イケメン真義。
スーパーで買い物をした帰りに、30代前半くらいの男性が声をかけてきた。
「落ちましたよ」
その男性は、私が落としたネギを拾ってくれた。
「あっ。すいません。私ったら、ネギ落として気づかないなんて」
男性をよくみると、爽やかな好青年と言った感じだ。
「パスタ屋のシェフさんですよね。うちの嫁と娘がいつも、お店に食べに行くみたいで、お世話になってます」
男性は、爽やかな笑顔で言った。
「そうなんですか。こちらこそ、ご来店頂いて、ありがとうございます」
「嫁と娘が、シェフが作るパスタすごく美味しいって言ってます。いつも昼に二人で行くみたいだから、オレは、おいてけぼりなんですよ。今度食べに行きます」
そう男性は、また爽やかに言った。
「ぜひ来てください」
そう言って男性とは別れたが、落ちついて大人なイケメンパパと言う感じだ。
しかし、何か物足りない。
花江とランチした時の、その爽やかな男性のことを話した。
「たぶん、横川さんの旦那さんじゃないかな。確かに横川さんの奥さんと娘さんは、京子のパスタ屋に、よく来てる。旦那さんは、32歳だと思う。イケメンといえばイケメンだけどー」
さすが花江だ。イケメン情報は、幅広い。
「32歳で、あんな落ちついてるんだね。でも、私の周りの年下は、みんな、ヤンチャな感じが多いから、その横川さんは、イケメンだけど、何か物足りないな」
そう、私の周りの年下は、リョウタを始め、真吾くん、駿くん、翼くんと、ヤンチャで、破天荒みたいな人ばかりなので、あまり落ちついてる大人の男性だと刺激が足りないと言うか。
「わかるー。わかるわ。その気持ちっ。やっぱ、年下は、ヤンチャで可愛くないとね。刺激がないとー。あー年下のイケメンに、わがままを思いっきり、言われたいー」
花江の妄想劇が始まった。
「でも、その横川さんの旦那さん、爽やかは爽やかだけど、人によって態度を変える感じがするのよねー。まだまだ私の中では、真のイケメンには、達してないわ」
花江のイケメンによる選球眼は、確かだからな。
夜に、リョウタが、真吾くんと駿くんと、焼き鳥屋に飲みに行った。
「あっ、横川って、オレの先輩だ。」
リョウタに爽やかな大人な男性にネギ拾ってもらったことを、言ったら、リョウタが気にしてしまって、真吾くんと駿くんに愚痴ったのだろう。
「うちの紀香も、その横川先輩に声かけられたらしい。確かにイケメンだけど、男からは、評判良くないよ。」
真吾くんが、言った。
「そういえば、うちの彩も爽やかな30代の男性に声かけられたと言ってた。もしかして、そいつかな」
今度は、駿くんが言った。
「たぶん。美人な人に、爽やかなふりして、声かけてんじゃないかな。その横川先輩、昔から、美人には、調子いいこと言って手当たり次第に誘ってた。ブスな女には、完全シカトだったぞ」
真吾くんが言った。
「あっぶねーな」
リョウタが、ボソッと言った。
日曜日に、リョウタとスーパーに行った。
リョウタが、ビールを買い忘れたというから、入り口で、待っていた。
入り口から、ぽっちゃりした50代くらいの女性が、買い物袋を4つくらい持っていて大変そうだった。
「オバサンっ。さっさっといけよっ。邪魔なんだよっ」
そう言って、後ろから来た男性は、女性をを押した。
そうすると、買い物に沢山詰め込んでいた買った商品は、袋が破れて、散らばってしまった。
その押した男性は、あの爽やかな大人なイケメンの横川さんだった。
「ふんっ。どけっ」
下に落ちた惣菜のパックを横川さんは、踏んだ。
「おまえ、何やってんだよっ。拾えよっ」
横川さんに、怒鳴ったのは、リョウタだった。
「ふんっ。そのオバサンがノタノタ歩いてるからだよっ」
そう言って、横川さんは行ってしまった。
「大丈夫ですか?」
リョウタは、落ちた商品を拾いながら、50代の女性に言った。
「リョウタ、この袋に入れて」
私は駆け寄り、持っていた袋を渡した。
「車、どこに置いたんですか。車まで持っていきますよ」
リョウタは、女性の車まで行った。
「お兄さん、ありがとう。助かったわ。お兄さん、パスタ屋の店長さんだよね?」
50代の女性は言った。
「はい。そうです」
「さすが、イケメン店長と言われるだけあるわね。お兄さんみたいなのが、本当のイケメンだね。」
そう言って女性は、お礼だとリョウタに自分が買ったビールを渡した。
「イケメン店長さん。ありがとう。」
花江の言ったとおり横川さんは、真のイケメンではなかった。
イケメンの由来は詳しくしらないが、イケてるメン、つまりイケてる男だと思うが、
女性を見た目で差別する男がイケてるとは思えない。
いくら顔が良くてもイケてないのである。
だから、横川さんは、イケメンではなかった。
だっさい男だった。
市の広報で、『おらが町のイケメン』を投票することになった。
ただし、イケメンには条件があった。
●町の住民であること。
●町のイメージを壊さないこと。
●人気者であること。
●町の活性化に協力できること。
顔が重視ではないようだ。
投票の結果、一位は、ダントツでリョウタだった。
年齢層が幅広く、子供からお年寄りまで、リョウタに投票したようだ。
以下の順位は、下記の通りです。
1位。笹原綾太。
2位。波野真吾。
3位。湯川駿。
ということで、仲良し三人衆が、ベスト3を埋めました。
横川さんは、ランキング外だったそうです。
こうして、ベスト3の三人衆は、市の活性化ポスターのモデルになることになりました。
もちろん、リョウタが、センターです。




