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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
204/429

仁佳西5-襲撃

 前回まで:魔竜が作った結心の弓矢が

      見つかりました。


♯♯ 魔界 中立地帯 ♯♯


 サクラは、アカの工房から魔界に戻り、大学からソラを追いかけ、屋根裏に入った。


 あ、隅っこの光 確かめなきゃ。


淡く光る箱を引っ張り出し、開けて見た。


 この細かい金属は……もしかして……


並べていた蒼牙の上で、箱を持ち、

「元の場所に戻ってね」術を唱えた。


蒼牙と、箱の中の欠片達が輝き、箱から光の粒が浮き、蒼牙に吸い込まれていった。


箱が空になった。


「ぜんぶ蒼牙だったんだね」なんで ここに?


 あ♪ 蒼牙、仮止めしとこ~♪


術を唱えていると、また、ソラが上がって来た。




 ソラは術が終わるのを待ち、

「サクラくんって……いろいろ凄いね……」

ため息をついた。


「そぉ?」にこにこ


「探し物……見つかったら、もうここには来ないの?」


「そんなコトないよ~

ソラちゃんが天界に来てくれるまで、ずっと来るよ」

蒼牙を緑の竜綺で包んだ。


「ありがとう……」


「元気ないね。なんでも言って?」


「迷惑……これ以上かけられないよ……」


「まだ、な~んにも迷惑ないない~」


「なんで?」


「なにが?」


「なんで、そんなに優しいの?」


「それは――」


 言ったら、ますます危なくなるよね……


「――俺が迷惑かけてるから」


「そんな事ないからっ!

……サクラくん……私……」


「……うん」


「ごめんっ! やっぱり言えない!

ごめんね……」


「うん……頼りにならないよね……俺……」


「そんなんじゃないからっ!!

あの……ね……

その石像、私の部屋に置いていい?」


「え!?

そんなことしたら、俺、またトートツにソラちゃんの部屋に現れちゃうよ!?」


「いいよ」布石像を持って、下りて行った。


 え~っと……俺、どうすればいいの?


 って!! 今!? こんな時にっ!!


ソラの部屋で、闇の穴を消し、即、曲――


「ここにいてよ! お願い……」涙が溢れる。


「ソラちゃん……」肩を抱こうとして手を止めた。


正面からソラの両肩に掌を置き、治癒の光を当てる。

「心まで届くのか分からないけど……」


「ありがとう……あったかい……」


ソラは、サクラの胸で泣いた。


サクラはソラの背には触れず、そっと治癒の光を当てた。


 ソラちゃん……俺で、ごめん……

 ソラちゃんが会いたい人って誰?

 教えてくれないと探せないよ……



♯♯♯



 その日の夜中も、サクラは竜宝を求めて低空飛行していた。


つい、ため息……


 あーっ! ダメダメ!

 こんなじゃダメなんだからっ!

 昨日よりヒドイよっ! 俺っ!


でも、ため息……


 だぁーっ! もぉっ!

 感情 動かしちゃダメなんだからっ!

 切り換えるっ! はいっ!


両手で頬をパシッと叩いた。そして前を向く。


 蒼牙の中には、やっぱり誰か封じられてる。

 切先が見つかったら判るのかなぁ?

 早く見つけたいな……


 蒼牙が、ちゃんと復活したら、

 アオ兄の心は、元気になるんだ。

 俺のカンが、そう言ってるから間違いない。


 アオ兄……いっぱい傷ついたから……

 絶っっっ対! 俺が見つけるんだ!


 あ♪ また光ってる♪

 ここは、ソラちゃんの地図にあった、

 遺跡の発掘調査現場かな?


降下。


 初代魔竜王の最初の城と軍事施設は、魔物の襲撃で破壊され、魔竜王国の中枢は、より東に移さざるを得なかった。


 今は魔竜王国の西端に広がる、ただの荒れ地となっていた、この場所の調査を始めたのは虹藍女王だ。


 ランは何かを探してるのかな?

 そういえば、竜宝について知りたいって

 言ってたよね。


 すっごく悩んでる色してたけど……

 何を悩んで――ん? 色……って……

 俺、兄貴達しか見えなかったハズなのに、

 どうしてランの――あ……掘らなきゃ。


地面が光っている場所に立ち、思いに耽ってしまっていた。


 勝手に掘っちゃって、ごめんなさ~いっ♪


荒らさないよう、掌握で探った。


 璧じゃなかったね~

 武器いっぱいだね~

 ここ……武器庫跡なんだね……


竜宝だけを選び、掌握で取り出して抱えた時、


 もぉ~っ! しつこいっ!!


ソラの部屋に曲空した。




♯♯ 人界 岩戸地帯 ♯♯


 空を覆い尽くすように、魔物が迫っていた。

宵闇とは違う、闇黒の集団が月をも見えなくしている。


 これは……本気の攻撃のようですね……

 少しでも減ればよいのですが……


フジは、聖輝煌水を紫炎に乗せ、波紋状に拡散した。


しかし、魔物は減らない。


 やはり、傀儡兵や獣化兵では無いですね。


 初めてですが、グレイスモーブ様の技、

 使ってみましょう!


魔物の直中に、シュッと飛び込み、


 極炎豪放(ゴクエンゴウホウ)!!


夜空が一面の紫炎で輝いた。


 もう一度、極炎豪放!!


魔物が疎らになり、退却し始めた。


 もう一度――あれは!?


地上から黒い塊が、勢いよく天に向かった。

その先には――


 闇の穴!


フジは、黒い塊を追い越し、闇の穴の前に立ち塞がった。


黒い塊が急停止する。


 !!


 岩戸から出てしまったのですか!?


大きな翼の魔物が、ぐったりした姫を掴んでいた。


魔物は闇の穴に向かうのを諦めたのか、勢いを増しながら、真っ直ぐ上に飛んだ。


 豪速でも追い付けないなんて!


 境界が近い!

 追い付かなければ姫様がっ!!


魔物が境界に差し掛かる。


姫が赤みを帯びた光に包まれた。


 朱鳳の光!? 姫様を護って!!


フジは魔物の翼に、鋭い炎を矢の如く放った。

魔物の速度が落ちる。


魔物の足や翼に、続けざまに炎の矢を放ちながら迫った。


尾を掴み、引きずり落とす。


紫炎を刃に変え、斬りつけた。


 姫様が落ちる!


フジは護竜甲を姫に放った!

「姫様に展開っ!!」


魔物に豪炎を放ち、姫を追った。


姫を掴む。「熱っ!!」


【既に境界に入っております!

私では、お護りしきれません!】


(私も包みます!)

腹部の鱗と、両手で姫を包んだ。

掌の内で、紫炎を氷に変え続ける。


 凍鉱石! 聖輝煌水に溶かして氷に!


【天界でなければ治療出来ません! 上へ!】


熱に耐え、豪速を極大にして、全力上昇した。




♯♯ 魔界 魔竜王国 ♯♯


 サクラは、ソラの部屋に曲空したついでに、屋根裏に竜宝達を置いて、遺跡に戻った。


 宝物庫跡は、どこかな~♪


神眼で見ながら、地面スレスレを飛ぶ。


(竜宝達~、返事して~)


 眠ってるみたいだね……


 !!


 何……? 誰か、俺を呼んでる?


 ……アオ兄!?


気を限界まで高め、アオに向かって伸ばす。


 掴んだっ! (アオ兄!?)


(サクラ! フジに向かってくれ!!)


(うんっ!!)人界との境界へ!



♯♯♯♯♯♯



 フジは豪速で上昇し続けていた。


抱えている姫の熱が下がっていく。


【天界に入りました】


フジは速度を落とすことなく、長老の山まで飛び続けた。



♯♯♯♯♯♯



 これは!? フジ兄!?

 姫が相当ヤバいっ!!

(フジ兄!! すぐ行くからっ!!!)


サクラはフジに向かって連続曲空した。



――長老の山の最終結界。


「遅くなって、ごめんっ! 姫を!!」

サクラが現れ、両手を広げた。


フジは姫を渡すと、気を失い、落ちていった。


(兄貴達!! 助けてっ!!!)





始【またかよっ! 妖怪ジジイ!!】


孤(お前の子孫は、常に狙われているのだ。

  四の五の言わず助けよ。

  鎖に抗え。手遅れになるぞ)


始【っせーなっ!】


孤(今日は殊の外、鎖が強いな……

  已むを得ぬ。眠っていろ)


始【おいっ!! 妖――……】


孤(モーブ、ローズ、此奴に代わり、

  子孫達を頼んだぞ)


 妖狐王が動かすシルバコバルトは、

二つの水晶を手に、長老の山の上空で留まった。

そして、爆発的に気を高め、大きな供与を注いだ。


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