孫。
日曜日。
久しぶりに夕飯に餃子を作った。
「30個くらいで、いいかな」
リョウタは沢山食べるけど、両親も、恭ちゃんも5個くらいでしょう。
「多目に作ったら?冷凍にしといて、あなた仕事の時に、恭ちゃんに焼いてたべさせるから」
母親が言った。
ということで、60個作った。
餃子を焼こうかなと思ったときに、兄が子供たちを連れてきた。
「夕飯、食べにきた。」
「あら。日曜日なのに郁恵さんは夕飯の支度しないの?」
母親が、兄に聞いた。
「郁恵。パートリーダーになったらしく、日曜日は出ませんとは言いづらくなったみたいで、たまに日曜日に出勤にするみたいだ」
へえー。お義姉さん、パートリーダーになるくらいだから、仕事を真面目にしてたんだ。私は暇潰しくらいに働いてると思っていた。
どうであれ、一気に三人も増えたから餃子、多目に作って良かった。
私は、フライパン二つを使い、次々に焼いていった。
「餃子、美味しいー。ご飯、おかわりー」
有くんが、喜んで、モリモリ食べていた。
「やっぱ、手作りの餃子、美味いな」
兄も満足そうに言った。
「莉菜も、もっと食べるー」
莉菜ちゃんも、おかわりした。
「京子、日曜日、郁恵が仕事の時は来るんで、夕飯よろしくな」
やれやれ。たまには子供達を外食に連れていったら、いいのに。
兄と子供達は夕飯を食べて、9時頃帰っていった。
「子供と外食してきたの?遅かったわね」
義姉が、先に帰ってきてたみたいで兄に聞いた。
「実家に行って、食べてきた」
「えっ。急に、三人分も増えて、京子さん大変だったんじゃないの」
「いや。餃子たくさん作ったみたいで、子供達も沢山食べたよ。三人分くらい大変じゃないだろ。京子は普段、店で、作ってるんだそ。」
兄に言われたくない。料理をしない兄に大変さがわかるわけもない。
「京子さんって、昔から料理得意だったの?」
「高校生のときは、弁当は自分で作るくらいだな。大学で、独り暮らししてからじゃないのか。料理覚えたのは。京子、母親のこと、好きじゃなかったから、仲良く、料理を教えてもらうって感じじゃなかったな。」
兄に何が分かると言うのだ。自分本意の兄が私のことに興味があるわけもない。
「あのお義母さんじゃね。娘にも好かれなかったのね」
義姉は母親と折り合いが、悪かったから、そう思うだろう。
「母親はオレに肩入れしてたから、娘には、それなりの大学に行って、就職して、結婚してもらえれば、いいという考えだったんじゃないのか。京子は行きたい大学あったみたいだけど、母親は意味ないって猛反対したみたいだ。それからは大学行ってからは、めったに実家に帰って来なくなった。帰れない距離じゃないのにな。大手の証券会社に、就職して28歳の時に、自分でマンションは買うし。親にも男にも頼らず、生きていくって感じしてたな」
「それが、よく実家に帰ってきたわね」
「疲れて弱ってた時に、親に帰って来なさい。と言われたからじゃないか。でもリョウタくんも、一緒に来てくれたから、京子は両親と同居できてるんじゃないかな。」
兄も見てないようで、見てたか。どうやら全くの世間知らずでもないようである。
「お金がある男より、癒しのある男を選んだわけね。京子さんは。私も今なら分かるわ」
義姉は、皮肉なのか兄に言った。
水曜日。私は、料理教室だったので恭ちゃんの幼稚園のお迎えをリョウタにお願いした。
リョウタと、恭ちゃんは、ショッピングセンターに行って、ゲームセンターで遊んだりして、休むためにショッピングセンターのお客様が、座るための椅子に座っていた。
そうすると、隣に座ったお婆さんが声をかけてきた。
「ボク、パパそっくりだね」
お婆さんは、あまりにそっくりなので思わず言ってしまったみたいだ。
「ボク、パパそっくり」
恭ちゃんは、お婆さんに言った。
「何歳?」
「4歳っ」
お婆さんは、恭ちゃんに話しかけ始めた。
「今日、ママは?」
「ママは、お仕事。料理の先生に行った」
恭ちゃんは、答えた。
「料理の先生?」
「パスタのお店をやってて、たまに婦人会の料理教室で、教えてるんですよ」
リョウタは、恭ちゃんの代わりに答えた。
「あー。近所のお嫁さんが、料理教室に行ってるって、行ってたね。」
そのお婆さんは72歳。今は、旦那さんと二人暮らしらしい。娘さんが一人いるらしいが都会に嫁いだらしい。
「うちの孫も、これくらいの時は遊びきてたんだけど、今は、中学生になって、部活や塾が忙しいらしく滅多に来なくなったね。もう何年も孫に会ってない」
お婆さんは、寂しそうに言った。
ご老人の二人暮らしは少なくない。一人暮らしされてるご老人も多い。跡継ぎが必要な家なら、ともかく、この田舎に残る若者は少なくなった。残ったとして結婚して、親と同居は、しない人が多い。
このお婆さんは娘さんが都会に嫁いだのなら、頻繁には会えないだろう。中学生くらいの孫なら、こんな田舎に遊びに来るのも嫌なのではないだろうか。
「ボクのおじいちゃんと、おばあちゃんと、毎日会ってるよ」
恭ちゃんは、お婆さんに言った。
「同居なの?」
「はい。妻の両親と同居してます。妻と店やってるんで、仕事の時は、妻の両親が息子の面倒見てます」
リョウタは、お婆さんに言った。
「ボクのおじいちゃんと、おばあちゃんは、幸せだね。毎日、可愛いお孫さんと暮らせて」
「おばあちゃんも、会いたいって、言わないとダメだよ」
恭ちゃんは、どこで覚えたのか、お婆さんに言った。
「そうだね」
お婆さんは、笑って、頷いた。
お婆さんは立って買い物に行くと、食品コーナーの方に行った。
5分くらいすると、お婆さんは戻ってきた。
「ボク。おやつに食べてね」
そう言って、お婆さんは、お菓子を恭ちゃんに渡した。
「いんですか。頂いて」
リョウタは、恐縮して、言った。
「何が好きかわからないから、孫が遊びに来てた頃に、好きだったお菓子を買ったんだけど。もらって、下さい」
「わー。お菓子だ。僕の好きなビスケットもある。おばあちゃん、ありがとうー」
恭ちゃんは、お婆さんにお礼を言った。
「ありがとうございます」
リョウタもお礼を言った。
そうして、お婆さんは嬉しそうに帰っていった。
「ご老人だけで、暮らしてると子供と話せるのは嬉しいかもね」
私は、リョウタの話を聞いて言った。
「でも、孫は、大きくなるんだよな」
リョウタは、当たり前のことを言った。
「でも、親より、おじいちゃん、おばあちゃんは優しかったから、私は大好きだったな」
私の祖父母は、差別することなく孫の私を可愛がってくれた。
さすがに頭の固い両親も恭ちゃんにとって、そういう祖父母になってるのだろうか。
その後、リョウタと恭ちゃんがショッピングセンターで会ったお婆さんは、携帯電話を買ったそうだ。
なれない携帯電話を頑張って覚えて、娘さんに、お孫さんの写真を送ってもらったそうだ。




