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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
203/429

仁佳西4-ユンおばさん

 魔竜王国には、竜だけでなく様々な種族の魔人が住んでいるようです。


♯♯ 魔界 中立地帯 ♯♯


 その後も、サクラは蒼牙の欠片をあちこちで見つけた。


 どぉして、天界で なくした蒼牙が

 魔竜の国でバラバラに見つかるんだろ?


不思議に思いながら、ソラの部屋の屋根裏で、蒼牙の欠片をもう一度並べてみた。


 アカ兄が再生に使ったのって

 どこなんだろ?

(蒼牙、教えてくれる?)


中程の空間が蒼い光で埋まる。


 ってことは……

 まだ切先が見つかってないんだね。


 夜中に空から探してみよ~


微かな足音が聞こえ、サクラは隠れた。


 あれ? 隅で何か光ってる……

 後で確かめなきゃ。


「サクラくん、いるんでしょ?」囁き声。


「うん」顔を出す。「落ち着かない?」


「そうじゃなくて、顔が……見たかったの……

いつも近くにいる筈なのに、見えないから……」


「不安?」


「ううん。信頼してるから不安なんてないよ。

ただ、顔が見たかっただけ」


「何かあったの?」


「探し物は順調?」


「まぁね。ねぇ、何か悩み事?」


「なんでもない……邪魔してゴメンね」

階段に向かう。


「講義、かっこよかったよ」にこっ

下りて行った。


 何を隠してるんだろ?

 天界に来れない理由?

 探し物? 何を?


 ……もしかして……好きな人?


 そうだよね……その可能性あるよね……


 心が苦しくて……痛いよ……



♯♯♯



 夜中、サクラは魔竜王国を、ゆっくり低空飛行していた。


 あ! 何か光ってる!


降下。


 畑だね……光は土の中。

 けっこう深いね……


波動を細く当て、掘り下げていく。

途中からは掌握で探り、取り出した。


 眠ってる……けど、光ってるのは――


 三眼、四眼、君達が光らせてるんだね?


鳳雅(ホウガ)、起きて……)浄化の光を当てる。


鳳雅が放つ光が、赤く変わり、宙に浮いた。


(目覚めてくれて、ありがと~♪)


ほぼ完全な形で見つかった鳳雅の柄には、大玉が二つ。


(ってことは、大玉ひとつの剣があるんだね?)


三剣が輝く。


(もっと仲間がいるの? 五眼とか?)


反応が微妙だ。


(ん? なぁに? もしかして、未完成?)


輝く。


(どこにあるの?

魔界? ……神界? ……天界?)


天界で輝いた。


(一眼は、どこ? 魔界?)


輝いた。


(その二つも探すねっ)


嬉しそうに輝く。



♯♯♯



 再び低空飛行し、光を見つけ、降下した。


 民家の物置……まいったなぁ……


布石像を庭に隠し置いた。



 でも、流石、竜の国だね~

 竜宝が、あっちこっち いっぱいだねっ♪



♯♯♯



 翌朝、上空から、竜宝が有る民家を観察した。


 おばあさん、ひとり暮らしなのかな?

 他に気を感じない。

 あの角……ネイカさんと おんなじみたい。

 山羊族なのかな?

 聞いとけばよかったなぁ……


庭に水を撒いている老婦人を眺める。

片付け始めたので、家に入る前に声をかけようと、降りてみた。


「あの、すみません」門から声をかける。


「あら、どなた?」


「はじめまして、天竜のサクラと申します。

探し物をしていて通りかかったのですが、その……角が、友人の妹さんと、そっくりなので、同じ種族の方かと思いまして――」


「ご友人さんのお名前は?」


「リジュンと――」


「まあ! 懐かしい!

その妹さんはネイカちゃん?

弟さん――ホウくんだったかしら?」


「はい! そうです! ご存知なんですね♪」


「でも、随分前の話だからねぇ……

昔、隣に住んでいたのよ。

ここに越して来て、一度だけジュンくんが訪ねて来てくれたけど――」


「ちょっと待っててくださいね!」曲空。



――長老の山。


「ネイカさん、ホウさん、ちょっと来てっ」

二人の手を掴んで――



――再び魔竜王国。


「え!? ユンおばさん!?」ネイカとホウ。

「あらまぁ! 立派になって!」


懐かしい話に花が咲く。


しかし、ユンの夫と息子は戦で亡くなっていた。

その寂しさ、辛さが常に見え隠れする。


「サクラ様……」


「うん♪ いいよ、ネイカさん♪

ユンさん、天界にいらっしゃいませんか?」


「一緒に暮らしましょう?」


「そんな……ご迷惑な……」


「何も迷惑なんてありませんよ」にこにこ


「来てよ、おばさん♪」


「愛着のあるお家でしたら、まるごと運びますよ。

ご遠慮なさる必要はありません。

こちらも、特にお構いもしませんので」にこっ


その後も、遠慮しまくって渋るので――


「とりあえず遊びに来てよ。

療養してる兄さんにも会ってよ」

と、ネイカが立たせ、そのまま天界へと連れて行った。



「のどかで素敵な所だねぇ……」


「でしょ♪ だから一緒に暮らしましょ♪」


そんなこんなで、ユンおばさんは、ネイカとホウの家の隣に住む事になった。


「お家、ここでいい?」本当に、まるごと。

「物置こぉかな?」

「お庭の木~♪」

「薔薇の花もねっ♪」


サクラが次々運んで来るのを、ネイカとホウが魔宝を使って据え付けた。



 サクラとしては、持ち主と仲良くなってから、竜宝の話を持ちかけようと思っていたのだが、

ユンが、どうしてもお礼をしたいと言うので、物置の中の物をひとつだけ頂きたいと言ってみた。


「何に使うのか、さっぱり分からない、義父が集めたガラクタばかりよ。

いいの?」


三人は嬉々として、物置から ひとつずつ竜宝、魔宝を持って出て来た。


「そんなに喜んでもらえるなら、みんな持ってってちょうだいな」


「ホントにっ!?♪」三人、大喜び。


「あ……代わりにコレを」集縮の小壺を出した。


サクラが使い方を説明している間に、ネイカとホウが箱を抱えて来た。


「これと交換してね♪」


生活が便利になる竜宝、魔宝が、古代の遺物達と入れ替わりに物置に入った。




 この物置で光っていたのは、一対の弓矢。

おそらく、魔竜達が使おうと作った、結心(ユウジン)の弓矢。


 光ったって事は、使える筈!


サクラはペリドルを連れて、アカの工房を訪れた。

「アカ兄、コレ」鳳雅と結心の弓矢を渡す。


「魔界に有ったのか……」


アカは、結心の矢に手を翳した。


「そうか……この木も代替材料か……

この木なら人界に有る筈だ。

サクラ、クロを呼べ」


(クロ兄、アカ兄トコ来れる?)


(ああ、すぐ行く)


間もなくして、クロが曲空して来た。


「クロ、この木を探せ」紙を渡す。


「手がかりは?」


「人界なら、まだ絶滅していない筈。

それだけだ」


「ありました!」

ペリドルが古文書から顔を上げた。

炮六杉(ホウロクスギ)は、温帯域の高山に自生するようです」


「温帯の山なのか……って事は……

サクラ、この木、どんな木だ?

……よしっ! 行ってくる!」人界へ曲空。


「鳳雅は復元しておく」赤い布で包んだ。


「ありがと、アカ兄♪

あ、一眼のは、なんて名前なの?」


琉雅(リュウガ)だ」


「未完成の五眼は?」


「そうか……伝説ではなかったのだな……

繝雅(ケンガ)と名付けられる予定だったらしい」


「なんで華雅だけ、対になってるの?」


「短剣、長剣、双剣、大剣なだけだ」


「そっか~

琉雅は魔界、繝雅は天界にあるんだって。

見つけたら持って来ていい?」


「うむ。頼む」




 サクラが工房から出た所で、背の華雅が光った。


「どしたの?」


【サクラ王様、鳳雅をお救いくださり、ありがとうございました】

【鳳雅を保つ事で精一杯にて、無言となり、申し訳ございませんでした】


「いいよぉ、そんなコト。

で、もぉだいじょぶなの?」


【はい。竜綺(リュウキ)にて、お包み頂きましたので】


「あの赤い布?」


【はい。護竜宝の仲間に御座います】


「へぇ~、アレも護竜宝なんだ~♪

色は何かあるの?」


【はい。赤は活化の色で御座います】


「じゃあ、いろいろあるの?」


【はい。御座います】


サクラは工房に駆け込んだ。

「アカ兄♪ 竜綺ぜ~んぶ見せて~♪」


アカが箱を指す。


サクラは卓に出し、竜綺達と話し始めた。





黒「竜ヶ峰と、東と中の国境山脈、

  どっち先に探した方が良さそうなんだ?」


桜「ん~~、竜ヶ峰かなっ」


黒「んじゃ、そっち先なっ」


桜「って、ただのカンだよぉ」


黒「オレも、なんとなく竜ヶ峰だと

  思ってたから、それでいいんだ。

  ありがとなっ」


桜「ん♪」


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