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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
222/429

絆繋ぐ2-サクラの覚悟

 前回まで:アオを体に戻す為の竜宝は

      揃いました。


♯♯ 魔竜王国 ♯♯


 虹藍は老竜の神殿を訪れていた。


「長老様、大婆様、やっと私の隣に座して頂ける方が現れました」


「虹藍、国の為に犠牲になるという事ではなかろうな?」


「大婆様、ありがとうございます。

大丈夫です。私の……初恋の方ですから」

頬を染め俯く。


「それは良かった。

ああ、もしや、この蔵で竜宝達と話しておった、天竜の王子様の事かの?」

にこにこにこ


ますます赤くなる。


「この新しい結界も、その王子様が成したと聞いたが……

術に長けた御方なのじゃな?」


「はい。

術に長け、竜宝に精通し、武にも秀で、優しくて、明るくて、素敵な方です!」


「幸せそうで何よりじゃ」

「年寄りばかり残ってしもうて、苦労ばかりじゃったからの……

末永う睦まじゅうのう」


「はい♪」


「と……噂をすれば、じゃ」


神官に連れられて入って来たのは、小さな青い竜を持ったサクラだった。


「あ……お話し中、失礼致しました。

では先に、蔵に入らせて頂きたく――」


「まぁまぁ、そう仰らず。

また少しばかり、年寄りの話し相手など、してくださらんか?」にこにこにこにこ


「よろしいのですか?」


「虹藍と並んでくれるかの?」


並んでみる。


「早う、本物を抱いておる姿が見たいものじゃな」ほっほっほ♪


「あ……」二人、芳小竜を見て、真っ赤になる。


「その中に、兄上殿が入っておられるのじゃな?」


「はい。兄夫婦を体に戻す為に恵雨璧を探していて、こちらの蔵に参り、

情報を得、見つける事が出来ました。

感謝致しております」


「そうかそうか。

中のお二人を、兄上殿の御体に込めるおつもりなのじゃな?」


「はい。

義姉上は、既に身体を失っておりますので」


「ならば、晴虹風の三玉も必要ではないか?

元の御体ではないのじゃからの」


「あの三玉……やはり、そうですか!

では、滝瀾(ロウラン)の術を重ねて掛ける必要があるのですね?」


「その方が確かじゃと思うが――

キキョウ様にも尋ねてみるがよいぞ」


「はい。お教え頂き、ありがとうございます。

心が晴れやかになりました」にっこり


後は、天界と人界の様子を聞きたいと言うので、話し――


「もちろん、馴初めも話してくれるのじゃろうな?」


と、年寄り達に弄ばれ――


「では、兄上殿と話させて頂こうかの」


芳小竜(ルリ)を残して、どうにか放免となった。




 サクラと虹藍は蔵に入り、奏慈器(ソウジキ)に声を掛け、並んで腰掛けた。


「長老様方、すっごく久しぶりに笑ってたわ♪

サクラ、来てくれて、ありがとう」


「俺、相談に来ただけだから……」


「そうやって、頼って貰えるのが嬉しいんだと思う」


「そっか……ウチの長老達も、おんなじだもんね。

頼れ頼れって、よく言ってる」



「あの中には、お兄様が入っているの?」


「うん。アオ兄と、奥さんのルリ姉。

アオ兄は、魔王に体を乗っ取られて、神様と竜宝達に手伝ってもらって、あの中に。


ルリ姉は、俺が孵化する前に戦死して……

アオ兄の守護神が、剣に魂を込めてくれてて、その剣をつい最近、この国で見つけて、それで今は一緒に、あの中に。


二人は、あの中で結婚したんだ。

百四十年越しでね」


「お二人……今は、お幸せなの?」


「そうみたい。

俺……禁じ手 使ってでも、ルリ姉の身体を作ろうと思ってた。

でも、二人共、今が最高に幸せなんだって。

だから要らないって、そう言われたんだ」


「私も……サクラに、禁じ手 教えてもらおうと思ってたの。

私の代で王家が途絶えてしまうって思って……

自分の複製か何か、竜宝で作れないかな……

なんて、けっこう深刻だったのよ」


「そんなコト考えてたの?

俺なんかと違って、お相手なんて、いくらでも、どーでもじゃないの?」


「ないない!

女王なんて、貰い手いないわよ~

ねぇ……サクラ……本当にいいの?」


サクラが大きく頷いた。

「俺、竜宝の王として、竜の王子として、どっちの竜王国も大事なんだ。

だから絶対! この国を護る!

そう決めたから、言ってしまうけど――


ランの事、健気で、とっても可愛いって思った。

俺が好きになったら、ラン自身も、この国も標的になるって解ってるのに……

それでも、この気持ちは、どうしようもなかったんだ。


魔王を倒すまで我慢しようと思ったけど、それも無理!


ラン、悪いんだけど……

好きになってしまったんだ」


ランの瞳から涙が溢れる。


「あっ! ほんっと、ごめん!

この国は、ちゃんと護るからっ!!

ランも、ちゃんと護るから、ごめんっ!!」


「バカね……嬉し涙に決まってるでしょ!」


「ホントにいいの? 危険なんだよ?」


「私なんて、何代も前のお爺様とお婆様しか、もういないの。

みんな魔王に……

でも……それでも今、とっても嬉しいの!

大バカでいい! サクラ、大好きよ!」


あとは勢い無我夢中。

気づくと唇を重ねていた。


 覚悟決まりっ!!

 まず護る!

 そして絶っっっ対! 倒してやるっ!!


少し離れて、見詰め合う。

微笑み合って……もう一度……


静まり返っていた蔵の中が、大歓声で割れんばかりになる。


(う・る・さ~いっ!!)


【我等が王、万歳!!】大合唱!




♯♯ 長老の山 ♯♯


 天界に戻ったサクラが、術を確認する為に書庫に向かっていると、ソラを見かけた。


「あ♪ ソラちゃん、こんちは~♪」


「サクラくん ……こんにちは……」


「学校の帰り?」


「うん」

 サクラくん……本当に変わらないんだ……

 それなら……私も、そうしなきゃ。


「これから、お茶なの?」


「うん。あ♪ また、お茶 淹れてよ♪

これから、皆さんにお誘いされてるのよ」


「いいよ~♪」


「皆さん、変わらず接して下さって……

嬉しいけど、申し訳なくて。

だからサクラくんのお茶、お礼にってのも変だけど、美味しいから。

皆さん、喜んで頂けるかな、って♪」


「ありがと♪

理由なんて、どーでもだよっ、行こっ♪」


ソラの手を取ろうとしたサクラが止まった。


「ソラちゃん……俺……

ソラちゃんを護りたいって気持ちは変わってないんだけど――


ラン――魔竜女王の事、好きになっちゃった♪

だから、安心してね。

これからも、友達よろしくっ♪」


差し伸べていた手を、握手を求める形に変えた。


「うん♪ ずっと友達よろしくね♪」


にこにこと、しっかり握手。



「じゃあ、サクラくん、王様になるの?」


「まだわかんな~い。

王になるのか、配偶者として補佐するのか、なんて、そんなトコまで決まってないから~

ただ一緒に、あの国で頑張りたいんだ♪」


「ふぅん……なんかキラキラしてるね♪

私も キラキラできる恋 見つけなきゃ!」


「うん♪ ちゃんと幸せになってよねっ」


「もちろんよ♪ 負けないわ!」あははっ♪



「そぉいえば……

ソラちゃん、どぉやって魔界に行ったの?」


「鏡を通って行き来してたわよ」


「鏡?」


「家と叔母さん家を繋ぐ鏡があったのよ。

割れちゃったんだけどね」


「鏡の名前わかる?」


「知らないわ。普通にある物じゃないの?」


「ないない~

見せて――あ、割れちゃったんだね」


「うん。突然、弾けるように割れちゃったの」


「そっか……」


「それっきり買ってくれないから、高価な鏡だったんだな~って思ってた」


「どぉやって天界に戻る気だったの?」


「家にあるくらいだから、どこにでもあると思ってたのよね~

だから、特に考えてなかったわ」


「そぉなんだ~」

 調べなきゃ。

 あ! もしかして……双掌鏡って――


「ね、皆さん、きっとお待ちよ。

行きましょ♪」


「あ、うん。そぉだね♪ 行こっ♪」





凜「サクラ、三界では『ソージキ』って

  これなの?」


桜「凜トコの『ソージキ』って?」


凜「掃除機……」書き書き。


桜「コレが掃除するの!?

  もしかして、ここから吸い込む?」


凜「それは蓄音器。掃除機は、これよ」


桜「かわいい~♪ 勝手に動くんだ~♪」


凜「乗るなっ! 猫か君は!」


桜「にゃ~ん♪」くるんくるん♪


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