↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆行死神令嬢の二重生活 ~兄(仮)の甘やかしはシスコンではなく溺愛でした~  作者: 猪本夜
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/132

49 兄(仮)は妹(仮)を可愛がりたくて仕方がない1

 麻彩がスマホでダンス用の音楽を流しだすと、ソファーから少し離れた床で、麻彩は音楽に合わせてダンスを始めた。


「ま、まーちゃん可愛い!」


 さすがアイドルのダンスを踊るだけあって、ダンスがすごく可愛い。動きも機敏で、とても上手である。

 麻彩のダンスが終わると、私と兄と流雨は拍手をした。


「まーちゃん、すごく良かったよ!」

「えへへ!」


 麻彩の可愛さに、麻彩ならアイドルもいける! と本気で思う。撮った動画は、ユリウスに見せてあげよう。


「紗彩は今のダンス踊れるの?」

「私!? 無理無理!」


 流雨の質問に、私は顔をぶんぶんと振る。あんな機敏な動きは、私にはハードルが高い。


「私が踊れるのは、ワルツとか社交ダンスくらいだよ」

「社交ダンスが踊れるの!?」


 流雨は驚いている。

 前世はダンスを習う時間がなくて踊れず、ルドルフと結婚後にダンスを習い、やっと踊れるようになった。

 現世は、小さいころから社交に必要なダンスは習っていたので、踊ることはできる。


「私だけじゃなくて、お兄様もまーちゃんも踊れるよ」

「そうなの!?」


 兄も麻彩も、海外のパーティーで踊ることがあるかもしれないからと、小さいころに習っている。


「さすが一条家だな……」


 まあ、普通は社交ダンスなんて必要ないから、この流雨の驚きも当然だろう。帝国では貴族は踊れるのが一般的だが、文化の違いだ。


 それから、私と麻彩は一緒に風呂に入った。そして風呂から上がると、兄と流雨はソファーでわあわあと何か冗談のような言い合いをしていた。喧嘩などではなく、悪友のやりとりのような、昔から友人をやっている二人にしか通じなさそうな、楽しそうな雰囲気である。

 私と麻彩はそれぞれアイスを一本食べると、私は麻彩の髪をドライヤーで乾かしてあげる。そして私は自分で乾かそうとすると、流雨に止められた。


「紗彩のは俺が乾かしてあげるよ」

「いいの? やったぁ!」


 流雨の言葉に甘えて、髪の毛をドライヤーで乾かしてもらう。流雨の足に挟まれながら、ソファー下でじっとしているだけで、流雨が乾かしてくれるから楽ちんだ。


「乾かしてくれて、ありがとう、るー君」

「どういたしまして」


 それからも四人で話をしていたが、麻彩がいつの間にか私の膝上で寝てしまっていた。麻彩は今日は学校だったし、明日も学校だから、眠くなるのは当然だ。でも私は流雨がせっかくいるし、もう少し起きていたいので、麻彩の頭をそっとクッションに移動させる。そしてソファーに座る流雨の横に行こうかと立ったとき、流雨が口を開いた。


「紗彩、ここにおいで」


 流雨の言う「ここ」とは、流雨の膝の上だった。


「え!? い、いいよぅ、私はるー君の隣に座る」

「どうして? ひざが空いてるよ?」

「だって、どうして膝!? いつもそんなことしないでしょ!?」

「えー? でも、今日実海棠の膝に乗ってたよね?」


 なんでそれを流雨が知っているんだ。兄に聞いたのだろうかと、兄を見るが、兄はしれっとしている。


「お兄様はいいの! いつも乗ってるもん」

「へぇ。いつも実海棠の膝に乗ってるんだ……」


 なぜか流雨から圧力を感じる。


「だったら、俺の膝にも乗れるでしょ?」

「の、の、乗れない!」


 私は流雨の隣に座る予定だったのに、流雨の提案に抵抗するように、兄の膝に乗った。そして兄にしがみつく。流雨の膝なんて、恥ずかしくて乗れるはずがない。


「馬鹿紗彩……それじゃあ、逆効果だぞ?」


 兄のため息含みの声に、何がだろうと流雨を見ると、なんだか流雨の笑顔が怖かった。あれ?


「紗彩……俺のことが嫌いなんだね」

「違うよ!?」

「小さいころは、抱っこもさせてくれてたのに、させてくれなくなったし」

「どうして急に昔の話!? もう私大きいでしょ!? 大きい子は抱っこは恥ずかしいはずでしょ!?」

「中学校になったからって、抱っこさせてもらえなくなった俺の悲しい気持ち、紗彩には分からないよね……」


 ええ!? そんな悲しい顔されると、困るんですけど!? 私がものすごく悪人に感じるではないか。


「日本の子は、小学生高学年になっても抱っこされる子はいないって聞いたよ!?」

「……日本の子は? 帝国では違うの?」

「え? うーん、帝国でも抱っこはやっぱり小学生くらいの年齢までじゃないかな? でも、大人でも男性が女性を横抱きにするのは、よく見るけど」

「横抱き?」

「お姫様抱っこのことだよ」

「へぇ……」


 あれ!? 今、部屋の温度下がった!? 気のせい!?


「るるる、るー君、なんだか怒ってる?」

「怒ってないよ。紗彩もお姫様抱っこされているの?」

「私がされるわけないよ! 恋人いないし! ユリウスだけだよ、帝都で抱っこしてくれるの」


 小さい声で「馬鹿……」と兄から声が聞こえた。え? 私ってば、変なこと言ったのだろうか。


「そっか。じゃあ、俺が抱っこしてもいいんじゃないかな」

「え!?」

「実海棠もユリウスも紗彩を抱っこしてるんでしょう。俺も兄だし、俺も抱っこしてもいいよね?」

「えっとぉ……」


 助けて! という気持ちで兄を見るが、観念したら? という目で見られた。兄に見捨てられた。


「るー君、私重いから!」

「紗彩が百トンあっても、俺は抱っこを諦めないよ?」


 なんでだよ! と、突っ込みたいけど、突っ込める状況ではなくなってきた。


「そんなに俺に抱っこされるの、嫌?」

「………………嫌じゃない」


 流雨がそっと手を伸ばした。私を兄の上から抱き上げると、流雨は私を膝に乗せるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。