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翡翠さんタイムトラベル――巫女が女神に送り込まれた歴史や物語に介入して胸くそを潰します  作者: 青い水


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翡翠さん、撤退案とメディア戦略の板挟みで悩む

人気が出るとメディアが動き出します。しかし翡翠たちは転移者。どこかで消えなければなりません。

 ライブハウスがオープンしてから、様々なメディアから取材の申し込みが殺到した。ライブハウスのスタッフは、アーティストのマネージメントはすべて芸能事務所メロディハウスが行っていると返事したので、メロディハウスの電話が鳴りっぱなしになった。ラジオ、雑誌、新聞、そしてレコード会社からもアプローチがあった。




「なあ翡翠よ、私がアメリカでビッグスターになっても良いものだろうか?」


「女神様は人間ではないので、できれば避けたい事態ですね。隠れたレジェンドとして言い伝えられるくらいが良いかと。」


「だよなあ。神が放送の電波に乗るのはいろいろ問題がありそうだ。」


「かつて日本にはテレビに出ないことを矜持として人気を博していたフォークシンガーがたくさんいました。ロック界もそんな感じでした。テレビに出ると”アーティスト”という肩書きが汚れると思われていたのでしょう。タレントとアーティストの線引きですね。」


「良し、私もそれで行こう。」


「ライブでしか見られないスター、というのが戦略的にも正しいかと。」


「他の奴らはどうする?ミナルナとかJK隊とか。」


「彼女たちは放送に出てもかまいませんが、どうせそのうち帰還しますしね。どうやって静かに消えられるか。」


「死んだことにするのも胸くそが悪いしな。」


「異世界に転移したと事実を話すのは?」


「大騒ぎになるじゃないか。」


「でも、ここは小説の中の世界です。とんでもない出来事が起こっても作品が壊れるだけで済みますし。」


「おまえ、顔に似合わず鬼だな。」


「国に帰ると行って立ち去り、痕跡を追おうとしても見つからない。そのあたりで許してもらいましょう。なあに、まだネットも存在しい世界。1950年代のアメリカのメディアが東洋人のアーティストにそれだけこだわるとも思えません。」


「そうだ、あいつら、あんな顔しているし、あまり英語が喋れないということにしたら良いんじゃないか?」


「そうですね。そうすればラジオは敬遠するでしょう。」


「メディア露出はロリータ中心で行こう。あいつは大スターになって歴史を作る。」


「そうですね。そもそもハンバートに手込めにされて、そのあとクィルティにさらわれて、と悲劇が続く物語でしたから、ここまで修正してやれば、あとは自力で人生を切り開くでしょう。」


「おう、私がたまに女神として様子をうかがいに来てやろう。」


「女神様、試練が大好きなのに、ずいぶんと甘やかしますね。」


「今は試練の女神を休業して音楽の女神だからな。初めての弟子は大切に育てたい。」


「見直しました。梅干しと梅酒の女神だとばかり思っていました。女神様にも慈愛はあったのですね。」


「あの子は何だかほっとけない。」


「巣立つ小鳥のような少女ですからね。」



 翡翠はニューヨークのグランドセントラルステーションから列車に乗ってニューイングランドへ向かった。ロリータの母親の様子を見るためである。



「こんにちは。お久しぶりです、ヘイズさん。あ、今はハンバートさんでしたっけ。」


「まあ、久しぶりですね。ニューヨークはいかが?娘からたくさん手紙が届くので元気にしているのはわかっています。」


「はい、学校にも通い、友だちもできました。そしてたまにライブハウスのステージで歌っています。」


「そうらしいですね。写真も送られてきたのよ。主人も大喜びで。」


「今日参りましたのは、ロリータさんのメディア出演とレコードデビューについて、お母様の許可をいただきたくて。」


「まあ、娘がラジオに出るの?すごいわ。街中の噂になる。私も鼻が高いわ。」


「よろしいのですね?」


「ええ、ぜひお願いします。」


「ハンバートさんは?」


「あの人は今、学会のため西海岸のカリフォルニアへ行ってます。文学と映画についてのシンポジウムがあるんですって。結婚してから彼は明るくなったわ。」


「そうですか。それを聞いて安心しました。カリフォルニアにはハリウッドがあって映画産業の中心ですから、さぞかしシンポジウムは盛り上がるのではないでしょうか。」


「そうね。文学研究は地味なお仕事だけど、映画が絡むとまた違う仕事も舞い込むかもしれません。彼には頑張ってもらわないとね。」


「ロリータさんが有名になったら、お歌理にも取材の申し込みが来るかも知れませんよ。」


「まあ、楽しみだわ。」



 そのころメロは屋上のプールでミナルナと水着でくつろいでいた。



挿絵(By みてみん)



「ねえ、メロ。そろそろテレビができるんじゃない。私たち、テレビに出たい。」


「もうできてるよ。新聞で読んだ。」


「そうなの?こっち来てから見たことがない。」


「まだ普及してないからね。あと4~5年でアメリカ中に普及するよ。」


「待ってられないな。」


「映画なら出られるかも。あんなたちアクションもできるし。」


「あ、そうか!全米がくノ一に釘付け!」


「きっと流行るよ。シャドウガールズとかいって。」


「翡翠が許してくれるかな?」


「うーん、わかんない。ニューヨークに戻ってきたら訊いてみなよ。」


「うん、そうする。」


「私もホラー映画に出ようかな。素のサキュバス役で。」


「それはさすがに許されないのでは?メロは火を吐くし、撮影現場が火事なっちゃう。」


「そうね、さすがに無理ね。この世界では諦めるわ。」


ミナルナは映画に出るのでしょうか?そしてロリータのレコードデビューは?

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