表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

5、美鈴の存在

.....。

美鈴の家にやって来た。

それから見上げる。

そこは2階建ての一軒家だった。


申し訳無いけどコミュ障だし.....なるだけご家族には会いたくないな、と思いながらだったが出ては来なかったので良かった。

そのまま目の前を歩いて行く美鈴を見つめる。

美鈴はフードを脱ぎながら俺を見てきた。

控えめに笑みを浮かべながら。


「じゃ、じゃあ明日ね。春樹」


「そうだな。また明日な」


「ん」


「今日は楽しかった。美鈴。お前のお陰で本当に」


「.....私も。こんなに楽しかったの久々。あ、有難う。しかも送ってくれて有難う」


言いながら美鈴は周りを見ながらそのまま家の中に入って行く。

そして俺に向いてから手を振ってくれた。

俺はその様子を見ながら手を振り返す。

それから玄関ドアが閉じたのを確認しながら。


「さて.....帰りますか」


そう呟きながらそのまま歩いて帰る。

するとメッセージアプリにメッセージが入ってきた。

それは美鈴からだ。

こんなメッセージである。


(あまりお礼を言えなくてゴメンね。私やっぱり外は苦手。(>人<;))


絵文字付きだった。

俺はその言葉に、気にするな、と返事を打ってから。

そのまま、俺も外は苦手だったからな、とメッセージを送る。

そして歩き出した。


(うん)


(俺は苦手っていうか人が嫌いだったよ。人の顔にばつ印が見えてな。顔が見えなかった)


(そうなんだ)


(人の顔って何だろうって。表情って何だろうって考える日々だったよ。そんな時に親が再婚して義妹が出来てな。これもまた捻じ曲がってな。全てが。だから俺はもっと人の顔が嫌いになった)


(春樹の世界と私の世界は似ているね。歩んでいけるよ。きっと)


(お前がそう思ってくれるならきっと歩ける)


うん、と言いながら美鈴はメッセージを送ってくる。

楽しいのだろうきっと。

ずっとメッセージを送ってきた。

それも行き着く時まで、だ。

俺は一旦スマホを閉じてからマンションの玄関を開ける。


「あ。お兄ちゃんお帰り」


「ただいま。巫女」


「今日はどうしたの?遅かったね」


「ちょっと野暮用でな。それで外に出ていた」


伊藤巫女いとうみこ

旧姓は佐藤巫女。

再婚して出来た.....俺の義妹だ。


顔立ちはかなり穏やかな黒髪のボブの美少女である。

身長はそう無い。

それから成績優秀って感じの女の子だ。

中学3年生である。


「そうなんだ。オフ会って聞いていたけど.....」


「それもあった。でも殆ど野暮用だな」


「そうなんだね」


ここで美鈴の事を言ってしまっては厄介な事になりそうだったので俺は口を噤んだ。

それから巫女を見る。

巫女はコスプレ衣装を持っていた。

そういや言い忘れていたが巫女の趣味はコスプレ撮影である。

あまり過激な衣装は禁止だが。


「チャイナドレスも良いかなって思ってね」


「そうなんだな。それでまた新しいコスプレ衣装の組み合わせとかしていたんだな」


「そうだね」


今ですらこんな感じでいい感じだが。

巫女との関係性は.....昔は良くは無かった。

俺も巫女も.....不仲だったのだ。


その為.....家庭内は滅茶苦茶だった。

だけどそんな時に絆を深めるきっかけになったのが。

トーマ。


つまり美鈴との出会いだった。

それから俺達の世界が変わっていったのだ。

そんな感じである。


「トーマさんって男の子?」


「え?ああ.....まあな」


「そうなんだ。じゃあお兄ちゃんにお友達がリアルで出来るかもなんだね」


「.....そうだな。確かにその通りだ」


俺は言いながら玄関で靴を脱ぐ。

それから重たそうにしている巫女の荷物を持った。

巫女はニコニコしながら、有難う、とそのまま言ってくる。

俺はその姿に、すまんな。タイミングが悪かったな、と話す。


「ううん。全然。お兄ちゃんはナイスタイミングで荷物を持ってくれたよ。重かったぁ」


「そうか」


「.....でもお兄ちゃん。ちゃんと優しくしてあげてね?トーマさんは私達の仲を取り持ってくれたんだから」


「事実上はそうなんだよな」


「うん。トーマさんが居なかったら.....私達はどんな感じになっていたか分からないしね」


その様に話しながら荷物を直していく巫女。

俺はその姿を見ながら、じゃあうがいとかしてくるな、と手を上げる。

それを巫女は、うん、と言いながら見送る。

そして俺はうがいをして手洗いをした。

巫女はまだ忙しく動いている。

そうなると。


「.....勉強でもするか」


俺はそう考えてから自室でラノベをそのまま手に取る。

これが悪い癖だよな.....、と思ってしまった。

言っている事とやっている事が全く別物になってしまうのが、である。


俺は苦笑しながら据え置き型のパソコン画面を見た。

ログインをしながら宿にアバターを出す。

すると美鈴が現れた。


(よお)


(うん)


(今は何をしていたんだ)


(お風呂入ってた)


(そ、そうですか)


何だか想像してしまう。

いけないいけない。

アカンと思いその想像を打ち消しながら聞いてみた。


今は元気なのか、と。

すると、うん。元気だけどちょっとキツイかもね、と言ってくる。

俺は、そうか、と返事をした。


(無理はするなよ)


(うん。でもね。ハークが居るから大丈夫だよ)


(そうか。うん)


(それで今から何処か行く?討伐とか?)


(ああ。そうだな.....いや。討伐じゃなくて今日は準備の為に回復薬とか買わないか?)


俺はそう言いながらトーマを見る。

美鈴は、だね。うん。ハークに付いて行くぜ、と返事を返してくれた。

その言葉に俺は笑みを浮かべながら、じゃあ行くか、とメッセージを送る。

すると美鈴は、うんうん、とメッセージを送ってきた。

.....。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ