第42話 狩人の問題児
デラック「ロイゾ…って名前に聞き覚えはあるか?」
クッデ「ない」
デラック「清々しい程即答だな…まぁそんな気はしてたがな。ロイゾってのはうちの傭兵組合に所属している傭兵なんだが…こいつがとんでもない問題児でな」
クッデ「有無も言わさず殴りかかってきたお前よりも?」
デラック「あぁ俺よりもだ。一応言っておくが俺は総帥から手合わせの許可をもらった上でお前に攻撃を仕掛けたんだからな」
クッデ「俺は許可だしてな」
デラック「対してロイゾは、総帥から許可も取らずに他の傭兵組合の剣士という剣士に喧嘩売っては相手の刀が使い物になら無くなるまで切り続ける異常者だ」
ボムク「それで付いたあだ名が"刀狩り"。それにちなんでか異名は"侍殺"だよ」
デラック「剣士の命である刀等折ってるわけだから妥当な異名だよ」
ナナシ「……そんなヤベェ奴何で野放しにしてるんだよ」
ボムク「野放しにしてるんじゃない。誰も飼い慣らせないんだよ」
ナナシ「? どう言うことだ?」
デラック「ロイゾは俺よりも強い。これが意味してることをお前なら分かるよな?」
静かに聞いていたクッデに対して自然と話をふっかける。
先程までは誰か確認するために席から立ち上がったクッデ達だったが、確認し終わった後はまた席に腰をかけていた。
クッデ「…確かお前は俺たちのところ"四季"と同じ立ち位置の"二大門"って奴の1人だったよな? つまりそのお前より強いって事は、お前んとこの傭兵組合にはロイゾに勝てる奴が1人もいないって事か」
ナナシ「!?」
デラック「あぁ…正確にはロドンと"傭兵組合最強格"の1人のフリョウがいるから勝てる奴はいるにはいる。だがお前のところのメインバやヘルザ同様多忙だし、何より今日は総帥会議で2人とも王城に行ってやがる」
ボムク「更に悪い知らせだが、ロイゾに仲のいい2人の連れがいる。此奴ら2人も規則を破ってばっかの問題児でかつ異名持ちだ。多分今日も同行してるよ」
ナナシ「なんだよそれ…テメェらの所問題児だらけじゃねぇか!!!」
デラック「当たり前だ、うちは元々裏社会で生活してた奴が更生するために作られた傭兵組合だ。問題児だらけで当然'…まぁそう言う俺もだがな」
どこか寂しげな顔をしてデラックは外を眺め始めた。
ボムクも少ししょんぼりとして、ナナシは言ってはいけないことを言ってしまったと思ったのか口を閉じてしまった。
一、二分列車の走る音だけが鳴っていたが、耐えられなく鳴ったのかクッデが口を開く。
クッデ「…そう言えば1つ気になってたんだがさ」
デラック「ん?」
デラック達の会話を聞くために一度席に座っていたクッデだったが、ここでまた立ち上がるとデラックの手の方に指をさして話しかける。
クッデ「お前のその薬指にはめてる指輪ってよ、もしかして結婚指輪だったりするのか?」
クッデが指摘した場所には確かに細くキラキラと光り輝く指輪がはめてあった。
指摘されてかデラックは、クッデに見やすくするためな左手を顔近くまで持っていく。
デラック「あぁそうだぜ…よく気が付いたな」
クッデ「実は初めて戦った時から気が付いてたんだけどよ、あん時はごたごたしてたから聞けなかったんよな。んで相手は? つか結婚式あげたのか?」
デラック「んなこと言うわけが」
ボムク「同じ傭兵組合に居る人だよね〜名前はカソさん」
デラック「んあボムク!!?」
クッデ「お、どんな人どんな人?」
ボムク「えぇ〜とね〜金髪でとてもスタイルが良い人なんだよね〜性格も元気いっぱいで優しい人だよ…ただ酒豪だから毎日夜にお酒飲んでは酔って寝ちゃってるね。けどデラックと結婚してから週一と控えめになったよ。ついでに告ったのはデラックで告白内容は」
デラック「あぁぁぁぁぁ!!!! やめろぉぉぉ!!!!」
目にも留まらぬ速さでボムクの口を抑える。
その顔は赤いペンキを塗りたかったかのように真っ赤に染めあがっていた。
抑え始めた瞬間こそ息を荒げて焦った表情をしていたが、はっと何かを思いついたのかニヤリと笑いだす。
デラック「ぜぇ…ぜぇ…そう言うお前はどうなんだよ」
ボムク「!!!?」
デラック「ガイナスの野郎から聞いたぜ。お前好きな子が出来たそうじゃないか、ん?」
ボムク「!!!?!!!??」
デラック「名前はなんだったかな〜えぇ〜?」
ボムク「$☆・%:|2・¥:」€<・2!!!!」
クッデ「(悪魔かこいつ)」
抑え付けられた口をどかそうともがくボムクに対し、ニヤニヤ顔をやめないデラックと眺めているクッデ。
そんな様子を陰ながら見ていたナナシの心情はこうだった。
ナナシ「(爆破してしまえ)」
*****
クッデ達が目指す先、彼らよりも一足早くに辿り着いているものがいた。
ブラックだ。
ブラックは片手に大量の花束を手に持ちゆっくりと歩いていた。
少し歩いてからふと何を思ったのか立ち止まる。
周りには森林が立ち並び、透き通るほど綺麗な水が流れていたが、彼の立つところだけは違い、その場所は何もない焼き野原が広がっていた。
彼は目元が隠れるほど深く帽子を被っており表情がよく読み取れなかったが、目元から一雫の水滴が流れていた。
彼はそれを拭うとまたゆっくりと歩き始め、森の中へと姿を消していった。
???「ふぅ〜ん、此処が彼の故郷ってわけか、」
ブラックから100m以上離れた場所で、木々に隠れながら後を追う者が1人いた。
紫色の髪の長い髪を後ろでまとめ上げ、場に似合わない白い白衣に近い服を着ていた。
そして彼は目元に奇妙な仮面を身につけていた。
仮面をつけた男「いや〜此処を調べ上げるのに随分時間がかかったよ、何せ所属してる傭兵組合しか分からなかったし彼の名前偽名だったからな、だけど問題はないか…これでじっくりと"観察"を始められそうだよ…」
不気味な笑顔で独り言を話す仮面をつけた男は、そのままゆっくりと木々の後ろに隠れながら、ブラックの後ろを付いていった。
***
ロイゾ「…此処か」
同時刻、ブラックのいる山の登山口前に、フィナ、ジャンク、そしてロイゾが姿を出していた。
しかし内心ワクワクしているロイゾに対し、フィナは乗り気ではないのか不満そうな顔をしていた。
フィナ「…もしかしてこの山登るの?」
ジャンク「ん? それはそうでしょ、この山の奥地にお目当ての人がいるんだし…まぁ斜面は緩やかだし対して問題もないでしょ」
フィナ「そう言うことを言ってるんじゃないわよ!!! 嫌よ山なんて!!! 気持ち悪い虫とか植物とかがわんさかいるんだから!!! そんな所を歩くなんて私耐えられないわ!!!」
ジャンク「えぇ…此処まできてそんなわがままを」
ロイゾ「別に良いぞ。用があるのは拙者だけだからな…此処で待っててくれても全く困らん…ただし此処に残る代わりに…分かってるな?」
フィナ「は〜い任せてよ〜♪」
ジャンク「えぇ分かってますよ」
フィナとジャンクはロイゾの思考を察したのか、何かを聞かずと返事を返す。
そしてロイゾはたった1人で山の中へと入っていく…。
〜to be contenued〜




