6.「にのこえ・社会人二年目」
「高橋 亮介です」
「さっきは助けて頂いてありがとございました」
「阿部 さいかと申します」
「やっとお互いの名前がわかりましたね」
「なんで、助けてくれたんですか?」
「ほんとに貴女の跡をつけたのに」
「何か理由があったんでんすよね」
「そうなんです」
「実はお礼を伝え伝えたかっただけなんです」
「お礼はもう済んでますよ〜??」
「話すと引くかもしれないですが、貴女のハンカチを拾って時、実は。。。だったんです」
彼女は黙って聞いていた。
「だから、命の恩人なんです」
「今こうして貴女と話をできるのも、
すべてあの出来事が無ければ、今がない」
「ただ、ありがとうをお伝えしたかった」
「それと、変かも知れませんが、これはお礼です」
「受け取って、もえたらとても嬉しいです」
僕は丁寧包装してもらった、ハンカチを差し出した。
ずっと彼女は、黙ったままだった。
一生懸命、自分の思いを伝えてくれた彼の声に
答えないといけない。
電車の車掌さん、イケボだけど、
私だけの言葉ではない。
でも、彼は違う、少し高いお声だけど、
私に向けた、私だけの甘い声。
何か考えた後、
「こんな出会いがあるんですね」
「電車に乗らず、自転車で通学していたら、
起きなかった」
「偶然が起こした奇跡かも?」
「こんな、私でよければ」
「よろしくお願いいたします」
ゆっくりとした話し方で。
それが、僕にはとても甘美に聞こえた。
「彼女はプレゼントを受け取ってくれた」
なんか、告白したみたいになってしまった。
次に逢う約束をした。
「そういえば、電車の中で、楽しそうに、
何か聞いていたんですか?イヤホンとかしてない様だったけど。」
彼女はニヤッとした後、
「それは、秘密ですよ」
言葉だけで無い、甘い気持ちになった。
満たされた気がした。
これから先のことなんて、わからないけど、
手探りであっても、明日を迎えることができそうだ。
終




