プレゼント。
「紀香に、さりげなく京子さんに聞いてもらったんだけど、どれもこれも恭ちゃんの物ばかりで、自分の欲しいものは、ないらしいよ」
「それじゃなー」
また、リョウタは、真吾くんと、駿くんと飲んでいる。
3月は、私と恭ちゃんの誕生日月である。
そこで、リョウタが私への誕生日プレゼントに悩んでるらしい。
「やっぱ指輪じゃないの」
真吾くんが言った。
「指輪さ。料理するとき、外すから、休みの日くらいしか、つけないから、ダメなような気がする。あと、つけたり外したりして、無くすって、京子いってたし」
「じゃあ、恭ちゃんとお揃いのものにするしかないですよ。」
駿くんが、言った。
花江が言ってた。
香織が、離婚話で揉めているらしい。前から、公務員の旦那さんが若い職員と浮気しているって話は聞いていたが、香織は、絶対別れないと、言ってたはずだった。
花江の話によると、その浮気相手が妊娠したらしい。
香織にも子供がいるのに、浮気相手が妊娠したから、離婚する。そんな簡単なことじゃない気がする。
でも、私は、香織とは、縁切ったので、私には関係ない話だ。
「オレも、行くー。オレもついて行くー」
リョウタが、また余計な心配して、私の突発的な仕事に、ついてくるって、きかない。
理恵が担当してるローカルテレビ局の情報番組の料理コーナーに、突然、私が出ることになった。
なんでも、いつも出演してるレギュラーの先生が、インフルエンザになったらしい。
それで、急遽、私に声がかかったのである。
テレビ出演は、嫌だし、恥ずかしいが、リョウタもルリさんも、世話になってる理恵の頼みとなれば、断りづらい。
「あの司会者のアナウンサー、いやらしそうだし、京子ひとりで、行かせる訳にはいかない」
その料理コーナーは、番組司会のアナウンサーと、二人で料理をするのである。
「ボクも行くー。」
今度は、恭ちゃんも行くと、言い出した。
「ママ、お仕事で行くんだよ」
私が恭ちゃんに、言い聞かせても
「パパばっかりー。ボクも行く行く」
はあー。仕事に、旦那と子供がついてくるって、いいものだろうか。なんか、恥ずかしい。
結局、私は、リョウタと恭ちゃんと三人で、テレビ局に入った。
「理恵ごめーん。どうしても、ついてくるって、きかないから、連れてきたの」
「あ、いいよ。いいよ。」
「本番中に、息子が騒いだりしないかな」
「大丈夫。親子愛にするから。ママを大好きな息子さんってかんじで、アナウンサーに、コメントさせて、フォローさせるから。意外に好感もたれるかもね」
さすが理恵だ。なんにでも、反応よさに持っていく。
情報番組が始まり、料理コーナーが始まった。
「今日は、乾先生がインフルエンザで、お休みなので、ピンチヒッターに、京子先生に起こし頂ました。京子先生は、○○市のパスタ屋のオーナーシェフさんです。そして、番組にも出て頂いた○○市のナンバーワンイケメンで、Avid crownのリョウタさんの奥さまでもあります。美男美女のご夫婦ですね。」
そこまで、言わなくていいのに。
「今日も旦那様のリョウタさんと、息子さんが来てます」
カメラは、リョウタと恭ちゃんを写した。
「ママー」
恭ちゃんは、手を振った。
「素敵なご家族ですね」
アナウンサーは、言った。
はあー。町中の人が見てるかも知れないというのに。
「今日は、簡単和風パスタですー」
そうして、調理は始まった。
「おいしいー。手軽だし、簡単に出来ますね」
「野菜はとれるし、パスタは、食べれるし、いいですね」
出来上がったパスタをレギュラー陣が、食べてコメントした。
なんとか、無事に料理コーナーは、終わった。
「京子、おつかれ。ありがとう。もう、視聴者からのメールも、来てて、いつもの年寄りうけの料理より、新鮮味があって、良かったと、反響あった。京子、最後までいれるなら、スタッフと食事しない?」
理恵に言われた。
「ごめん。明日は仕事だから、恭ちゃんもいるし、帰ることにする。また今度ゆっくり食事しよう」
私は、恭ちゃんもいるので、誘いを断った。
「そう。残念ね。」
次の日。店で、お客様に、昨日の料理コーナー見たわよ。と、沢山の人に言われた。
それは、それで、嬉しいが、恥ずかしい。
リョウタと違って、今日41歳になるオバサンである。
テレビだと、いっそう老けて映ってたかもしれない。
考えると、恥ずかしくなる。
「京子、誕生日おめでとう。オレからの誕生日プレゼント」
仕事終わって、家に帰ると、リョウタからプレゼントを渡された。
開けてみると、なんと
恭ちゃんとお揃いのAvid crownのロゴが、入ったパーカーだった。
「そのパーカー、非売品だからな。京子と恭だけのパーカーだよ」




