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リョウタが、翼くんと、久しぶりに飲みに行った。
翼くんが、再婚してから、奥さんの連れ子の娘さんもいるので、飲みに行く回数が減っていた。
しかし、今日は、翼くんの奥さんが妊娠したらしく、翼くんも、親と同居のことで、色々悩んでるらしい。
「オレの子供ができたから、親が喜んでるんだけど、産まれたら、うちの親、孫を平等にしてくれるか心配でさ。これを機に、親と別居したほうがいいのか悩み中」
奥さんの連れ子のルカちゃんと、産まれてるくる子供は、翼くんの両親の初孫だから、両親が、孫を平等に可愛がるか心配してるみたいだ。
「奥さんは、なんて言ってるんだよ。別居のこと」
「べつに。別居しなくてもいんじゃないみたいな。里帰り出産もしないみたいだし。ここで、産む気みたいだ」
奥さんは、翼くんの両親に、不満はないようだ。
話を聞けば、ルカちゃんの幼稚園の送り迎えを翼くんの両親がして、可愛がってるみたいだ。可愛がってるなら、問題がないと思うが、翼くんが、言うには、今まで可愛がってたのに、翼くんの子供が産まれたら、手のひら返して、初孫ばかりを可愛がったら、ルカちゃんが、傷つくのではないかと言うらしい。
「翼の両親に聞いたらいいじゃん。孫を平等に可愛がるかって。聞いてから、別居するか、しないかを考えるとしてさ。翼の両親だって、ルカちゃんを可愛がってるんだから、みんな出ていかれたら、寂しいんじゃないのか」
リョウタは、翼くんに言った。
「それとも、孫を平等に可愛がらないなら、別居すると言って、釘をさすとか」
「そうか。そうだよな。女房は、子供二人になるんだから、孫の面倒を見てくれると、助かるからと言ってたしな」
2時?リョウタが帰ってこない。
リビングにもいない。2時って、田舎の居酒屋が、2時までやってるはずがない。スナックだって、12時で、終わる。
リョウタは、スマホを忘れていった。
リョウタのスマホを見ると翼くんから、メールが入っていた。
『リョウタ。今日はありがとう。話を聞いてもらって、スッキリしたよ。』
えっ。ということは、翼くんと別れたということだよね。
『翼くん。京子です。リョウタと何時頃別れたの?リョウタが、まだ帰ってきてないの』
私は悪いと思ったが、リョウタのメールで、翼くんに、聞いた。
『12時前に、別れましたよ。リョウタ、歩いて帰りましたよ。まだ帰ってないんですか』
12時前って。歩いて帰ったとしても、あの居酒屋から15分くらいだよね。
「お母さんっ。恭ちゃん見てて。私、リョウタを探してくる」
「リョウタくん、帰ってきてないの?」
「翼くんが言うには、酔いを冷ましながら、歩いて帰るって、リョウタ歩いて帰ったみたいんだけど。とにかく、探してくる」
私は、車で居酒屋までの道を探した。
「いてー。」
リョウタは、堀に落ちて、動けなくなっていた。
「リョウター」
私は、堀に落ちて、動けなくなってたリョウタを見つけた。
さいわい、 堀には水があまりなかった。
「京子ー。足いてー」
「足痛いの。どこ?」
骨折したのだろうか。右足がはれていた。
「飲みすぎて、堀に落ちて気づけば寝てた」
寝てたって、田舎の夜中なんて誰も気づかないのに危ない。
私は、リョウタを救急病院に連れていった。
「骨は異常ないですね。捻挫ですね。松葉杖貸しますので、一週間くらい歩かないようにしてください」
病院の先生は、言った。
「酔っぱらって、気づかないで寝てたら、この辺の2時なんて、物騒だから危ないですよ。ボコボコに、されてかもしれないですよ。奥さんに探してもらって良かったですね。」
先生もいうように、田舎なんて街灯もろくにないし、危ない。
「京子、ごめんな」
「もう気を付けてよ。お金かかっても飲んだら、タクシーで来てね」
でも、捻挫ですんで良かった。
家に帰るのと、心配したのか両親が起きていた。
松葉杖で帰ってきたリョウタを見て驚いていた。
「お義父さん、お義母さん。心配かけて、すいませんでした」
リョウタは、両親に謝った。
「でも、無事で良かったー」
捻挫だと説明すると、両親は安心したようだ。
私は、翼くんも心配してるから、メールするように言った。
「リョウタくん、大丈夫なの?!」
松葉杖で、出勤したリョウタを見て、花江が驚いてた。
「リョウタさん、歩いて大丈夫なんですか」
野菜を配達にきた駿くんも言った。
リョウタに、仕事休むように言ったんだけど、行くと言い張るので、レジだけしてもらうことにした。
ランチは混むけどキッチン一人で、花江にはホールやって貰うしかない。
「あっ。夜、今日、潤くん大学のゼミで、休みだった。」
お父さんにきてもらうしかないかな。
「オレ、手伝いにきますよ。東京いたとき、カフェで、バイトしてたし」
駿くんが、手伝うと言ってくれた。
「ありがとうー」
「店長、大丈夫ですか」
お客さんが、リョウタが、歩けないのを知って心配してくれた。
たまたま、ランチに和津が来てくれたので、ホールを手伝ってくれて助かった。
ディナータイム。
「おつかれっすー」
カンジくんが来た。
「オレ、呼んだんですよ。カンジも居酒屋のバイト長かったんで」
駿くんが言った。
二人も、手伝ってくれるなんて助かる。
しかもRSKのメンバーが、揃った。なかなか、貴重なホールじゃないですか。
「きゃー。来て良かったー」
会社帰りに来たOL達が、喜んでいた。
「店長、大丈夫ですか」
咲ちゃんが来て心配してた。
しかし、お客さん達はRSKのメンバーがホールしてると、メールで教えたのか、店は、続々お客さんが来て混みだした。
私一人で、キッチンがきつくなってきた。
花江と、和津が、心配して家族を連れて様子を見に来た。
和津の息子さんは、RSKのメンバーが揃っていたので、喜んでいた。花江と和津に、キッチンを手伝ってもらい、ホールはRSKのメンバーに任せた。
「京子、断然ホストクラブに行くよりいいわ。やばいね。イケメンばかりのホール」
花江は、キッチンからホールを見渡して言った。
「これじゃあ花江が、調理師の免許を取るって、やる気もでるはずよね」
和津が言った。
夜にリョウタの足のシップを変えようとすると、恭ちゃんが、リョウタの足を触った。
「ぎえー。やめろー触るな」
リョウタのリアクションが面白いらしく、恭ちゃんは、きゃきゃと、リョウタの足を何度も触った。
「恭っ。やめろつーのっ」
「恭ちゃん。パパの足にシップを貼ってやって」
私は、恭ちゃんに、シップを渡した。
「優しくしろよ。優しくなっ」
恭ちゃんは、勢いよく、バンっと、リョウタの足に、シップを貼った。
ぎえーー。
リョウタの声が響いた。
心配させたから、これくらいは、おしおきしないと。




