第11話 窃盗団
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――「先祖様の寝室に行ってきたんですか?」
「入っていないですけど行きました。後、先祖様が使っていた武器とかも見せてもらいました」
「あの武器は私達獣人もどきには扱えないのですが御先祖様達は扱えてたと昔祖父から聞いたことがあります」
ヤンの祖父は御先祖様が使っていた武器の研究を行っていたようだ。生きていればあのハンドスピナー型の武器の事を聞けたのに。
しかし先祖様の武器が保管されている部屋で見たあのハンドスピナーに似ている武器、あれは何だ?三つ葉型のプレートに1つずつ付いていた穴の開いた重りの様な物、そして中心には指で挟むかのような所がありどう見てもハンドスピナーにしか見えなかった。
「夕食にでもしましょうか」
「頂ます」
一日村を走って何も食べていなかった俺はヤンの作る御馳走に腹を空かせて待つことにした。
だが家の前が騒がしくなり一人の男が食卓に駆け込んできた。
「村長!盗賊が村に侵入しました!」
「なに!?」
夕食の支度をするために席を立ったヤンに村人が息を切らしながら報告に来る。
(面倒なことが起きたようだ、そういえばシーナの姿が家に着いてから見当たらないな)
「ミキトさんは此処で身を隠していてください!」
「いや、俺の車の中の方が安全だ、車の中に避難する」
絶対壊れない能力を持っている車の中が今この村の中で一番安全だ。
「分かりました、お気を付けて」
ヤンは一言だけ俺に声をかけ奥の部屋に武器を取りに行った。
「さて、盗賊なら強い村人が何とかしてくれるだろ、車の中でやりすごそ~」
俺は廊下を一応周囲に警戒しながらヤンの家の隣に駐車した車へと向かった。
「シーナ? 盗賊が来たらしい、避難した方がいいんじゃない?」
小さな声で誰もいない廊下で空に向かって話しかけるが勿論シーナからの返答はない。
「お~い?シーナ~?どこ~?」
返答は無く人がいる気配はない。
「車で探すか」
盗賊がうろついているのは怖いが車から出なければ問題はないと考え車で少し出ることにした――
――ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ……
アイドリングで車のエンジンを温め愛車の調子を確認する。よし、問題なし。
「シーナを探しに行くか」
シーナの捜索に出ようとエンジンを暖め準備が整ったところで車のラジオから声が聞こえてくる。
『……ザザッ……あ~。聞こえてるわよね?アンタ結構その世界楽しんでんのね』
「クソヤンキー!?」
『は?』
「いえ!何でもありません!今日はどのようなご用件でしょうか?」
シーナを探しに車を出そうとした時ラジオからヤンキー女神の声が聞こえてきた。
威圧感あり過ぎヤンキーかよ。
『あれよ、通販よ。アンタに新しい能力の営業に来たのよ。もちろん買うわよね?」
「ちょっと今それどころじゃないんですが……」
『まずマップ10万、万能操縦10万、それと……』
いつもの華麗なスルーからの営業、このヤンキー女神、絶対に営業に向いてない。
「万能操縦ってどんな能力ですか?」
ヤンキー通販で気になる能力があったので問い合わせてみる。29800円にしてくれない? 今ならなんと! 他の能力も付けてくれない?
『名前の通り操縦に関しては万能よ』
相変わらずザックリとした説明だ。何かに使えるかもしれないので買いたいがお金を持っていない。
「お金持ってないんですけど……」
『パチンコで勝った金があるでしょ?それで払いなさいよ』
ヤミ金ヤンキーちゃんはどうやっても俺から金を搾取するつもりだ。というか元世界の金使えるのかよ!本当に早く言って。
「ちょっと今立て込んでて後でもいいですか?」
『今日中に買いなさい』
「はい……」
ヤンキーちゃんに釘を刺され俺は車を出した――
――アクセルを踏み車を村へ走らせる、しばらく大きな道に沿ってシーナを探していると村人達が建物に集まっているのが見えた。
「この建物で避難しているんですか?」
「おお、魔術師さん、あんたも此処に避難してな」
車から降りて年配の村人の一人に尋ねるとその年配の村人は俺に避難を進める。
「シーナはいますか?」
村長の娘なんだみんな知っているだろう、名前だけで分かるはずだ。
「シーナはまだきてないねぇ、違う場所へ避難したんじゃないかい?」
「そうですよね」
この緊急時に村をうろうろしているわけがない、きっと違う避難場所に避難したんだ。そう考え車の中に戻ろうとすると若い声が背中からシーナの居場所を告げた。
「シーナならさっき先祖様の墓に走ってったよ。止めたんだけど……」
「なに!?」
早くシーナを保護しないと危険だ。
ミキトは車に乗り込みアクセルを踏み村で一番高い建物、先祖の墓へと向かった――
――「クソッ道が狭い!ここからじゃ墓に行けない、墓はもう近くなのに!」
先祖の墓はミキトの眼前にあるが道が狭く車のままでは通ることができない。
「少し危険だがバイクにするか。バイクになれ!」
念じると車内は歪みはじめ車の屋根は大きく開き、座席はバイクシートになり握っていた丸い形のハンドルはバイクのハンドルバーへと変化していく。数秒で車はバイクに変化した。
「こい!ヘルメット」
グロリアをYAMASAKIのバイクにしヘルメットを再び召喚する。
ヴォォオンッ・・・ヴォォオオンンッ
エンジンを回転させないように軽くグリップを捻る。
「よし、行くか」
覚悟を決め盗賊がいるかもしれない墓へバイクで向かった。




