パートナー。
「恭ちゃんのパパ、主人のことで、相談があるんですが」
恭ちゃんをリョウタと迎えに言ったときに、私が太郎くんのママと話してるうちに、功太くんのママ、26歳がリョウタに話しかけた。
「えっ。オレですか。そういうのは、オレより、親しいママ友に話したほうが、よくないですか」
リョウタは、驚いた。
「主人のことなんで、男性の気持ちを聞きたいんです」
最もらしいことを功太くんのママは、言った。
「無理です。オレには、無理です。あっ、京子きた。うちの奥さんに言ったら、どうですか」
ええー。私に、ふらないでよ。
「私も無理無理。功太くんのママとは、世代が違い過ぎて、私じゃ、相談にならない。同じ世代の信用できる仲良い友達に言ったほうが、いいですよ」
私は、断固拒否した。あまり、仲良くないママ友の相談なんて、面倒くさい。
「あっ。明奈ちゃんのパパー。じゃあ、明奈ちゃんのパパに相談してみます」
功太くんのママは、明奈ちゃんのパパを見つけると、明奈ちゃんのパパのほうに言った。
あぶない。あぶない。ああいうのには、関わりたくない。
「京子さん、功太くんのママは、ああやって、相談があると言って、パパがお迎えに来ると、言い寄っていくみたいだから、リョウタさん気を付けたほうが、いいですよ。リョウタさん、狙われてますよ」
太郎くんのママが、言った。
リョウタが、狙われてるーなんて。
「オレ。きゃぴきゃぴタイプが、苦手なんすよ」
リョウタが言った。よく言うわ。キャバ嬢と付き合ってたくせに。
家に帰ると、リョウタに、明奈ちゃんのパパから、LINEがきたみたいだ。なんでも、功太くんのママに、相談があるから、飲みに行きませんか。と誘われたらしい。明奈ちゃんのパパは、夜は子供の世話があるのでと断ったらしい。明奈ちゃんのパパは、自分は、バツイチだから、誘いに乗ると思われたのだろうかと、いうらしい。
功太くんのママは、既婚者なのに、何が目的なのだろうか。
明奈ちゃんのパパも、こんな狭い町で、功太くんのママと、二人きりで飲みに言ったら、不倫の噂がたったら困ると言ってたらしい。
「リョウタ。これから自主レーベル立ち上げるわけだし、不倫の噂になるようなことだけは、やめてね。女と遊びたいなら、きっちり離婚してから遊んでね。」
私はリョウタに釘をさした。
こんな田舎で、不倫なんて、すぐ噂が広がるものだ。
「わかってるよ。京子、ビジネスモードで言うのやめてくれよ」
リョウタは、勘弁してくれといった顔で言った。
休憩時間に、リョウタが昨日、私に言われたことを花江に言った。
「オレ、京子にとって、旦那というより、ビジネスパートナーになって行くんですかね。なんか、寂しいです」
「それってすごいことじゃないの。ビジネスパートナーって、信頼がなきゃできないわよ。私は、旦那に疑いしかないわよ。主婦が、旦那と一緒に働きたいかと問われたら、半分くらいは、絶対嫌だと言うと思う。それが、リョウタくんは、京子に一緒に働きたいと思われてるんだから、絶大な信頼よ。」
花江は、熱く語りだした。
「ああ。そうか。信頼されるのは、悪いことじゃないよね」
「でもさ。その功太くんのママ?田舎に、たまにいるんだけど、旦那じゃ、物足りない。人の旦那が、よく、見えるってやつじゃない。絶対、誘いには、のらないほうがいいわよ。」
花江は、リョウタに気を付けるように言った。
朝、恭ちゃんを幼稚園に送っていくと
功太くんのママと、優樹菜ちゃんのママが、言い争いをしていた。
「うちの旦那を誘うなんて、どういうこと?昨日、酔っぱらって帰ってきたのよ。あなただって、旦那いるんでしょうが」
「ただ飲みに行っただけですよ。疑われるようなことしてしません」
功太くんのママは、全く悪びれてない。
「結婚してるのに、二人で飲みに行くなんて、おかしいでしょう。自分の旦那と行けばいいでしょう」
優樹菜ちゃんのママは、感情的に、叫ぶように言った。
「はあ?ただ相談があるから、誘っただけですよ。あんな男と、どうのこうのなるわけないでしょう?恭ちゃんのパパも、明奈ちゃんのパパも、断わってきたから、仕方なく優樹菜ちゃんのパパ、誘ったら、ほいほい着いてきて、ヤバイんですけど。ちょっと誉めたら、勘違いしてきて、やたら迫ってきて、気持ち悪かった。しかも、こっちの相談を聞かず、ずっーと、奥さんの愚痴言ってましたよ。こっちは、相手してやったんだから、お礼を言われたいくらいだわ」
功太くんのママは、完全に開きなおっていった。
「あなたの旦那に言うからね」
優樹菜ちゃんのママは、顔を真っ赤にして言った。
「どうぞ。うちの旦那は、あなたの旦那を訴えると思いますよ。私、迫られたんですから。セクハラですよね?」
ついていく優樹菜ちゃんのパパも、どうかと思うが、暇つぶしに、人の旦那を誘ってるのか、奥さんが、焼きもちを焼いて、優越感に浸りたいのか。でも、人の旦那を誘うあたりが、モテる女がすることでないが、勘違いしてるのだろう。
「ママ、怖いよー」
恭ちゃんが、功太くんのママと優樹菜ちゃんのママの言い争いを見て、怖がって、私にしがみついた。
幼稚園で、子供たちがいる前で、見苦しい朝だった。
カンジくんに自主レーベルのロゴのデザインを何点か提出してもらって、メンバーと、真吾くんとで、決めた。
カンジくんが、頑張って、改装してくれて、スタジオが出来上がった。あとは、看板をつけるだけである。




