絆繋ぐ1-虹紲の術
もうすぐ前進できそうです。
♯♯ 魔竜王国 ♯♯
サクラは東の国境付近で、祠を探していた。
あ♪ あれかな?
降下していると、
あれ? あっちにも……あれも、そぉかな?
五つの祠が並んでいた。
その全ての祠が光っている。
どれだろ?
ま、順に入るしかないよね~
北から順に入る事にした。
「わぁ~♪ 玉だらけだぁ♪
光ってるのは……コレと~、コレだね。
んと……澄晴玉と涼風玉ね♪
この前、東の国で貰った瀏虹玉の友達なんだね♪
じゃ、一緒に行こうね~♪」
全ての玉を浄化し、次の祠に向かった。
今度は鏡の祠だ……光ってるのは――
「双掌鏡? 二枚一組なんだね?
移動用なの? じゃ、三組あるね♪」
浄化して――次は、鐸の祠。
「あれっ? キミは留尊鐸だよね?
キミ達も対なの? ん♪ 会いたいんだね。
じゃ、老竜の神殿に連れてってあげるねっ」
また浄化して――その次は、壺の祠。
「えっと……壺以鞠ね。
キミは、壺美善に会いたいんだね?
うん♪ 行こうねっ」
ここも浄化して、最後に、やっとこさ璧の祠。
「恵雨璧いる?」光ってる!「やった~♪」
璧達も浄化して、老竜の神殿に曲空した。
「長老様、こんにちは。
こちらの蔵にいる留尊鐸の友達を、東の祠群で見つけましたので、置かせてください」
「わざわざ、すみませんのう。
サクラ様は竜宝と話せますのかな?」
「はい。みんな友達なんです」
「友達とな。それは良き事。
神官殿も話せるのでしたな?」
「少しですが……は? その鐸が、王と……
サクラ様は、王なのですか!?」
「天竜の王に、お成りになったのですかな?」
「いえっ、竜宝の王を……兄と共に、させて頂いております」
「竜宝の……?」
「竜宝の声を聞き、正しく使う為に、竜と竜宝の懸け橋となる役目に御座います」
「そうですか。
その、もうおひと方の竜宝の王様とも、お会いしてみたいものじゃのう」
「今は、兄の体を浄化しておりまして、竜宝の中に入っておりますが、構いませんか?」
「姿など気には致しませんよ。
話し相手さえ、して頂ければ満足じゃ」
「では、また後程、兄と共に参ります」
そして、竜宝の国へ――
「壺美善に会いたいってヒト、連れて来たよ」
【壺以鞠……お前……何処に居ったのだ?】
【魔竜王国の祠に……やっと会えた……あなた】
「ねぇ集縮、この二人は?」
【夫婦なのです】
「そっか~、会えて良かったね♪」
【壺美善は修復、壺以鞠は育成の壺。
竜宝の復元や再現のお役に立てます、高位の壺で御座います】
「じゃ、また陶芸家さん達に、頑張って壺美善の体 作ってもらわなきゃね~♪」
♯♯ 深蒼の祠 ♯♯
夕刻、ハクが戻って来た。
「兄貴、そろそろ交替だろ?」
「そうか、ならば頼む。
そう言えば、聞いていなかったが、ハク、神界はどうだったのだ?」
「入り難くて大変だったよ」笑う。
「護竜槍は、どうやって手に入れたのだ?」
「深神界って、神界の奥の方の神竜が蔵で眠らせてて、家宝だからって、なかなか譲ってくれなくて苦労したよ。
結局、サクラに助けて貰ったんだがなっ。
唔器呟って竜宝に、護竜槍の魂を込めて、直接 話して貰ったけど、まだ渋ってなぁ。
そんで、サクラが闇の穴 開けて、神竜の魂を助け出して、そいつらと、神も わんさか連れて行って、皆で説得してくれて、やっとこさだよ~」
「いつの間に……」
「だろ? サクラ、動きっぱなしだから、次の交替は俺が引き続いて、アイツ休ませようと思ってるんだ」
「そうしてやってくれるか。
ハクも、まだ休んでいなくて悪いのだが……」
「いや、ミカンの所で休んだから大丈夫だ。
あ、アカ、結界の補強か?」
「いや、出来たから」矢を差し出す。
「結心か!?」キンとハク。
「今朝、クロが代替えの炮六杉を持って来た。
試して欲しい」
「では、大婆様の所へ行くとしよう。
ハク、ここを頼んだぞ」
「なら、アカで試してくれ。
その矢が出来たら喚ばれてくれるって神がいたんだ」
「そうか。アカ、それでいいか?」
「うむ」
「なぁ、兄貴……」
「なんだ?」
「アオの体、闇を感じねぇんだが……」
キンが掌を翳し、確かめる。
「そうだな……急に消えたな」
「大婆様に確かめて貰わねぇか?」
「運ぶか」「アカ、掴まれ」「うむ」
――長老の山。
「大婆様、アオの体から、闇が消えたような気が致しますので、お確かめ頂きたく、お願い致します」
「そぅか……
ほぅ、確かにのぅ。闇が消えたな」にこにこ
「では、竜宝が揃いましたら、アオを戻せますか?」
「そぅじゃな。もぅ揃うじゃろ。
アオの笑顔、早ぅ見たいのぅ」うんうん
「はい。もうひとつ。
結心の矢が出来ましたので、虹紲の術をお願い致します」
「アカ、ほんに大したものじゃ。
ハク、その笛を貸して貰えるかの?」
「はい」笛を差し出す。
「そのままでな。
グリッターローズ様、結心の矢が出来ましてございます。
御力、お貸しくださいませ」
【そうか。全く大した子孫達だな】
カルサイとドルマイが現れた。
「カルサイ様、ドルマイ様、虹紲の立ち会い、宜しくお願い申し上げます」
【こちらこそ、宜しくお願い致します】
二神と大婆様が術を唱え、アカが天に向かって、結心の矢を射ると、光が飛来し、神が姿を現した。
【儂が持てる力、存分にお使いくだされ】
「アカ、神様と右掌を合わせなされよ」
合わした右掌の上に、護竜槍が浮かび輝く。
術が終わる時、その光は右掌に吸い込まれた。
【これにて、虹紲、結ばれまして御座います】
カルサイとドルマイが礼をして消えた。
【我が名は、金虎。三代金虎じゃ。
赤虎よ、宜しくお頼み申す】
「金虎様……では、人神様で御座いますか?」
【竜の神に認められ、神竜として生まれ直し、神と成り申した。
この上は、竜の神として力を尽くす所存。
方々、宜しくお願い致す】
「此方こそ宜しくお願い致します、大師匠様」
♯♯ 神界 ♯♯
【最高神、とうとう王子達は結心の矢を作りおったのだな?】
【はい。金虎様が大喜びでしたよ】
【そうか。ならば、私も心しておこう】
【アメシス様とヒスイは、如何ですか?】
【共に修行する事で、かなり加速している。
王子達が地下界に行く迄には、ヒスイを神にするつもりだ】
【では、覚醒まで、よろしくお願い致します】
【任せておけ。
ガーネに代わり、必ずや大神に育て上げる】
【あのっ、最高神様!】
大勢の神竜の魂達が来ていた。
【どうしましたか?】
【私達をお救いくださった方は、どのような御方なのでしょうか?】
【気がつきました時には、既に、いらっしゃらなかったのです!】
【どうか、お教えくださいませ!】
【そうですか】にっこり【では、こちらに――】
最高神殿に入って行った。
魂達がざわめく。
【どうしたのだ? 聞きたいのだろう?
遠慮せず入ればいい。
彼奴は、そんなに堅苦しい奴ではない】
【そ、そうでございますか……】【では……】
魂達は最高神を追って行った。
始【ったく! サクラのヤツ!
こんなデッカイ結界なんか張りやがって!】
凜「シルバコバルト様♪
今度は、結界の補修ですか?」
始【うわっ! なんで宙にっ!?】
凜「そこはお気になさらず~♪
やっぱり、お優しいんですねっ♪」
始【うっせーっ!!】
凜「また逃げた……」




