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「甘いこえ」  作者: 旭 諭


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6/6

6.「にのこえ・社会人二年目」

 「高橋 亮介です」

「さっきは助けて頂いてありがとございました」


「阿部 さいかと申します」

「やっとお互いの名前がわかりましたね」


「なんで、助けてくれたんですか?」

「ほんとに貴女の跡をつけたのに」


「何か理由があったんでんすよね」


「そうなんです」

「実はお礼を伝え伝えたかっただけなんです」


「お礼はもう済んでますよ〜??」


「話すと引くかもしれないですが、貴女のハンカチを拾って時、実は。。。だったんです」


彼女は黙って聞いていた。


「だから、命の恩人なんです」

「今こうして貴女と話をできるのも、

すべてあの出来事が無ければ、今がない」

「ただ、ありがとうをお伝えしたかった」

「それと、変かも知れませんが、これはお礼です」

「受け取って、もえたらとても嬉しいです」

僕は丁寧包装してもらった、ハンカチを差し出した。


ずっと彼女は、黙ったままだった。


一生懸命、自分の思いを伝えてくれた彼の声に

答えないといけない。

電車の車掌さん、イケボだけど、

私だけの言葉ではない。

でも、彼は違う、少し高いお声だけど、

私に向けた、私だけの甘い声。


何か考えた後、

「こんな出会いがあるんですね」

「電車に乗らず、自転車で通学していたら、

起きなかった」

「偶然が起こした奇跡かも?」

「こんな、私でよければ」

「よろしくお願いいたします」

ゆっくりとした話し方で。

それが、僕にはとても甘美に聞こえた。


「彼女はプレゼントを受け取ってくれた」


なんか、告白したみたいになってしまった。


次に逢う約束をした。


「そういえば、電車の中で、楽しそうに、

何か聞いていたんですか?イヤホンとかしてない様だったけど。」


彼女はニヤッとした後、

「それは、秘密ですよ」


言葉だけで無い、甘い気持ちになった。

満たされた気がした。

これから先のことなんて、わからないけど、

手探りであっても、明日を迎えることができそうだ。



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