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三界奇譚  作者: みや凜
第三章 大陸編
201/429

仁佳西2-神竜達

 馬車組はアオ達を待つ事にしました。

その間に、たっぷり修行できそうです。


♯♯ 神界 ♯♯


 上層神界に行ったハクは、深神界の入り口で困っていた。


「この向こうに護竜槍が有るのは間違いねぇんだがなぁ……

どうにも、入り方が分からねぇんだよなぁ。

鍵は、これじゃねぇのかなぁ」ブツブツ……



 神界は、上下層に分かれていて、天界から入れるのは、下層神界である。


 下層から上層への鍵は、護竜宝と兎月鏡(トゲツキョウ)であるが、

まだ神竜と絆を結んでいないハクは、神竜か神に引き込んで貰わなければ入れず、毎度、アメシスに引き込んで貰っている。


上層の奥に深神界(フカシンカイ)が在り、更に、その奥に真神界(シンシンカイ)が在る。



 翁亀様は、深神界に住んでいる神竜が

 護竜槍を所有していると仰った。


 だから、何としても深神界に入らなきゃ

 ならねぇが……


 ったく、神界ってぇのは

 ややこしいトコだよなっ!

 そんなに竜が嫌いなのかよっ!


サクラから貰った琴戴鏡(キンタイキョウ)を見詰める。


「なぁ、護竜剣と鏡達よぉ。

どうしたら、この向こうに行けるんだ?

ここもアメシス様に引っ張って貰えばいいのか?」


【ハク様、竜が深神界に入るには、より強い神の力が必要となります。

先に、神と絆を結ぶべきで御座います】

護竜剣が答えた。


「結心の矢が出来ねぇんだよなぁ」


【でしたら、お知り合いの神々に、お手伝いをお願いするのは可能ですか?】


「ひとりじゃダメなのか?」


【ご自身が絆を結んだ神ならば、おひと方。

そうでないなら、お二方以上。

多い程、安全に入る事が出来ます】


 じゃ、まずは、

 フジのアメシス様に頼むとするか。

 スミレ様は何処にいらっしゃるんだ?

 サクラなら知ってるのかなぁ……


 だが、曲空は体力回復待ちだな。

 クロみたく、連続出来ればいいんだけどなぁ。


【ハクよ、その笛、奏でてみよ】


「誰だっ!?」


【奏でられぬのか?】


 何なんだ? 偉そーなヤツだなっ!


思いながら、アオの笛を構え、吹き始めた。


一曲、奏で終わる――無言……


二曲、奏で終わる――また無言……


三曲、奏で終わると――


【三人程では無いが悪くない。上手いな】


「三人?」


【お前の弟達だ】


「アオ、フジ、サクラか?」

 アイツらなら、別格だからなぁ……


【そうだ。

あの三人は、祖父の笛を持つに値する腕だ】


 どーせ、俺は……


【拗ねるな。お前も悪くは無い】


 この笛……始祖様の笛じゃなかったか?

 さっき『祖父の笛』と言ったよな?

 ってことは――


「グリッターローズ様……?」確か、この前……


【ほほぅ、気付いたか。

頭も悪くは無いのだな】笑う。


【流石、次の王だ。気に入った!

我が神も貸してやろう】


「え!? ……ありがとうございます!」


【兄の神もな】


「もしや、カルサイ様とドルマイ様は――」


【気付いたか。私と兄の絆神だ】


 それで、助けてくれていたのか……


【もっと神を集めよ。

さもないと、命の保証は無いぞ。

集めて、再びここに来た時、我が神を呼んでやる】


グリッターローズの気配は消えた。


 でもなぁ……

 神様の知り合いなんていねぇよ……



♯♯♯♯♯♯



 サクラが深蒼の祠で、水槽に光を当てていると、闇黒竜――魔王の『影』にされていた神竜達がやって来た。


「サクラ様、私達も何かお手伝い出来ますでしょうか?」


「『様』とか、やめてよ~

俺の方が年下でしょ?

それに、ただの竜だし~」


「しかし、助けて頂きましたし、王子様ですし――」


「もぉ、友達でしょ?」


「いえ、そのような、勿体なき事……

それに、やはり呼び辛いので――」


「仕方ないなぁ。

じゃ、呼ぶのは慣れるまでね。

でも、友達は決定だよっ。


治癒と浄化と回復の光を、この水槽に当てて欲しいんだけど~」


「それだけで、よろしいのですか?」


「うん。そうしてもらえると、とっても助かるんだ」にこにこ♪


「でしたら、交替いたします」


「えっと……そぉいえば、お名前 聞いてなかったよね~」


「私はシトリン。

トルマリ、ペリドル、アマリン、ムーントでございます」


「こちらにて、お護り頂いておりますので、私達も何かしたいのです」


「何が得意なの?」


「私と、弟のアマリンは、陶芸家見習いをしておりましたので、焼物の竜宝の再現などございましたら、助手などさせて頂けますでしょうか?」


「シトリンさん! アマリンさん!

焼物できるの!?

ちょっと待っててねっ!

あっ! ここ、お願いねっ」



♯♯♯



 サクラはシトリン達と交替し、急いで竜宝の国に行った。


壺美善(コビゼン)唔器呟(ゴキゲン)って、どこにいるの?」


【ご案内致します】壺美善が進み始めた。


【しかし……かなりな偏屈ですからな。

動かすのは大変だと存じますが……】


「でも、どぉしても唔器呟の力が必要なんだ。

護竜槍の本体は、深神界にあるんだよ。

そこに住んでる神竜は、気位が高くて、竜の頼みなんて耳を貸してくれないって聞いたから、護竜槍に、直接 説得して貰う必要があると思うんだよ」


【深神界の神竜……その通りですな。

しかし、どっちもどっちですぞ】


「でも、なんとしても護竜槍を譲ってもらわないと進めないんだ。

俺、がんばるよ」


【こちらです。この木に宿っております】


 樫の木だ……でも、結心樫じゃないね……


【唔器呟、王がお目見えですぞ】


返事は無い。


「唔器呟さん、お願いがあるんだ。

話を聞いてくれないかなぁ?」


しーん……


【唔器呟、失礼であろう!

返事くらい、なさらんか!】


【煩いぞ! 壺美善!

お前ならば解るであろう?

形を失った器に何が出来ると言うんだ!】


「返事してくれて、ありがと♪ 唔器呟さん♪

再現するから、力を貸して欲しいんだ」


【再現? 出来る訳が無かろう】


「唔器呟さんが教えてくれたら、できるはずだよ。

だから、ねっ」


【神竜の手でなければ作れぬのだぞ!

王であろうと、竜には作れぬのだっ!】


「だいじょぶ~♪ 神竜の友達いるから♪」


【神竜であれば、誰でも良いという訳でも無いのだぞ!】


「それも、だいじょぶだから、一緒に来てよ」


【我等が王の御言葉であるぞ! 信じよ!】


「まぁまぁ壺美善、長~くこのままだったんだから、すぐには信じられないよ。

ね、唔器呟さん♪

じゃ、試作するから、作り方だけ教えてよ」


【フンッ……】


「試作させてよぉ。

唔器呟さんの力が必要なんだよぉ、ねっ」


【お前さんじゃないと、いけないそうだぞ。

有難き事ではないか? のぅ、唔器呟よ】


「唔器呟さんにしか出来ないんだよ。

お願いしますっ! 力を貸してくださいっ!」


【しつこいのぅ……煩くて敵わんわい。

幹に額を付けて頂けるか?】


「ありがと♪ 唔器呟さん♪」ぴと♪


材料や製法が流れてくる。


大器と掌握を使って、その粘土を得る。


 神界のものと魔界のものを混ぜるのか~

 工場長さんに陶芸 習っといて良かった♪


「この土でいい?」


【……まさか瞬時に……しかも上質……】


「じゃ、試作できたら、また来るねっ♪

壺美善も、ありがとね~♪」



♯♯♯



 サクラは深蒼の祠に戻ると、シトリン、アマリンと共に、集縮工場に曲空した。


「サクラ様、いらっしゃいませ♪

あの水筒は、飛ぶように売れておりますよ♪」


「工場長さん、また、お願いなんだけど~」


「なんなりと♪」


「この図の通りの器を作って欲しいんだけど、神竜の手で作らないといけないんだ。

シトリンさんとアマリンさんは、陶芸家見習いさんなんだ。

助けて作って欲しいんだ」


「畏まりました」にこにこ♪


「材料の土は、この二種類を同じだけ混ぜて、この水――聖輝煌水で捏ねてね。

細かいことは、図の下に書いたからね」


「はい。お任せ下さいませ」にこにこにこ♪


「シトリンさん、アマリンさん、

それじゃ、お願いしますねっ♪」


「はい♪」

シトリンとアマリンは、嬉しそうに頷いた。



♯♯♯



 深蒼の祠に戻る。


「トルマリさんは何してたの?」


「私は大学院で歴史学を学んでおりました」


「神界の歴史?」


「はい。中古代を専攻しておりました」


「今度 教えてねっ♪」キラキラ

「ペリドルさんは?」


「私も学生でした。

植物学を学んでおりました」


「結心樫、降龍桜、祐貫松、どれか生えてるトコ知ってる?」


「結心の材料は、いずれも絶滅種であるとされておりますが……」


「そぉなんだよね~ 探してるんだけど……」


「書物より、手掛かりなど調べましょうか?」


「お願いしていいの?

後で長老の山の書庫に案内するねっ♪

ムーントさんは?」


「私は神官見習いでした」


「じゃあ、ここ、お願いしてもいい?

この祠、今は無人なんだよ。

ここは深蒼の祠。

水属性の守護と、浄化の祠なんだ」


「畏まりました」


「魔王の影って、若い神竜ばかりなの?」


「神竜にしろ、その魂にしろ、未熟な者しか捕まえられぬのではないでしょうか……」


「ふぅん……魔王って強いのにねぇ……

で、男性ばかりなの?」


「そういえば……」「確かに……」

「今、気付きましたが、影は男性ばかりです」


 だとしたら……

 姫を取り込もうとしたのは、

 フリだったのかな?

 まだまだ分かんない事だらけだ……





凜「あっ! サクラ、待って!」


桜「なぁに~? 俺、忙しいんだけどぉ」


凜「ちょっとだけ、ねっ」


桜「うん」


凜「あの笛の飾りって?」


桜「竜宝だよ~

  竜骨で作るの。で、神様とか魂とかの

  みなさんがソレ使ってお話しするの」


凜「そうだったのね~

  あ! もひとつ!」


桜「ん?」曲空中止。


凜「姫様の軟膏 塗られたのって誰?」


桜「知らな~い」


凜「聞いといてよぉ」


桜「言えな~い」


凜「なんで?」


桜「だって~、かわいそでしょ。

  あれ、ホントに大変なんだからぁ」


凜「そっか。サクラ、優しいね」


桜「え? や~ん」曲空!


凜「照れて逃げちゃった……」




 ハクが行っている神界は、天界の上半分です。

天人と竜の神様は『神界』と呼んでいますが、

魔人の皆さんは『天神界』と呼んでいます。


     奥→

──────┬───┬───

上層神界  │深神界│真神界

──────┴───┴───

下層神界     

━━━━━━━━━━━━━━

 ↓天界(の下半分)



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