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入園。

「お義母さーん、恭が京子を離さないんだけど」

リョウタが、すねて下に降りていって、母親に言った。

「幼稚園に行ってるから、家ではママに甘えたいんでしょう」

「それにしても甘えすぎじゃない?べったりだよ」

「しょうがないでしょう。リョウタくんの子供なんだから京子が大好きは似たのよ。大目にみてやって」


そうなんです。恭ちゃんが幼稚園に入園したのです。

まだ、ちょっと慣れないのか私にべったりです。

急に沢山の同じ年の子がいるから、戸惑ってるのだろか。

今まで家族と過ごす時間がほとんどだから、環境変わると、子供でも気疲れもするよね。

だから、私はリョウタが、すねても恭ちゃんを甘えさせてやりたい。



水曜日。

朝は私が仕事前に幼稚園に送っていくが、お迎えは、いつもは、母親が恭ちゃんを幼稚園に迎えに行くのだが、水曜日は店が休みなので、入園して私が初めて、迎えに行った。

「ママー」

恭ちゃんが私に気付いて手を振っていた。

「恭ちゃんー」

私は恭ちゃんの所に走って行った。

「恭ちゃん。会いたかったよー」

「ママー。ボクも」

私は、恭ちゃんをギュッと抱き締めた。


「あのー。恭ちゃんのママ・・」

幼稚園の先生が、私に何かを言いたそうだった。



「ただいまっー」

私と恭ちゃんは、家に帰った。

「おかえり。あら京子なんか、しょんぼりしてない?」

母親が私の様子を見て言った。

「幼稚園の先生に、注意されたの。恭ちゃんをお迎えするときは控えめにお願いしますって」


あまり私が、抱き合ったりして、嬉しそうに、恭ちゃんを迎えたので、色んな家庭環境がありますので羨ましがる子もいるので、控えて下さいと先生に注意されてきた。


「恭と10年も会ってないような感動の再会みたいにしたんじゃねーの。ハハハ。まるでバカ親子だ。」


リビングのソファにいたリョウタが言った。

なによっ。バカ親子って。リョウタ、むかつく。

私は水曜日しか、恭ちゃんのお迎えに行けないのよ。



幼稚園。お弁当の時間。

「梨佳ちゃんのお弁当可愛いー。キテイちゃんだ」

「健ちゃんのも、可愛いー」


お弁当は、やはりキャラ弁を持ってくる子が多いようだ。

私は、キャラ弁は時間がないのでしない。それより、恭ちゃんの好きなおかず入れている。


「美味しいー」

他の子が、キャラ弁を見て騒いでる中、恭ちゃんは、そんなの気にしないで、お弁当をモグモグ食べていた。

「あっ。恭ちゃんのお弁当、おかずがいっぱい。美味しそー」


一人の子が、言った。


「ほんとだ。ハンバーグも入ってる。美味しそ」

「私、知ってる。恭ちゃんのママ、シェフなんだよお」

「ボクも知ってる。パスタ屋さんなんだよ」

みんな言い出した。


「あっー。太朗くんのお弁当、ご飯しかないー。梅干しと、キュウリしか入ってないー。変なお弁当」


令くんが、太朗くんのお弁当を指差して言った。


「ほんとだ。へんっー」

「へんっー」


他の子も、太朗くんのお弁当をバカにし出した。太朗くんは、泣き出した。


つーか、保育士、見てないで止めろよ。


「太朗くん。ボクの卵焼きと、ハンバーグあげる」

恭ちゃんが、太朗くんに、卵焼きとハンバーグをあげた。


「これで、ご飯を食べれるよ」

「ありがとうっ。恭ちゃん」


太朗くんは、嬉しそうに、お弁当を食べだした。


「恭ちゃん。ハンバーグ美味しいっー」

太朗くんは言った。


そうすると、さっきまで、太朗くんのお弁当をバカにしてた子達が羨ましがった。



水曜日に、恭ちゃんを迎えに行くと太朗くんのお母さんに声をかけられた。


「先日は、恭ちゃんが太朗に、おかずを分けてくれたそうで、ありがとうございます。太朗がハンバーグ美味しかったって、すごい喜んでて」


「いいですよ。いつも、おかずを多目に入れてますので」

私は、言った。


「あのー。お願いがあるんです。笹原さんの料理教室を受講したくて婦人会に問い合わせたんですけど、定員いっぱいと言われたんです。私、料理が苦手で、今までお弁当作ったことなくて。私に、お弁当の作り方教えてくれませんか」


太朗くんのお母さんに突然言われた。


太朗くんのお母さんは、結婚してから料理を始めたが、お弁当の作り方が、いまいち分からないという。キャラ弁にも挑戦したが、あまりにも、抽象的なお弁当になり、キャラ弁には、ほど遠くなり太朗くんは、白米が好きなので、つい、梅干とキュウリだけを入れてしまったらしい。


「日曜日なら、いいですよ。でも私は、時間や手間がかかるキャラ弁や、海苔で字書くのとかは、しませんよ。普通のお弁当で、よければですが」


私も働いてるので、お弁当に時間をかけるわけにいかないのである。


「はい。いいです。ぜひ、教えてください」

太朗くんのお母さんは、喜んだ。


そして、私と太朗くんのお母さんの話を聞いていたお母さん二人が来た。


「笹原さん、私達にも、お弁当教えて頂けないでしょうか」


そうして、日曜日に、お弁当を三人のお母さんに、教えることになった。



日曜日。

「きゃー」「わーい」

リビングは、子供達で大騒ぎだった。

私が、お母さん達にお弁当の作り方を教えてる間、リョウタに子供達を相手をしてもらった。リョウタ4人の子供相手に、奮闘してた。


「恭ちゃんのパパ、カッコいいっ」

女の子に言われて、リョウタも満更でもないようだった。



「タコさんウィンナーを入れるだけで、可愛くなりますよ。余裕あれば、黒ごまで、目をつけると、いいです。あと、人参が好きなお子さんなら、茹でた人参を野菜型で、ハートや星の形にして、入れると彩りあります。」

私は、作り方を教えた。


「ほんとだ。これだけでも、可愛いお弁当だわ。色もきれい。」


「お弁当作りに慣れたら、簡単なキャラ弁を作るようにしても、いいと思いますよ。」


あと、私は、卵焼きの作り方を教えた。

「時間短縮のために、上で、卵焼き焼いて、両面焼きグリルなら、下で、グリルで、焼けるおかずを作ると、早く出来ますよ」


「わー。美味しそう。こんなに、可愛いお弁当作ったの初めてです」

太朗くんのお母さんが言った。


「私。いつも冷凍食品ばかり入れてました」

美香ちゃんのお母さんが言った。


今は冷凍食品でも、美味しいのが沢山あるから、それでもいいかもしれないが、卵焼きくらいは作ってもいいかもしれない。


「私、無理にキャラ弁にしようとしてたから、失敗してたんですよね」

広造くんのお母さんが言った。


キャラ弁も子供が喜ぶと思うが、子供が美味しく食べれるのが一番である。




「リョウタ、お疲れさま」

皆さんが帰ったあと、子供達の世話をしてくれたリョウタに言った。


「お母さん達も大変だな。お母さん、みんなが料理得意とは限らないからな」


そうなのである。料理が得意じゃないお母さんだっている。

でも、最初から難しいのをしようとしないで、出来る範囲で美味しくしていくのが大切かなと思う。



幼稚園行くとなると、これから、色々、人との違いが出てくるだろう。





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