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プロローグ

随分と久しぶりにオリジナル小説を書いてみました。

以前書いたものにもまして稚拙な文章なのが自分でもわかります。

もし、それでも読んでみようと思ってくださる方がいましたら、ぜひとも読んでやってください。よろしくお願いします。

課金したら負けだと思っている。

これは、俺―― 進藤(しんどう)  空也(くうや)――がソーシャルゲームを始めてからずっと貫き通している考えであり、当然俺は課金を絶対にしない。

課金をすればすぐに手に入るようなアイテムも、同じ敵を何度も何度も、二度とその敵が見たくなくなるまで倒してようやくドロップさせたり、そんな血のにじむような努力によって手に入れたアイテムとの交換で手に入れたりとやってきたし、俺の周りにもそんな奴はたくさんいた。

課金者が多いゲームの中において無課金で行くからこそ価値があると思うし、重課金者を無課金で倒すことの喜びと言ったら、とても言葉では言い表せない。

まぁ、重課金者に勝つには当然それだけそのゲームに費やす時間は半端なものではないわけで、結局は時間をかけたか、金をかけたかの違いだけなんだろうけど、勿論そんな現実は視界の隅にすら入ってはいない。絶対に入れない。

素敵に俺に残っているのは金を散々かけた課金厨に勝ったという喜びだけである。


だが……


ある技術の完成によって俺の周りの皆は全員課金者へと変わってしまった。

親からもらえるお世辞にも多いとは言えないこづかいのすべてを毎月そのゲームに費やしている奴も恐ろしいことに知り合いのほぼ全員を占めている。

かろうじて、二割を残して全部というのが一番課金していないやつなのだから、開いた口がふさがらない。

今まで散々バカにしておいて結局はそっちにいくのかよ!

だが、かく言う俺も実は一瞬、ほんの一瞬だけ課金しようと不覚にも考えてしまった。

それほどまでに完成された新しい技術は俺たちゲーマーにとっては理想ともいえる、そして実現ははるか先、もしかしたら実現不可能と言われるくらいのシステムだったんだ。


フルダイブシステム


システムの詳しいことはよくわかってはいないが、よくSF小説なんかでもVRMMOの世界を舞台にした物語のシステムのそれに近いものではないかと思う。

わかる範囲で簡単に説明するなら、脳から送られる運動の信号などをフルフェイス型ヘルメットが読み取り、それをゲームの中にのみ反映させて、現実のほうでは動かないようにその信号をシャットダウンしておく。

ヘルメット以外にも体を図る計測器がいくつかあって、それを使って大きさや体重を量ってよりゲームの中での動きにリアリティを持たせる。

勿論のことだが、別にゲームの中のアバターまで現実と同じということはない。

自分で作り上げた理想の姿でプレイが可能だ。


この技術を完成させたのは、今まで名前も聞いたことのないような会社で、今もその実態はいまいちよくわかっていない。

さらに不思議なのはその技術。

今の最先端を走る技術者たちも、この技術をものにしようとヘルメットを解体し、調べに入ったはいいが、発売から二週間がたった今でも、まったく内容がつかめないらしい。

実はその会社は未来から来た超大手メーカーで、過去になにかの実験をしに来ているんだ、と俺は思っているが、実際はどうなんだろうな。

まぁ、会社の実体なんてものはどうでもいいのだ。

フルダイブという夢のような技術によってそんなものはかき消されている。

その証拠に俺はつい先日ニュースでこのゲームのプレイ人口が一億人を突破した、と発表されたのを聞いた。

初のシステムだから、というのもあるのだろう。

フルダイブの感覚に慣れてしまえば、よほど画期的なゲーム内容でない限りこれほどまでの人間が同じゲームをプレイするということはまぁあるまい。

だが、それでもこの一億という数字は本当にすごいと言える。

なぜなら、このゲームは一個人につき、一つのデータしか作ることができないからだ。

計測器の精密計測によって計測した後は、自分の計測データがヘルメットに登録され、さらにそのデータは会社によって登録されることで、次回からはヘルメットをかぶるだけで自動的にログインされることになるからだ。

特にこういうのに詳しいわけではないが、そんなにかさを取らない一見簡易計測器に見えるものでここまで精密に分析する技術はおそらく現在ではほぼ不可能だろう。

これで俺の未来人説はさらに説得力を増すのである。

まぁ、つまりだ、一億人というのはデータを消して作ってをやり直して出てきた数字ではなく、本当に一億人を意味するのだ。

今、このゲームは全世界のゲームの中で一番フィーバー状態にあると言えるだろう。


誰しも、面白いと思ったゲームならば、最初の弱い間はもっと早く強くなって高レベルな魔法や技を使いたいと思うのは当然だ。

そして、その思いが頂点にたっしてついに課金をしてしまい、そのままゲーマーたちの向上心をゲーム会社があおって課金の泥沼に陥ってしまう、なんてことはソーシャルゲームならばよくある話だ。

だが、それは決して抑制できないレベルではない。

一度課金してしまえば、確かにそれ以降は泥沼行きかもしれないが、課金せずに踏みとどまることは俺たちのような学生ならば決してできないことではないのだ。

だってみんなしてないだろ?

これは日本人に限ったことかもしれないし、勿論日本人にも例外は存在するが、みんながしているか、していないか、で自分の気持ちはかなり揺れ動く。

確かにゲームをしている間だけなら、そのゲームを好きで課金している奴らばっかりが集まっているんだ、そんな状況で強くなりたい、という思いがあったなら課金に走ってしまうかもしれない。

だって、みんな課金して強くなっているんだから。

だけど、現実に帰って学校で周りを見渡してみればぜんぜん課金してない奴らばっかりで、自分のしているゲームの存在を知らないやつらさえいる。

それがわかった瞬間、そのゲームへの熱は現実にいる一時的な時間冷める。

冷める度合いにもよるし、そのゲームへの想いの強さで当然課金に乗り切ってしまうこともあるだろうが、現実的な金銭面を考えて学生なら大半が踏みとどまる。

だが、今回のフルダイブシステムを使用したゲームは今までのものとは何もかもが桁違いすぎる。

はやく強くなりたい、と思うのは言うまでもないだろう。

自分で動くんだからな。強くなれば強くなるほど憧れていたかっこいい技や軽やかなステップ、決して現実では体験できないものが山のように体験できる。

それに、どこに行っても話題はそのゲームのことでもちきりだ。

だから今回に限っては俺たちのような学生が、一番冷めにくいだろう。

ゲーム人口が多いということは、自分の周りの人間の多くがやっているということだ。

俺のクラスは実に9割がこのゲームをしている。

わざわざ友達の家に行かなくても、ゲームにはいるだけでまったく現実で友達と会っている感覚と異ならない。ゲーム内で友人と宿題をしているような人間も少なくない。

もう、このゲームの中はもう一つの現実なのだ。

そういうこともあってか、ゲームでのステータスはもはや本当の現実のステータスにまで成り上がっている。

俺のクラス限定かもしれないが……

そして、そんな中で課金していないのはおそらく俺だけ。

最近は随分と友人(と思ってた奴)が冷たい気がする……

俺だって人並みに小遣いはもらっている。

課金できないわけじゃない。

アイテムガチャを回して、すぐにあっさりと強くなることだって可能だ。

課金したからと言って周りがみんな課金しているのだから、それで自分が周りよりも秀でて強くなるということはないが、それでも今まで以上に強くなることはできるだろう。

強敵だと思って避けていたモンスターに挑み、たやすく勝利できるようになるだろう。

だけど、俺はみんなとは違う道を選ぶ。

それは、俺にとって『負け』だからだ。

別に今までとやっていることは変わらない。

ただ、今回のゲームが今までよりも高性能で、俺の潰すべき相手(課金者)が増えただけだ。

この課金者だらけのゲームで無課金者が勝利を勝ち取る。

それって最高に燃えるだろ?


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