1.「いちのこえ・大学一年生」
私は、ひとりで電車に乗ったことがあまりない。
まったく乗ったことが無いわけではない。でもあまり無い。
保育園は、母の自転車に乗せられて。風が心地よかった。冬は寒い。
少しだけ行った、幼稚園は「バス」だった。
今思い出すと、めっちゃ、座席が低く、小さかった。
男のバスの運転手さんが巨人に見えた。
中学生になって、徒歩。けっこう、遠かった記憶。
一緒に帰る方向の友達がいなくて、黙々と歩いていた。
ある日、変なおじさんに、追いかけられたのは「トラウマ」
窓の外を見てたら、卒業してた。
高校は女子高だった。自転車で行けるところに、ちょうどいい偏差値で、
担任の先生に進められたのが、きっかけ。
夏と冬。特に夏が「地獄のロード」だった。熱すぎて暑すぎて、死を感じた。
スカートを短くする。ウエストに、何回織り込むかを、友達と競ってた。
ある日、自転車で緩い上り坂を、えっちら、ほっちら、漕いでたら、
サラリーマン風の、おじさんの視線に気づいた。何をで見てるのか???
の毎日だったが、私は気づいた。
「見えてる?」そして、履いた。体操の時の短パンを。
地獄のロードが「苦行」に変わった瞬間だった。
冬は逆。寒い。ただただ寒い。「自転車、も~かんべん」に記憶が残った。
部活は「かるた部」入った。
他校との交流も、女ばっかりだった。
かるたは、ああ見えて激しく動くので、髪の毛が長いと邪魔だ。
短く揃えたショートカットが多い。
まるで、宝塚だ。
私もしようとしたが、友達が似合わないと言って断念した。
ちなみに私のおばあちゃんの髪型は、
角刈りで、紫色に染めてる。ふぁんき~ばぁさんだ。
移動は、親に車で送迎か、マイクロバスで行った。
でも、けっこう充実した高校生活だった。
そして、今、ついに、
ひとりで電車に乗る毎日が始まった。
時々乗った電車は、親に切符を買って貰った。
友達と乗る時は、友達のマネして、
スマホを「ピッ!!」とした。嬉しかった。
初めて買う、ガク割定期に苦労した。
長蛇の列に、めちゃ並んだ。
いよいよ、私の番が回ってきた。
ドキドキの瞬間!!
駅員さんが、声を発した。
「ここ、間違ってますよ」
抑揚の無い声。
私は「え!ど、どこですか?」
しどろもどろになりながら、間違いを
聞き直した。
後ろのおじさんの声
「早くしろよぉ〜。俺、急いでんだよ」
「朝の会議に間に合わなったどうするんだよ〜」
怒ってるよ〜明らかに怒ってるよの声
私は泣きたくなった。
私の表情を見て、駅員さんが
「恐れ入りますが、お客さまお並び直して頂けますか?」
「あちらで、係りの者がご説明を致します。」
さらに、抑揚の無い、
私を突き放した、めんどくさそ〜な声。
後ろのおじさんの声
「早くしろ」
私は仕方なく列から離れ、訂正の為、
係りの人から、記入方法聞いた。
こんなことなら、最初から聞けばよかった。
丁寧に教えてくれた。
穏やかな声、泣きそうな私に。
最後に「元気だしてね。」
「気にしない。気にしない」
と励ましてくれた。
駅員のおねーさん、ありがと感謝です。
現在の目標は、優しいおねーさんのような、
女性になりたいです。
やっと定期が買えた。
定期1枚買うのに、
私は「雪山登山」「チョモランマ」を
制覇した気分だった。
やり遂げたのだ。
ちなみに、電車に乗らなくても、
大学には行ける。
自転車でも行ける。なんと、二駅しか無い。
自分を変えたくて、電車を選んだ。
後、自転車に長く乗ると、
凄く、物凄く蒸れる。
高校生活は蒸れっぱなしの
毎日だった。私は汗かきなので、
前髪張り付き気味だった。
冬場寒い廊下を歩くと湯気が出ててようだ。
もちろん私は自分を見れないので、
見たことは無い。
そうそう、高校生活では、
自転車のサドルを3回、盗まれた。
サドル盗んでどうすんだ!!?
しかも私のは、ママチャリ。非電動。
友達が静かに教えてくれた。
私の蒸れたサドルは一部も方に大人気らしい。
フリマサイトで
「さいかちゃんのサドルを売られるの見たよ」
報告された。価格は3000円 すべて微妙な会話だった。
蒸れない私で大学生活を謳歌するつもり。
改札の機械に、磁気定期を入れるところが少ない。
さっそうと改札をくぐろうとしたら、
入れるところが無かった。
慌てて戻ろうとしたら、後ろの人に舌打ちされた。
先に入れるところのある改札を把握しておかいないといけない。
電車って大変。
車の免許とるつもりだ。運動音痴の私に取れるだろうか。。。
電車に乗ると気づいたことがたくさんあった。
毎日同じ場所に座るおじさん。
ドア付近でスマホから目を離さない男性。
みんな避けている。
つり革を両手で持つサラーリマン。
痴漢冤罪を防ぐそうだ。賢い。
高校の英語の先生が、夏場ノースリーブを好んで着てた。
あの姿で、つり革を持てば、丸見えだ。
クラスでは、痴漢誘発女と揶揄されてた。
ご本人はケロッとしてた。強い女だ。
私は、密かに憧れた。でも真似しない。
NHKの連続テレビ小説のヒロインが、
丸い襟のワンピースを着ていたのが、可愛くて真似してる。
レトロなワンピース。
首元も、肩も、膝も、バッチリ隠れてる。
痴漢対策にも最適。
そもそも、幼児体系な私に誰も寄ってこない。
駅員のおねーさんが優しくしてくれたのも、この見た目せいか?
男性が声をかけてきた。
「すいません。落としましたよ」
通信販売のおじさんの声に似た、ちょっと高い声だった。
急に声をかけられて、私はビックリした。
「あ、ありがとうごうざいます。ご親切に」
何かが始まる!この出会い!。。
何も始まらなかった。。。。
「まぁ~!こんなもんか。。」私は声に出して言った。
電車に乗ると私の最大の楽しみがあった。
癒しの時間がおとずれる時間があった。
もうすぐ、始まる。それは。。。。。




