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Side6 シトリンのぼうけん

 畑に侵入したゴブリンを槍で一突きにした。隙を見せれば家畜だろうが作物だろうが、時には農夫さえも餌としてしまうこいつらは、シトリンにとって物心付いた頃からの仇だった。

 これまでの鍛練によってゴブリンの一、二匹くらいには遅れをとる事はない。

 

 事切れたゴブリンが消滅・霧散してしまう前に槍先で器用に引っ掛けると、肥溜めへと沈めてやる。

 これは、昔から農家とゴブリン族との争いで連綿と続けて来られた行いの一つだった。

 こうしてやると堆肥のランクが上昇するのだ。


 儀式を終え、シトリンは槍の穂先を土に刺す事で汚れを拭う。これにて一丁上がりである。

 『槍』と称してはいるが、実際は使い古しの『鋤』であった。元を辿れば、大ジジ様が若い頃に使っていた骨董品だが柄の補強や穂先の角度の付け方など、戦・農兼用が出来る様に拵えてあり、今ではこれがよく手に馴染んでいる。


 混迷の時代、農家が武装して土地を守る事が推奨された時期があったらしい。

 大ジジ様はその流れで農耕戦闘術とされる『大地の民戦闘術』を学んだと聞く。そんな大ジジ様に頼み込んで鋤を用いた農耕戦闘術、『地槍術』を教わる事が出来たが、おおっぴらに練習出来ないのが一番の問題でもあった。

 やる気こそあるものの、怪我などせず農家の娘としての生活を続けて欲しい父様も、一にも二にも花嫁修行をさせたがる母様も、シトリンが武術を学ぶのを事の外嫌がるのだ。


 だからこそ、農作業の合間にほんの少ししか行う事が出来ないし、見られぬ様に行う場所も限られていた。

 もっぱらは大ジジ様の持ち場付近が中心である。余所ではいつ両親と遭遇するか分かったものではなかった。


 一日も早く槍の修行を終え、両親の考える縁談や花嫁修行を逃れて冒険の旅に出なければならない。

 それが今、シトリンの意識の大半を占める事柄だった。

 その達成の為に、武術は大ジジ様に。そして旅先での生活方法については、昔は放蕩者だったジジ様に教わって準備を進めて来たのである。


「ああ、そろそろ戻らないと……またお小言だな」


 近道となる畔を抜け、持ち場へと戻る。最短距離を行く事で、少しでも槍の時間を取る為に工夫した結果であった。


「あの……農園の方ですよね?看板、見たんですが馬車売って欲しいんですけど……」


 ふと、見知らぬ人に声を掛けられた。農園内は来客も多いので、部外者がいてもおかしくはないのだが、その相手が少し気になった。

 年の頃は自分と同じ位であろうか?いきなり馬車を求めてくるというのは珍しい娘である。

 町娘と言ってもどこか垢抜けない感じで、一体馬車をどうするつもりなのだろうか。予測が付かない。

 資産家の娘には見えないし、リオレでそれなりに金回りが良いと言えば冒険者達だったが武器防具の類も身に付けてはいない。商人の元で働く見習いだろうか、などと予測をしてみる。


「…………ごめんなさい。先日、買い手が付いてしまいました。看板は外し忘れてました。済みません」

「………………はぁ。そうでしたか……」


 トボトボと帰って行く娘の後ろ姿を見て、シトリンは安堵の溜め息を漏らした。


… … …


 その晩、シトリンは倉庫の中で、工具と奮闘していた。家族が売りに出しているボロ馬車のメンテナンスの為である。


 両親は、この老朽化した馬車を二束三文で手放すつもりだった。これは今使用中の農作業用の馬車ではなく、とある商会から借金の担保の一部として引き取ったもので、倉庫で埃を被っていたものだ。修理して高値で……なんて画策する程、両親は商売人ではない。父は農家兼政治家(政治と言っても寄合の大きいやつ)、母は農家兼主婦であり、変にこすっからいやり取りはしない質であった。

 ゆえにボロのままだから売れる事もないだろうとたかをくくっていた訳だが、昼間の子みたいな者がまた来たら厄介である。

 これまで少しずつ木材などの端切れで修復して来たが、これからは急がねばなるまい。

 この馬車は、自分が家を飛び出す為の使う足掛かりなのだから。


… … …


 翌日。昼までは真面目に働き、昼食を取る。午後からまた一働きし、移動しながら本日の個人的な行動予定を考えてみる。

 ぶっちゃけ、今日も昨日と同じ感じだ。正直、その儘ならなさにうんざりしてきた。

 取り敢えず、今日も噂集めから始めようか。ここの一日は退屈なのだ。どうせ大した話は集まらないだろうが、何か冒険に繋がる欠片の様なものが欲しかった。

 槍術も、御者スキルも、馬車のメンテも全てはその為であるのだから。


「最近、多いよなぁ」

「だからさ、今回のは『はぐれ』じゃなくて新しい群れの移動なんじゃないかって」

「それだと厄介だぞ。これまでの畑荒らしの規模から言って、小~中規模だとは思うけどさ。当たりを付けて、早いとこ協会に駆除依頼出した方がいいかもしれん」

「12年前のゴブリン大移動の折に来た大規模ゴブリンクランの時は、初回の畑荒らしから十数匹は来たって言うしな」

「じゃあ、今回は小規模だな。襲撃もまばらで単体だし」

「まあ何にしても、旦那様にお伺いをたてよう……」


 うちで長らく働いている、住み込みの雇い人達が話をしている。

 用具小屋にあるボロいテーブルは、この辺の持ち場を受け持つ連中が一息入れるのに良い休憩場所となっており、様々なウワサを聞く事が出来た。

 シトリンが赴くと子供扱いしてまともに話してくれないので、裏手にある小窓の側に潜んで盗み聞くのが一番だった。もしかすると、娘に変な噂を吹き込まぬ様にと父が手を回しているのかも知れない。


「ゴブリンの隠れ家かぁ……」


 中に聞こえぬ様、小さく呟いてみる。12年前の大群が使ってた洞窟は、確か埋められた筈だ。

 確か、森の南の方に外に以前倒された熊の洞穴があったと思った。


「何してるんだい、シトリン?」


 不意に、後ろから声が掛かる。そこにいたのは丸眼鏡で優しい顔立ちをした、農夫姿の割にどこか気品がある中年男性。農作業中なのに真っ白なシャツの襟をしっかりと正し、薄茶の釣りズボンも殆ど汚れていない感じでそこに立っていた。


「ゲッ、父様!?」

「『ゲッ』は無いだろう?シトリン……父さん地味に傷付いたよ」


 ここは、いわば下働き達の隠れ家的な場所である。父は勿論それを知っていて、小休止しづらくならぬ様にと普段顔を出すような真似はしない。

 一農夫でありつつもそういった気配りが細やかで、組合のまとめなどに手腕を振るい認められてきた父だからこその尊敬の念を持っていたので、ここに来る事は想定してなかった。


「シトリン、隠れ家って言うのはまさか……」


 もう、腹を括るしかなかった。誤魔化しが聞く訳もないし、うやむやにしたら一生このままになりかねないのだ。


「父様、どうせ言わなくても分かってるんでしょ?私は、農家の嫁として身を固めるだけの暮らしは望んでない!今から、小規模ゴブリンクランを叩いて来るから!ちゃんと戦える事を証明して、私は旅の許可を得て見せるんだ!!」


 槍と鞄をひっ掴み、脱兎の勢いで飛び出した。


「待つんだ、シトリンっ!!ちゃんと話を……」


… … …


 追いかけようとする父、エディスンだったが勢い付いた娘の疾駆に追い付ける筈もなかった。

 農作業は日々行っているとはいえ、昔の父や祖父、冒険に焦がれる愛娘と違って原野や山々を駆け回ったり、旅歩きなどしない内務中心の自分にとっては脚力に差があり過ぎるのだ。


「誰か、誰か来てくれ!皆を、早く集めてくれっ!!」


 娘が冒険に出たがり、稽古などをこそこそとしているのは何となく分かっていた。

 『何をするつもりか』と問いつめれば喧嘩になったろうし、そうなれば妻が徹底してシトリンの行動を押さえ付ける事になるという懸念もあり、これまで現状を維持し続けて来た。

 妻は家庭に身をおいて内から切り盛りする事を喜びとするような女性で、勿論ライツ家に入ってもらった事には感謝しているし、良妻だと思ってはいるのだが、『16過ぎたら女は結婚して子を成し、家庭内を充実させる事が生き甲斐』と考えるタイプだった。

 現在の夢見がちなシトリンにその方法を施して家に押さえ付けるというのはさすがに不憫に思う。

 とはいえ、同時に娘の自由にさせる事で傷が一つでも付くのは耐え難いという自身の思いもあった。

 農家の娘に擦り傷一つ無しなんて、それこそ無茶な話ではあるのだが、そんな自分の願望が双方両極端な意見を引き延ばす形となっていた。その結果がこれである。


「皆、二人一組で手分けして当たってくれ」

「お嬢さん……まさか一人でゴブリンの巣に向かうなんて……」

「以前の巣は潰しましたし……他に洞穴なんてあったか?」


 皆が武器を取って集まってくれたのだが、やはり心許ない。皆浮き足だって見えるし、何より森の探索に慣れてはいないのだ。

 この地に住んでいる以上は皆地元民ではあったが、開拓時に入る入り口付近と奥地とでは、森は完全に様相を変えてしまうからだ。


(やはり、冒険者協会に依頼すべきか……いや、街へ戻っていては手遅れになりかねない……)


 そう決めて、号令を掛けようとした矢先である。


「あのぅ……何かお困りでしょうか?」


 不意に聞き慣れぬ声が掛かる。


「あ、あなた方は……!?」


… … …


 ギャアギャアと喚きながら、一匹のゴブリンが地を転がった。鋤を構え直し、次の相手と対峙する。

 シトリンの予想通り、ゴブリン達は以前見付けた熊の穴を拡げてそこに暮らしていた。

 一つ予想を外しているとすれば五、六匹の小規模クランではなかった事である。

 農場への略奪が少なかったのは、中規模の群れが暮らしやすい様に穴掘りをしていたからだろう。

 穴周辺は小動物の骨が散乱しているので、近場の餌で食い繋いでいた様だ。それで見付けやすかったのは良いが、二十匹程に囲まれたのは完全に予想外だった。

 二匹程倒して鋤を振り回すが、敵は数で勝てると確信してる様で威嚇になっていない。


(しまった。カッとして突撃してきたけど、少し多いよ!?1対20はさすがにしんどい)


 とはいえ簡単にやられてやるつもりなどはない。農家の娘だと思って侮るなら、痛い目を見るのはソッチの方だ。

 鞄から二つの人形を出し、地面に放る。


「さあおいでっ、『キミ』と『ボク』!!」


 コマンド・ワードに応じて、二体の人形はシトリンと同じ位に膨らむと同様に鋤を構えた。

 かたや真っ赤、かたや真っ青に染められた案山子の魔法生命体は、彼女の意思に合わせる様に行動を開始する。


 魔道人形『キミとボク』。ライツ家保有のアーティファクトであり、魔法の藁で出来た赤と青の案山子(スケアクロウ)である。

 アイテムではあるが意思を持っており、保有者を決めるタイプのアーティファクトであるこの二体の人形は、長らく実家の地下倉庫に眠っていたものである。

 父は長らく、農園を手伝ってくれそうな冒険者に託すつもりでいたらしいが、そういう人間がついぞ現れなかった為か今年の始めに突如としてシトリンがマスターに選ばれるに到った。

 あちこち刺された位じゃ簡単には死なないし、完全に破壊されても元の人形に戻るだけで、翌日からまた再利用出来る優れものである。


 三位一体のフォーメーションで、ぶんぶんと鋤を振り回し、一匹、また一匹とゴブリンを貫きながら包囲を輪を拡げてやる。

 突然のアーティファクト登場と、次々やられていく仲間達にビビった様でゴブリン達の士気が次第に乱れてきた。


(この調子だっ!!)


 シトリンが手応えを感じ始めたその時、一匹のゴブリンが遠吠えを始めた。それに呼応し、他の個体も吠え声を上げる。


 ドン、ドドン、ドン……


(えッ!?)


 森の奥から、何やら気味の悪いドラムの様な音が響いてきて、シトリンの心は乱れ始めた……


… … …


 押し寄せる緑色の波が、シトリンを十重二十重に囲んだ。突進して来た新たなる群れ、最初の連中はコイツ等を迎える為の先遣隊だったのである。

 勢いに任せて突っ込んで来た最初の数匹を、キミとボクとの連携で屠ると、連中はシトリンの退路を絶つ様にして囲みを厚くしていった。


 一匹、一匹は先程までと同程度。だが数は七、八十匹は居るだろうか?

 そして、嫌な汗を流すシトリンの前に満を持した様に一際大きなゴブリンが二体、包囲の輪の中へと入って来た。


 ホブゴブリン。ゴブリンの三倍程の体躯を持つ、奴等の上位種である。群れはどうやらコイツ等を頂点とした、ホブゴブリンの中規模クランだったらしい。

 二匹の登場に周りのゴブリン達の声色が明らかに変わった。

 意味こそ分からないが、私がズタズタにされるのを楽しもうと言う、血祭りを喜ぶ様な内容であろう。


 その汚い声に呼応する様に、群れの長である二匹がシトリンへと向かって来た。

 一体は蛮刀、もう一体は棍棒。双方、馬鹿力だけはかなりありそうなので、柄でいなす様にして受け流すと、これまでに受けた事のない威力を感じた。

 まともに受けたら一発で武器ごと身体を砕かれるだろう。


 そのまま攻撃を受けっぱなしでは確実に死を近付けると思い、キミとボクと三位一体で鋤を振るい連携プレイで翻弄しつつ突きを食らわせるが、硬い。骨と筋のゴブリン達とは違い、コイツ等は岩みたいな筋骨で深く刺せないのだ。


『グギャギャギャギャ……』


 周囲から、無駄だとばかりに下卑た笑い声が木霊する。かなり粘り強く頑張って来たつもりではあったが、その耳障りな声を聞き続けるうちに遂にシトリンの身体中が鉛の様になり、心まで蝕んできた。


(チクショウ……こんな所で、終わりたく……ない。私の……冒険は……まだ…………まだ……)


 限界を迎え、膝が地面に着く。主人からの意思が途切れ、立ち尽くすキミとボク。敵の凶悪に嗤う顔。悔しさ。家族。色々なものが過る中で、突如として目の前のホブゴブリンの顔が一気にひしゃげるのが見えた。


「尖山甲っ!!」


 目の前に飛び出して来た人物は、なんとあの馬車を買いに来ていた町娘であった……


… … …


 ギルド本拠地ホームにて。大量の食品類がホームの多目的室のテーブルにところ狭しと並べられる中、ふらりぃは朝からゴロゴロとしていた。

 昨日、帝国行脚から戻った所だが、暫くは適当に自堕落な生活を送るつもりであり、その為の補給物資は潤沢だ。

 ちなみにミミナガは、帰り際に国境付近に置いてきていた。

 手にしたスキルの確認とレベリングを兼ねて鍛えながら帰って来るように言い付けた為である。


「コレ、なかなかイケるわね!」


 二つ隣の席から、豆菓子に手を伸ばしてミシュラが言う。

 そちらには大量の酒瓶を並べており、テーブル上の品からどのツマミがどれに合うかを物色しているらしかった。


「…………私はこっちのがいいと思う」


 上座の方ではトモが茶を飲んでおり、お茶請けに合う物を探している。

 どうやらすりおろした乾果と豆類をミルクと砂糖で煮固めたやつを気に入った様だ。

 カロリーが必要な開拓民達の冬の甘味なので、少量でもかなり甘いのだ。抹茶なんかにも相性が良いと考えたのであろう。


 ノンの姿はまだ見ていないが、朝っぱらから女三人が揃っている。普段はもっと、皆バラバラである。珍しい事もあるものだ。


「おーい、コトぉ!遊ぼーぜー」

「お金作ってきたよー、美味しーのちょーだーい!」


 玄関口の方から、そんな声が聞こえてきた。

 その後、タッタッタッタッタッ……廊下を走る音がする。


「…………えーっ!今日はどうしたんですかぁ?」

「ゆーよもらった」

「またお金作って来たぞー、だからおいしいのちょーだい!」

「午前中だけ滞在許可が降りた。どうせ怒られんなら、コトに街を案内してもらって来いとヘル姉さんがさぁ」

「そうでしたか、じゃあちょっと待っててもらえますか?今、準備を……」


 そしてまた、廊下を走る音が聞こえる。


「……タハッ!妖牙兵が遊びに来るたぁ、随分と此処も変わったじゃんよ!フヒャハハハハッ……」


 ふらりぃは飲み物を吹き出しそうになりながらも椅子の上でゲラゲラと笑い転げている。


「あれま、昨日はボコボコにされたってのにもう懐かれたのかい?」


 ミシュラも呆れた様な感心した様な表情で笑っている。


「あの子はまだ発展途上。でも私達とは違った部分では、独自の路線を開拓している。ふらりぃが築けなかった幻妖国とのパイプは、もしかしたらあの子が築くのかも知れない」


 普段コトに多くを語らないトモも、そんな見解を出す。


「わたしの事だけじゃないだろ?トモの代わりに聖法国、ミシュラの代わりに南部諸国と繋がりそうじゃん?」

「確かにねぇ。四狂(おとこども)も満遍なく嫌われてるから、 国家との交渉時はどうしても打算に満ちたやり方になるもんな。そういう面では、コトとミミナガには別の繋がり方が期待出来るのかも知れない」


 先輩達がこんな話をしているとは知らぬまま、コトはどこかへと出掛けた様であった。


… … …


 リオレに入った翌早朝、殴路羅は盗賊娘二人とギルドBNGのホームの門を叩いた。本来なら不必要に関わる事のない建物だったが、ヘルの姉御のお墨付きと言う事で三人は迷わずに訪問する事にしたのである。


「帰って来ても嫌な小言や罰が待っているんだ。せいぜい一日程度でもリオレを満喫してこい」


 そんなヘルの温情とも取れる気休めに乗っかった形だが、フロランたんからは滞在許可は半日間のみだと言い渡されていた。

 奴にしてみればすぐにでも帰投せよと言いたそうであったが、武士の情けという思いでもあったのかも知れない。

 本国ではフレイムたんが厳しい罰が与えられる様に根回しをしている事だろう。


 今回、BNG側の新人コトが話の分かる奴だったから結果的に大事には到らなかった。

 だが、やはり国家所属の者が失態や規律違反を起こせば、そこには必ずペナルティがあるのだ。信賞必罰とかいうやつである。


 とまあ、嫌な事は今は置いといて、リオレ最後の半日を楽しむべく三人は日が昇らぬ内から協会に行って手っ取り早く金を作った。

 深夜や早朝には、緊急かつ報酬お高めの依頼が多く見付かる事が多いのである。

 やれ、「森に行った旦那が帰って来ない」とか「子供が特殊な病気に掛かって、山奥にしかない薬草が必要」とか、そういう感じのやつだ。

 多少は難度が上がるが、こちとら一国に選ばれた幹部格である。その辺で遅れはとらない。


 そうして何とか元手を作って、急ぎコトの本拠を訪問した訳である。時刻は、現実時間で8時半を回った所だ。

 気さくに訪いを入れたが、正直言って昨日のあの一幕だけではどう反応されるか未知数であった。


 しかし、気軽に出てきたコトは驚く程気さくな対応である。BNGメンバーにしては随分と平和的な奴で、昨日は本当に悪い事をしたと思う。


「まずはヘルさんに紹介した店を廻りましょう」


 そう言われて、下町中心に旨い屋台なんかをはしごした。

 早朝から、約2万4千ちょいとそれなりの額の金を作って来たのだが、コトの紹介する店は皆良心価格で金に困る事は無さそうだった。

 作った金でもう一つ『黒飴』を買うんだと、ちろるの奴が息巻いていたので、安いに越した事はない。

 基本的に個人の屋台や商店街の小さな店ばかりで、変に気取った店等は無かった。実を言えば、BNGの傘下店舗ばかりと予想していたので意外だった。

 一応、コトに自身の系列の店は無いのか尋ねた所、そんな店を持つ程の力はまだないと恥ずかしそうに言ったのが印象に残った。どうやらあの闇系の素材に関しては、本当に駆け出しのコトが売り始めた矢先にかち合ったみたいで、ちろるの奴にとっては結果オーライとなった形らしかった。

 殴路羅が思うに、傘下ではないがどこの店も皆顔馴染み感が強く、普段から本当によく出入りしている様に見えた。何となくではあるが、こういうチョイスがヘル姉の琴線に触れたのではと感じた。

 特に定例の幹部会なんかは、高級料理店なんかが多いので、そういうのは食傷気味なのだ。


 リオレ下町グルメに舌鼓を打ち、食休めに公園に寄って購入したミックスジュースを飲んでいると、何やらコトに通信が入った。


「え?ミミナガ君!?うん、平気だけど…………今どこ?え、国境?そう…………嘘!?農園が?分かった。私見てくる!…………うん、分かった。気にしないでよ、そんなこと!はい…………じゃあね」


 ミミナガと言う名は初耳だが、BNGが10人になったと言うのは聞いた。多分その、最後の一人ではないだろうか。


「殴路羅さん、ちろるさん、ハクアさん、済みませんが任務が入りました。先日お世話になった森の中の農園でトラブルが起きそうなんです。申し訳ないのですが、私行かなくちゃ……」


 そう言って残念そうに謝るコトは、新人とはいえやはりBNG所属のプレイヤーだった。

 元来、ギルドBNGはリオレ市に深く根付いてはいたが、決して第五の国を旗揚げしたいという野望がある訳ではない。

 彼等はどちらかと言えばマフィアに近い存在だろう。

 企業を興し、地域に根付き、他勢力のリオレ進出を拒み、リオレ由来の象徴貴族を主と仰ぎつつも影からそれとなく市政を操る。

 そんな彼等であるから、『友』である農園を放置出来ないのであろう。

 しかし、勿論それでしおらしく引く殴路羅達ではない。何故なら自分達もまた、国家の将より用心棒やならず者側に近しい存在であったからだ。こんな面白そうな事、放って帰るつもりは毛頭無かった。


「水臭い事言うなよ!トラブルシューティングなら、アタシ等も一口乗るぜ!半日付き合ってもらった恩もあるしな」

「敵、倒すよ?おいしいの食べたからパワー全開だぁ!」

「御用命でしょうか?盗賊団『森のくまさん』でございますの。森での戦闘はお任せ下さいませ。戦利品の半分で最高の働きをして見せますの!」


 こうして、コトを中心とした即席のチームが出来上がった。


… … …


 鬱蒼とする木々の中を、軽快に走る。この辺りは魔物の出現率もかなり低く、気軽に行き来出来るエリアだ。

 殴路羅は先行して走るコトの背中を追っていたが、その動きからはリオレのトップギルドのメンバーを思わせるものは特に感じなかった。

 他の新参と比べれば多少動きは良いだろうか、という程度のポテンシャルであろう。決して悪くはないが、その体捌きに特化したものはなさそうに思える。

 まあ、あのギルドは曲者揃いだ。コトにしても、何か特化した部分があるのかも知れない。

 その答えを急ぐ必要はない。じっくりと見極めて行く方が、楽しみが増えるというものである。


 林道を抜けた先に、かなりの大きさの農園があった。同胞の中には、領国外の穀倉地帯に関する情報として把握している者も居るかも知れないが、腕っぷしだけでのし上がってきた殴路羅にとっては全くと言っていい程に見知らぬ場所である。恐らく傍らを走る二人の知識も大差ない事だろう。


 四大国の幹部は、ざっくり言うと二つに大別される。

 領地経営をプレイの一環に入れて王に仕える騎士・貴族タイプと、特殊能力や戦闘手腕を中心にした活躍を認められているが、領地を持たずに俸給で禄を得る宮廷術師・武人タイプだ。

 前者は年貢を金や物に変えたりという経営が必要になるがその分取り分は大きく、また兵団を擁し団体戦に強い者が多い。

 後者は定期的に俸給を得られるが、実入りは一定に程々である。戦略より戦術に長けており、単独戦闘に強い者が多い。

 殴路羅やアウルベアの二人はそのクチであった。


 ここはよく来る場所なのか、コトはずんずんと進んでゆく。

 しばらく行くと、居住区の一角に作られた広場の様な所に大勢の農夫達が集まっていた。手には鍬や鎌、松明をそれぞれに持っていて何やら穏やかでは無さそうな雰囲気だ。


(なんだありゃ?一揆か?)


 政治にこそ興味はないが、為政者側の人間である殴路羅がそんな疑問を持つ中、コトはその人だかりに向かって行った。


「どうしたんですか!?何かあったんでしょうか??」

「あ、貴方は……もしや、冒険者協会の御方でしょうか?」

「あ、はい!そうです。東支部に所属してます」

「よかった……お願いします!娘を、シトリンを探して助け出して頂けませんでしょうか!!どうか……どうか……」


 彼等の代表なのか、シトリンと言う娘の父と名乗る人物が、懇願してくる。どうも、森の奥に移住して来たゴブリンの一団を討伐する為、娘が一人で無茶したとの事らしかった。

 ゴブリンなんぞ、自分達にとっては朝飯前である。


「分かりましたっ、全力を尽くします!まずは、その人の特徴と向かった方角だけ教えて下さい!」


 コトはそう言って必要な情報だけを聞き出し、先程よりもペースを上げて走り出した。


 正直言って面白い奴である。普通、冒険者(プレイヤー)ならばまず報酬内容から聞き出すのが定石である。契約書があるならともかく、村人の依頼や突発的な依頼には曖昧な口約束も多いからだ。

 コトは決して金に興味がない奴ではない。現に昨日、自分達にボッタクリ価格を提示しているのだから。

 確かに、こういうイベントはモタモタしてると失敗に終わるという可能性があるので、最小限の聞き込みをしたともとれるが会話の流れを見る限りではボランティアも辞さない様な口振りであった。

 農園内のリオレ市民(ノンプレイ・キャラ)には慈悲深い素振りを見せつつも、昨日は格上三人相手にボコられても戦意を失わなず、卑屈にもならない。

 コトには何か意地とかポリシーとか、『正義』という括りとはまた違う一本の筋の様なものがある様に思えた。そしてそれは、殴路羅にとっても決して嫌なものではなかった。何となくだが、好もしく感じるタイプのものである。


「きっとあの時の子だ!明るい金髪の……鋤を持ち歩いてる女の子です。急がなきゃ……」

「おしっ、任せとけ!ちろる、ハクア、遅れんなよぉ!!」

「そっちこそぉ、おくれんなぁ~!」

「愚問ですの。殴路羅こそ私達のスキル『森渡り』について来れるのか疑問」


 ちろるとハクアは森での追い剥ぎ行為が高じた事で森林戦闘特化型と化している。

 大まかな方向さえ分かれば、高速移動やステータス上昇、気配読みなどあらゆる恩恵が与えられる。

 殴路羅自身も脚力を『獣化』して態勢は万全。ゴブリン共は私等に狙われた時点で既に運の尽きであった。


… … …


 前方に現れたゴブリンの集団の中に、話にあった農家の娘の後ろ姿が見えた。その傍らには二体のゴーレムらしきものが動いている。

 どうやら間に合った様だ。従者召喚が可能な娘という事は、そこそこにパラメータ値の良いNPCなのかも知れない。周りには、二十を越える屍が転がっているので、それなりに善戦はしたのだろうが、群れのボスである二体のホブゴブリンを前に、かなりの苦戦を強いられている風であった。


「良かった……間に合った!」


 コトが直線的に飛び込んで行く。が、とりわけ戦闘好きの猪武者という訳でも無さそうで、あの娘の前に飛び出してボスを叩いて敵のヘイトを集めるつもりなのだろう。

 その意図と、あくまでフォローの形を貫く為に殴路羅は周囲のザコを瞬殺するつもりであった。


(敵左翼を消してやるか……『立ち昇りし巨躯(ギガース・フォーム)』!)


 全身に肥大したオーラを漂わせ、影の様に纏わせた状態で超高速疾走する。その爆風の様な力の奔流に当てられ、向かって左側にいたゴブリン達は自分に何が起きたか知らぬまま肉片と化した。ダンプで跳ねる程度の威力があるので、貧相なゴブリン達ではガード不可だろう。

 高速体技、『猪突猛進』。実際の所はコトなどより殴路羅の方がよっぽど猪武者そのものだったりするのだ。

 一方の右翼側では、ちろるが無数に出した渦巻く空間のねじれとハクアの操る黒い霧状の瘴気で殲滅されていた。


(さあコト、周りは片付いたぞ)


 中央を見ると、力尽きようとしていた娘の前に飛び込む様にして拳を光らせたコトがホブゴブリンを殴り飛ばしていた。

 顔が半分潰れ、首が歪んで伸びきった様になって倒れ込み絶命する。

 更にその報復に出ようとしたもう一匹が、一矢報いる前にコトに速攻されて地に伏した。最初の一匹はエネルギーを込めた打撃技、二匹目に放った突きはツボを突いて効果を発揮させる秘孔技の類であろう。

 殴路羅はコトが自分同様格闘系である事を再確認して、何となく嬉しくなった。交流するにしても争うにしても、今後が楽しみである。


 こうして、リオレ東の森に流れて来たゴブリンクランは壊滅したのだった。


… … …


 四人の冒険者さん達に連れられての帰路のこと。シトリンは四人それぞれをチラチラと見ていた。

 礼を告げた彼女に怪我の心配してくれたり、『気にするな』って気軽に言ってくれた彼女達は、皆若い冒険者達ばかりだった。

 自分も同じ様になれたら……そんな風に思うが、家族に知られた挙げ句こんな形になってしまうなんて、もうお先真っ暗である。


「シトリンっ!!」


 農園へと戻ると、すぐに両親が駆け寄って来た。

 母様は小言を言うために口を開こうとしたが、父様はそれを制した上で全てを分かった様な顔で抱き締めてくれた。

 シトリン自身も謝りたい気持ちと、夢が潰え様としている不安とでうまく言葉が出てこなかったので正直有り難かった。


「シトリン、無事で良かった」

「父様……」


 一頻り無事を確かめあった後、父様は冒険者さん達へと向き合う。


「娘を連れ戻して下さって、本当に有り難うございました」

「ワタシ等は暇だったんで付き合っただけだ。礼ならこの子に言っておくれよ」


 一番目上そうな女性がそう言って笑うと、小さい子達もウンウンと頷いて笑う。

 分かってはいるのだが、こんな小さい子達も冒険しているのだから、何とか自分ももっと鍛えて冒険出来ないものか……と思ってしまう。


「そうでしたか、有り難うございます。貴方のご判断のお陰で、元気なままの娘と再会する事が出来ました」

「いえ、そんな…お話を聞いた時、何となくですが誰だかピンと来たんです。それで、助け出さなきゃって思ったらそのまま身体が飛び出していった感じでして……」

「もしかして、娘のお友達の方でしょうか?」

「えと……そういう訳では無いのですが、昨日馬車を買いに来た時に売約済みになった事を教えてくれた方だったんです」

「ほう……」


 ヤバい、と思った。父様はニコニコしながらもこちらをチラ見した。今の彼女の一言で全て把握したに違いない。

 何か助け船が欲しくて目を泳がせるシトリンの目に、人垣をかき分けて大ジジ様が来るのが見えた。


「なんじゃ?シトリンが魔物の巣に突っ込んだと遅れて聞かされ急いで来てみりゃ、無事におるではないか?」


「大ジジ様!」

「大旦那様!」


 シトリンと冒険者さんの声が重なる。


「ん?何だ、嬢やではないか。来ておったのか」

「お、お祖父(じい)様!もしやこちらはお祖父(じい)様の客人なのですか?」

「なんじゃエディスン、会うのは初めてなのか?まあ、ワシの……というか、恐らく目当ては卵かのう」

「あ、卵ですか。でしたら、娘の恩人としてゲインさんに支障がない程度に優遇を……」

「ゲインも何も、この嬢やもBNGじゃぞ」

「えっ!?」

「成る程、状況はだいたい分かったわい。おい、嬢や!こちらがワシの孫にあたるエディスン・ライツじゃ。現在農園の経営を任せておる。そっちの跳ね返りがその娘のシトリン。お前さん方が救ってくれたんじゃろ?キチッと挨拶をさせておくれ」


 こうして、大ジジ様の言葉により父様と冒険者さんは再び向き合う形となった。


「どうも。当代の御当主様とは知らず、挨拶が遅れました。ギルドBNG、新人のコト・イワクです」

「こちらこそ、大恩あるBNGの方とは知らず失礼を。ライツ農園の運営、及びリオレ農業組合『豊穣会』の代表を務めておりますエディスン・ライツです。我がライツ家をはじめとして、近年のリオレ農家では治安の悪化と共に不当な搾取や土地が戦場となって荒廃したりと低迷の一途を辿っておりました。自警する力や立場の保護をし合える様な組合もなく、市からの万全な後ろ楯も行き届いていない状況でしたが、リオレ周辺の魔物を間引き、森林を切り開いて農地を拡張し、雇い人を斡旋し、今の規模までに成長を促してくれたのも、農業組合を発足させて16の顔役の一人として市政に参加出来る形に働きかけてくれたのも、全てはBNGの八人のご尽力のお陰。そして本日また、我が一族は貴方方の恩恵を頂きました。重ねて、お礼を申し上げます」

「い、いえいえそんな!私は新人で、いわば見習いの身です」

「では我等は、新しい方にまで重ねてお世話になった形となります。本来でしたら、我が家に伝わる家宝でもお贈りしたいところなのですが、生憎と家宝は娘が受け継いでしまいまして……」

「どうかお構い無く。ウチの先輩達と協力関係にある方々なら、助けて当然ですし」

「そういう訳には参りません。そうだコトさん、馬車が御入り用でしたら少し傷んだものが一台ありますので、そちらを修理して差し上げる事も可能ですが、どの様な用途にご利用でしょうか?」

「良いのですか!?それは一番有り難いです!あ、用途は農業や街での運搬とかじゃなくてリオレを拠点に各地を廻って見たいんです。観光と、ちょっとした商いでしょうか……」

「成程、素晴らしい。お若い内は見聞を広めるというのも良い経験になるでしょうね。ちなみに、『御者』はもう雇われておいでですか?」

「御者?あ、いえ、まだです…………そうか、プルカリと二人じゃ厳しいかな……」

「うちの娘は、農業の合間に御者の練習をしている様です。よろしければお連れ下さい」

「えっ?」

「と、父様!?」

「あなた、何をいきなりっ……シトリンは、たった今危ない目にあったばかりではありませんか!」


 騒がしくなるその場を一望して、大ジジ様が笑い声を上げた。一同、何事かと静かになる。


「えい、まどろっこしい連中じゃ。嬢や、この農場の直系は若い頃皆旅をする。農業をはじめとして、社会や世の理を知り見聞を広める為じゃ。だが当代はそれをせずに学問に傾倒した。そんな夫婦の元に産まれた娘は成されなかった一代分の旅を余分に欲しておるのか、人一倍の跳ね返りじゃ。今日の様に一人で脱け出してはどうなるか分かったもんではない。そこでじゃ、信頼あるギルド預りという形でならばとエディスンも妥協した様じゃが、お主も御者兼従者として娘をこき使ってくれて構わんから、この跳ね返りに社会を教えてやってはくれんか、という話じゃ。ちなみに、シトリンを連れて行けば我が家の家宝も自動的にお前さんに付いて行く事になるでな」


 母様はまだ心配していたが、大ジジ様に言い込められ、父様に宥められると、定期的に家に顔を出す約束で許可をくれた。

 こうして、私はリオレ一と憧れていた冒険者チームの新人さんの従者となった。


… … …


 森の中の丁字路で、私はコトさんと共に三人の冒険者さんと向き合っていた。


「いやー、『トカゲドリスイーツ』!旨かったぜ」

「喜んでもらえて、何よりでした」

「何より、ヘルの姉貴も食ってないってとこが一番ポイント高い!」


 三人はちょっとした優越感に浸っているのか、ギャハハと笑っていたが、一頻り騒いだ後に居ずまいを正した。


「いや、本当に世話になった。お前とは最悪の出会い方をしてしまったが、このリオレに来て一番の収穫だった」

「こちらこそ、何だかんだで楽しかったです。かなり儲かったし」


 コトさんとオーロラさんが、握手をする。私にとって保護者的な人となったコトさんは新人だという話だが、妖国の凄腕冒険者だというこの三人とこういう関係にあるというのは、やっぱり凄い人なのかも知れない。

 一応、名目としては『ご主人』という事になる訳だが、年の近い女の子同士の方が安心出来そうなので良かったと思う。

 仲良く出来れば幸いである。


「じゃあな、ちょっくらと本国に出頭してくるわ!」

「また、合える事を楽しみにしてるの」

「お金貯めとくから、またおいしーやつ用意しといてね!」


 こうして、妖国から来たという三人は森の中の道を東へと去って行った。凄い速さだ、もう見えない。

 そして、残ったのは私達二人だけ。


「さて、それじゃウチに案内するよ。ギルドの先輩達と、私の従士隊のチビ達がルームシェアしてるからちょっと騒がしいけど、慣れればきっと楽しいよ」

「うわー、何か楽しみです!」


 こうして私、シトリン・ライツはリオレ一と噂されるギルドの新人、コトさんの従士となった。

 私の冒険は、まだ始まったばかりである…………

今回は馬車の準備と御者確保のお話ですが、前回の戦後処理も兼ねてサイドストーリーとしました。

従士隊の増員ですが、今回で人間(NPC)1人 、鎧娘1体、動物3匹、植物1鉢、案山子2体となったわけですが、今回の増員に関しては予定通りに書くことができました。

元々コトには組織運営をさせない方向で進めるつもりだったので、従士の中にリオレの一組織の関係者を入れ、その繋がりで農業組合を引き込む方向を考えてました。

従士もあまりメインを張らぬサポーター感覚で出しているので、軍勢化までさせるつもりはなく、一応、両手の指で数えられるまでとなっております。残るは一人と一匹な感じですかね。


次回は、『コトのちょっとした魔法修業編』を予定しております。よろしければお付き合いの程、宜しくお願いします。

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