きなさる?」
「明日にでも! ……構いませぬか?」
「ほっほっほ♪ では、明日の朝、爽蛇を迎えに参らせましょう」
「宜しくお頼み申し上げまする!」
姫は嬉しくて、弾んで病室に戻った。
窓まで、そのまま弾んで行く。
あの遠くの高い山なのじゃな♪
よしっ! 少し剣を――あ……
そぅじゃった。
朱鳳はサクラが持って行ったのじゃったな。
(サクラ~、ワラワと話せるのじゃろ?)
(どしたの? 姫♪)
(朱鳳を返して欲しいのじゃが)
(アカ兄トコで鍛え直してもらってるから、ちょっと待っててね~)
待っていると――
「はい、朱鳳♪」サクラが現れた。
「お♪ 更に強さが増したよぅじゃな♪」
「姫、修練 始めるの?」掌を翳す。
「クロには内緒じゃぞ」声を潜める。
「うん」
「試練の山に挑むのじゃ♪」
「姫が!?」
「もぅ、体は何ともないからのぅ♪」
「うん……治ってるけど……」
「竜が人界で戦う為の試練なのじゃろ?
ならば、それを越えられねば、魔界になど行ける筈が無かろ?」
「……そぉだね。
じゃ、爽蛇 連れて行くの?」
「そのつもりじゃ♪」
「なら、安心♪」にこっ「がんばってね♪」
♯♯ 深蒼の祠 ♯♯
サクラは交替の為、深蒼の祠に入ろうとして、姫に呼び掛けられたのだった。
姫と話した後、祠に入ると――
「おっ♪ 来た来た♪
神竜の皆様がお待ちかねだ♪」
水槽は無く――
そぉいえば、アオ兄から闇が来ないね。
消えたのかな?
ハクの周りに大勢の神竜の魂が居た。
「なんで……?」ぱちくり
【サクラ様、お助け頂き、有難う御座います】
【状況を把握した時には、既にお姿が御座いませんでしたので、
こうして参りました次第に御座います】
「もぉちゃんと助けてもらったのに~
護竜槍、しっかり使わせてもらったよ♪
ご協力ありがとぉございましたっ」ぺこり
【サクラ様が、命懸けで私共をお助け下さった事に比べれば、何のお礼にもなっておりません】
「ん~と……じゃ~ね~
早く神様になって、俺達を助けてください。
お願い致します」深く頭を下げた。
【それは勿論で御座います】
「あと、俺は闇障を持ってるせいで上層神界には行けないから、俺の代わりに、神界に、この戦の真実を伝えて頂きたいのです。
竜の言葉になど耳をお貸し下さらない深神界より向こうの皆様方にも、どうか宜しくお願い致します」
【力を合わせる事、それこそが、この戦に勝つ道なのですね】
【解りました。神界に広く伝えます】
【各境界の複雑な結界についても研究し、竜の皆様が通り易くなるよう改善致します】
「うん♪ 闇にも抜け道があるから侵入されて、皆さんが捕まっちゃったんだから、改善は必要だと思うよ。
俺が入れないのは、かまわない。
兄貴達が入れればいいんだ♪
闇を通さない結界、宜しくお願いします!」
【サクラ様……】
「そんな顔しないで~
今、この天界中どこ探しても、闇を良い方向に使えるのは俺だけなんだから♪
ちゃんと解ってるから、ねっ」にっこり
【そうは仰られましても――】
「あ♪ そ~だっ♪ お願い、あった~♪」
【何で御座いましょう♪】
「友達になって~♪」
【は?】一斉に、きょとん。
「『様』とかもナシねっ♪」にこにこにこ♪
戸惑いながらも、神竜の魂達は頷いた。
「やった~♪ みんな友達っ♪」ぴょん♪
ぴょ~んぴょ~ん「あ……」止まった。
「アオ兄に呼ばれた~♪」くるっ♪
「そういや、どこに居るんだ?」
「魔竜の長老様のトコ♪
置いたまま忘れてた~」きゃははっ♪
「忘れるなよな~」おいおい
「じゃ、みんな、またね~♪」消えた。
【既に魔竜とも交流が……】
「ああ。サクラは、いずれ魔竜の王になるらしいです」
【その器は十分で御座います】
「俺よりずっとデカイよなっ」あははっ
【貴方様も天竜王に相応しいと存じます】
「ありがとうございます。しかし……
無理しないでください。解ってますから」
【無理など――】
「アイツは――サクラとアオは、魔王を倒せるヤツらだと信じてるんです。
だから俺は、俺に出来る事、限界越えるくらいやって、アイツらを支えたいんです」
【私共も、そこにお加え頂けますか?】
「もちろん! 宜しくお願い致します!」
♯♯ 老竜の神殿 ♯♯
サクラは長老に挨拶し、芳小竜を抱いて庭に出た。
「アオ兄、長老様と何 話してたの?」
【サクラの事、いろいろ聞かれたよ】
「いい話だけしてくれた?」
【勿論、ありのままに話したよ】
「って……?」
【自信ないのかい?】
「……ないかも~」
【聞いてて微笑ましかったぞ】
「ルリ姉……」
【自慢の弟だからね】
「アオ兄……」
【アオの鼻が、かなり高くなっていたな。
サクラへの愛が溢れまくっていたぞ】
【ルリを甦らせてくれて、ありがとう】
【アオを護ってくれて、ありがとう】
【おかげで心の傷は、すっかり消えたよ。
もう魔王に つけ込まれる隙は無いよ。
ありがとう、サクラ】
「ぁ……ぁ……」うるうる……
【……サクラ?】【泣いているのか?】
「アオ兄もルリ姉も大好きだよぉぉぉ!」
サクラに抱きしめられていた芳小竜がふよっと浮いた。
そしてサクラの頭に乗ると、頭を撫で始めた。
きゅ~る きゅ~る
「アオ兄?」【いや、俺じゃないよ】
「ルリ姉?」【違うぞ】
芳小竜は、まだ、ぺたぺたなでなでしながら、優しい鳴き声を出している。
「ルリ?」きゅ~るる♪
「アオ兄とルリ姉が入ってても、ルリはルリで動くんだね?」
きゅっ♪
「かわいいね♪」
きゅ~る♪
「ちゃんと解ってるんだね~♪」
きゅる♪
【しかし……私と同じ名なのだな……】
芳小竜は、嬉しそうに鳴きながらくるくるぴょんぴょんしている。
「姫が、キレイな瑠璃色だからって、つけたんだ♪」
【理由まで同じなのだな……】
「アオ兄と おんなじ色で作ったからね~
『ルリ』って呼んだら、このコねっ♪」
きゅるっ♪
「ルリ姉のコトは、兄貴達は『さん』つけるだろし~
だいじょぶだよね~、ルリ♪」
きゅる♪
【俺は、どっちも『ルリ』なんだけど……】
「そぉだね~」きゃは♪ きゅる♪
「アオ兄だけは、愛の力で、なんとかしてねっ♪」
【サクラ!】サクラには見えないが、真っ赤!
ルリが楽しそうに笑いだし、サクラも笑った。
アオも幸せを噛みしめ、共に笑った。
凜「サクラ、『試練の山』って?」
桜「それは~
次回から姫が受けるから
凜、書くんでしょ?」
凜「そのつもりだけど。
皆さん、同じ試験なの?」
桜「ううん、兄貴達に聞いたら
ちょっとずつ違ってたよ。
受験者に合わせるみたい」
凜「そうなんだ。
でも、受験者に合わせたら
難易度バラバラにならない?」
桜「それは だいじょぶ~
ソコ違ってたらダメでしょ」
凜「そっか。
サクラには簡単だった?」
桜「もっちろ~ん♪」
凜「なのに、どうして
人界の任ギリギリに受けたの?」
桜「忘れてたから~♪」きゃはっ♪
凜「へ?」
桜「研究 楽しかったから~♪」
凜「流石……博士だね……」
桜「や~ん」




