デブメン店長。
「やべーー」
お風呂場で、リョウタが吠えていた。
体重を久しぶりに計ったら、三キロ増えてたらしい。
最近、宅飲みをダラダラしてたから、増えたに違いない。
「ライブ近いのに、やべー」
あまり増えたようには見えないが、イケメン店長と言われてるから、このまま太り続けるのは、まずいだろう。
「ジョキングするしかない」
焦り始めたリョウタは、ジョキングをするといいだした。
「いきなり走ったらケガするから、最初はウォーキングにしたら?」
歩くとなると30分以上あるかないと、効果でないだろう。
でも、店終わるのは、遅いし、休みの日は、バンドの練習だしウォーキングする暇あるのだろうか。
あとリョウタは、揚げ物が、好きだから、カロリーを押さえるしかない。
「白米を抜くなんて、絶対無理だ」
「じゃあ白米をおかわりしないで、一杯だけにしたら?あと、ライブまで、お酒控えたほうがいんじゃない?ノンアルにするとか」
「ノンアルのビールなんて、ビールじゃないー」
そりゃあ、そうだが。どうしても飲みたいというなら、ノンアルでも、ビール気分は味わえるだろう。
次の日から、なるべくヘルシーなおかずにした。
おからのハンバーグにしたり、豆腐のステーキにしたり、カロリーを押さえて、頑張って作っている。
「唐揚げ食いたいー」
「カツ食いたいー」
「焼き肉食いたいー」
やはり、そろそろ肉食べたいみたいだ。
大豆類を肉のかわりにしてたが、そろそろ限界かもしれない。
リョウタも痩せない年になってきたかー。
これからも食事に気を付けないと太っていくかもしれない。
ウォーキングも休みの日と仕事の時は、朝にしてるが、効果出てきてるのだろうか。
「どう、痩せた?」
体重計ったリョウタに聞いた。
「一キロ痩せた」
うーん。さすが私より若いだけある。一週間で一キロ痩せるとは。
私なんて、運動しても、食べなくても、なかなか痩せない。
運動すると、あちこち痛くなるし。
やはり痩せるなら若いうちだ。
「やべーよ。毎日、宅飲みしてたら、太ってさ。ライブあるから、ダイエットしてる」
リョウタが、バンドの練習のときに、駿くんと、カンジくんに言った。
「酒。毎日は太るかも知れないですね」
「ツマミも、ついつい食べるしね」
駿くんと、カンジくんは言った。
「オレ太ったら、なんて言われるんだろう。デブメン店長と言われるのかな」
リョウタは、さすがに危機感があるようだ。
「ライブすると、痩せると思いますよ。ライブで二キロくらい痩せるんじゃないですか」
駿くんは言った。
「ライブまで痩せたいの。顔をしまらせないとさ」
こうなれば仕方ないから、リョウタの好きな炭水化物抜くしかないだろな。最後の手段だ。
「いや。無理。炭水化物抜いたら無理。力でない。パスタ屋の店長なのに炭水化物抜くって、おかしくね?それじゃあ、お客さんに伝わらない」
無理矢理のこじつけのような気もするが。
「私も付き合うから、炭水化物減らそう。白米を半分にするとか。うどんも半分にするしかないね。量を減らそう」
さすがにリョウタだけ炭水化物を減らすんじゃ可哀想だから。私も付き合うことにした。
ぐー。ぐー。
夜中にお腹がなった。
私とリョウタのお腹がなっているのである。
今日の夕飯は、サラダをメインにして、湯豆腐鍋と、白米半分。
「ごってりしたの食いたいー。こってりラーメンが食いたい」
リョウタは、眠れないのか言い出した。
「ちょっとお。言わないでよ。そんなラーメンとか、言われたら食べたくなるでしょー」
私はリョウタを怒った。
「腹へって寝られないよ」
ぐー。ぐー。
私達のお腹は鳴り続けていた。
「餃子も、食いたいな。あと、カツ丼も、食いたい。あと、カレー」
リョウタは、つぶやいていた。
「うるさいわねっ。気になって寝られないわよ」
私はイライラして、リョウタを怒った。
そうして、夜中の2時に私とリョウタは、インスタントラーメンを作って食べてしまった。
「あら。おはよう。夫婦で朝早く、散歩?」
隣の家のおばさんに、挨拶された。
そうなのである。夜中にインスタントラーメンを食べてしまった私達は、早く起きて、ウォーキングをしたのである。
さて、リョウタは、ライブまで痩せるでしょうか。




